(2/3からの続き)
(卒業生代表の加藤優の悼辞)
うるせーっ。黙って聞けっ。(卒業生らの席のほうに振り返る)
オれはこの桜中学へ来てまだ半年も経っていない。
けど、そのオレが卒業生代表となったのは、この中学でこのオレほどいろんなものを叩き込まれた者がいないからだと思ってる。
オレはミカンなんかじゃない。オレは人間だ。
それを教えてくれたのがここの先生方やお前らなんだ。
だから1年生や2年生の諸君に言っておく。
このオレを手本にしろ。勝手にすねるな。
(涙ぐんでくる加藤)
この学校にはお前らがぶつかって行けば身体ごと受け止めてくれる先生がいるんだぞ。
こんな学校、他にはなかなかないんだぞ。
オレ達もこの桜中学の生徒であることを誇りにしろ。
てめえの中学に誇りを持てっ!
オレ達もこの桜中学の生徒であったことを誇りとし、頑張ることを誓いますっ!
桜中学はオレの母校です。
(拍手喝采)
(校長挨拶の場面)
昭和55年度の卒業生のみなさん。
ご卒業おめでとうございます。
実は先ほどの卒業生悼辞を加藤君に読んでもらうについては、昨夜遅くまで職員会議を開き、会議を重ねました。
そしてその決定が今「正しかった」と私は信じます。
正直に申しますと、半年前に加藤君をここに迎えた時、私たちはどう対応していこうかと、おおいに思い悩んだものなんです。
でもその中で取り組んで行くうちに私ども教師は改めて「教職というものは何か?」ということを学び得たような気がします。
例え、突発事件が起きても、もう、うろたえる事はありません。
いえ、突発事件が起きないように、私たちはしっかりと生徒を見つめて行こうと誓い合いました。
少々荒っぽかったけど、大きなプレゼントをどうもありがとう。
さて、卒業生の皆さん、あなた方は今9年間に渡る義務教育の全てを終えられたのです。
その中で培ってきた学業と友情をしっかりふまえ、大きく新しい世界へ踏み出して行って下さい。
桜中学はいつでもここにあります。
楽しい事、苦しい事、一緒に考えたいと思ったときはいつでも来て下さい。
なぜならば、ここはあなた方の母校だからです。
私のお祝いの言葉にかえます。
本当に卒業おめでとう。
(♪仰げば尊し斉唱)
仰げば 尊し 我が師の恩
教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ)
思えば いと疾(と)し この年月(としつき)
今こそ 別れめ いざさらば
朝夕 馴(なれ)にし 学びの窓
蛍の灯火 積む白雪
忘るる 間(ま)ぞなき ゆく年月
今こそ 別れめ いざさらば
(職員室の風景)
(先生方が戻ってくる・・・)
あ、ご苦労様でした。
どうも、どうも、お疲れさまでございました。
あ~、いやぁしかし、今日は肝が冷えましたな。
あ、加藤の挨拶ですか?
えぇ。
ほんと、一時はどうなるかと思いましたけど、でも素晴らしかったですわ。
感動しました。
どうもありがとうございます。
あいつももう少しあの言葉使いを注意してくれたら良かったんですけどね。
欲を言ったらきりがありませんよ。
僕だって順番間違えたし。
しかし無事終わって良かったですね。
寂しい事言わないで下さい。
でもほら、来年も同じ事ある訳ですし・・・
冷たいんですね、服部先生。
そりゃ、2年生と3年生の担任じゃ、思い入れも違いますしね。
いやぁ・・・、そりゃぁとばっちりですよぉ。
金八っつぁん、助けてよ。
え?
えへへへへ。
坂本先生。
えぇ。
ちょっと・・・
何か?
あ、、、(耳打ちする)
いつですか?
今朝方早く。
どうかしたんですか?
米倉先生が亡くなられたって、奥様から。
(回想シーン)
もうだめです。
私はひたすら地道に生徒と一緒に生きてきたのに生徒も変わってしまった・・・
親も学校もみんな変わってしまった・・・
私はもうボロボロです・・・
(3Bの教室)
先生これね、ハジメがね、ハンバーガー仕立てたんだってぇ。
へぇ。
今朝早く起きて、ミンチにかけて、味付けまでシイナ君がしたんだってぇ。
シイナがかぁ。
じゃぁみんな、もういいかな?
うん、大体こっちのほうはオッケー。
じゃ席ついてよ。
はーい。
先生、はい、先生。
ひっぱんない、痛い、痛い。痛いなぁ。
あのねぇ、(聞き取れない)もぅ。
早く座んなよぅ。早くよぅ。
はい、はい。
えーと、それでは、只今より、ささやかながら我々3年B組金八先生囲んでの謝恩会を開きますが、その前に先生から一言お願いします。
いぇーーーい!(拍手が起こる)
いや、参ったなぁ。
どーしてー?
いや、ほら、君たちはもう立派に卒業したんだしなぁ。
もう先生何も言う事ないやぁ。
そんなぁ・・・(ブーイング)
何かあったんですか?
どーしてだよ?
何か元気無いみたいです。
いや、そりゃぁ、お前・・・
わかった!
私たちがいなくなっちゃうから寂しいんだぁ。
いや、寂しいし、悲しいなぁ。(笑顔の金八)
そんな事言わないでください。(泣き出す女生徒)
おい、泣かないって約束だろう?
先生がいけないのよ、先生がぁ。
いつも通りお説教してくれればいいのに、ヘンなこと言うんだも~ん。
そうだよ、裏切りだよ。
ちょっと待って、オーバーだよぅ。
だってさぁ、もぉ。
そうだよぉ・・・
あー、はい、はい、わかった。
はい、それじゃ最後のお説教やりまーす!
いぇーい!(拍手が起こる)
最後のお説教いただいたら、みんなで3年B組の歌、唄いたいと思います。
なんだよ、3年B組の歌って?
約束したじゃーん、3年B組の歌もとうって。
そうだよぉ。
あぁ、そうだったな。
やっぱヘンよ、今日の先生。
こらぁ、生意気言うんじゃないよ、お前はぁ。
そ、それでこそ、金八さん。
アハハハハ・・・
先生はねぇ、この教室にやってくる時にねぇ、一生懸命考えてたんだよ。
その、君たちにね、なんか言い忘れたことは無いだろうか、し残した事は無いだろうか、手抜きは無かったか、とかね。
なんかそういうことも沢山あるような気もするんだけれども、また、何にも無いような気もするんだ。うん。
だけど先生は精一杯君たちとね、人として相対してきたつもりです。ねぇ。
「子供は親のかがみ」だと言いますけど、君たちはまさに私のかがみでもある訳です。
君たちを見ているとねぇ、えー、先生の良いところ、悪いところがね、ハッキリうつっているような気がします。
だけどもそれはね、長~~~い人生の中で中学3年生という時期に芽生えたひとつのね、「友情だ」と思って下さい。
そして今後はそれを土台にして良いところは大いに伸ばして下さい。
そして悪いところは一生懸命直して下さい。
先生が君たちと格闘したのはね、まさに、その土台作りの為だったんです。
それからもうひとつ。
朝の通学路で先生から叱られた者がいたね。
君たちに悪意がなかったのは先生よーくわかっています。ね。
だけどもね、世の中には身体の不自由な人がいるんです。ね。
あの信号は目の不自由な人のための信号なんです。
君たちがあの信号を不用意に使うことによって運転手さんが「またか。」という気分になります。
そして、本当に守らなければならない人々の安全というものが疎かになったらどーすんだい?
先生は少し悲しいなぁ。
今年はね、「障害者年」と呼ばれているけども、先生はそんな言葉「大嫌い」です。ね。
「敬老の日」だって、「母の日」だって、嫌いです。ね。
相手のことを本当に思いやる気持ちがあったらば、そんな日はいりませーん。
それからもうひとつ、「勤労感謝の日」だってそうです。ねぇ。
丈夫で働ける喜びを知っているんだったら、そんな日はいらないんです。
ま、そんなことはないだろうけれども、もしこの中で政治家を志す者がいたらね、
1万円でもいい、予算多くぶんどって来い!なぁ。
そして本当に困った人の為にそのお金を使いなさい。
銀行員になる者がいたらば、お札に染み込んだ「人達のこの汗の匂い」を、どうぞ、気づいて下さい、ね。
そして、理髪店を継ぐ者がいたらば、どうぞお客さんの心の疲れまで、そのハサミで綺麗に刈り落としてやんなさい。
工場で働くものがいるんだったらば、誠意をもって、懸命に製品を造りなさい。
そして小説家になる者がいたらば「唄え!」
この、生きる素晴らしさをねぇ。
「人生とはこんなにいいもんだ」と、滔々とのべて下さい。
そして教師になる者がいたら・・・・
(米倉先生の回想シーン)
私はもうボロボロです・・・
そうです、ね、まず生徒を信じる事です。
そうすれば必ず生徒はついてきます。
さて、ここで、最後の君たちに贈る言葉です。
「君たちは決して良い生徒ではなかった!
むしろ、悪い生徒だった!
しかし悪い生徒の中にこそ、美しい魂が宿っていることを君たちは先生に教えてくれました。
どうも本当にありがとう。
どうも本当にありがとうな。
心配すんなよ、ねぇ、先生は、今度もまた君たちのことが大好きになりました。」
よ~し、泣くなよ、ほら。
うん、唄おう、唄おう。
♪ 遠くまで見える道で 君の手を握りしめた
♪ 手渡す言葉も何もないけど
♪ 思いのままに生きられず 心に石の礫投げて
♪ 自分を苦しめた愚かさに気づく
♪ 私は悲しみ繰り返す そうだ 人なんだ
♪ 人として 人と出会い
♪ 人として 人に迷い
♪ 人として 人に傷つき
♪ 人として 人と別れて
♪ それでも人しか 愛せない
立て、ほら、立て、ほら。
盛り上がって唄うぞ。
♪ 夢を語り合えばいつも 言葉はすぐに途切れてしまう
♪ 膝を抱えてうつむくことばかり
♪ 鳥のように生きたいと 大空見上げて佇むけれど
♪ 翼は愚かな憧れと気づく
♪ 私は大地に影落とし 歩く 人なんだ
♪ 人として 人と出会い
♪ 人として 人に迷い
♪ 人として 人に傷つき
♪ 人として 人と別れて
♪ それでも人しか 愛せない
♪ それでも人しか 愛せない
(教室に一人。机の椅子に腰掛けてる金八。)
米倉先生。
私もあるいはボロボロになるかもしれません。
しかし私は学校を教育をそして生徒達をどこまでも信じます。
(立ち上がって教壇に立つ金八。机をポンと叩いて・・・)
諸君、私が今度君たちの担任になった坂本金八です。
どうぞ・・・・
先生~~~(外から生徒の呼ぶ声が・・・)
どう・・・
先生~~~(校舎の向こうで手を振る生徒達)
お~~い!
先生~~~!!
お~~い!(手を振る金八)
(終わり)
(卒業生代表の加藤優の悼辞)
うるせーっ。黙って聞けっ。(卒業生らの席のほうに振り返る)
オれはこの桜中学へ来てまだ半年も経っていない。
けど、そのオレが卒業生代表となったのは、この中学でこのオレほどいろんなものを叩き込まれた者がいないからだと思ってる。
オレはミカンなんかじゃない。オレは人間だ。
それを教えてくれたのがここの先生方やお前らなんだ。
だから1年生や2年生の諸君に言っておく。
このオレを手本にしろ。勝手にすねるな。
(涙ぐんでくる加藤)
この学校にはお前らがぶつかって行けば身体ごと受け止めてくれる先生がいるんだぞ。
こんな学校、他にはなかなかないんだぞ。
オレ達もこの桜中学の生徒であることを誇りにしろ。
てめえの中学に誇りを持てっ!
オレ達もこの桜中学の生徒であったことを誇りとし、頑張ることを誓いますっ!
桜中学はオレの母校です。
(拍手喝采)
(校長挨拶の場面)
昭和55年度の卒業生のみなさん。
ご卒業おめでとうございます。
実は先ほどの卒業生悼辞を加藤君に読んでもらうについては、昨夜遅くまで職員会議を開き、会議を重ねました。
そしてその決定が今「正しかった」と私は信じます。
正直に申しますと、半年前に加藤君をここに迎えた時、私たちはどう対応していこうかと、おおいに思い悩んだものなんです。
でもその中で取り組んで行くうちに私ども教師は改めて「教職というものは何か?」ということを学び得たような気がします。
例え、突発事件が起きても、もう、うろたえる事はありません。
いえ、突発事件が起きないように、私たちはしっかりと生徒を見つめて行こうと誓い合いました。
少々荒っぽかったけど、大きなプレゼントをどうもありがとう。
さて、卒業生の皆さん、あなた方は今9年間に渡る義務教育の全てを終えられたのです。
その中で培ってきた学業と友情をしっかりふまえ、大きく新しい世界へ踏み出して行って下さい。
桜中学はいつでもここにあります。
楽しい事、苦しい事、一緒に考えたいと思ったときはいつでも来て下さい。
なぜならば、ここはあなた方の母校だからです。
私のお祝いの言葉にかえます。
本当に卒業おめでとう。
(♪仰げば尊し斉唱)
仰げば 尊し 我が師の恩
教(おしえ)の庭にも はや幾年(いくとせ)
思えば いと疾(と)し この年月(としつき)
今こそ 別れめ いざさらば
朝夕 馴(なれ)にし 学びの窓
蛍の灯火 積む白雪
忘るる 間(ま)ぞなき ゆく年月
今こそ 別れめ いざさらば
(職員室の風景)
(先生方が戻ってくる・・・)
あ、ご苦労様でした。
どうも、どうも、お疲れさまでございました。
あ~、いやぁしかし、今日は肝が冷えましたな。
あ、加藤の挨拶ですか?
えぇ。
ほんと、一時はどうなるかと思いましたけど、でも素晴らしかったですわ。
感動しました。
どうもありがとうございます。
あいつももう少しあの言葉使いを注意してくれたら良かったんですけどね。
欲を言ったらきりがありませんよ。
僕だって順番間違えたし。
しかし無事終わって良かったですね。
寂しい事言わないで下さい。
でもほら、来年も同じ事ある訳ですし・・・
冷たいんですね、服部先生。
そりゃ、2年生と3年生の担任じゃ、思い入れも違いますしね。
いやぁ・・・、そりゃぁとばっちりですよぉ。
金八っつぁん、助けてよ。
え?
えへへへへ。
坂本先生。
えぇ。
ちょっと・・・
何か?
あ、、、(耳打ちする)
いつですか?
今朝方早く。
どうかしたんですか?
米倉先生が亡くなられたって、奥様から。
(回想シーン)
もうだめです。
私はひたすら地道に生徒と一緒に生きてきたのに生徒も変わってしまった・・・
親も学校もみんな変わってしまった・・・
私はもうボロボロです・・・
(3Bの教室)
先生これね、ハジメがね、ハンバーガー仕立てたんだってぇ。
へぇ。
今朝早く起きて、ミンチにかけて、味付けまでシイナ君がしたんだってぇ。
シイナがかぁ。
じゃぁみんな、もういいかな?
うん、大体こっちのほうはオッケー。
じゃ席ついてよ。
はーい。
先生、はい、先生。
ひっぱんない、痛い、痛い。痛いなぁ。
あのねぇ、(聞き取れない)もぅ。
早く座んなよぅ。早くよぅ。
はい、はい。
えーと、それでは、只今より、ささやかながら我々3年B組金八先生囲んでの謝恩会を開きますが、その前に先生から一言お願いします。
いぇーーーい!(拍手が起こる)
いや、参ったなぁ。
どーしてー?
いや、ほら、君たちはもう立派に卒業したんだしなぁ。
もう先生何も言う事ないやぁ。
そんなぁ・・・(ブーイング)
何かあったんですか?
どーしてだよ?
何か元気無いみたいです。
いや、そりゃぁ、お前・・・
わかった!
私たちがいなくなっちゃうから寂しいんだぁ。
いや、寂しいし、悲しいなぁ。(笑顔の金八)
そんな事言わないでください。(泣き出す女生徒)
おい、泣かないって約束だろう?
先生がいけないのよ、先生がぁ。
いつも通りお説教してくれればいいのに、ヘンなこと言うんだも~ん。
そうだよ、裏切りだよ。
ちょっと待って、オーバーだよぅ。
だってさぁ、もぉ。
そうだよぉ・・・
あー、はい、はい、わかった。
はい、それじゃ最後のお説教やりまーす!
いぇーい!(拍手が起こる)
最後のお説教いただいたら、みんなで3年B組の歌、唄いたいと思います。
なんだよ、3年B組の歌って?
約束したじゃーん、3年B組の歌もとうって。
そうだよぉ。
あぁ、そうだったな。
やっぱヘンよ、今日の先生。
こらぁ、生意気言うんじゃないよ、お前はぁ。
そ、それでこそ、金八さん。
アハハハハ・・・
先生はねぇ、この教室にやってくる時にねぇ、一生懸命考えてたんだよ。
その、君たちにね、なんか言い忘れたことは無いだろうか、し残した事は無いだろうか、手抜きは無かったか、とかね。
なんかそういうことも沢山あるような気もするんだけれども、また、何にも無いような気もするんだ。うん。
だけど先生は精一杯君たちとね、人として相対してきたつもりです。ねぇ。
「子供は親のかがみ」だと言いますけど、君たちはまさに私のかがみでもある訳です。
君たちを見ているとねぇ、えー、先生の良いところ、悪いところがね、ハッキリうつっているような気がします。
だけどもそれはね、長~~~い人生の中で中学3年生という時期に芽生えたひとつのね、「友情だ」と思って下さい。
そして今後はそれを土台にして良いところは大いに伸ばして下さい。
そして悪いところは一生懸命直して下さい。
先生が君たちと格闘したのはね、まさに、その土台作りの為だったんです。
それからもうひとつ。
朝の通学路で先生から叱られた者がいたね。
君たちに悪意がなかったのは先生よーくわかっています。ね。
だけどもね、世の中には身体の不自由な人がいるんです。ね。
あの信号は目の不自由な人のための信号なんです。
君たちがあの信号を不用意に使うことによって運転手さんが「またか。」という気分になります。
そして、本当に守らなければならない人々の安全というものが疎かになったらどーすんだい?
先生は少し悲しいなぁ。
今年はね、「障害者年」と呼ばれているけども、先生はそんな言葉「大嫌い」です。ね。
「敬老の日」だって、「母の日」だって、嫌いです。ね。
相手のことを本当に思いやる気持ちがあったらば、そんな日はいりませーん。
それからもうひとつ、「勤労感謝の日」だってそうです。ねぇ。
丈夫で働ける喜びを知っているんだったら、そんな日はいらないんです。
ま、そんなことはないだろうけれども、もしこの中で政治家を志す者がいたらね、
1万円でもいい、予算多くぶんどって来い!なぁ。
そして本当に困った人の為にそのお金を使いなさい。
銀行員になる者がいたらば、お札に染み込んだ「人達のこの汗の匂い」を、どうぞ、気づいて下さい、ね。
そして、理髪店を継ぐ者がいたらば、どうぞお客さんの心の疲れまで、そのハサミで綺麗に刈り落としてやんなさい。
工場で働くものがいるんだったらば、誠意をもって、懸命に製品を造りなさい。
そして小説家になる者がいたらば「唄え!」
この、生きる素晴らしさをねぇ。
「人生とはこんなにいいもんだ」と、滔々とのべて下さい。
そして教師になる者がいたら・・・・
(米倉先生の回想シーン)
私はもうボロボロです・・・
そうです、ね、まず生徒を信じる事です。
そうすれば必ず生徒はついてきます。
さて、ここで、最後の君たちに贈る言葉です。
「君たちは決して良い生徒ではなかった!
むしろ、悪い生徒だった!
しかし悪い生徒の中にこそ、美しい魂が宿っていることを君たちは先生に教えてくれました。
どうも本当にありがとう。
どうも本当にありがとうな。
心配すんなよ、ねぇ、先生は、今度もまた君たちのことが大好きになりました。」
よ~し、泣くなよ、ほら。
うん、唄おう、唄おう。
♪ 遠くまで見える道で 君の手を握りしめた
♪ 手渡す言葉も何もないけど
♪ 思いのままに生きられず 心に石の礫投げて
♪ 自分を苦しめた愚かさに気づく
♪ 私は悲しみ繰り返す そうだ 人なんだ
♪ 人として 人と出会い
♪ 人として 人に迷い
♪ 人として 人に傷つき
♪ 人として 人と別れて
♪ それでも人しか 愛せない
立て、ほら、立て、ほら。
盛り上がって唄うぞ。
♪ 夢を語り合えばいつも 言葉はすぐに途切れてしまう
♪ 膝を抱えてうつむくことばかり
♪ 鳥のように生きたいと 大空見上げて佇むけれど
♪ 翼は愚かな憧れと気づく
♪ 私は大地に影落とし 歩く 人なんだ
♪ 人として 人と出会い
♪ 人として 人に迷い
♪ 人として 人に傷つき
♪ 人として 人と別れて
♪ それでも人しか 愛せない
♪ それでも人しか 愛せない
(教室に一人。机の椅子に腰掛けてる金八。)
米倉先生。
私もあるいはボロボロになるかもしれません。
しかし私は学校を教育をそして生徒達をどこまでも信じます。
(立ち上がって教壇に立つ金八。机をポンと叩いて・・・)
諸君、私が今度君たちの担任になった坂本金八です。
どうぞ・・・・
先生~~~(外から生徒の呼ぶ声が・・・)
どう・・・
先生~~~(校舎の向こうで手を振る生徒達)
お~~い!
先生~~~!!
お~~い!(手を振る金八)
(終わり)