「思考のレッスン」 その2 丸谷 才一 文藝春秋 1999年
「レトリックの大切さ」 P-262
丸谷 今回はものを書く上での心構えから始めましょう。
当たり前ですが、ものを書くというのは、何か言いたいことがあるから書くわけですね。そのせいで、つい自分の思いのたけをひたむきに述べる、訴えるという書き方になりがちです。でも、どうもこういう書き方はあまりうまくいかない。
趣味の問題かもしれないけれど、僕はむしろ「対話的な気持ちで書く」というのが書き方のコツだと思う。自分の内部に甲乙二人がいて、その両者がいろんなことを語りあう。ああでもない、こうでもないと議論をして、考えを深めたり新しい発見をしたりする。そういう気持ちで考えた上で、文章にまとめるとうまく行くような気がします。
「レトリックの大切さ」 P-262
丸谷 今回はものを書く上での心構えから始めましょう。
当たり前ですが、ものを書くというのは、何か言いたいことがあるから書くわけですね。そのせいで、つい自分の思いのたけをひたむきに述べる、訴えるという書き方になりがちです。でも、どうもこういう書き方はあまりうまくいかない。
趣味の問題かもしれないけれど、僕はむしろ「対話的な気持ちで書く」というのが書き方のコツだと思う。自分の内部に甲乙二人がいて、その両者がいろんなことを語りあう。ああでもない、こうでもないと議論をして、考えを深めたり新しい発見をしたりする。そういう気持ちで考えた上で、文章にまとめるとうまく行くような気がします。