あるく あかるく

健康長寿 めざしましょう

実力を隠し負け役を演じたレスラー

2015-07-31 09:08:51 | 日記
<プロレスには筋書きがある>

 その昔、まだ大人の事情など全く知らぬ頃の事。
テレビのプロレス中継を見て「何だか変な試合だな」と強く違和感を持った
試合がありました。
それは世の中には自分の知らない決まりがあるのだと幼心に知った一戦でした。

 毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」をお送りしています。
今週は「本当は実力者ながら下手な芝居に付き合った男」ゴードン・ネルソン です。

 プロレスは筋書きのあるエンターテイメント。
今ではそれも常識で、見る方も十分承知の上で試合を楽しみます。
昭和の時代、プロレスは幻想に包まれた激しく魅力いっぱいのスポーツでした。
試合は本気のぶつかり合いなので、何時かは死人が出ると本気で信じられていました。

<筋書きを完璧にこなせて当たり前>

 ゴードン・ネルソンは1968年に国際プロレスに初来日。
仲間のレスラーからは、本気で戦ったら誰にも負けない実力者と認められていました。
 冒頭の試合は再来日した1969年11月19日、国プロのエース・ストロング小林
との60分三本勝負でした。
この試合の事前の筋書きは恐らくこんな内容です。
一本目怒涛の攻撃で小林が先取、二本目はネルソンが秘密兵器をさく裂させて五分に戻し、
三本目は同じ攻撃を察知した小林が切り返して見事に勝利。

 実際の試合では、コーナーにタックルで押し込んだネルソン。
背に小林を乗せたまま、ブリッジを効かせて後方に投げ飛ばすスープレックスで
筋書き通りに2本目を奪います。
三本目のゴングと共にまたも同じ体勢で小林をコーナーに押し込みます。
 怪力ながら技も多彩と団体が売り出していた小林。
軽やかにジャンプしてネルソンのタックルを切り返し、そのまま後方に回転しエビ固め
でフォール!の筈が・・。
根が不器用な小林はジャンプしたもののネルソンの背中にペチャッと着地。
モソモソと背中の上で移動してやっとエビ固めの態勢に。

 その間ネルソンは動くわけにもいかず、渋い顔をしたまま小林の反撃を待ちます。
「お前は決まった動きも満足にできないのか」ネルソンの怒りとあざけりに満ちた表情が、
何も知らなかった私に「大人の事情」を教えてくれました。
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手乗りキジバトの末裔たち

2015-07-30 08:47:57 | 日記
<どこでも見かける鳥>

 ウォーキング中にやたらと目にする鳥がいます。
ウォッチング回数のベストスリーはスズメにカラスにキジバトでしょうか。
見慣れているので余り関心を持っていませんでしたが、調べると意外な姿がありました。

 毎週木曜日はウォーキング中に見かけた野鳥を取り上げていますが、今週は
ハト科 キジバト属 キジバト 又の名を ヤマバト です。

 歩いていると、電線にとまったキジバトの特徴的な鳴き声が聞こえてきます。
デデッポーポッポー。
その声に周囲も何だかのどかな雰囲気に包まれます。
 茶褐色の全身に紫がかった灰色の毛が目立ちます。
翼にはうろこ状の模様があります。
日本国内全域で繁殖する留鳥で、木の実からミミズまで食べる雑食性です。
 余り人を恐れず、住宅街の木立でも営巣しヒナを育てます。
給餌は独特で、親鳥がミルクを口移しに与えます。
それは体内のソノウで作られた高タンパクで、ピジョンミルクと呼ばれています。

<手乗りキジバトの誕生>

 身近な場所で繁殖するキジバトですが、別名のヤマバトからも分かる様に
元来は山岳地帯に棲む鳥でした。
都市部まで生活圏を広げてきたのは昭和30年代からと言われています。

 その昔、学校からの帰り道。
杉の木にキジバトが巣を作っているのを見つけ、毎日そこに寄っては様子を伺いました。
ある日、木の根元でキジバトのヒナが1羽バタバタ暴れています。
何かに襲われて巣から飛び出したのか、幸いにも怪我は無い様子でした。
 
 小学低学年の子供です。
高い場所の巣にヒナを返す事など思いもよらず、掌で包み家に持ち帰りました。
その日から、一日中エサやりです。
記憶ではジュウシマツや鶏のエサを与えたでしょうか。
あまり苦労も無く大きくなったと思います。
 良く慣れて手乗りキジバトに育っていつも一緒にいました。
ある時、何かに驚いて庭から飛び立ちそのまま空の彼方に消えました。

 二度と戻って来てはくれませんでしたが、あの子の血を引く鳥たちは今もきっと
この空を飛んでいるのでしょう。
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タイムマシンな蝉しぐれ

2015-07-29 09:08:25 | 日記
<熱い、涼しい、蝉の声>

 蝉しぐれ。
「たくさんのセミが、こちらで鳴き止んだかと思うとあちらで又鳴き盛る
状態を時雨に例えた言葉」

 この時期、公園の近くの森を歩けば正に蝉しぐれです。
昼過ぎの森ではアブラゼミの鳴き声に圧倒されます。
ジー、ジリジリ。
 セミの鳴き声はもはや原形をとどめず、ひとつの音の塊になってそこを
通る者をうちのめすかの様に降り注ぎます。
そんな大きな音も足を止めて耳を澄ましていると、不思議なものでやがて
一匹一匹声の主が見えてきます。
あの樹のあの枝でこの声の主が鳴いている。
今まで鳴いていた一匹は、私が近づいた気配を感じてあそこの木の上で鳴き止んだ。
向こうに見える大きな樹で鳴いている一匹は遠すぎるので空気の振動みたいに
伝わってくる。

 淀んだ空気、まとわりつく暑さ。
アブラゼミの蝉しぐれは真夏の昼下がりが似合います。

 それより少しばかり涼しげなのはミンミンゼミの蝉しぐれ。
ミーンミーン。
透き通った声は周囲の空気がまだ熱しきっていない事を伝えます。

<時を超える力>

 特別な蝉しぐれ。
それは夕暮れ時、森の中を歩いていると聞こえてきます。

 暑かった夏の一日。
あちこち遊びまわったけれどまだ遊び足りない。
友達は遠くにあるクヌギの木でカブトムシを取ろうと誘う。
日が暮れかかりお腹も空いた。
どうしよう、ええい、思い切って誘いに乗っちゃえ。

 そう決心したその時に、カナカナカナ、少し物悲しげな鳴き声。
あの樹からこの木から、ひとつひとつの鳴き声がどんどん重なり合って、
やがて周囲の空気が静かに震えます。

 ヒグラシの蝉しぐれは、一瞬で私を11才のあの夏に戻してくれる
不思議な力を持っています。
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2015-07-29 09:05:49 | 日記
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風に吹かれ水に流され、ガマの穂1本

2015-07-28 09:49:03 | 日記
<川底はミニジャングル>

 川沿いのコースを進みます。
実際の温度に差など無いでしょうが水辺の近くは猛暑の日にはありがたい場所です。
幅6メートル程、深さ3メートル程の川は両岸をコンクリートでしっかりと護岸
されています。
 昨年の今頃、どうやって下したのか大型の重機でその川底をさらい、
溜まっていた大量の土砂をかき揚げていました。
一年前に大掃除されてさっぱりした川底も、その後の大雨で土砂が流れこみ、
既にあちこちに小さな中洲ができています。

 そこに流れ着いた種が芽を出し、十分な水と栄養を得てミニジャングル状態を
作り上げています。
ジャングルの中、キリリと穂を立てた一際目立つ植物を見つけました。

 毎週火曜日はウォーキングの途中で見かけた山野草を取り上げていますが、
今週は ガマ科 ガマ属 ガマ です。

 ガマの穂を見て思い出すのは「因幡の白兎」のお話です。
ワニに毛をむしられて苦しむウサギに大国主命が言いました。
「河口に行って真水で体を洗い、そこに生えているガマの花粉を集めてその上で寝ると良い」
 ウサギが元気になったとのは、柔らかいガマの穂の上で十分に体を休めたから
と思っていましたが、もっと明確な理由があった様です。
 ガマの穂は漢方の生薬になると言います。
特に止血作用と鎮痛効果が高く、これで白ウサギも楽になったのでしょう。

<頼りない生態>

 ガマは風で受粉する風媒花。
風任せの果てに漸く受粉すると、やがて実が水面に落ち流れ着いた先で水底に
沈んで発芽します。
この方法が植物界では競争力に欠けるのか、そもそもガマが弱い植物なのか。
何処にでも生えている草ではありません。

 800m程歩く川沿いの道からガマの穂を目にできるのは僅かに三か所だけ。
アシやススキや名前の分からない植物が作り出す緑の混沌の中に、背を伸ばす
1本のガマの穂を見つけるとちょっとうれしい。
その気持ちは、風任せ、水頼りの雑草らしからぬガマの生態を知って更に
強く感じます。
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