あるく あかるく

健康長寿 めざしましょう

身近な生き物:白髪と網目

2022-06-22 06:29:49 | 日記
ふさふさの毛

 ウォーキング中の足元に、ビーズよりひと回り大きな塊がごろごろ
落ちていました。
張り出したトチノキの枝の下なのできっと毛虫の糞ですが、これを捻り
出すとはかなりな大物。
 そう思って目で葉を探ると、いました。
数センチはありそうな黄緑色のクスサンの幼虫が、葉の縁を抱え込んで
頭を上下させています。
ひと往復で相当量をバリバリっと腹に収めるのでしょう。
あれだけパワフルな食事ならば、これだけ大量の糞をするのも納得です。

 少し先の地面には食事に夢中になり過ぎてうっかり転落したのか、幼虫
が転がっていました。
近くで見ると透明感のある黄緑色は吸い込まれそうな程きれいですが、
それより目を惹くのは体表を覆う真っ白な無数の毛。
 イラガの毛に触れてピリピリした激しい痛みに襲われた経験からすると、
これは避けて通るべき場面です。
触れずに行くのが大人の対応ですが、何故か後ろ髪をひかれます。
 「そっとなでてごらん、悪い様にはしないから」、クスサンの幼虫に
誘惑された気分がしました。
 覚悟を決めてふさふさの毛に手を伸ばしました。
根元から毛先に向かって指の腹でなでると思ったよりもずっと優しい感触。
毛の先端を押しても刺さりません。
想像以上に柔らかな毛でした。
 これじゃ身を守れない、そう思いましたがそれは見当はずれでした。
この毛が邪魔をして天敵の寄生バチを寄せ付けないといいます。

網目の繭

 クスサンは国内では2番目に大きなガ。
5齢を過ぎると食べる量が飛躍的に増えます。
 周りの葉の中肋だけ残して食べ尽くすと、やがて楕円形の繭を作って
蛹に変身します。
作るのは他のガの様に密封されてはおらず、網目状の隙間だらけ。
これでは邪魔者が簡単に入り込みそうです。
 素人昆虫観察オヤジが推察しました。
これは通気性を良くするための工夫だと。
 クスサンの羽化は季節の変わり目の秋。
早すぎては暑いし遅すぎては寒すぎる。
適時をとらえるためには外気温の変化に敏感でいたい。
だから直に外気に触れられる網目の繭にした。

 別の理由としては消費エネルギー。
完封型よりも隙間の分だけ費やすエネルギー量が少なくて済むので、羽化後
に備えてカロリーを蓄えられる。
どちらにしても根拠の無い思いつきですが。
 それにしても丈夫な繭です。
隙間だらけだから力を入れれば簡単にちぎれると思いますが破けません。
これを食い破って出て来るクスサンは余程丈夫な歯の持ち主だろうと推察します。
 でもそれも見当はずれでした。
<成虫は口唇が退化しているので口が無い。>(熊野市HP より)
 ではどうやって網目を破る?
<繭の中で羽化した成虫は体液で繭の先端を溶かして外に出て翅を伸ばす。>
(長野県農業関係試験場 より)
やたらと丈夫な繭糸をいとも簡単に溶かすといいます。
 クスサンはあれこれ驚かせてくれます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする