ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

菅首相のカン違い

2010-06-30 | 政治
菅直人のカン違い
新しい首相に菅直人さんが選ばれて、内閣支持率はV字回復をしているとメディアは伝えているが、そもそも鳩山政権の低支持率も菅政権の高支持率も、メディアが作り上げた世論に過ぎない。そんなものに民主党の政治家が右往左往する必要はない。しかし、支持率が回復したからと言って菅政権が押し出してきた路線は、明らかにおかしい。これまで民主党が言ってきたことと根本のところで違っているのではないか。菅さんは、支持率が高いことが自分が言っていることが支持されているとカン違いしているのではないか。

 鳩山前首相がリーダーシップのなさと前言を翻してきたことは、辞任に値すると思うのだが、それでも鳩山さんはそれまで民主党が言ってきたことを実現させたいと言い続けてきた。普天間基地をできれば国外に、少なくとも県外に、というのは、鳩山さんが実現できなかったけれども、それを目指していたことを疑いはしない。結局官僚に取り込まれてしまって、海兵隊は抑止力だ、などと言ってしまって、辺野古に基地を作ることまで決めてしまったことは許せないが、彼にリーダーシップが無かったことが、官僚に跳梁させてしまったのだろう。鳩山さんがリーダーシップを取ったのは、唯一社民党の福島みづほさんを罷免したことだけだったというのは、哀しい。もっともこれだって、平野官房長官の官僚言うままのリーダーシップだったのかもしれない。そうすると、鳩山さんがリーダーシップを取ったのは、自分が辞めることだけだったのかもしれない。

 それに対して、菅首相は、初っぱなから間違いを繰り返している。支持率が高いうちに選挙にしようと、国会を議論もさせないで閉じてしまったことは、民主主義をないがしろにするものだ。さらに、いきなり消費税を10%に上げるなどと言い出すとは、まさに財務官僚のいいなりでしかない。官僚を使いこなすといえば聞こえはいいが、結局のところ官僚の力を借りないと政権運営ができないと言い出したのと同じことだ。高福祉を実現するためには高負担が必要というのはわかるけれど、高負担を言うのは、高福祉を実現してからではないか。毎年3万人以上の人が自殺している日本で、高福祉を実現するために消費税を上げるなどと言うのは、まさに財務官僚の言うままでしかない。

 そもそも、消費税とは大衆課税にほかならない。もっとも貧しい人からも同じように税金を巻き上げる消費税を、さらに2倍に増やすというのは、高福祉とは相容れない政策だ。しかも、菅首相は法人税の減税を同時にやるという。まさに企業を大事にして国民から搾り取る政策ではないか。日本の6大銀行グループは、過去5年間以上にわたって一銭も税金を払っていないという。しかも焦げ付いた不良債権の処理に莫大な国費を使っているのだ。そのような企業の幹部がいったいどのくらいの収入を得ているのか。さらに軒並み大企業は赤字決算にして法人税の納入を免れてきた。日産のゴーン社長は8億9千万円の収入を得ているという。法人税を払うよりも幹部に大金を払う方が得だということなのだろう。何億稼ごうとも、所得税の最高税率はわずか25%しかかからない。いつの間にそうなってしまったのだろう。長い間の自民党政権が企業を甘やかし、その付けをすべて消費税に回してきた。

 民主党は政権交代でその仕組みを見直し、無駄な事業を廃止し、コンクリートから人へお金の流れを変えるという根本的な予算の組み替えを主張してきたはずだ。それをいつのまにか道路も新幹線も作り続けるし、ダムも止めないと路線を変更してきた。結局、自民党政権下で考え方を固定してきた官僚に頼れば、その仕組みを変えることはできないのだ。一度、官僚と審議会の委員を大幅に入れ替え、これまで政府に顧みられなかった知識人や行政マンを抜擢して、根本を見直すことをしなければ、民主党への政権交代は、自民党の派閥の交代と変わりないことになるだろう。

 菅首相は、選挙の結果にかかわらず、任期を全うし、その間に、民主党が掲げた最初の公約を断固として進める決意で政治を行って欲しい。そうでなければ、自民党も民主党もいらない。菅さん、カン違いに早めに気がつかないようでは、菅さん、さようなら。新しい政治を本当に推し進めることができるのは、自民党の臭いが消せない民主党でも乱立政党でもない。