BAMBOO-JET  ~うみの部屋~

タケノコジェットでどこへでも!
読んだ本や見た映画、食べた料理、旅先、育児や日常のことなど、趣味をつらつら語ります

きっぷをなくして

2009-12-16 21:52:26 | 読書感想文
最近発売された池澤夏樹さんの小説「きっぷをなくして」。
主人公は切符をなくして、「駅の子」になる。
東京駅を家とし、毎日駅長の指示に従って定められた駅へ仕事へ行く駅の子。
小学生が主だけど、中には中学生や小学生以下の子もいる。
みんな切符を失くして改札口から出れなくなり、「駅の子」になった子ばかり。
そんな駅の子の集団生活が書かれている。
主人公は小学生なんで、目線が子供の目から描かれてるので、文章が難しくなくわかりやすい。
でも子供ながらに色々なことを考えて、単調でありそうで毎日違う生活が面白い。
駅や電車がいっぱい出てくる。
基本的に山手線を中心に描かれてるが、中央線なども出てきます。
それぞれの駅の様子や接続されるほかの路線のこと。
その駅で見かける風景や食堂、駅弁についても細かに描かれていて、旅好きな池澤さんならではという感じで、非日常という旅の雰囲気を感じさせるお話です。
こう考えると巨大な駅=東京駅などでずーと生活ができるんじゃないかなぁ・・・って思いますよ。
前に「ターミナル」というトム・ハンクス主演の駅から出れない男の物語がありましたが、まさにあんな感じ。
最後に仲間の一人が駅で亡くなった子供だということを知り、その子をあの世へ送るためにみんなで北海道へ旅に出ます。
今は珍しい3段の寝台列車や青函連絡船なども登場し、旅情がたっぷりです。

●きっぷをなくして 角川文庫 池澤夏樹