宍戸元源は、
「元就は、ことのほか運に恵まれている男か…」
と、つぶやいた。奇襲部隊の行動をくらますには格好の雨であった。一瞬のうちに、生死を分け、あるいは勝敗を分けるのは、知恵や力でなく、その人の持っている運不運だと、近頃つくづく思う元源であった。
「しかしこれは、しんどい戦よ。なんでわしは、余計な口出しをしたのか…」
元源は苦笑した。
元就を先頭に芸備兵で編成された奇襲隊は、雨と闇にまぎれて大内義隆、陶興房の陣に忍び寄った。
大内方は、若殿義隆の初陣を勝利で飾ったことで、祝宴を張り、油断していた。
芸備兵は、元就のほらを合図に、一斉に大内軍に襲いかかった。不意を突かれた大内軍は大混乱に陥り、戦闘一刻、潰走した。
これで銀山城の包囲網は綻びた。六日朝、勝利にわく陣中で、元就は、雨雲の切れ目からときおり顔をのぞかせる朝日に両手を合わせた。天運を謝した後、
(これで尼子への義理も果たしたと思いますが…)
と、日輪に語りかけた。
おもしろいなー。
おもしろすぎるなー。
「元就は、ことのほか運に恵まれている男か…」
と、つぶやいた。奇襲部隊の行動をくらますには格好の雨であった。一瞬のうちに、生死を分け、あるいは勝敗を分けるのは、知恵や力でなく、その人の持っている運不運だと、近頃つくづく思う元源であった。
「しかしこれは、しんどい戦よ。なんでわしは、余計な口出しをしたのか…」
元源は苦笑した。
元就を先頭に芸備兵で編成された奇襲隊は、雨と闇にまぎれて大内義隆、陶興房の陣に忍び寄った。
大内方は、若殿義隆の初陣を勝利で飾ったことで、祝宴を張り、油断していた。
芸備兵は、元就のほらを合図に、一斉に大内軍に襲いかかった。不意を突かれた大内軍は大混乱に陥り、戦闘一刻、潰走した。
これで銀山城の包囲網は綻びた。六日朝、勝利にわく陣中で、元就は、雨雲の切れ目からときおり顔をのぞかせる朝日に両手を合わせた。天運を謝した後、
(これで尼子への義理も果たしたと思いますが…)
と、日輪に語りかけた。
おもしろいなー。
おもしろすぎるなー。