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イタリアより

滞在日記

旅人泣かせのベネチア

2012年11月18日 | ベネチア

「香水売り」ピエトロ・ロンギ/広島「ベチア展」にて

広島で開催されている「ベネチア展」に行って来ました。珠玉の作品が狭い館内に所狭しと並べられていて、いつもなら壮麗な宮殿にゆったりと収まっている絵画たちは、どこか居心地が悪そうでしたが、それでもはるか遠くの異国の人々にこうして愛でられるのは、芸術品冥利に尽きるだろうと思います。作品は、コッレール美術館所蔵のものが一番多いようでしたが、先年現地で観てきただけに私の気分は一気に彼の地に飛びました。


アックア・アルタに見舞われたベネチア・サンマルコ広場/2010年12月23日


さて、その彼の地ことベネチアはほんとに旅人泣かせです。先日もアックア・アルタが起こり、町中は70%が水浸しになったとか。観光客が一番多く訪れるサン・マルコ広場は149センチにも潮位が及んだらしく、私も二年前に経験しているだけに人々が立ち往生する様は容易に想像できるのでした。この現象はお天気次第なのでいかんともし難く、現地を訪れてしまっているならば、もう割り切って水面に映るドゥカーレ宮殿を楽しむほかはありません。そして、少々高く着くけれど長靴(大体20~30ユーロくらい)を買って、ばしゃばしゃと元気よく世界遺産の町を闊歩する!これが一番です。アックア・アルタは大抵午後になると水は引いて行くし、その後の現地の住民の方達が水害の後片づけに追われることに比べたら、私たち旅人はさして憂うことではありません…きっと(^^)


ベネチアの雑貨屋さんで長靴を買いました(^^)


それよりも、ベネチアで困るのが、ころころと変わる旅の情報です。昨年あったはずのことが一年も経たずに無くなっていたり変わっていたりして、観光本に書いてあることがちっとも参考にならないのです。例えば、昨年と一昨年、ここを訪れた時に重宝したヴァポレットの割引チケットですが、今年はもうなくなっています。それまで私はネットで予約してローシーズンチケットを割安(ヴァポレット乗り放題一週間有効+9カ所の美術館無料が37.5ユーロ)で手に入れていましたが、今年はそのサービスがないのです。どうもこの夏あたりから変更になったようでした。ヴァポレットの1回券(60分有効)も6.5ユーロから7ユーロに変わっているし、今年こそ作ろうと張り切っていた旅行者の為のベニスカード(申込金40ユーロで現地の住民と同じ価格でヴァポレットが乗れるパスポート/5年間有効)もいつの間にか消えている…運賃の値上がりは仕方のないこととしても、大体がややこしいベネチアの交通システムは、ほんとに旅人泣かせで、観光本の編集者も毎年チっと舌打ちしているにちがいありません。もっとも、沢山の観光客のせいでヴァポレットに乗れなくなるような影響をもろに受ける現地の方たちこそ、このややこしい交通システムの変更はいい迷惑で、住民泣かせでもあることでしょう。


アックアアルタにもめげず長靴履いて訪れたトルチェッロ島のレストラン・ロカンダ・チプリアーニにて

2010年12月25日


でもでも、待ちに待ったいいこともありました。イタリア初の私有鉄道「イタロ」がこの11月の初めにベネチアまで開通したのです。イタロとは、あの有名な車のフェッラーリの経営者を初めとする企業家たちが資本を出して運営する民間高速列車のことで、今春営業を開始したのですが、その評判がすこぶるいいのです。イタリアには無縁だと思っていた客へのサービスも満点で、どうもCS(顧客満足)も相当高いらしい(やれば出来るやんかイタリア!!)。今見ると、ネットで早期の予約をすれば、乗車券も半額で購入できそうでワクワクしてきます。どの観光本にもまだ載ってはいない情報ですが、一人旅をしようとすれば、泣かされてばかりいず、現地のことをこうして自力で調べる力を養うことも必要なのですね(^^)。
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ベネチアの幸運

2012年10月31日 | ベネチア

宿泊したホテル・ルッツィーニ

私が泊まったのは、旗が立ててある真ん中の部屋でした(*^_^*)


国内外問わず個人旅行で難しいと思うのがホテルの選択です。特に海外となれば土地勘もなく、そのホテルの評価も知る手だてが限られます。幸い今ではネットのお陰である程度の評判も知ることが出来るし、グーグルマップやグーグルアースを駆使すれば場所だってリアルに分かる。言葉は話せずともパソコンの画面をぽちっとクリックすれば予約も完了して、イタリアの個人旅行初心者の私には、なんとインターネットは有り難いことかと思います。


ルッツィーニのロビーフロア


しかしそうして素早く手配が出来ても実際のホテルのサービスや居心地は別物で、数少ない経験からでも現状とのギャップはイヤというほど知りました。例えば、4つ星ホテルで評価も良くこれならと思って予約をしても現地に入れば部屋は角部屋の三角形で荷物の置き場もない、ガラスで仕切られたシャワーブースは水が外に飛び出て、シャンプーでもしようものなら周辺は水浸し。あるいは家族経営の温かなおもてなしを謳っているのに現状はフロントに電話を入れてもずっと話し中で、6階から下に降りればスタッフはホテルの電話で友人と話し込んでいたりする…

これは、信頼がおけると判断したある個人のサイトのお勧めのホテルだったのですが、安くなるからと料金も勧められるままこのサイトを通して前払いをしただけに後味の悪さが残ってしまった一例です。これ以降、私のホテル選びは、慎重かつリサーチを要する旅の最も重要な下準備になりました。


ジュニア・スイートのあるフロア

赤い絨毯の向こう側に部屋があります


そもそも、私がホテルに求めるものは何かと言えば、決して豪華な飾り物や調度品のある大きな部屋でもなく、スタッフがあれこれと世話をしてくれるサービス満点のホテルでもありません。第一に安全なこと、第二に清潔なこと、第三に必要な時に的確な対応をしてくれること、これだけです。安全は女性の一人旅だけに最優先だし、ホテルが清潔であるということは言うまでもありません。日本では顧客満足が叫ばれて久しいですが、イタリアのホテルでこの三つを満足させようと思うとなかなか難しく、ホテルの宿泊者レビューを見ていてもそのことが良く分かります。


私が泊まったジュニア・スイート


そんな中探し当てたベネチアのホテル、ルッツィーニ。どの宿泊者の感想を読んでも評価が高く、更にベネチア在住者の感想も旅行者とは違う観点から、『日当たり良く明るく良いホテル』となっていました。何でも、ネット上の写真だけでは分からないホテルの建物自体の仕様と立地条件があるようで、ベネチアのこの特異な地形からするとその評価も妙に納得できるのでした。

さて、次に超えなければならないハードルが料金です。お金に糸目を付けなければ苦労はありませんが、そういう訳にはいきません。12月のイタリアのホテル料金は、クリスマスまでであれば恐らく年間でも最安値。私は8月当たりから、ルッツィーニのホテル料金を夜な夜なチェックしていました。すると、「ジュニア・スイートが1泊13700円/但し3泊以上」という“売り出し”が目に止まったのです。サイトは楽天トラベルでしたが、ある海外旅行専門の代理店が間に絡んでいました。素人考えですが、代理店が押さえていたルッツィーニの部屋がキャンセルにでもなって早急に穴埋めが必要だったのでしょう。代理店側は、既にホテルに料金は支払っていると思われるし、みすみす全額損をするよりも、少しでも代金の回収をしたかったのかも知れません。


部屋の書斎/ここでパソコンからブログを更新していました(^^)

左側の窓の下にはベネチア最古の広場サンタ・マリア・ファルモーザ広場が広がる


日程も合うし、私は大興奮。しかし、シーズンなら1泊5万円はする部屋がほんとに?という疑いも消えず、思い切って「間違いなくルッツィーニのジュニア・スイートなのですか」とその業者と楽天トラベルにメールを入れたのでした。後で考えれば、ちゃんとそのように表示されているのに、全く以て言わずもがななこと、間の抜けた質問でしたが、この二つの会社の担当者からほぼ同時に、間違い無くベネチアのルッツィーニのジュニア・スイートですと返事があって、やっと安心してこのホテルの6日間の予約を完了したのでした。

滞在中のこのホテルの居心地やサービスはネットで評価のあったとおり快適で、朝日に照らされるベネチア最古の広場、ホテルの目の前のサンタ・マリア・フォルモーザ広場を誰よりも先に見渡せて独り占めした気分になれたのは最高でした。「旅の印象はホテルの善し悪しで大きく変わる」、一つ又新たな教訓を得ることになりました。しかしながら、こうしたことはめったにあるものではありません。たまたま運が良かったのですが、それでも「求めよ、さらば与えられん」~安易に人に頼らず、根気強くリサーチしたことが、こうしてベネチアでの幸運を呼んだ気がするのです(*^_^*)。
コメント (4)
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レオナルド・ダ・ビンチ

2012年03月23日 | ベネチア

ダ・ビンチ発明展/自転車


ベチネアで、映画「旅情」の撮影場所を探し当てた日、このサン・バルナバ教会で「ダ・ビンチの発明展」が開かれていました。レオナルド・ダ・ビンチといえば、真っ先に浮かぶのが、名画「モナ・リザ」。十数年前に、ルーブル美術館に見に行きましたが、思いの外小さな絵で、そこに人だかりが出来ていなければ見落としていたかも知れないほどでした。しかし、筆の線が一切見えないぼかし画法(専門用語でスフマートというらしい)で、ポプラ板に描かれた微笑む女性のこの油絵こそが、完璧な構成と計算し尽くされた遠近技法で世界中の人々を何百年にも渡って魅了してきた名画なのだと、ただただ感動の思いで見入ったのを思い出します。


ダ・ピンチ発明展/カメラ


又、現在見るのが最も難しいとされるミラノのサンタ・マリア・デレ・グラツィエ聖堂の「最後の晩餐」もダ・ビンチ作。私が見学した当時は、まだイタリアの通貨がリラの時代で、観覧するのに予約の必要もなく、ツアーであっさりと見てあっさりと聖堂から出てきましたが(笑)、後世、キリストにまつわる様々な謎を巡り、この壁画も今たいへん脚光を浴びています。時は、まさにルネッサンスの全盛期。ダ・ビンチが、それまでの宗教画とは一線を画し、キリストはじめ12人の使徒一人一人に複雑な心理描写を与えた為に、私達は大いなる興味をそそられ、様々な推測や憶測をすることになりました。


レオナルド・ダ・ビンチ/「最後の晩餐」


そんな天才的な絵の才能を持つ彼が、一体どんなものを発明したのかと、入館料7ユーロを支払いぶらりと入ってみましたが、もう目がまん丸くなって驚きました。



ダ・ビンチ発明展/大砲


ダ・ビンチが描いた制作図によって作られた模型が沢山展示されていましたが、自転車やカメラやハングライダーや印刷機や機織り機や大砲までetc。それは、彼が芸術のみならず、科学や物理や数学や建築や、はたまた軍事技術にまで通じていた証しで、この世に考えられるありとあらゆる“道具”を生み出す頭脳を有していたことを物語っていました。特にこの大砲は、当時彼のパトロンだったミラノの君主、ルドヴィーコ・スフォルツァ公に、「敵をコテンパンにやっつける為の機械の製作を致します」と自らを売り込んでいて、戦車や機関銃なども考案していたと言うから、その才能には驚嘆します。


ダ・ビンチ発明展/ハングライダー


又、人体や動物を正確に描くのに解剖までしたという彼のこだわりは、それまでの絵画の手法を超越して、見る物にまるで映画か劇を観ているようなリアリティを与えます。「最後の晩餐」も、イエスの「この中に私を殺そうとしている者がいる」との衝撃的な発言を皮切りに、12使徒の動揺やどよめきが、ざわざわと聞こえてきそうです。「モナ・リザ」も「最後の晩餐」も彼の持てる全ての専門知識の集大成だと考えると、そのうち、これらの名作は、実はダ・ビンチの発明したこの“道具”から生まれた技法だった!とか新たな発見が出てくるかも知れません(^^)。


発明展のあったサン・バルナバ教会内部


余談ですが、同じ時期、ダ・ビンチに最大のライバルが出現しています。フィレンツェのアカデミア美術館にある彫刻「ダビデ像」の作者、あのミケランジェロです。もっともミケランジェロは、ダ・ビンチよりも20歳以上年下ですが、二人はお互いを少しばかり意識していたようで、それぞれの言い分が面白いです。

レオ:「ヤツの作品は筋肉がやたら隆々として肉々しく、でくの坊だ。真の肉体とは何かを分かっとらん
ミケ:「ヤツのはテレテレ時間ばかり掛けて下手くそだ。あんな絵なら私の下男だって描ける

ふーむ…成る程な~ミケランジェロの彫刻は男性像も女性像もそういえばマッチョで肉々しい。
ふーむ…成る程な~ダ・ビンチは素描ばかりがめったやたら多くて、その割に残した作品は数少ない。

1500年の初め、奇しくもこの二人は、フィレンツェのベッキオ宮殿のそれぞれ真反対の壁に絵を描くことになります。ダ・ビンチは、『アンギアーリの戦い』で馬同士が激しくぶつかり合う戦闘シーンをとてもリアルに。そしてミケランジェは、『カスチーナの戦い』を題材に、水浴びをしていた兵士たちが敵に不意を喰らう様を描写しましたが、共に未完のままこの壁画は消滅したとされました。


ルーベンスが模写したダ・ビンチの『アンギアーリの戦い』


しかししかし、なんとタイムリーなことに、先日2012年3月13日、ダ・ビンチの壁画が見つかったというニュースが飛び込んできました。現在描かれているジョルジオ・ヴァザーリの壁画の裏に、この『アンギアーリの戦い』が隠されているというのです。もっとも、ヴァザーリの壁画に「探せ、さすれば見つかる」という謎のような「暗号」が書かれていて、長い間、この壁画の裏にはダ・ビンチが隠されていると研究者たちは主張していたようですが、それがやっと現実味を帯びてきたのです。

残念なことに、ミケランジェロの壁画の方は、壊されているのが分かっているので、ダ・ビンチの壁画が見つかっても二人の絵を並べて見ることは出来ませんが、もし彼らの壁画を比較することが叶ったら、又世界はかまびすしい論争を沸き上がらせることでしょう。それにしても天才は、どんなに時を隔てても話題に事欠かないのですね。そしてイタリアという国は、一体どこまで芸術の宝庫なのかと今更ながら思うのです(^^)。
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カンピエッロ・デル・レメールへの行き方

2012年01月14日 | ベネチア

リアルト付近

カンピエッロ・デル・レメールへの行き方ですが、分かりやすいように「リアルト」を起点にご案内したいと思います。ヴァポレットの駅「リアルト」を下りたら、まずは、「ドイツ商館」まで行きます。「ドイツ商館」は、ヴァポレットのリアルトの駅を背にして、下りた道を運河沿いに左方向に歩いて行けば、突き当たりになる大きな古い建物です。元は中央郵便局でした。周辺の人(地元の人)に尋ねるときは、「フォンダコ・デイ・テデスキ」(ドイツ商館の意味)と言って聞いて下さい。このドイツ商館に突き当たると右に折れます。


サリッザーダ・デル・フォンダコ・デイ・テデスキ付近

黄色の丸印が「ドイツ商館」、矢印方向に行きます

すると、上記の長ったらしい名前の「フォンダコ・デイ・テデスキ」通りに出ます。「サリッザーダ」というのは、いわゆるメインストリートのことですが但し、メインストリートと言っても、ベネチアの場合、道幅はとても狭いです。そこを左に曲がります。


地元の百貨店「コイン」


そのメインストリートを道なりに行けば、小さな橋を渡りますが、地元の「コイン」という百貨店が正面右にあります。更に進んでいくと、右手にピンク色の教会が見えてきます。この教会は、サン・ジョバンニ・クリソストーモ教会と言いますが、「地球の歩き方」の本の地図にも載っていますし、これが目印になります。


サン・ジョバンニ・クリソストーモ教会


次に、この教会すぐの左の通りに入ります。細い道で、観光客は素通りして行きます。教会を通り過ぎて後ろを振り向くと、下記のようなお店(タバッキ兼おもちゃ屋さん)があります。教会を過ぎたこの辺りで道幅が凹(くぼむ)んでいるので、つい見落としてしまう、そんな場所です。


矢印の通りに入る


この細い道は、夜になると明かりのない真っ暗な道ですが、ここが「カンピエッロ・デル・レメール」の入り口になります。


突き当たりを右に曲がる



すぐにソットポテゴがあるので通り抜けると…


前述した小広場「カンピエッロ・デル・レメール」に出ます。分かってしまえば、リアルトからこんなに近かった(迷わず歩いていけば5分ほど)のだとちょっとショックでした(笑)まだ観光本には出ていない場所とレストランですが、そのうちきっと掲載されることでしょう。なお、私が食べた二品の料理と飲んだグラスワインで計40ユーロを払いましたが、二人でシェアすれば十分な量ですので、ベネチアのお店にすれば決して高くはないと思います。又ランチがあって、一人20ユーロくらいで食べられます。夜は予約をして行くのが安心です。私が行った日もテーブル席は断られている客が沢山いました。
コメント (6)
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タベルナ・アル・レメール(ベネチア)

2012年01月12日 | ベネチア

Taverna del Campiello Remer


繰り返しになって恐縮ですが、私が今回ベネチアでどうしても行きたかった場所…一つは前述しましたが、映画「旅情」の撮影場所になったサンバルナバ広場。そしてもう一つが、ベネチアの隠れた名所、このカンピエッロ・デル・レメール(この名前は、あくまで広場の名前です)でした。実は、ここを目指した理由がもう一つあります。この小さな広場にあるレストラン、「タベルナ・アル・レメール」です。日本では食通の方達が、「カンピエッロ レメール」と呼んでいます。

あっ又も食い気ですねぇ(^^)勿論、この広場を知ったことも感動的でしたが、今年は、新鮮な魚料理を食べさせてくれる、それこそ地元っ子しか知らないお店でベネチア料理を味わうのを楽しみにしていました。

こうした地元の方達が通うお店は、そのほとんどがクリスマスの前後お店を閉めてしまいます。このレストランも例外ではなく、滞在二日目に訪ねて行くとクリスマス明けの12月26日まで閉店と書いたお知らせがドアに貼られていました。私は28日の朝帰国予定ですが、27日ならどうにか行けそうです。いや、なんとしても行きたい!(笑)そんな訳でこの日、夜の予約を取ろうと広場にやって来て、件(くだん)の若者達に出会ったのでした。


てきぱきと働くスタッフ。人気のお店は従業員の動きも違う。


M君達に、食事の予約を取りに来たことを話すと一様に驚いた様子で、私は、やっぱりなぁと苦笑が漏れました。日本の女性が一人で、それもちょっとディープなお店に予約までして夜の食事に行くとなると大抵「えっ?」という反応をされます。特にイタリアでは、食事は家族や友人・知人とするのが当たり前なので余計に奇異に思われるのでしょう。でも、一人だから仕方ありません。一人旅で一番苦労するのが食事だといつもいつも思います。けれど、そんなことで引いていては地元の美味しい料理にはありつけない。それよりも、ベネチア料理を食べたいっという気持ちの方がうんと勝りました(^^)。


家族連れや常連客でにぎあう店内


昼の間に予約を入れて指定された午後8時に入店しました。店内はほぼ満席。皆それぞれワインを傾けながら談笑しています。私には壁際の小さな席が用意されていましたが、入口に近いしカウンターからも目が届いて寂しくなく安心できるテーブルでした。

それにしても、次々に来店する客たち、例え一人であっても、予約をしていなければとても入れなかったなぁ…そういえば、昼間に会ったイタリア人の男性が、「ここは老舗で、ベネチアでも人気の店なんだ」と言っていたことを思い出しました。


カウンターもすぐに人だかりが出来る


このお店のある場所、カンピエッロ・デル・レメールは、昔、ベネチアの有名なゴンドラのオールを作っていた場所なのだそうです。それが建設倉庫にもなって、しかし、やがて、この素晴らしい空間を背景にしたレストランによみがえったと地元紙に紹介されていました。そういえば、店内は意外に広い堅牢な石造りで、なかなか歴史のある風情を醸し出しています。更にこの地元紙には、グランドピアノの演奏も時にはあって友人のパーティを素敵に演出するともありました。今日はピアノの演奏はありませんでしたが、ギターの弾き語りが奥から聞こえてきて、成る程、と思いました。外では店内に入りきれない客が、思い思いのスタイルで飲んでいます。これがベネチアの「タベルナ」(食堂の意味)の姿なのですね。

さて、オーダーしたお料理~出て来ましたよ(^o^)-☆



insalata di frutti di mare


メニューを見せて貰いながら~

私:「海の幸のアンティパストとスパゲティが食べたいのですが、何かお勧めはありますか。
   魚のスープやリゾットも味わってみたいです」
スタッフ: 「ち、ちょっとお待ち下さい…今支配人を…」(なんちゅう客や。一人やろ。プリモもかぶってるし、ったく‥)


それらしき人がやってきて~

支配人:「あの…アンティパストはOKです。し、しかし、¢£%#&*@§☆¢¢£%#&*~」

と各料理の説明が長々とあって、私はところどころしか聞き取れませんでしたが、支配人のアドバイスは、一皿の量が多くて、あなたにはとてもとても食べきれない、オーダーのし過ぎだとのことでした^^;

そうだった!この手のお店は一皿2~3人分出てきて、それを各人がシェアして食べるのだった、と、私はやっと正気を取り戻しました。いつもなら、半分にして欲しいとか、量を減らしてほしいとかお願いをするのですが、まっいっかっ~(^o^)。

それから、ゆうに30分は待たされたでしょうか。出された海の幸の前菜。量の多さに覚悟はしていましたが、さすがにびっくり。しかし、それよりも何よりもなんて美味しい…言葉が出てこないほど、もう絶品でした。イカやタコ、ホタテに海老、鰯のマリネの味も品がよく、まさに私が食べたかったそのものでした。恐らく、このお店の一番の料理だろうと思います。そして…



これも海の幸のスパゲティ^^;。内容がかぶってしまうのを承知で、それでも味わってみたかった一品でした。スパゲティは自家製らしく、少し細めです。とろみのあるスープが熱々の麺にからまって磯の香りが広がります。これでもか~と言うくらい乗っけてくれた魚介類たちは、どれも新鮮で、白ワインにほんとによく合いました。このパスタは個人的には、少し塩味が強かったように思いますが、次回は「poco sale perfavore」(塩味を控えめにして下さい)と言おうと思います(^^)

(感激だったのは、このメニュー、私が海の幸のパスタは、スパゲティで食べたいと言ったので、特別に作ってくれたようでした)

あっ、これだけの量(多分4人前くらい^^;)、勿論全部は食べ切れませんでした。先程、説明をしてくれた支配人らしき人が、時々私の目の前にやって来て、「どうですか?」とにっこり笑って、顔をのぞきこみます。そのたびに、「とても美味しいです」(いやぁ、ほんとほんと、お世辞抜きで)と答えますが、もっと気の利いたことが言えたらな^^;。それでも、満席になった忙しいさなかに、こんな気配りをしてくれた「AL REMER」、私のお気に入りになったことは言うまでもありません(*^_^*)。

次回は、この広場に行く道順を綴っておこうと思います。知れば何と簡単。リアルトからこんなに近かったとは…。
コメント (2)
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