肩の凝らないスローライフ

ようこそtenchanワールドへ。「一日一笑」をモットーに・・・日常生活の小さなことを笑いに変えるtenchanの雑記帳

思い出の追いコン

2010-06-29 11:05:57 | 自分のこと・思い出
大学卒業を間近に控えたある日、
クラブの後輩達が
「先輩達の追いコン(追い出しコンパ)しますので、来て下さーい。」
と、知らせてくれた。



運動部の追いコンというと、
後輩がそれまでの恨みを晴らすために
先輩達に無礼講でなにかやらかす・・・・
みたいなイメージがあるが
我らの部は大人しいもので
卒業生が一人ずつ、
「クラブで経験したことはこれからの自分の支えになるでしょう。今までありがとう。」
と、別れの言葉を述べ、
後輩達は色紙に「先輩は私の憧れでした。」とか「社会人になっても頑張って下さい。」などと、
簡単なメッセージを回し書きするくらいだった。


卒業する同期の女子は、私を含めて3人。
みんな地方から出てきて一人暮らしをしていた。

クラブの練習はもちろん、
春と夏の合宿、リーグ戦、試合後の飲み会も、いつも一緒。
お互いの家に行き来して、
ご飯を作ったり、泊まったり、
休日には買い物に行ったり・・・・
大学生活の殆どを彼女たちと過ごしていたと言っても過言ではない。


恋に舞い上がっている頃には、
アリバイ工作を頼んだりしたこともあった。

携帯が普及している今では考えられないことだが、
当時、一人暮らしの女子にとって一番気がかりなのは、
夜遊びしたり外泊するときに
実家から下宿の固定電話にかかってくることだった。

「tenchan、この間、夜12時頃電話したけどいなかったでしょ。どこに行ってたの。」
母にそう聞かれると、さすがに12時では
「ああ、あのとき?銭湯。」
と、誤魔化すことは出来ない。
だから、
「いなくて当然よ。だって、あの日はクラブの友達Mちゃん宅に泊まったんだから。」
と、「正当な理由」を述べるため、
「Mちゃん、お願い。この日、泊まったことにしておいて。」
と、Mちゃんに口裏を合わせてもらうように頼んでおくのだ。(内緒)
そんなこと、皆さんもありませんでしたか?・・・・と、強調してみる。


毎日のように会っていた仲間と、もうすぐ別れる時がくる。
実感が湧かないまま、卒業までの日は飛ぶように過ぎていった。

そして迎えた追いコン。
仲間の一人がこう言いだした。

「私たち、キャンディーズになるのよ!」

話が決まるとすぐ行動に移した。

まず、キャンディーズのレコードをカセットテープに録音した。

それから何を歌うか、曲を決めた。

でもなかなか決まらない。

じゃあ、いっそ「メドレー」にしない?

いいね、いいね。

選んだ曲に合わせて、振り付けも考える。
今みたいに youtube とかないので、
「ここはこうだったよね、あれ・・・・こうだっけ?」
と、記憶だけを頼りに、思い出しつつ、
分からないところは適当に考え、
本番目指して猛練習したのだ。


そして追いコン当日。
OB、OGもいらっしゃって
会はいつものように進んでいく。

みんな酔いも回り、ますます賑やかになる。

いよいよ私たちの出番だ。


「ちょっと3人で余興やるから。」
と、後輩に伝え、私たちは襖の向こうで用意した衣装に着替えた。

自前の白いワンピースにお揃いの白いリボン。(爆)

おしぼりをマイク代わりにして歌ったメドレーは・・・・


入学の頃の初々しさを思い出し、

「あなたに夢中」





後輩達を悩殺する(?)ために

「年下の男の子」




季節に合わせて、

「春一番」




キャンディーズ最後の歌、

「微笑がえし」





それから、忘れちゃいけないあのセリフ

「私たち、普通の女の子に戻ります!さようなら~~~!」

大きく手を振りながら絶叫。
そして、ステージは終了した。





後輩達は大うけ。

「先輩達がなにか企んでいるのは知っていましたが
まさかこんなことやるなんて思っても見ませんでした。」

OB,OGの方々も、
「あんたたちはホントに凄いよ。」
と、呆れながらも感心していた。

ちなみにその時撮った画像も動画もありませんので
どんな風だったかは妄想なさって下さい。

こんなアホな学生生活が終わり、
四月からは銀行員となったわけだが、
今までの同じような境遇の仲間達との、ぬるま湯のような心地よい暮らしから
育った環境も性格もまるっきり違う人たちが集う世界での
厳しい社会人生活へと突入していったのだった。