あるく あかるく

健康長寿 めざしましょう

国語のおさらい:首相と芸人

2022-06-30 06:29:09 | 日記
由緒正しき言葉

 毎週木曜日は国語をおさらいしています。
今週取り上げる言葉は「ニコポン主義」。
小説の一節に出ていたのですが、分かった様な分からぬ様な、何とも
あやふやな言葉です。
 語感から察するに、調子良く世を渡る術かな。
きっと誰かが口にして、語呂の良さから最近急に流行り出した言葉だろう、
そう見当を付けました。
 だから載っているわけはないと思いながらも辞書を引いたら、そこ
にあったので驚きました。
<にこぽん:相手の肩をぽんとたたき、満面に笑みをたたえながら応対し、
巧みに味方の陣営に引き入れること。>(新明解国語辞典 より)
 ということは一時的な流行り言葉ではなく、それなりに由緒ある来歴を
持っているのかもしれません。
少しばかり見直しましたが、それでも心の底では見下していました。
それが手痛くも恥ずかしい間違いに繋がるのですが。

 ネットで検索するとあれこれ出ています。
<第十五話「ニコポン主義」>
<ニコポン主義―この曲を聴け>
<桂太郎のニコポン主義 3>
 こんな具合に見出しが躍るのを見て最初に抱いた気持ちが再び
もたげてきました。
「やっぱり最近流行している言葉なのかも。
桂太郎という名の芸人が言い始めたのかな」
 桂太郎をケイタロウと読んだ私はそんな思いを抱いたのでした。
まさかそれが桂姓の首相のことだとはつゆ思わずに。

現代では死語

 Weblio辞書にはこうありました。
<ニコポン主義:甘言を以って味方に入れること。
桂太郎がニコニコしながら相手の肩をポンと叩いて紛議をうまく解決した
という故事による。>
 芸人ケイタロウでは無く3度首相を務めたカツラタロウがこの言葉の
生みの親でした。
 <「ニコ」は和やかに笑う表情を表したニコニコの略。
「ポン」は肩を叩いて親し気にすることで人を懐柔し、人にものを頼むと
いう処世術のひとつ。
1913年(大正2年)に時の首相桂太郎に対して「ニコポン宰相」
「ニコポン主義」という評に使われて流行した。
その後「ニコポン上司」などと一般にも使われたが、こうした態度で人を
動かせる時代ではなくなったせいか、現在ではほとんど死語になっている。>
(日本語俗語辞書 より)
 ならば知らなかったのも無理ない話、でも首相の名前と判別できなかった
のは恥ずかしい事実。

 類義語や反対語を調べると、意外にも該当する語はありません。
そこでその先を夢想しました。
 「ニコニコ、ポンポンに似た動作となれば、にやにや、すりすり。
だから類義語はニヤスリ主義。
反対に位置するのはプンプンと怒ってゴツンと拳で叩く動作。
すると反対語はプンゴン主義」
 どちらも語呂が悪すぎる。
芸人の機知も首相の英知も無い者が捻りだした言葉は、生まれた瞬間に
消えて行きました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする