夫婦の合言葉

家族で夕飯を食べていたら、父が母に、「あれ。」と言いました。
「あれ。とは？」と、思います。
すると、母はわかったような顔をしているのです。

ご飯を食べ終わって、母は何気に、湯飲みのコップを漂白します。
「あれ。」とは、「湯飲みに茶渋が付いたので、綺麗にしておいてほしい。」というのが、「あれ」なんです。
私は、びっくりしました。
長年、夫婦をやっている両親は、「あれ。」「それ。」で、長いセリフを省略しているのです。
「びっくりしたなぁ。もう。」という感じです。

多分、父は私には、「あれ。」とか、「それ。」で話さないのです。
きちんと説明します。
私は、「あれ。」や、「これ。」をわかることは一生ないのです。
それより、自分ひとりで生きていかないといけません。
私は、自分に「あれ。」や、「これ。」を言う前に、メモっておかないといけません。

どこの夫婦も同じ何でしょうか。
もうあと5年もしたら、両親は言葉を介さず、テレパシーで話し出すかもしれません。
本当に怖いことです。

ついこの間、結婚相談所から勧誘の電話がかかってきました。
電話口で相手の人が「結婚する気はありませんか。」と聞かれ、「ありません。」と、答えました。
もし、結婚しても、「あれ。」や、「これ。」で省略できるほど長い付き合いはできないのです。
私の場合、短気だから、すぐに離婚になります。
下手に結婚するより、今のまま独身でいる方が私には合っていると思うのです。
ちょっと寂しいけど、仕方ないですよね。