あるく あかるく

健康長寿 めざしましょう

日々の愚問:白黒画面の白と黒

2022-06-25 06:29:39 | 日記
60年前の記憶

 広げた紙面の下段にイラスト入りのカラー広告が。
目にした瞬間タイムスリップして、私は60年前のテレビの前に座って
いました。
 当時のテレビはブラウン管で画面は白黒。
そこに写っていたのは実写の露天風呂を背景にアニメの女性が語り合う
シーンでした。

 毎週土曜日は日々の暮らしの中で生じた極々小さな、ドーデもいい愚問
を取り上げています。
今週は「白子さんと黒子さんのあれから」についてです。

 新聞の広告は20cm四方のスペースで、左右に向き合う女性の顔と間を
占める吹き出し。
そこに書かれたセリフは<ねえ、お肌で悩んでいるならロゼットのブライト
ニングウォッシュ使ってみて♪>
 珍しくもない化粧品の広告ですが目を引くのはキャラクター女性の漫画。
顔の半分以上の領域を占める巨大な目、その下に描かれた1本の線は口。
鼻が無いこの顔はインパクトがあります。
 見た瞬間に60年前にテレビで目にしたロゼット洗顔パスタのCMが蘇った
のも無理のない話です。

奇抜な戦略

 小学生の男の子が使う筈もない化粧品の名前とCMを半世紀以上たっても
記憶しているとは凄い話です。
それだけロゼット洗顔パスタのコマーシャルは群を抜く奇抜さでした。
 「それって何?」、見ていない方は当然抱く疑問です。
<1929年に原敬三郎が硫黄を使った「レオン洗顔クリーム」を開発。
流通ルートが無かったため、新聞に3~4行の広告を掲載した。
奇抜なアイデアと商品力で売れに売れたが世界大戦で製造は中止。
戦後は粗悪な模倣品が出回ったため「ロゼット洗顔パスタ」として新たに
販売に着手。
一般の化粧品が80円程度だったのに対し60g280円。
 「あ~ら白子さんのお肌、いつもきれいねえ」、「だってロゼット洗顔
パスタを使っているんだもん」
白子さんと黒子さんが会話するCMが頻繁に流れ60年代には販売のピークを
迎えた。>(ニッポンロングセラー孝 より)
 CMの最後には「ご注文はおハガキで」の案内が挿入されていました。

 その後競合各社の擡頭で表舞台からは姿を消しましたが、通販主体で
しっかりと生き続けていました。
今回の新聞広告は新たな販売戦略の一環なのでしょう。
 でも現代版の女性キャラには白子さんや黒子さんを連想させる仕掛けは
一切ありません。
あれだけ日本中に浸透したイメージを使わないのはもったいない。
 素朴な愚問を抱きますが、恐らく答らしき物も同時に浮かびます。
色々と配慮の必要な現代社会を忖度すればあの名称は使いにくさ抜群。
 異様に目だけが大きい漫画のキャラクターだけはそのままに、昔目にした
人には哀愁を、初見の人には興味を抱かせる作戦と見ました。
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昭和のプロレス:元祖「逆転劇」

2022-06-24 06:29:29 | 日記
3人に負け

 「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」では主役を引き立てた脇役達を
振り返っています。
今週は力道山に花を持たせるために「逆転劇に甘んじた、レオ・ノメリーニ」
です。
 1952年2月3日、力道山はプロレス修行のためにハワイに旅立ちました。
そこで18戦を行った後、6月10日にはいよいよアメリカ本土に上陸。
翌年の3月6日羽田に帰国するまでに幾多の試合を経験しました。
 記者会見では「今回の遠征では数多く戦ったが、シングルで負けたのは
たったの3回」
 ハワイでタム・ライスに、本土でフレッド・アトキンスに敗退。
そして出発からちょうど1年を経た53年の2月3日にサンフランシスコで
戦ったのが現役のフットボーラーでもあったノメリーニ。
強烈なタックルの前に敗れたのでした。

 雪辱を果たすべくノメリーニを日本に呼んだのは60年4月の第2回
ワールドリーグ。
 15日の開幕戦でサニー・マイヤースと戦ったノメリーニは引き分け。
16日には160kgの巨漢のモンタナを破り、17日にはタッグながら力に
勝利しています。
 23日にはいよいよ力との公式戦を行い時間切れ引き分け。
予選リーグの結果は力が8勝2反則負け2引き分け、ノメリーニが10勝
1敗2分け。
5月13日の東京体育館での決勝戦で戦うことが決まりました。

アクシデントで決着

 当時のノメリーニは途轍もない看板を背負っていました。
936連勝中だったテーズに反則ながら55年に勝っていたのです。
 その2年前に800連勝を記録していた頃のテーズと力はロスで戦っています。
結果は投げっぱなしパワーボムで屈辱の試合放棄。
 だから互角に戦って勝利したノメリーニが如何に凄い選手かは身をもって
感じていたのです。
となれば決勝戦で無様な負け方をさせるわけにはいきません。
 1本目は殺人タックルからのボディプレスでノメリーニが先取。
2本目は空手チョップで反撃した力が巻き返し。
3本目は再び殺人タックルを浴びせんとロープに飛んだノメリーニ。
 反射的に力はマットに身を伏せました。
それを飛び越えんとしたノメリーニは目測を誤って力の脇腹に躓きリング
下に転落。
衝撃で悶えるノメリーニはとうとうリングに戻れず、5分27秒にリング
アウト負けが宣せられました。

 得意技で徹底的に痛めつけ、勝利を目前にしながらもアクシデントで
敗者になったノメリーニ。
一方看板シリーズで期待通りに優勝を果たした力道山。
共に実力者の名声に傷を付けずに勝負を終えたのでした。
 力道山は多くのものを日本のプロレスに残しましたがこの逆転劇もそのひとつ。
得意技で見せ場を作り、同じ攻撃でとどめを刺そうとする裏をかく作戦。
外人スター選手の顔を潰さずに自身が勝利する方法を遺産としました。
 馬場対テーズ、小林対ゴードン・ネルソン、昭和のプロレスでは何度も
このやり方が再現されたのでした。

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国語のおさらい:鷹と狐

2022-06-23 06:29:09 | 日記
理想の動物

 自分を動物にたとえるならば何だろか?
百獣の王ライオンは似ても似つかない。
アリの一穴みたいに人知れず黙々と作業するタイプとは正反対。
かといってナマケモノでは無いし。
でもビーバーみたいに巨大な成果は残せない。
 該当する生き物が見つからないので、なりたい動物に設問を変えました。
あれこれ思案して出てきたのは「鷹」。
そう「能ある鷹は爪隠し」、そんな生き方が良いじゃないですか。

 毎週木曜日は国語をおさらいしています。
今週は「和光同塵」を学びます。

 鷹が武器になる爪をひけらかしていれば、獲物となるウサギたちは警戒
の目を怠らない。
すると狩りをしても餌にはありつけない。
だから優れた鷹は爪を見せつけるようなことは決してしない。
 そんな戒めを込めた警句ですが、我が身を振り返ると随分と生きる姿勢
が違います。
むしろ真逆な虚勢を張るタイプと言ってもいいかもしれません。
 動物にたとえるならば「張り子の虎」あるいは「虎の威を借る狐」です。
狐にならずに鷹に近づくためにはどうしたら良いだろか、そこで出て来た
のが「和光同塵」です。

難解な熟語

 あまりお目にかからない言葉ですが、これぞ鷹の生き方。
読み方は「わこうどうじん」で意味するところは、自分の才能や徳を隠して
世俗の中に混じって慎み深く目立たない様に暮らすこと。
 <和光は才知の光を和らげて隠すこと。
塵はちりを意味するが転じて俗世間のこと。
同塵とは俗世間に合わせること、交わることを意味する。>(goo辞書 より)
 仏教では、教えを受けいれない人を救うために仏が姿を変えて人間界に
現れることを指す言葉でもあるそうで。

 類義語はいずれもとっても立派そうで賢そう。
先ずは<大智如愚(だいちじょぐ):優れた賢い人はひと目見たくらい
では愚かな人に見えるの意味。
才能を見せびらかさないを意味する。>
語感は正に「ナイスジョブ」です。
 次は<内清外濁(ないせいがいだく):心は清潔を保ちながら、外見は
汚れたように装い世俗とうまく付き合う処世術。>
何となく「清濁併せ呑む」を連想してしまいました。
 次は<被褐懐玉(ひかつかいぎょく):優れた才能を持っているが表面
には出さないこと>(引用はいずれも 四字熟語辞典 より)
 これらの熟語こそ我が生き方の規範、今日からは狐の生き方とはお別れだ。
そう思うのでした。 

 「失礼な、ワシら狐は逞しい生き物。
飼い犬の様なぬくぬく暮らしのあんたと一緒にすな!」
そんな反論を頂きそう。
 「しかもあんたはやたらと騒ぎそう」
だから動物にたとえた答えを教えてあげよう、と侮蔑を込めて言われます。
「弱い犬程よく吠える」


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身近な生き物:白髪と網目

2022-06-22 06:29:49 | 日記
ふさふさの毛

 ウォーキング中の足元に、ビーズよりひと回り大きな塊がごろごろ
落ちていました。
張り出したトチノキの枝の下なのできっと毛虫の糞ですが、これを捻り
出すとはかなりな大物。
 そう思って目で葉を探ると、いました。
数センチはありそうな黄緑色のクスサンの幼虫が、葉の縁を抱え込んで
頭を上下させています。
ひと往復で相当量をバリバリっと腹に収めるのでしょう。
あれだけパワフルな食事ならば、これだけ大量の糞をするのも納得です。

 少し先の地面には食事に夢中になり過ぎてうっかり転落したのか、幼虫
が転がっていました。
近くで見ると透明感のある黄緑色は吸い込まれそうな程きれいですが、
それより目を惹くのは体表を覆う真っ白な無数の毛。
 イラガの毛に触れてピリピリした激しい痛みに襲われた経験からすると、
これは避けて通るべき場面です。
触れずに行くのが大人の対応ですが、何故か後ろ髪をひかれます。
 「そっとなでてごらん、悪い様にはしないから」、クスサンの幼虫に
誘惑された気分がしました。
 覚悟を決めてふさふさの毛に手を伸ばしました。
根元から毛先に向かって指の腹でなでると思ったよりもずっと優しい感触。
毛の先端を押しても刺さりません。
想像以上に柔らかな毛でした。
 これじゃ身を守れない、そう思いましたがそれは見当はずれでした。
この毛が邪魔をして天敵の寄生バチを寄せ付けないといいます。

網目の繭

 クスサンは国内では2番目に大きなガ。
5齢を過ぎると食べる量が飛躍的に増えます。
 周りの葉の中肋だけ残して食べ尽くすと、やがて楕円形の繭を作って
蛹に変身します。
作るのは他のガの様に密封されてはおらず、網目状の隙間だらけ。
これでは邪魔者が簡単に入り込みそうです。
 素人昆虫観察オヤジが推察しました。
これは通気性を良くするための工夫だと。
 クスサンの羽化は季節の変わり目の秋。
早すぎては暑いし遅すぎては寒すぎる。
適時をとらえるためには外気温の変化に敏感でいたい。
だから直に外気に触れられる網目の繭にした。

 別の理由としては消費エネルギー。
完封型よりも隙間の分だけ費やすエネルギー量が少なくて済むので、羽化後
に備えてカロリーを蓄えられる。
どちらにしても根拠の無い思いつきですが。
 それにしても丈夫な繭です。
隙間だらけだから力を入れれば簡単にちぎれると思いますが破けません。
これを食い破って出て来るクスサンは余程丈夫な歯の持ち主だろうと推察します。
 でもそれも見当はずれでした。
<成虫は口唇が退化しているので口が無い。>(熊野市HP より)
 ではどうやって網目を破る?
<繭の中で羽化した成虫は体液で繭の先端を溶かして外に出て翅を伸ばす。>
(長野県農業関係試験場 より)
やたらと丈夫な繭糸をいとも簡単に溶かすといいます。
 クスサンはあれこれ驚かせてくれます。
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雑草の日:挽いた結果

2022-06-21 06:29:39 | 日記
おかしな名前

 毎週火曜日はウォーキングの途中で見かけた雑草を取り上げています。
今週は、イネ科 スズメノチャヒキ属 スズメノチャヒキ です。
 何ともおもしろい名前ですが道端にさもなく生えているので、何気に
目にしている機会が多い草です。
 姿かたちを形容するならば、稔り不足の稲みたいな草。
<円錐花序は各節に1~数個の枝を輪生し、まばらに小穂をつける。
小穂は熟すと下垂する。>
 稲であれば米粒が入っている部分にあたる小穂をルーペで拡大して見ると
<長さは17~23mm、基部には2個の包穎(ほうえい)があり、上方に
6~10の小花がつく。
小花の芒(のぎ)は長さ1cmに達する。>
 包穎は稲であれば米粒のお尻が枝に接する部分を覆っていて、元は葉
だったものが変形しました。
芒は米粒の先端に生えている細く尖った部分。
その芒が1cm程伸びているので見た目の印象は少しトゲトゲした感じがします。

 おかしな名前は子供の遊びに由来するといいます。
<子供が穂をとって唾を付けて爪に乗せ息を拭く。
すると粒が回転するが、その様子がお茶の葉を石臼でくるくる挽いて抹茶を
作る茶引きに似ていることからチャヒキの名が付いた。>
(植物の名前覚え書き より)
 同じ様な姿をしているカラスムギは別名チャヒキグサとも呼ばれます。
スズメノチャヒキはそれよりも小ぶりなので、「小さい」を意味するスズメ
が付いてこの名前になりました。(Wikipedia より)

お茶の行く末

 「茶を挽く」作業をすれば香ばしい抹茶ができ上りますが、言葉自体
には揶揄する雰囲気が漂います。
<茶を挽くのは暇な時の仕事とされていたことから、用事がないことを
意味する。
そこから芸者や遊女などに客が無く暇であることを「お茶を挽く」と言う
ようになった。>(コトバンク より)
 子供の遊びのチャヒキは、元を辿れば子供にはご禁制の遊び場に繋がる
のでした。

 「挽く」は辞書には<のこぎりをひく、ろくろをひく、馬や牛が車を
ひく>(新明解国語辞典 より)と載っています。
でも生活の場面で目にする機会が多いのはコーヒー豆を挽く作業です。
 <粉にすると酸素と接する面が多くなり酸化が進み風味や香りが失われる。
コーヒーは豆を挽いている時が一番良い香りがする。>
(まなぶおじさんの珈琲工房 より)
 コーヒーは挽きたてが一番、同じことはソバにも言えます。
<繊細で熱に弱いソバは大量生産の機械で挽くと風味が飛んでしまう。
石臼で少量ずつゆっくりと挽くと風味が豊かになる。>(日穀製粉株式会社 より)
 そこで最近は水冷式で熱を持たない機械が導入されているそうな。
「3たて」のソバを食べたくなりましたが、「挽く」はまだまだ食欲を
そそります。
肉を挽いて作ったひき肉がジュウジュウのハンバーグに姿を変える様が目に
浮かびます。
 コーヒーもそばも肉も、挽けば五感を刺激してくれる魅力ある言葉に昇華
するのに、何故かお茶だけはそうなりません。
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