3つの断言
寒空の下、森林公園の坂道を歩く私の視線の先に浮かぶのは1匹のガ。
1円玉くらいの大きさで、どこへ行こうか戸惑いながらフラフラと宙を
漂っています。
これは晩秋から真冬に掛けて活動をする珍しいガのフユシャクで、
国内には50種ほどの仲間がいます。
このガについて私は次の3点を断言します。
「①仲間の多くは地味な灰褐色 ②彷徨っているが決して食べ物を探して
いるのではない ③私には飛び方で雌雄が分かる、これは間違いなく
オスのフユシャク」
順番に説明していきましょう。
先ずは地味な体色についてです。
一般にチョウなどの翅が美しい色や模様に飾られるのにはふたつの目的
があるといいます。
メスの興味を惹くことと天敵の目を眩ますこと。
ところがフユシャクの場合はどちらも縁がありません。
メスはどれ程魅力的なオスがいても近寄ってはくれません。
最大の天敵はコウモリですが、寒くなれば冬眠して姿を消してしまいます。
だから仲間の多くは地味な灰褐色をしています。
次は食物探しをしない点。
理由は簡単、フユシャクの成虫には食べ物を受け入れる口が無いのです。
極寒の季節に水分を取り込めば体内から凍り付いてしまいます。
これを防ぐために羽化するまでにため込んだ養分だけで彷徨います。
徘徊の目的は、そう子孫を残すため。
みっつめの飛び方で雌雄の区別ができる点は話を盛りすぎました。
事実は「飛んでいるのは全てがオス」
メスの翅は退化して飛べないのです。
フェロモン放出
目の前を飛ぶ灰褐色のフユシャクのオスは、メスの手掛かりを探しています。
翅を失って飛べないメスは自分からオスに近寄ることは出来ません。
だから尾部からフェロモンを放出しオスを誘うのです。
フラフラとさまよう様に浮かんでいたのは、必死にフェロモンを求める姿でした。
マニアの伝によればフユシャク観察の醍醐味はメスに出会うこと。
翅のない1cm程の地味な姿を探し出すのは、フェロモンを感知できない
人間にとっては至難の業です。
だから先ずはオスの行動に注目し、フラフラ飛行が一定の範囲を探る様に
飛び回り始めたらチャンスだといいます。
<メスはフェンスの上や樹の幹にとまっていることが多いのでそこを
注視する。>(WILC MINC GO!GO! より)
マニアでない私には興味のない話ですが、それでもきっとメスを探す
でしょう。
活動している身近な生き物がほとんど姿を消してしまう冬が、この先
あまりに長く続くから。
寒空の下、森林公園の坂道を歩く私の視線の先に浮かぶのは1匹のガ。
1円玉くらいの大きさで、どこへ行こうか戸惑いながらフラフラと宙を
漂っています。
これは晩秋から真冬に掛けて活動をする珍しいガのフユシャクで、
国内には50種ほどの仲間がいます。
このガについて私は次の3点を断言します。
「①仲間の多くは地味な灰褐色 ②彷徨っているが決して食べ物を探して
いるのではない ③私には飛び方で雌雄が分かる、これは間違いなく
オスのフユシャク」
順番に説明していきましょう。
先ずは地味な体色についてです。
一般にチョウなどの翅が美しい色や模様に飾られるのにはふたつの目的
があるといいます。
メスの興味を惹くことと天敵の目を眩ますこと。
ところがフユシャクの場合はどちらも縁がありません。
メスはどれ程魅力的なオスがいても近寄ってはくれません。
最大の天敵はコウモリですが、寒くなれば冬眠して姿を消してしまいます。
だから仲間の多くは地味な灰褐色をしています。
次は食物探しをしない点。
理由は簡単、フユシャクの成虫には食べ物を受け入れる口が無いのです。
極寒の季節に水分を取り込めば体内から凍り付いてしまいます。
これを防ぐために羽化するまでにため込んだ養分だけで彷徨います。
徘徊の目的は、そう子孫を残すため。
みっつめの飛び方で雌雄の区別ができる点は話を盛りすぎました。
事実は「飛んでいるのは全てがオス」
メスの翅は退化して飛べないのです。
フェロモン放出
目の前を飛ぶ灰褐色のフユシャクのオスは、メスの手掛かりを探しています。
翅を失って飛べないメスは自分からオスに近寄ることは出来ません。
だから尾部からフェロモンを放出しオスを誘うのです。
フラフラとさまよう様に浮かんでいたのは、必死にフェロモンを求める姿でした。
マニアの伝によればフユシャク観察の醍醐味はメスに出会うこと。
翅のない1cm程の地味な姿を探し出すのは、フェロモンを感知できない
人間にとっては至難の業です。
だから先ずはオスの行動に注目し、フラフラ飛行が一定の範囲を探る様に
飛び回り始めたらチャンスだといいます。
<メスはフェンスの上や樹の幹にとまっていることが多いのでそこを
注視する。>(WILC MINC GO!GO! より)
マニアでない私には興味のない話ですが、それでもきっとメスを探す
でしょう。
活動している身近な生き物がほとんど姿を消してしまう冬が、この先
あまりに長く続くから。