廃れた産業
歌詞の意味を探りながら、今まで漠然と覚えていた県歌・信濃の国を
より深く理解しようとするのが木曜日の「あるくあかるく」です。
今週は、3番の「蚕飼い(こがい)の業の打ちひらけ 細きよすがも軽
(かろ)からぬ 国の命を繋ぐなり」です。
「蚕飼いの業」は養蚕を指すと書いた所で、先週の紙面が尽きました。
それが「打ちひらけ」るとは、意味を強める接頭語の「打ち」を付ける程
に開けている状況を表しています。
(市川健夫氏・小林英一氏著「県歌 信濃の国」 より)
では開けた状況とはどんな様子かと言えば、<努力していい状態に変える>
と金田一京助先生の国語辞典に載っているので、先人の汗と知恵で養蚕業が
発展した意味だと勝手に解釈しました。
「細きよすがも軽からぬ」、何とも分かった様で説明しにくい一節です。
前記した「県歌 信濃の国」によると<よすがは暮らしのたよりとする
ものの意。
個々の農家の養蚕は零細で生活の細いたよりではあったが、軽くは無かった。>
と解説されています。
そしてそれが<日本の国の運命を永続させている>と言います。
零細ながらも国の運命を繋ぐ、明治の世に高らかと歌い上げられた養蚕業
とお蚕さんは21世紀の世の中ではすっかり姿を消してしまいました。
理想の宇宙食
そんなカイコの全く新しい利用法が、一昨日の信濃毎日新聞紙上で紹介
されていました。
伊那市創造館の企画展「大昆虫食博」を伝える記事の一部を抜粋します。
<火星に移住することを見据えた宇宙開発で、必要なタンパク源として蚕を
育てて食べる研究が進んでいる。>
昭和20年代30年代に生まれた方ならば、カイコのサナギを食べた経験
がおありでは。
カリカリした2cmに満たない塊を噛むと、イヤーな臭いとべとべとした油
が口の中に広がって、子供心にもこれは食い物では無いゾと思ったものでした。
21世紀の先端技術が結集する宇宙開発の場面に、よりによってあんな
不味い物が登場するとは、何故?と聞き返したくなります。
JAXAクラブを覗いてみるとこんな記述がありました。
<おしゃれにシルクナゲットと呼ぶ。
広い場所が不要で、成長も早くてエサは桑だけで済む。
軽くゆでればナッツの様な味でおいしい。>
更に別の資料には<宇宙食の開発では過去に鶏や魚、ウニの幼生などが研究
されたがうまく行かなかった。
カイコならば水の消費を抑え、排泄物も少なくて済む。
サナギのタンパク質は豚肉の2倍、卵・牛乳の4倍でアミノ酸やビタミンB₂
も含む。
吐いた絹も適切に処理すると食用になる。
宇宙飛行士ひとりが必要とする量は1日に繭170個。>(スラド より)
忘れられたお蚕様が、火星に向かって飛び立つ日がやって来そうです。
歌詞の意味を探りながら、今まで漠然と覚えていた県歌・信濃の国を
より深く理解しようとするのが木曜日の「あるくあかるく」です。
今週は、3番の「蚕飼い(こがい)の業の打ちひらけ 細きよすがも軽
(かろ)からぬ 国の命を繋ぐなり」です。
「蚕飼いの業」は養蚕を指すと書いた所で、先週の紙面が尽きました。
それが「打ちひらけ」るとは、意味を強める接頭語の「打ち」を付ける程
に開けている状況を表しています。
(市川健夫氏・小林英一氏著「県歌 信濃の国」 より)
では開けた状況とはどんな様子かと言えば、<努力していい状態に変える>
と金田一京助先生の国語辞典に載っているので、先人の汗と知恵で養蚕業が
発展した意味だと勝手に解釈しました。
「細きよすがも軽からぬ」、何とも分かった様で説明しにくい一節です。
前記した「県歌 信濃の国」によると<よすがは暮らしのたよりとする
ものの意。
個々の農家の養蚕は零細で生活の細いたよりではあったが、軽くは無かった。>
と解説されています。
そしてそれが<日本の国の運命を永続させている>と言います。
零細ながらも国の運命を繋ぐ、明治の世に高らかと歌い上げられた養蚕業
とお蚕さんは21世紀の世の中ではすっかり姿を消してしまいました。
理想の宇宙食
そんなカイコの全く新しい利用法が、一昨日の信濃毎日新聞紙上で紹介
されていました。
伊那市創造館の企画展「大昆虫食博」を伝える記事の一部を抜粋します。
<火星に移住することを見据えた宇宙開発で、必要なタンパク源として蚕を
育てて食べる研究が進んでいる。>
昭和20年代30年代に生まれた方ならば、カイコのサナギを食べた経験
がおありでは。
カリカリした2cmに満たない塊を噛むと、イヤーな臭いとべとべとした油
が口の中に広がって、子供心にもこれは食い物では無いゾと思ったものでした。
21世紀の先端技術が結集する宇宙開発の場面に、よりによってあんな
不味い物が登場するとは、何故?と聞き返したくなります。
JAXAクラブを覗いてみるとこんな記述がありました。
<おしゃれにシルクナゲットと呼ぶ。
広い場所が不要で、成長も早くてエサは桑だけで済む。
軽くゆでればナッツの様な味でおいしい。>
更に別の資料には<宇宙食の開発では過去に鶏や魚、ウニの幼生などが研究
されたがうまく行かなかった。
カイコならば水の消費を抑え、排泄物も少なくて済む。
サナギのタンパク質は豚肉の2倍、卵・牛乳の4倍でアミノ酸やビタミンB₂
も含む。
吐いた絹も適切に処理すると食用になる。
宇宙飛行士ひとりが必要とする量は1日に繭170個。>(スラド より)
忘れられたお蚕様が、火星に向かって飛び立つ日がやって来そうです。