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JORDAN_2015
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0920_JORDAN
サウード家のアラビア王国。これがサウディアラビアの国名である。
この国の成り立ちが、世界のパワーバランスを端的に表している。
逆に言えば、この国こそが、諸悪の根源である。
サルマーン・ビン・アブドゥルアズィーズ・アール=サウード。第7代サウディアラビア国王。
1932年建国から7代つづくサウード家の末裔である。
建国の翌年にサウード国王はアメリカの「スタンダードオイル社」と契約を結び、すべての石油探索・試掘権を与えた。
これが現在の「
サウディアラムコ=サウディアラビアン・アメリカン・オイルカンパニー」であり、
日平均収入10億USドル(約1,240億円)稼ぐ世界で最も高収益の国営石油会社なのだ。(国営なのに他国名を含むこの欺瞞!)
サウディアラビアには生まれながらにして恩給を受ける王子王女が6,000人以上存在しており、
さらにその親戚は20,000人以上に上るという。オイルマネーによる一族支配の腐敗がここまで浸透しているのだ。
その偏った絶対君主制を隠蔽するかのごとく、サウディアラビアは最も厳格なシャーリアの遵守と男尊女卑を国教としている。
これが「ワッハーブ派」といわれるイスラームの宗派である。
サウードの王族は年間石油収入2,500億USドル(30兆円)の恩恵を受け、
城やヨット、純金の調度品に満ちたボーイング787の自家用機を所有し豪奢な生活を送る一方で、
25%の国民が貧窮ライン以下で生活しており、若者の失業率は30%に達している。
行き場のない若者はどうするか?
「ワッハーブ派」のイスラム原理主義教育は「イスラムの大義のための戦争=ジハード」を教義とする。
あの0911でWTC爆発炎上させたアルカーイダ首謀者の「ウサーマ・ビン・ラーディン」はサウディアラビア人である。
つまり、金満なオイルマネーでアメリカと癒着したサウード王国からイスラム原理主義の若者がどんどん輩出され、
「ジハード」と偽っての反米戦争がアフガン・イラク・シリアで勃発しているのだ。
サウディの王族たちも大量の資金援助をしているというから、欺瞞に欺瞞を重ねたような多重人格ぶりである。
ちなみにサウディアラビアは、年間605億USドル(7兆2,600億円)に及ぶ武器売買契約をアメリカと結んでいる。
それだけではない。サウディアラビアはワッハーブ思想の世界広布にも力を入れていて、
210のイスラミックセンター、1,500のモスク、202の学部、2,000の宗教学校を
パキスタン・ナイジェリア・ボスニア・チェチェン・カナダ・アメリカ・イギリスなどの世界各国に建設、
その総額は870億USドル(10兆7,900億円)にも上るのだ。
これもワッハーブ派の広がりから王国の成り立ちを正統化するため…というからオドロキである。
イスラームの2大聖地であるメッカとマディーナを擁し、ワッハーブという最も厳格なシャーリアを実践、
モスクや宗教学校の建設で国教「イスラーム」の敷衍を行う国の内情は、
オイルマネーにサウード王族全体がまみれ、アメリカやフランスなど西欧世俗国とのマネーバランスを謀り、
ジハード原理主義の若者を数多く輩出する「悪の中枢のような国」なのだ。
ジハード原理主義「イスラーム国」の自称カリフ(預言者ムハンマドの後継者と召される)、
アブー・バクル・バグダーディ・フサイニー・クラシーの最終奪還地はメッカとマディーナである。
シリアを制圧したあとに、聖戦の対象となるのが、腐敗の地「サウード家のアラビア王国」そのものなのだ。
しかしこの問題の発端は、オスマン帝国解体をもたらしたイギリスとフランスのサイクス・ピコ協定によるカリフ制の廃止であり、
オイルマネーに群がり、自国の利権を貪るアメリカを初めとした日本を含む西欧列強諸国であり、
資本主義のためなら武器売買も厭わない財閥企業や商社など「金の亡者たち」であることを忘れてはならない。
人間はどこまで腐敗するのだろうか?
追記→さらに言うと、イスラーム圏のペルシャ人国であるイラン(他はアラブ人)とシリアを後方支援しているのが、ロシアである。
これもオイル争奪がもたらしたパワーバランスなのだろう。イランは中東2位の石油埋蔵国なのだ。
ちなみに「イスラーム国」の資金源はシリア・イラクのオイルである。密輸オイルを捌くトルコ人業者が介在している。