バス3台を動かす
「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」では、世間を巻き込む程に話題を
振りまきながら脇役で終わってしまったレスラーを振り返ります。
それは「密林王、グレート・アントニオ」です。
まるでターザンを思わせるニックネームですが、実態は193cm210
kgのおでぶちゃん。
相撲取りを巨大化させた暑苦しい肉体をしていました。
1961年の第3回ワールドリーグの目玉として4月27日に羽田に
到着すると、出迎えに出た力道山を突き飛ばして大暴れ。
予定されていた記者会見は中止になり、東郷が鎖を首に巻いてホテル
まで引っ張って搬送する騒ぎ。
翌日のスポーツ紙がこの騒動を大きく報道したのでアントニオは一躍時の人
になったのでした。
報道を見たファンで28日の神宮外苑は黒山の人だかり。
招待された身障者50名を乗せた8tバス3台をアントニオが鎖で引っ張る
大デモンストレーションを行ったのです。
実際にバスが滑り出したのでファンは驚愕。
羽田の乱闘と神宮のパフォーマンスで、リーグ戦は開幕前から沸騰状態に
なりました。
第3回ワールドリーグは5月1日から6月29日まで全66戦の長期日程。
開幕戦で遠藤をボディプレスで圧殺、2日は芳の里ら日本人若手3人と
ハンディ戦を行いこれにも圧勝。
人間離れしたパワーの持ち主のアントニオ見たさにどこの会場も満員の入り
になりました。
そうなると誰しも自分の人気を鼻に掛けたくなるものです。
人並外れた体格の持ち主は、自己顕示欲も人並み外れたものでした。
大盛況なのはオレ様の人気のお陰、契約期間を延長しろ、ギャラを上げろ、
あげくは天皇陛下に合わせろと言いたい放題、やりたい放題になって
しまいました。
ゴッチとミスターX
リーグ戦優勝候補のカール・ゴッチにはこんな展開は我慢できません。
開幕戦から3週間経った5月21日に対戦すると、強烈な肘打ちで鼻血
まみれにして呼吸困難に陥れ場外に蹴り落とし。
両者リングアウトの裁定で控室に逃げ帰ったアントニオを追い、もうひとり
の優勝候補のミスターXと共に殴る蹴るの暴行です。
こうなると巨体が取り柄のアントニオにはなす術はありません。
困ったのは力道山です。
恐怖の密林王が控室で袋叩きになったと知れてはこの後のインター戦に
客が集まりません。
だから徹底した箝口令を敷きました。
6月2日の蔵前国技館は17000人の超満員、それを見届けた力道山
に憂いはありません。
1本目リングアウト、2本目空手の滅多打ちでストレート勝ち。
後はシリーズ最終戦まで地方を回ってアントニオ見たさの客を集めよう、
そんな算段をしたかもしれません。
ところがその目論見は9日に戦ったミスターXによってぶち壊されて
しまいました。
アントニオのジーパンを引きずり下ろし観客の嘲笑の的にしてしまったのです。
このままでは何をされるか分からない、怯えたアントニオは決断しました。
その日のうちに横浜港から客船に飛び乗るとカナダに逃げ帰ってしまった
のでした。
「甦れ!金曜8時の昭和のプロレス」では、世間を巻き込む程に話題を
振りまきながら脇役で終わってしまったレスラーを振り返ります。
それは「密林王、グレート・アントニオ」です。
まるでターザンを思わせるニックネームですが、実態は193cm210
kgのおでぶちゃん。
相撲取りを巨大化させた暑苦しい肉体をしていました。
1961年の第3回ワールドリーグの目玉として4月27日に羽田に
到着すると、出迎えに出た力道山を突き飛ばして大暴れ。
予定されていた記者会見は中止になり、東郷が鎖を首に巻いてホテル
まで引っ張って搬送する騒ぎ。
翌日のスポーツ紙がこの騒動を大きく報道したのでアントニオは一躍時の人
になったのでした。
報道を見たファンで28日の神宮外苑は黒山の人だかり。
招待された身障者50名を乗せた8tバス3台をアントニオが鎖で引っ張る
大デモンストレーションを行ったのです。
実際にバスが滑り出したのでファンは驚愕。
羽田の乱闘と神宮のパフォーマンスで、リーグ戦は開幕前から沸騰状態に
なりました。
第3回ワールドリーグは5月1日から6月29日まで全66戦の長期日程。
開幕戦で遠藤をボディプレスで圧殺、2日は芳の里ら日本人若手3人と
ハンディ戦を行いこれにも圧勝。
人間離れしたパワーの持ち主のアントニオ見たさにどこの会場も満員の入り
になりました。
そうなると誰しも自分の人気を鼻に掛けたくなるものです。
人並外れた体格の持ち主は、自己顕示欲も人並み外れたものでした。
大盛況なのはオレ様の人気のお陰、契約期間を延長しろ、ギャラを上げろ、
あげくは天皇陛下に合わせろと言いたい放題、やりたい放題になって
しまいました。
ゴッチとミスターX
リーグ戦優勝候補のカール・ゴッチにはこんな展開は我慢できません。
開幕戦から3週間経った5月21日に対戦すると、強烈な肘打ちで鼻血
まみれにして呼吸困難に陥れ場外に蹴り落とし。
両者リングアウトの裁定で控室に逃げ帰ったアントニオを追い、もうひとり
の優勝候補のミスターXと共に殴る蹴るの暴行です。
こうなると巨体が取り柄のアントニオにはなす術はありません。
困ったのは力道山です。
恐怖の密林王が控室で袋叩きになったと知れてはこの後のインター戦に
客が集まりません。
だから徹底した箝口令を敷きました。
6月2日の蔵前国技館は17000人の超満員、それを見届けた力道山
に憂いはありません。
1本目リングアウト、2本目空手の滅多打ちでストレート勝ち。
後はシリーズ最終戦まで地方を回ってアントニオ見たさの客を集めよう、
そんな算段をしたかもしれません。
ところがその目論見は9日に戦ったミスターXによってぶち壊されて
しまいました。
アントニオのジーパンを引きずり下ろし観客の嘲笑の的にしてしまったのです。
このままでは何をされるか分からない、怯えたアントニオは決断しました。
その日のうちに横浜港から客船に飛び乗るとカナダに逃げ帰ってしまった
のでした。