ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

イスラエル建国は新植民地主義

2010-06-24 | 政治
しばらく前になるが、イスラエルのテルアビブ大学教授シュロモー・サンドさんの講演会が京都であったので、聞きに行った。DAYS JAPANという雑誌を作ったカメラマンの広河隆一さんの古くからの友達で、最近「ユダヤ人の起源」という衝撃的な本を書いたユダヤ人だ。以前にも読書の感想を書いたのだが、要するに、いまイスラエルに欧米から移住してきたユダヤ人たちは、旧約聖書に書かれた2000年前のバビロンの捕囚の人々とは違うということ、そして今イスラエル人から追い出され、迫害されているパレスチナの人たちこそ、2000年前からの本来のユダヤの人たちなのだというのだ。

 イスラエルが神が約束した土地へ帰ってきたと言ってパレスチナの人たちを追い出して建国した「ナクバ」の事件が、実はそのような歴史的な背景などはなく、イスラエル建国はホロコーストとユダヤ人迫害というヨーロッパ人が負った負の遺産を、パレスチナと言うところにユダヤ人の国を作って追い出すという欧米の最後の植民地主義に基づくものだということが、そのことから導き出される。要するに歴史のウソを本当のように言いふらし、利用してもはや許されなくなった植民地経営をイスラエル建国という名前で正当化しようとしたのだ。その時に、パレスチナの人たちは二重に迫害され、差別されることになった。

 この本が最初に出版されたのはもちろんイスラエルで、ヘブライ語で書かれた。イスラエルでは歓迎されないのではないかと思われたが、意外や意外、爆発的に売れたという。その後、英語、スペイン語、日本語などに翻訳され、日本でも出版されてこの手の本としては驚くほどよく売れているという。講演会の時にも50冊の本が用意されていたが、あっというまに売り切れた。

 シュロモー・サンドさんというイスラエル人が、日本まで来てパレスチナの人たちへの迫害をやめるように話をしているというのは、なんとなく心に落ちない。イスラエル支持のアメリカの顔色をうかがうことに熱心な日本のメディアは、ガザの人たちが生活物資を得ることさえも困難な中に生きており、さらに無差別爆撃で2週間で1400人以上が殺されても、イスラエルの軍隊がガザへの人道支援船を公海上で襲撃して拿捕しても、事実をそっと伝えるだけで、けっして批判しようとはしない。日本政府は、民主党政権になろうがアメリカと対等外交などというのはウソ八百であったことを証明してしまった。管内閣でもそれはまったく同じだ。

 イスラエルはパレスチナの人たちへの非人道的な民族差別、殺人を直ちにやめるべきだ。ハマスがロケット弾を撃つから無差別に住宅を爆撃するというのは、どうみても赤子の手をねじって虐待する親とそっくりである。イスラエル人はパレスチナの人たちから奪った土地と建物を彼らに返し、パレスチナの人たちに許しを請うてパレスチナの土地に住みたい人は住めばいい。ユダヤ人だけの国を作るなどと言うのは、歴史を歪曲し、新植民地主義を糊塗することにしかならない。そして、日本はいずれ歴史が解決することになるイスラエル建国という植民地主義と早く手を切って、パレスチナの人々を支援しなければ、いずれアメリカと一緒に歴史の闇に葬られるだろう。