ねーさんとバンビーナの毎日

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毛利元就より。その2

2009年09月08日 18時38分15秒 | 考えるねーさん
宍戸元源は、

「元就は、ことのほか運に恵まれている男か…」

と、つぶやいた。奇襲部隊の行動をくらますには格好の雨であった。一瞬のうちに、生死を分け、あるいは勝敗を分けるのは、知恵や力でなく、その人の持っている運不運だと、近頃つくづく思う元源であった。

「しかしこれは、しんどい戦よ。なんでわしは、余計な口出しをしたのか…」

元源は苦笑した。

元就を先頭に芸備兵で編成された奇襲隊は、雨と闇にまぎれて大内義隆、陶興房の陣に忍び寄った。

大内方は、若殿義隆の初陣を勝利で飾ったことで、祝宴を張り、油断していた。

芸備兵は、元就のほらを合図に、一斉に大内軍に襲いかかった。不意を突かれた大内軍は大混乱に陥り、戦闘一刻、潰走した。

これで銀山城の包囲網は綻びた。六日朝、勝利にわく陣中で、元就は、雨雲の切れ目からときおり顔をのぞかせる朝日に両手を合わせた。天運を謝した後、

(これで尼子への義理も果たしたと思いますが…)

と、日輪に語りかけた。





おもしろいなー。
おもしろすぎるなー。
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