民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「読んであげたいおはなし」 松谷 みよ子

2014年04月22日 00時35分17秒 | 民話(語り)について
 「読んであげたいおはなし」 下巻  松谷 みよ子 著

 あとがき

 「トント昔のさる昔 有(あ)ったごんだが 無(ね)えごんだったが
トントわがり申さねども トント昔ァ 有ったごどぇして 聞かねばなんねェ え」


 羽前小国(うぜんおぐに)(山形県)ではかく申しきかせてから昔を語ったという。
村むらの語りを聞くた旅をして四十年余り経った。
異郷との出会いであった。

 昔話はそそり立つ山に似てそのふところは深く、
雄大な語りもあれば岩かげに咲く一輪の花のように可憐な語りもある。

 魅せられて筆で語りをと、書きためたもの、新たに加えたもので、百話を選んだ。
この巻には秋と冬の話を収めてある。
 
 どうか声にして語っていただきたい。
幼い人へ若い人へ、この豊醇(ほうじゅん)な世界を伝えてと、願いつつ。

 2002年1月