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子どもに口止め料を払う

2007-08-10 17:41:27 | 子ども・子育て・保育
 9日(木)の朝日新聞に「給食注文ミス、児童に口止め料」という2段みだしと「津の教諭、100円渡す」と横のリード見出しの3段記事が掲載された。

 4年生担任の教員が選択給食のおかずの注文を、24人がトンカツ、8人がウナギの蒲焼を逆にしてしまった。当日「我慢して食べてくれないか」と頼んだが、7人がうなぎを食べなかった。そのため放課後7人を残らせ「誰にも言うなよ」として自分の財布から100円を渡した。

 この記事で選択給食という、好きなおかずを選べるようにしているということを知った。給食については、地元で取れた食材を使った調理、日によってはバイキング方式を取り入れている、といったこと聞いたことがある。与えられたものを食する、というかつての給食からしたら様変わりをしている。
 この記事で多くの人は、教員が自分の誤りを広がることを恐れての、カネで処理した非教育でお粗末教員という非難の目を向けるだろう。
 わたしが気になったことは、おかずの注文の誤りを、子どもに口止めしなければならないような状況に、教員が置かれているということではないか、ということである。また、教員は買収といった意識というよりは、大人の世界でありがちな謝罪の気持ちを形で表す、あるいは子どもへのある種の「親しみ」のような軽い気持ちでの処置かもしれない。
 さらに、他の教員や親に知れ渡ったらクレームがくる、あるいは学校としても非難される、さらに自分の教員として評価の低下につながる、といった気持ちが働いていたのではないかとも推測する。そのため注文の誤りを、それ以上に非教育的なカネで打ち消したいという行為をすることになったのではないだろうか。
 結果として子どもに口止め料を払ったとういうことが、おそらく子どもから親に伝わり、親が学校や教育委員会に伝え、教育委員会としても説明を求められたのだろう。

 ところで教員の対応はよくないことは、誰もが分かることだ。わたしの危惧は、新聞のニュースとして3段10行の記事として全国に報道されることにある。学校で起こる望ましくない教育の断片を、このように報道しなければならないのだろうか。
 今日の学校と教員への、教育行政と親の非寛容なバッシングは、教員を勇気付けることはなく、萎縮させるだけである。そのことがこの事例と似通った指導をする教員を、再生産させるだろう。

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