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人工衛星と喜ぶ自衛隊

2012-04-02 | 政治
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が、金日成生誕100周年を記念して、気象予報の情報を得るための人工衛星を打ち上げると発表したことについて、およそお門違いの反応が続いている。メディアはいっせいに「ミサイル発射」と言い、北朝鮮バッシングを開始した。人工衛星の打ち上げに使うロケットは実質的にミサイルの技術だからだと言うのだが、でも、これまでどの国が行った人工衛星でも、打ち上げに使ったロケットはすべてミサイルに使える技術である。しかし、これまでの各国の人工衛星打ち上げに、メディアがミサイルだと言って批判したことがあっただろうか。北朝鮮だけにそのような非難をするのは、ダブルスタンダード=二枚舌でしかない。

 日本政府ときたら、このロケットを打ち落とすなどと言って、自衛隊のイージス艦やPAC3部隊を南西諸島に緊急配備し、破壊命令を出すという。もしミサイルで人工衛星打ち上げロケットを破壊できなかったら、日本の自衛隊がお笑いの種になるだけだし、逆に打ち落としたら、それこそ戦争の危機が訪れる。自衛隊の本当のねらいは、実はそんなことにはなく、これを良い機会に沖縄県民に反発の強い自衛隊の南西諸島配備を一気に進めたいということなのが、みえみえだ。自衛隊にとって、北朝鮮の人工衛星打ち上げは、願ってもない勢力拡大のチャンスだった。防衛省の官僚や制服組にとっては、北朝鮮さまさまだろう。

 北朝鮮が発表した発射航路は、ミサイルと言われた前回と違って、日本の上空やアメリカ本土方向を回避し、どこの領土もなるべく飛ばないように設定されている。前回の人工衛星が失敗した可能性もある中で、北朝鮮がこの人工衛星の成功に並々ならぬ力を入れていることと外国への配慮がうかがわれる。

 北朝鮮の人工衛星を「挑発」などと言って、国際的な制裁を加えようというアメリカの態度も、オバマ大統領の姿勢を見る限り、どうも本気では無さそうである。大統領選挙までは、なんとか強硬姿勢を見せておかねばならないが、本気で北朝鮮を刺激しようとは思っていない。ようやく米朝合意を引き出し、核開発を停止させる道筋ができたばかりなのだ。日本は相変わらずアメリカに代わって強硬姿勢をとり続けているが、気がついたらアメリカは北朝鮮と国交を開き、日本が取り残されるということが起きかねない。中国外交で同じことが起こったのに、日本の外務省は相変わらず歴史に学ぼうとしない。

 日本政府が取るべき態度は、以下のようなものだと思うのだが。
まず、北朝鮮の人工衛星打ち上げに関心を持っていることを表明し、成功を祈るという親書を送る。その上で、日本の隣の国の人工衛星のデータを日本と共有し、いっしょに気象情報の解析や天気予報の精度向上にあたろうと提案する。もちろん自衛隊の緊急配備などはけっして行わない。

 北朝鮮の瀬戸際外交などと批判するメディアは、日本が北朝鮮の人工衛星ロケットの迎撃破壊を行うという政策がいかに戦争につながる瀬戸際政策であるかを、もっと批判すべきではないか。もっとも日本のメディアはアメリカの利益と寄り添っているだけということはよく分かっているのだから、叶わぬ望みなのだけど。