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イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

【シトロエンな話】拾った画像でAMI(アミ)シリーズまつり。

2014-05-26 | シトロエンな話。



1960年代に入ったばかりのシトロエンの販売ラインナップは、とても変わっていました。



というのも、下は2CV、上はDS/IDシリーズ「しか」無かったのです。
トヨタで言えば、ヴィッツとクラウンしかない、って感じです。


そんな、このあまりにもぽっかり空いた「穴」を埋めるべく、シトロエンが用意したのが、この「AMI(アミ)シリーズ」。


1961年に登場した最初のアミは、「AMI6(シス)」。
新しいシリーズとはいえ、外皮以外は2CV、というあたりが
いかにもフランスって感じなのですね。
まあその話になれば、初代ルノーサンクも中身はR4ですものね...。





ほんとにこのクルマ、中身はエンジンの排気量など以外は、
単純な設計ながらもとんでもないほどの組み立て精度で作られていたフラットツイン、
前後関連懸架、4速ギアボックス、ボディのコンストラクションの方法にいたるまで、
実は中身は「まんま2CV」なのでした。
なので、派生で新しい車種を出しました!と謳った割には、
シトロエン社内では2CVと同じコード(Aタイプ)で呼ばれていたそうです。




AMI6 なんで、どうしたらこんなデザインが出来るんだw


最初のアミ、「AMI6」は、「げじげじ眉毛の歯抜け口」とまで言われたヒョウキンな顔、
クリフカットと呼ばれる大胆なルーフ後端の処理、
2CVとはまた違った手法でプレスを入れて強度を持たせた外板など、
われわれ日本人の目からは明らかに「おかしな」スタイルなのですが、
彼の国のひとたちにすれば、機能が形作ったデザインであって、
経済的で、中が広く、荷物がつめれば外観は意に介さないということなのか、
AMI6は実際によく売れ、1966年にはなんとフランスのベストセラーに(涙
そういうところもまた、フランス人、そしてフランス車が好きなところなんですよねぇ。



クリフカットに注目 この処理によって後席の頭上空間確保も実現していた


ちなみに、AMI6の名称は、
「L'ami6(ラミシス)」=「La missis(ラミシス、夫人)」と名前を掛けたもので、
モータリゼーションが発達し、セカンドカーとしての重要も出始めた時代、
ミセスが乗れるクルマとしての性格付けもあったようです。
ちなみに、英語でいう「ミス」は、「La misses」になります。
さらには、「AMI」は、「友達」という意味です。






2CVに負けず劣らす軽く(700kg無かった)、2CVよりもパワフルで空力性能もよく、
最終的には32PS版になったAMI6では115km/hくらい出たらしい。
これは2CV乗りならわかるんですけど、「うらやましい」速度ですよねw


デザインは、DSを手がけたフラミニオ・ベルトーニ。
むかしの本では、情報が少なかったのか、
DS/ID(Dシリーズ)が「ベルトーネ」の作だと書かれていることがありますが、これはむろん間違い。
ただし、彼、フラミニオ・ベルトーニのことを書くと長くなるので、それはまた別の機会に譲りましょう。
なお、AMI6が、彼の最後のデザインしたシトロエンになります。



Dシリーズとの類似点はデザイン的に多分にあり、ステアリングやドアノブなどは、共通したイメージになっており、
メーカーとしては2CVの豪華版というよりは、小さなDシリーズを作りたかったのでは、
と思わされます。






AMI6には、その後1964年、ブレークボディが追加されます。最初から用意されていたかのようなグッドデザインで、
実際、AMI6の生涯の中で、その後半の販売のほとんどがブレークでした。
2CVの経済性とトラブルの無さ、
それに2CVのように我慢をたくさんしなくてもいい
「ふつうのクルマ」としての外観と装備、そしてブレークボディによる
収納性と汎用性。たしかに、AMI6ブレークはとても魅力的です。






こういう60年代的カタログ写真を再現したい...。



ですがさすがのAMI6も、発売以来7年が経過し古さも見えてきたため、大幅なフェイスリフトを行います。
名前も「AMI8(ユイット)」に変更になり、フロントマスクは歯抜け口も多少、ふつうのクルマぽくなりました。




とくに大きな変更は逆反りデザインのAMI6のクリフカットが無くなって、
「ハッチバック風」なファストバック・デザインになったことです。
「風」なのは、ルノーなどがもうハッチバックをR16などで積極的に採用していたのに、
AMI8は独立トランクの「サルーン」だったためです。


この写真がまたいいねw


また、内装はクラッシュパッドがダッシュボード全面に張られたり、
プラスチックの色使いが変わったりして、大きく印象を変えています。


ただ大きな変更は正直、メカニズム的にはほとんど無くて、6が8になって、
その数字の変わった意味は何だ!って感じですw


1969年にはブレークもAMI8に進化。後ろから見るとAMI6とAMI8の違いは
サルーン(ベルリン)ほどわかりやすくないのですが、AMI8はテールランプが
ベルリンと同じなので、それで判別できます。




AMI8ブレーク


なおAMI8は1978年まで製造されました。1978年って201系が出る1年前じゃないかw
それなのにこんな古典的なデザインのクルマが作られてたんだなあ。



そしてAMIといえば忘れてはいけないのが、1973年、AMIシリーズに追加になった「AMI SUPER(シュペール)」。
なんと、AMIのボンネットにひとクラス上に用意されたGSシリーズの1015CC空冷フラット4を詰め込んだモデルです。




1015ccのフラット4は、53PSもあり、AMI8の32PSの倍近いパワーで、145km/hまで
古いAMIのボディを引っ張ることが出来ました。




2CV派生のAMI6、AMI8が2CVと同じくダッシュから「生えた」シフトレバーを前後にぐりぐりするのと違い、
エンジンがGSのAMI SUPERは立派なフロア・シフトを持っていました。


だいぶ近代的な内装


ただし、GSとAMI8の間を埋めるというニッチな性格が災いしたのか、
シトロエンが経営危機に陥りプジョー傘下に入ったことによるものか、
わずか3年で姿を消してしまいました。その生産台数はわずか4万5000台程度だと言われています。

なお余談ですが、AMI SUPERに1015cc(GSの初期のエンジンですな)が積まれることになったいきさつには、
「GSがアンダーパワーの評判をなくすために1220ccに移行、
そこで余ってしまった1015ccユニットを消費する」という事情があったそうですw
でもいかに軽いAMIを持ってしても、1015ccユニットの欠点であった低速域のトルクが足りないところは補えず、
AMI SUPERも1015ccのGS同様、「まわしにまわして」乗る必要があったそうです(涙


なお、AMI SUPERにはブレークももちろんありました。
個人的にはAMI SUPERのブレークなんて、すごくいいなあ。





ちなみに、このAMIシリーズの後継が、VISAシリーズになります。
AMIシリーズはこんなに突飛な外観なのに、生涯を通じて売れた車種にあたり、
その総生産台数は184万台に上るそうです...。



>>ie的には、シトロエンのフラットツインモデルは大好きなので、DIANEと並んで、
いつかまた「フラットツイン・シトローエン」を手に入れるなら、
このAMIだろうなって、勝手に思ってますw

>>なお、AMIの派生モデルで有名なものに、「M35」があります。
これ、れっきとした生産車で、1969年から2年間、267台が販売もされたのですが、
その販売相手は吟味され(長距離使うユーザだったそうだ)、テスト環境ではなく、
実際に使用してみて耐久性を見よう、という大胆な作戦だったのですが、
なぜこんな販売・テスト方法をとったのかというと、
何しろこのM35、シトロエンが次世代エンジンの夢として
NSUと共同開発したヴァンケル・ロータリーエンジン搭載車なのです!
しかも足回りは、AMIシリーズ派生なのに、ハイドロニューマチックだったのだ(驚





>>ボディはあのユーリエ製。価格はなんとGSより上に位置していたそうです。
ただし、実際には低速域でのトルク不足、悪い燃費(このあたりはマツダも散々苦労したところ)、
しかもエンジンはすぐに壊れてしまったそうです(哀

>>ただ、このM35の成果として「GSビロトール(Birotor=ツインローター)」
がGSシリーズの切り札として登場するのは有名な話。
でもこのビロトールも、結果としては...になってしまいました(涙



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1 コメント

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Unknown (アミリカン)
2014-08-22 06:47:28
はじめまして。

やっぱいいですね、アミ6。あの眉毛顔がツボです。8にバージョンアップしてからのはちょっと味気なくどうせ買うなら6かな。まあどちらもキモカッコいい(笑)シトロエンらしさが色濃く出ておりますね。

今度発売になるカクタスにもその伝統は受け継がれており嬉しい限りです。なんだか昆虫みたいでWillサイファ思い出しました。ちなみにサイファの未来的なデザインも好きですよ。

でも言われてみれば8のハッチバック「風」トランクもセクシーだなぁ。キャロルっぽい6のクリフカットもいいんですけどね!

フラ車と同じぐらいアメ車も好きな僕にはアミの名前の由来がカマロ(こちらもフランス語で友達という意味)という点も何かを感じざるを得ません。

車は友達です(笑)
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