<プロレスには筋書きがある>
その昔、まだ大人の事情など全く知らぬ頃の事。
テレビのプロレス中継を見て「何だか変な試合だな」と強く違和感を持った
試合がありました。
それは世の中には自分の知らない決まりがあるのだと幼心に知った一戦でした。
毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」をお送りしています。
今週は「本当は実力者ながら下手な芝居に付き合った男」ゴードン・ネルソン です。
プロレスは筋書きのあるエンターテイメント。
今ではそれも常識で、見る方も十分承知の上で試合を楽しみます。
昭和の時代、プロレスは幻想に包まれた激しく魅力いっぱいのスポーツでした。
試合は本気のぶつかり合いなので、何時かは死人が出ると本気で信じられていました。
<筋書きを完璧にこなせて当たり前>
ゴードン・ネルソンは1968年に国際プロレスに初来日。
仲間のレスラーからは、本気で戦ったら誰にも負けない実力者と認められていました。
冒頭の試合は再来日した1969年11月19日、国プロのエース・ストロング小林
との60分三本勝負でした。
この試合の事前の筋書きは恐らくこんな内容です。
一本目怒涛の攻撃で小林が先取、二本目はネルソンが秘密兵器をさく裂させて五分に戻し、
三本目は同じ攻撃を察知した小林が切り返して見事に勝利。
実際の試合では、コーナーにタックルで押し込んだネルソン。
背に小林を乗せたまま、ブリッジを効かせて後方に投げ飛ばすスープレックスで
筋書き通りに2本目を奪います。
三本目のゴングと共にまたも同じ体勢で小林をコーナーに押し込みます。
怪力ながら技も多彩と団体が売り出していた小林。
軽やかにジャンプしてネルソンのタックルを切り返し、そのまま後方に回転しエビ固め
でフォール!の筈が・・。
根が不器用な小林はジャンプしたもののネルソンの背中にペチャッと着地。
モソモソと背中の上で移動してやっとエビ固めの態勢に。
その間ネルソンは動くわけにもいかず、渋い顔をしたまま小林の反撃を待ちます。
「お前は決まった動きも満足にできないのか」ネルソンの怒りとあざけりに満ちた表情が、
何も知らなかった私に「大人の事情」を教えてくれました。
その昔、まだ大人の事情など全く知らぬ頃の事。
テレビのプロレス中継を見て「何だか変な試合だな」と強く違和感を持った
試合がありました。
それは世の中には自分の知らない決まりがあるのだと幼心に知った一戦でした。
毎週金曜日は「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」をお送りしています。
今週は「本当は実力者ながら下手な芝居に付き合った男」ゴードン・ネルソン です。
プロレスは筋書きのあるエンターテイメント。
今ではそれも常識で、見る方も十分承知の上で試合を楽しみます。
昭和の時代、プロレスは幻想に包まれた激しく魅力いっぱいのスポーツでした。
試合は本気のぶつかり合いなので、何時かは死人が出ると本気で信じられていました。
<筋書きを完璧にこなせて当たり前>
ゴードン・ネルソンは1968年に国際プロレスに初来日。
仲間のレスラーからは、本気で戦ったら誰にも負けない実力者と認められていました。
冒頭の試合は再来日した1969年11月19日、国プロのエース・ストロング小林
との60分三本勝負でした。
この試合の事前の筋書きは恐らくこんな内容です。
一本目怒涛の攻撃で小林が先取、二本目はネルソンが秘密兵器をさく裂させて五分に戻し、
三本目は同じ攻撃を察知した小林が切り返して見事に勝利。
実際の試合では、コーナーにタックルで押し込んだネルソン。
背に小林を乗せたまま、ブリッジを効かせて後方に投げ飛ばすスープレックスで
筋書き通りに2本目を奪います。
三本目のゴングと共にまたも同じ体勢で小林をコーナーに押し込みます。
怪力ながら技も多彩と団体が売り出していた小林。
軽やかにジャンプしてネルソンのタックルを切り返し、そのまま後方に回転しエビ固め
でフォール!の筈が・・。
根が不器用な小林はジャンプしたもののネルソンの背中にペチャッと着地。
モソモソと背中の上で移動してやっとエビ固めの態勢に。
その間ネルソンは動くわけにもいかず、渋い顔をしたまま小林の反撃を待ちます。
「お前は決まった動きも満足にできないのか」ネルソンの怒りとあざけりに満ちた表情が、
何も知らなかった私に「大人の事情」を教えてくれました。