劇団態変_東京公演「
LUNGTA」@座・高円寺
終演後ホッと一息の金満里さん。
巡り巡ったご縁で、今回劇団態変の舞台撮影をすることに。
そのご縁に深く感謝するとともに、主宰の金満里さんのフトコロの深さに、心からシビれておる次第。
この広い宇宙に、ポツンと存在する太陽系の中の地球の、
そのまたほんの些細な点に満たない、態変という存在。
そこに集まった我々は、途方もなく無限に小さな一人ひとりだ、ということ。
(中略)
思えばわたしは小さな存在の一人として、態変を立ち上げその芸術を尖らせ尖らせ、
宇宙へ突き刺す鋒にまでしていきたいのだと思います。
それは人間存在の本質を問う、根底の大地からの命の存在を宇宙にまで問う、闘いです。
それをするのは芸術だと思います。
(中略)
経済優先主義・消費文明社会ではもう立ちゆかない人間の生み出した文明、
それを具体的に転換させる新たな価値の創出を、
人間にとっての〈死〉を正面に見据え、懐きながら生へと歩むチベットの人々の理を、
美しい、と思い作品化しました。
態変の身障者身体表現でこそ、カオスの中から摂理が生まれる瞬間の抽象性と、
魂の奥底から必然を掴み取る具体性の、その両方を描けるものと思います。
(LUNGTAパンフより金満里さんのコトバ)
「態変」とは、生きていくのもタイヘンな(あらゆる意味で)
自分たち身障者のことを揶揄したネーミングだと思うのだけど、
そんな17人がカラダを張って、カラダが感じる社会への異和を表出している。
17人のカラダが「おかしいだろ」と訴えているのだ。
そこには健常者だから、身障者だからのカテゴライズは無効である。
宇宙から照射された小さな小さな存在であるわたしたち一人ひとりの、
等価としてのひとつひとつの命に、ひとしく投げかけているコトバである。
わたしたちはどこから来て、どこへ行くのか?
それは誰にも分からない問いかけである。しかし、この限られた命を、
限られた時間の中で、与えられた肉体とともに、精一杯生きたい。
そのカラダ本位の発想が、どんどん軋み、カラダが悲鳴を上げているのだ。
「LUNGTA」後半、演者が地面を這い、カオスとなって、ざわつくシーンがある。
サックスの雄叫びとともに、混沌とした事態の最中、一条の光とともに、風が吹く…。
LUNGTA風の馬が、生命体としての人間全体に「気づき」の風を与えんことを。
劇団態変の舞台から発せられた、演者17人のカラダの声を、
自分たちのカラダでもって大きく共鳴させなければ。
時間はもう限りなくゼロに近い。この共鳴は急務である。
作・演出・芸術監督/金滿里
音楽/山本公成 with コズミックトリオ(山本公成 中島直樹 瓢箪島光一)
絵画/ウゲン・ナムゲン(チベット仏画師)
出演/金滿里 小泉ゆうすけ 上月陽平 下村雅哉
向井望 山口幸恵 国頭弘司 松尾大嗣
エキストラ/天沼臨 金田航 猿渡達明 齋藤勝 小泉俊弥
平山静男 島村海地 小林加世子 タケガミコウ
舞台監督/塚本修
美術/吉田顕
音響/勝藤珠子
照明/三浦あさ子
照明オペレート/丸山武彦
メイク/倉橋かおり
衣裳/坂本式子
制作/和田佳子