すっぴんハート

心の声、つぶやきを思うまま綴ります

餅を食う爺さん

2011年01月09日 | 思うこと
えべっさんに家族で出かけた。
福をもらって、気分良く帰宅しようと電車を待っていた。
ちょうどいい具合に、四人向かい合わせの席が空いているように見えた。
家族は、こぞって、その席にめがけて突進すると、一人の汚い爺さんが丸くなって、あべかわ餅をゆっくりほおばりながら座っている。
父が、母と私に席に座らせて、自分は立っていた。
爺さんは、自分の隣の席を父に譲ろうとして、あべかわ餅のレジ袋にゆっくり仕舞い、ゆっくりと体をずらして、席をあけてくれ、「座れ。」と無言で促す。
父は、汚らしい人が嫌いである。
しかし、好意は無に出来ないので、「すぐに降りますから。」と言って、爺さんの隣に腰掛けた。
父の姿は、爺さんには、見えないけど、眉間にしわを寄せ、への字口にし、父は耐えていた。

少しして、爺さんの箸が止まった。
あべかわ餅を食べながら寝ているのだ。
母と私の目は、爺さんに釘付けだ。
いつ起きるのだろうか。
私達家族が降りる駅に着いたから、降りる準備をしていたら、爺さんも残りのあべかわ餅を、またレジ袋にゆっくり入れて降りる準備をしていた。

私達家族は、電車を乗り換え、がらがらの座席に座って、さっきの爺さんの噂をして笑った。
私は、あの残りのあべかわ餅を、また家に持って帰ってほおばっている爺さんの姿を想像し、ホッとした。
コメント
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