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説き語り「源氏物語」 村山 リウ その9 明石の上

2015年11月19日 00時07分56秒 | 古典
 説き語り「源氏物語」 村山 リウ その9 講談社文庫 1986年(昭和61年)

 明石の上―――中流ゆえの哀しい愛にたえて

 中流の身を厳しく受けとめ、さらに源氏に人間として対等の愛を求めた女性。品性と母としての強い愛で結局安定した人生を送ります。

 愛し、愛されて真実の愛に生きるものは、愛の前に平等です。愛に、身分の差や貴賎があろうはずはありません。けれども愛する二人に身分の差があれば、その真実が通らなかった時代がありました。今でもどこかにあるかもしれませんが・・・。
 その時代、身分の高いことがすべてに優先する時代に、中流の身分の自分を厳しく受けとめ、さらに対等の愛を源氏に求めた女が、明石の上です。彼女は源氏の愛を受けた女の中で、もっとも身分の低い女の一人です。にもかかわらず幸せな人生をまっとうしました。知性と、母としての強い愛で。