血を見てドン引きの観客
「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」では、主役を支えた脇役たちの活躍を振り返っています。
今週は「テーズと同じ必殺技のルター・レンジ」です。
173cm104kgと小柄ながら筋肉の鎧を纏ったような体形、黒人特有のバネで打点の高い
ドロップキックを得意にしていました。
決め技は鉄人テーズで有名なバックドロップ。
背の低さをカバーするように高々と持ち上げて急角度で落とす危険なものでした。
(ドクトル・ハチャのぼやき旅 より)
1961年12月に日本プロレスに初来日、吉村をバックドロップ一発でKOしましたが、
それを見ていた力道山が思わず漏らします。
「投げるスピードといい足腰のバネといいテーズを超えている。
いやあ恐れ入った、こいつは本当に凄え!」
その力道山と豊登が持つアジアタッグ選手権を奪った試合では、興奮したファンがリング
サイドに押し寄せ大混乱。
12日後に行われたリターンマッチでのレンジのやられっぷりは半端ではありません。
日本組の猛攻を受けまくり文字通り血反吐を吐いてみせたのです。
プロレス特有の演出とはいえレンジの流血は度を越えたもの。
王座奪還を喜ぶはずのファンが引いてしまったというエピソードが残っています。
いつか見た結末
69年に国際プロレスに登場したレンジの肩から胸には大きな傷跡がありました。
2年前のインド遠征でファンにナイフで切り付けられた、それがトラウマになり激しい試合が
出来なくなったと当時の専門誌は報じていました。
本当はハワイに遠征した時の交通事故の後遺症で、無理がきかなくなったとの説もあります。
(続プロシタン通信 より)
いずれにしても国プロに現れたレンジには以前の気迫も体力もありません。
だから板橋区体育館で行われたエース小林との一戦では、結末をお茶に濁すしかありません。
1本目は暴走したレンジの反則負け。
2本目は切り札のバックドロップでレンジが体固め。
3本目の開始早々にレンジはまたも仕掛けます。
右腕を腰に回し左腕で太もも辺りを抱き上げてバックドロップの体勢です。
とその瞬間小林がコーナーマットをひと蹴り!
バランスを崩したレンジは小林に抑え込まれる形でフォールを奪われました。
でもこれを目にしたファンは小林の勝利を素直に喜べません。
同じシーンを既に見ていたからです。
時は3年前の2月28日、所は東京都体育館、馬場対テーズのインター選手権の決勝です。
必殺バックドロップを仕掛けられた馬場がコーナーを蹴りテーズを押しつぶして逆転勝利。
会場と役者は少々格落ち、しかし結末だけはインター戦と同じとあってファンは白けます。
レンジの不調も相まってこの試合は小林人気の盛り上げに繋がるものとはならなかったのでした。
「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」では、主役を支えた脇役たちの活躍を振り返っています。
今週は「テーズと同じ必殺技のルター・レンジ」です。
173cm104kgと小柄ながら筋肉の鎧を纏ったような体形、黒人特有のバネで打点の高い
ドロップキックを得意にしていました。
決め技は鉄人テーズで有名なバックドロップ。
背の低さをカバーするように高々と持ち上げて急角度で落とす危険なものでした。
(ドクトル・ハチャのぼやき旅 より)
1961年12月に日本プロレスに初来日、吉村をバックドロップ一発でKOしましたが、
それを見ていた力道山が思わず漏らします。
「投げるスピードといい足腰のバネといいテーズを超えている。
いやあ恐れ入った、こいつは本当に凄え!」
その力道山と豊登が持つアジアタッグ選手権を奪った試合では、興奮したファンがリング
サイドに押し寄せ大混乱。
12日後に行われたリターンマッチでのレンジのやられっぷりは半端ではありません。
日本組の猛攻を受けまくり文字通り血反吐を吐いてみせたのです。
プロレス特有の演出とはいえレンジの流血は度を越えたもの。
王座奪還を喜ぶはずのファンが引いてしまったというエピソードが残っています。
いつか見た結末
69年に国際プロレスに登場したレンジの肩から胸には大きな傷跡がありました。
2年前のインド遠征でファンにナイフで切り付けられた、それがトラウマになり激しい試合が
出来なくなったと当時の専門誌は報じていました。
本当はハワイに遠征した時の交通事故の後遺症で、無理がきかなくなったとの説もあります。
(続プロシタン通信 より)
いずれにしても国プロに現れたレンジには以前の気迫も体力もありません。
だから板橋区体育館で行われたエース小林との一戦では、結末をお茶に濁すしかありません。
1本目は暴走したレンジの反則負け。
2本目は切り札のバックドロップでレンジが体固め。
3本目の開始早々にレンジはまたも仕掛けます。
右腕を腰に回し左腕で太もも辺りを抱き上げてバックドロップの体勢です。
とその瞬間小林がコーナーマットをひと蹴り!
バランスを崩したレンジは小林に抑え込まれる形でフォールを奪われました。
でもこれを目にしたファンは小林の勝利を素直に喜べません。
同じシーンを既に見ていたからです。
時は3年前の2月28日、所は東京都体育館、馬場対テーズのインター選手権の決勝です。
必殺バックドロップを仕掛けられた馬場がコーナーを蹴りテーズを押しつぶして逆転勝利。
会場と役者は少々格落ち、しかし結末だけはインター戦と同じとあってファンは白けます。
レンジの不調も相まってこの試合は小林人気の盛り上げに繋がるものとはならなかったのでした。