世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●ヒラリーで決着だが バーニーの正義に向かわざるを得ない米国

2016年06月12日 | 日記
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●ヒラリーで決着だが バーニーの正義に向かわざるを得ない米国

米・共和党を瓦解させたドナルド・トランプ現象も、終息の方向にあるようだ。しかし、屋台骨を揺るがされ、柱の何本かが折れてしまっている保守アメリカの立て直しは容易ではないだろう。共和党の主軸となる“ふるき善きアメリカ”は遥か彼方にあり、そこに戻ることは、中間層を消滅させたことで、レゾンデートル自体が危うくなってきている。伝統的保守層と宗教保守への国民的支持が、相当に衰弱してきているので、アメリカが、直接戦争に海外派兵するような事態が起きない限り、再生のモチベーションは思いつかない。

まあ、軍産複合企業とネオコンが、CIAなど公的機関と連携する形で、突発的に、“偽装被攻撃劇”でも起こさない限り、論理的には、レゾンデートルが怪しくなってきている。NATO軍を引き摺り込んで、対ロ戦争を仕掛けるだけの器量が、マケイン議員がトップのような状況では、ほぼ無理だろう。となると、米共和党は何処へ行くのか?ふと不安になる。トランプ的人物が、今後も続々と出てくると云うのは考え難いので、長期的休暇を取ることになりそうだ。おそらく、移民国家に邁進した結果、“小さな政府と伝統的米国社会コミュニティと宗教保守”と云う価値が、少数派になってしまった事が大きな要因なのだろう。現在の共和党支持者が中高年の白人と、学歴に低い白人と云う事実は、将来的展望を見出し難い。

方や民主党は、特別代議員制度(エスタブリッシュメント特権)に救われ、経歴に申し分のなかったヒラリー・クリントンが選ばれたわけだが、実情は薄氷を踏んでいる。ヒラリーを、民主党の大統領候補に推薦した民主党の幹部やそのグローバル企業やウォール街と云う現アメリカのエスタブリッシュメント層が望むようなヒラリーでいられる保証は殆どない。アメリカ社会に、少しづつ芽生えていた、ヨーロッパ的社会民主主義が、遂にサンダース候補でさく裂したわけだから、その勢いを無視した政策は到底選択不可能になってきている。

ところが、グローバル経済世界が拡大は、アメリカにマネーの集中だけは起こしたが、肝心の再分配の富がない状況を生みだした。ゆえに、50歳代以下の高学歴のな人々のイデオロギーには、社会主義=アカと云った、安倍や日本会議的プロパガンダが、全く通用しない社会構造を作ってしまっていた。60代以上の有権者とヒスパニックに支持されるヒラリーは、今現在のリーダーであるが、4年後のリーダーではないと烙印を押された面もある。つまり、ヒラリー・クリントンは、グローバル主義と金融経済と社会民主主義を融合した政治をしなければならないと云うことだ。相反関係にあるイデオロギーを調和させるなど、おそらく成功しないだろう。成功させたければ、グローバル経済と金融経済で潤っているエスタブリッシュメント層から、富を収奪する選択しか残されていない。

しかし、本質的には、この問題は、何もアメリカに限定された問題ではない。既成のイデオロギーでも解釈不可能は、世界的構造変革が起きていると見るべきだろう。どうも、英国のEU離脱も、冗談ではない情勢になってきた。この流れと同時的に、ユーロ圏の負け組の反乱が起きても、何ら驚かない状況だ。こんな最中、我が国の首相は、一強他弱と言われる中で、選挙演説は、野党の悪口と法螺ッチのクソノミクスの更なる噴射とか法螺の上に法螺を乗せ、戦争する気のなくなっている、米軍に絶対服従とか、ついつい、笑ったりしてしまう。おそらく、日本は既に民主社会主義国家を実現しているから起きる、モラトリアムな数年と云う期間に入っているのだろう。朝日新聞とビデオニュースドットコムの記事を紹介して今夜はおやすみなさい。


 ≪ サンダース氏、共闘に言及 クリントン氏と会談へ
オバマ米大統領が9日、大統領選で民主党の候補者指名を確実にしたクリントン前国務長官(68)への正式な支持を表明し、指名を争ってきたサンダース上院議員(74)も、共和党で指名獲得が確実なトランプ氏(69)を打倒するため共闘する考えを打ち出した。民主党が「打倒トランプ」で足並みをそろえつつある。
 「トランプ氏を米大統領にしないよう、私はあらん限りの力を注ぐ」。9日にホワイトハウスでオバマ大統領との会談を終えたサンダース氏は、報道陣を前にこう強調した。
 さらに「近くクリントン氏と会談し、トランプ氏を打倒し、(特定の)1%の人々のためでなく、すべての市民のための政府をつくるためどのように共 闘するか話し合う」とも述べ、将来のクリントン氏との共闘にも初めて言及。同日夜に首都ワシントンで開いた集会でも、クリントン氏への直接批判を避けた。  指名獲得が事実上困難となったサンダース氏だが、14日の首都ワシントンでの全米最後の予備選までは選挙戦を継続する方針。事実上敗北を認めつつ、最後まで自身の政策を訴えることで、党の政策に反映させたい考えだ。
 サンダース氏は9日、バイデン副大統領や民主党幹部とも会談を重ね、今後の対応について議論。オバマ氏はクリントン氏支持を打ち出したビデオで、サンダース氏を「経済的格差などに光を当て、若者を政治プロセスに参画させた」と評価した。
 オバマ氏はさらに「クリントン氏とサンダース氏は予備選ではライバルだったが、2人とも米国を愛し、米国の将来の展望を共有している」と党内の団結の必要性を強調。15日にウィスコンシン州で開かれるクリントン氏の選挙集会に初めて参加し、民主党の指名候補となるクリントン氏への支持を呼びかける。
 ウォール街批判を繰り返し、クリントン氏と距離を置いてきたリベラル派のウォーレン上院議員も9日の演説でトランプ氏を「怒りっぽく、人種差別をして威張り散らす」と批判。「打倒トランプ」で足並みをそろえた形だ。(ワシントン=佐藤武嗣)  ≫(朝日新聞デジタル)


 ≪ 米大統領選で右も左も大混乱なわけ
 アメリカ大統領選はヒラリー・クリントンが民主党の候補者に指名されることが確実となり、11月の本戦で共和党候補のドナルド・トランプと大統領の座をかけて争うことが事実上決まった。
 それにしてもアメリカの政治は前代未聞の異常事態に陥っている。共和党では政治経験など皆無の不動産王が、暴言を繰り返しながら、名だたる党のエ スタブリッシュメント候補を完膚なきまでに打ち破ってしまった。もう一方の民主党も、知名度も経歴も非の打ち所の無いと思われた大本命が、民主社会主義者を自任し、昨日まで民主党員でもなかった老政治家に、ぎりぎりのところまで追い込まれた。これまでアメリカの政治を担ってきた二大政党が同時に、崩壊の縁に立たされているといっても過言ではない。

 ■アメリカに何が起きているのか。
 アメリカの思想史を長年ウォッチしてきたジャーナリストで青山学院大学教授の会田弘継氏は、トランプやサンダース躍進の背景にアメリカ社会に鬱積 した不満や不安の存在を指摘する。グローバル化が進む中でアメリカの豊かさの代名詞だった「分厚い中間層」が崩壊し、その多くは、低所得層へと没落した。 彼らの多くは既存の政治勢力に強い絶望感を抱いている。中でもプアホワイトと呼ばれる白人の低所得層は怒りの矛先を移民や少数民族に仕向けるトランプの支持に回り、多額の学費ローンを抱え、満足な仕事に就くことができない若者は、ウォールストリートや富裕層批判を強めるサンダースの下に参集した。そうした政治的変動が、今回の大統領選挙の予備選で既成政党に対する反発と反体制派候補への支持という形で顕著になったのだという。
 元々アメリカでは伝統的に共和党は保守陣営をまとめ上げ、民主党がリベラル層を束ねることで、長年にわたり二大政党制を維持してきた。しかし、ア メリカではもはや保守派が社会を保守できず、リベラル派は再分配を通じた公平の実現が困難になっている。そしてそれは、決してアメリカに限ったことではない。
 アメリカの大統領選挙の異常事態は、保守とリベラルという従来の政治的な棲み分けが、世界的に困難になっていることの反映と見ることができる。安 定的な経済成長が期待できることを前提に、分厚い中間層に支えられた政治環境の下で、保守とリベラルの間でチェック・アンド・バランスを繰り返してきた民主主義体制そのものが、成り立たなくなっているのだ。
 アメリカの大統領選で表面化した政治的な混乱は何を意味しているのか。保守とリベラルという伝統的な仕分けが成り立たなくなった世界で、何が新た な対立軸となり得るのか。大統領選におけるトランプ、サンダース躍進から見えてくる世界の新たな政治的潮流の正体を、ゲストの会田弘継氏とともに、ジャー ナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
≫(ビデオニュースドットコム:マル激トーク・オン・ディマンド 第792回(2016年6月11日・ゲストー会田弘継氏(青山学院大学教授・ジャーナリスト)

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●2016年6月現在 世界の情勢分析と米権力の空白

2016年06月11日 | 日記
変貌する自民党の正体 (ベスト新書)
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●2016年6月現在 世界の情勢分析と米権力の空白

国会が閉会してしまうと、マスメディアの電通揉み手報道とNHK等々低俗報道ニュースの影響が強くなる。東京周辺では、舛添事件で一日が暮れてゆく。スプートニクがロシア艦隊のみすぼらしいさを、公表することで、安倍の興奮が、から騒ぎだったと、早々にバレタのは良いことだった。仮に、提灯軍事行動に出たとすれば、中国海軍の安倍政権へのオチョクリと認定して間違いがない。

ただ、ロシア国境に集結しているNATO軍が、米大統領の権力の空白を利用して、NATO軍(実質米軍の下請け、ネオコンの影響力が強い)の命令系統が齟齬を起こした形を取って、ロシアに茶々を入れてくるリスクは燻っている。中国は、経済的にも、特段暴れる必要はないわけで、ヨタヨタの成長でも、いずれは世界一。しかし、ロシアは違う。中国との親密度はあるものの、両手で握手するところまでは至っていない。つまり、米軍、NATO軍と面と向き合う気はない。金持ち喧嘩せずの態度が、本質的にはあるので、アメリカとも、ぶつかることは忌避する点だけは一致している。

しかし、日本安倍政権如きに、G7議長国気取りで生意気言わせてはおけない。ひと騒動起こしてやれ、と云うのが現状だろう。米軍が動くわけはないのだから。中国に比して、ロシアは金持ち喧嘩せずと云うわけにはいかない。ロシアと云う、嘗ての大国としてのメンツがある。軍事力も、核爆弾とミサイルの競技会になれば、米軍に、勝るとも劣らない自負がある。現実、ロシアのミサイルの方が、軍事技術として上位にランクされているので、おいそれと、NATO軍程度の力量ではおぼつかない。

おそらく、米大統領選は、ヒラリーが、サンダースの主張する99%の人々の為に、ウォール街一色の立ち位置を変える約束を交わさない限り、4年でオジャンの大統領になるので、手打ちをする。そうなると、とても、NATO軍を煽って、ロシアと対峙するチャンスは遠のく。それでは、共和党ネオコンや軍産複合企業は飯の食い上げになる。つまり、間隙をぬって、NATOとロシア軍に一戦交えさせたい力学が働く。ウクライナクーデターは膠着状態だが、米国もEUも、オバマ政権交代時に、何とか決着を図りたいのだが、現状は、ロシアの一人勝ちで、みっともなくて手が引けない。

しかし、ロシアは、国民的英雄の為に、自己犠牲を強いられることに慣れっ子な国民性があり、結束力も強く、ウォッカの所為かどうか別にしても、命を張ることに、行動美学さえ持っている。昔の新選組に似ている。或る意味で、武士道がロシアで生きている面もある。今の日本には当然そんなものはなくなった。精々、日清日露戦争当時の再来を願う、安倍晋三や日本会議レベルで、到底、武士道、新撰組には戻れない。中国は、民族バラバラ、団結力は実はゼロ。共産党一党独裁で、何とか纏めている。アメリカはどうだ。そりゃ無理でしょう。基本的に、移民国家なわけだし、知性と無知が剥き出しの戦いを演じている。

EUは、相当に風見鶏。英国などは、EU離脱の方が利巧じゃないの?そんな思考で、国が二分している。ユーロ圏も、ドイツ独り勝ちに、そろそろアンチテーゼな動きが鮮明になってきている。極右と極左の抬頭は、チェンジなどと云う優しいものではなく、アングリ―な方向に向かっている。それも、相当に具体的力として、公然と生まれている。アメリカもバタバタだ。弥縫策を繰り出すことで、一時の平穏はあるだろうが、4年以内にガラガラと音を立てだすだろう。ロシア系の情報が、こう云う時には意外にも重要だ。以下、これはと思った記事を参考引用しておく。日欧米の報道のバイアスよりも、ロシア系報道の方が、本音を語っている。この点では、佐藤優と同意見だ(笑)。


 ≪ スノーデン氏 日本での暮らしや日本人に対する監視について語る
 米中央情報局の元職員エドワード・スノーデン氏は、東京で開かれた現代社会における監視についてのシンポジウムにインターネット回線を通じて参加し、日本の住民一人ひとりが米国の潜在的な監視対象だと述べた。ジャパンタイムズが報じた。
 スノーデン氏は、「彼らは、皆さんの信仰、皆さんが誰を愛しているのか、誰に気を配っているのかを知っています。私の仕事は、あらゆる人間の人生の状況を描き出すことでした」と語った。 スノーデン氏は、2009年から2011年まで米軍横田基地で暮らし、大手コンピューター会社デルの職員として米国家安全保障局(NSA)のための仕事を行なっていた。
 米国による情報収集活動などを暴露したスノーデン氏によると、NSAは、あらゆるユーザーの電話やコンピューターから合法的に情報収集を行なっている。
 またスノーデン氏は、プライバシーの問題への市民の関心度が薄いことや、政府に対する市民のコントロールが弱いことが、いま日本の前に立ちはだかる深刻な問題だと述べた。 


≪ 独副首相、ロシアを早くG8に戻すよう呼びかけ
  ガブリエル独首相は Russlandkontrovers.de からのインタビューに、「ロシアは重要なグローバル・プレーヤーであり、単なる地域的なパワーではない。だからこそ私はこのグループにロシアを戻し、G7 を再度G8に戻そうと呼びかける」と答えている。この声明はサイト上の独露フォーラムに掲載された。
  ガブリエル副首相はロシアと独の経済パートナーシップの重要性を強調し、この関係は今ある問題や意見の相違を抜きにして支援、拡大していかねばならないと語った。
  ガブリエル副首相のこのインタビューはメルケル首相が対露制裁解除を語るのは時期尚早と語ったわずが数日後に発表されている。  


≪ フランス上院 対ロシア制裁解除決議を採択
 フランス議会上院は、賛成多数で、対ロシア制裁体制緩和に向けたアピールを伴う決議を採択した。 投票では、賛成302、反対は16票だった。
  この決議は、勧告的な性格を持ったものに過ぎないが、草案者達は、フランス政府に対し、ブリュッセルでの制裁問題討議の際、ウクライナ問題調整に関するミンスク合意遂行の度合いに従って、制裁体制の段階 緩和を主張するよう強く求めている。
 また両国間の対話を容易にするため、ロシアの国会議員達に対する個人的な制裁も解除すべきだとしている。 ≫(以上3記事、SPUTNIK)


≪ グローバルな世界の不安 (ゴルバチョフ)
2016年4月21日 ミハイル・ゴルバチョフ, ロシアNOWへの特別寄稿
 今日の世界はなぜ混沌としていて、不公正で、軍事主義化しているのだろうか。世界的な東西の対立が終わり、新技術の可能性がかつてないほど高まれば、世界に新しい息吹がもたらされ、ひとりひとりの生活が向上するのではなかったのか。現実はそうはならなかった。


   

 これは簡単には説明がつかない。「『冷戦』で西側が勝利した」と宣言し、新しく対等な安全保障システムを構築することを拒んだ人々には、今の世界 の状態に対する責任がある。だが、それだけではない。「新しいグローバルな世界」はいまだに、完全には理解されておらず、かみこなされていない。新世界は、新しい行動の規範、別の道徳を必要とするが、世界の指導者たちはここまで「手がまわらない」ようだ。
 これが今日の「グローバルな動乱」の主な原因である。

 ■指導力の危機
 世界の問題には対応可能であり、そのメカニズムすなわち国連やG20(主要20ヶ国・地域)もある。だがこれらの活動がうまくいっていると言う人はいないであろう。常に出遅れ、また遅い。
 リーダーシップの危機は顕著である。政治家は、「消火」活動、危機や紛争の対応に追われている。  議論の余地などない。解決しなければいけないのだ。ここ数週間でいくつかの前進があった。
 シリア和平協議が行われている。今のところ、アメリカとロシアを筆頭とする外国の出席者の方が多いが。これは、ロシアと欧米の関係の緊張も幾分やわらげた。 ウクライナ情勢の解決には進展がない。今の解決機構(ミンスク和平協議、ノルマンディー4者協議)はうまく機能していない。これらには補完が必要で、作業を刺激しなければならない。国連安保理の協議、または他のロシアとアメリカが加わるメカニズムを通じても良い。
 ウクライナ情勢を、ヨーロッパや世界を混乱させる腫物のままにしておいてはならない。もう一つの「凍結された紛争」にヨーロッパは耐えられなくなるかもしれない。改めて、オバマ大統領とプーチン大統領に、会って、続くウクライナ情勢について話し合うよう呼びかけたい。

 ■さらなる課題
 現在の緊迫した危機の打開は、はるかに難しい課題を解決するすなわちグローバルな世界の生き方を学ぶための最初の一歩にすぎない。
★人類のグローバルな問題とは、
・ 大量破壊兵器、世界政治の軍事主義化
・ 人類の大部分の貧困と発展の遅れ
・ 環境問題、気候変動
・ テロ
 さらに、大量の移民、外国人嫌悪、宗教的不寛容、異なる文明の共存問題がある。
 これらの課題のどれも、力によって解決することはできない。協調こそが広く確立された原則のように思える。だが今のところ、バラバラで、団結できていない。
 この主な責任を担っているのが、国家とその指導者である。他のグローバルなプロセスの参加者すなわち市民団体、経済界、学界、宗教グループもあらわれた。国家、その指導者、多国籍組織の役割と責任には、決定力がともなっていなければならないのである。

 ■政治とモラル
 国家の関係は、国際法だけでなく、人類共通の倫理の原則にもとづいた行動規範によって整備されなければならない。
 これらの決まりは、治安悪化や情勢不安の際の、自制、すべての当事者の利益への配慮、協議、仲介も定めていなければならない。ウクライナやシリアの問題で、直接的な当事者や外国がこのような行動規範にしたがっていたら、危機は回避できた可能性がある。
 倫理規定はマスコミにも必要である。熱く駆り立て、情報環境を汚すことが多い。紛争の防止や終結を促すどころか、実際には煽りに参加している。
 世界の課題を更新し、倫理と政治をつなげ、グローバルな世界でのふるまいを定めるということに、国家と世界の人々の意識を集中させることが大切である。

 ■ロシアの役割
 世界政治の危機の打開において、ロシアの役割は重要でプラスになる可能性があり、そうであると思う。欧米はロシアを孤立させる試みを、そろそろ放棄すべきである。この試みは成果をもたらしていない。「個人に対する制裁」であればなおさらで、最初にやめなければならない。このままでは対話が行えず、信頼回復のチャンスも生まれない。新たな「冷戦」では、誰もが敗戦する。
 感情を抑え、プロパガンダの行き過ぎを是正する必要がある。主要国の現在の指導者世代にはクレームをつけられる。だが、これまでと同様、歴史において重要な地位を占めることのできるチャンスもある。このチャンスをいかさなかったら、大きな過ちになるであろう。 要約論文翻訳 ミハイル・ゴルバチョフ、ソ連最後の共産党書記長    


 ≪ ウクライナ当局、ゴルバチョフ氏の入国を禁じる
2016年5月26日 タス通信
 ウクライナ保安庁は、元ソ連邦大統領ミハイル・ゴルバチョフ氏の入国を5年間にわたり禁止した。同庁がツイッターで発表した。  「クリミア併合を公に支持したことにより、ミハイル・ゴルバチョフ氏は5年間にわたり、ウクライナへの入国を拒否される」とのこと。  ゴルバチョフ氏は22日公開されたサンデータイムズ紙アプリ版のインタビューで、自分が同じ状況に置かれた場合、クリミアについてはプーチン大統領と同じように行動しただろう、と述べた。 ≫(以上、2記事ロシアNOW)

リベラリズムの系譜でみる 日本国憲法の価値 (朝日新書)
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●まともな外交もせずに慌てるな! 自意識過剰が米中の思う壺

2016年06月10日 | 日記
移民大国アメリカ (ちくま新書)
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●まともな外交もせずに慌てるな! 自意識過剰が米中の思う壺

昨日に日本は、「中国海軍が、尖閣周辺の接続水域に入った!」と「舛添都知事、自民も見限りか?」、概ねこの二つの出来事で、ニュースは満杯だった。そうそう、何が嬉しいのか判らないが、米大統領選で民主党候補にヒラリー・クリントンが選ばれたことも歓んでいるようだ。正直、筆者の感想は、どれも日本の将来に、大きな影響を及ぼす問題とは考えていない。舛添なんてのは、都知事に選ん時点でミスジャッジがあり、都民の鈍重さが判明しただけのことで、今さら騙されたと言う前に、自らの選択眼が誤っていた事を恥ずべきが、日本の恥の文化である。デバ剥げを責めれば責めるほど、己の愚かさに塩を塗り込んでいる愚民たちである。

実姉が、どれ程愚劣な兄弟姉妹であっても、生活保護を受けていた、九州の某市から、舛添に1万円で良いから、生活補填してやってくれと頼まれても、頑として拒否したような男に都知事が務まるわけがない。生活補填を頼まれた時点の断る理由は「私も金がない」だったそうだ。ちなみに、その当時、舛添は数千万の年収があった時期と重なる。まあ、このような素性賤しき男であることは、都知事立候補以前から判っていた事で、選挙で勝てそうだから、その一点で、候補者を選び、選択眼のない愚民に民主主義を与えてしまえば、こう云うことが起きて当然。理に適っている。まあ、舛添問題はこれ以上言及は止めておく。

次にヒラリーが米大統領選民主党候補に決まったようだが、サンダースは「敗北宣言」はしていない。今までのアメリカであれば、この粘りに対して、「潔くない」と非難の声が上がるところだが、マスメディアも、民主党幹部も、何も語らず傍観している。「国際社会」と云う言葉を多用する、安倍にしろ、その他もろもろのステレオ評論家も、「国際社会」とは何ぞや?と聞かれ、まっとうに応える能力はないだろう。しかも、その「国際社会」だと云う、アメリカで常識が覆されている現実から目を背け、願望的予想しかできない奴らだらけではない。オバマが、サンダース議員と会談を持つらしいが、余程のことである。アメリカの共和党は壊れたのだ。民主党も、実質半壊している証左なのだ。

このような問題が、それこそ曖昧だが何となく日欧米陣営を「国際社会」と呼びたがる馬鹿どもの知恵遅れ度なのである。何でもかんでも、変らないこと。そのままそのまま、馬鹿じゃないのか、変りたくなくても変わっているんだよ。ガンガン、音を立てて世界は変っている。そんな曰くつきの「国際社会」が普遍的価値?キチガイだろう?そんなことが平気で言えるのは、外務官僚や今井秘書官と安倍晋三くらいだろう。彼らは、自己都合で、起きている出来事は見ないのだ。都合の悪いことは見てみぬ振りし、都合の良いことは、鬼の首を高らかと差し上げ吹聴して回る。舛添もゲスだが、安倍官邸内も、その周辺もゲスと云うことだ。

だいたいが、2030年には痩せても枯れても、世界一の経済大国になってしまう中国にソッポを向いたまま、アメリカに尻尾をふり続ける外交姿勢そのものが国際社会の動きにツンボ桟敷な、外務省アメリカンスクールであり、右巻き阿呆の安倍官邸と日本会議君と云うことだ。良いかい、中国の経済力は、成長率が落ちたと言っても6%はある。尚且つ、日本の何倍ものパイにおいての6%だからね、GDP600兆なんて法螺つき呼ばわりされるようなものとはケタが違う。まして、軍事費は天井知らずで、近代化に驀進中だ。方やアメリカはどうなる?軍事費増大などあり得ない。以下に軍事費を削減するかで政府内がギクシャクしているのがグローバル経済で息を吹き返し、再び終焉しようとしているアメリカなのだ。

無論、一気呵成に、中国がアメリカの軍事力を凌駕するかと言えば、そう云うことはない。ただ、アメリカが世界のヤクザだか、警察官だかをやめようと強く決心せざるを得ない諸問題を抱え、現状既にアメリカ合衆国が、変質しようともがいているわけだから、自発的に専守防衛主体の軍隊にならざるを得なくなると云うリスクを孕んでいる。それでも、核を有し、高性能ミサイルを持っているのだから、防衛軍事力は充分だと云う思考経路になる可能性は大いにある。その時、その削減された軍事力を、日韓豪で補おうとした場合、日本に圧し掛かる経済的負担は半端ではない。おそらく、年間15兆円を下ることはなくなる。

日米同盟を破棄した場合のコスト計算だと、ザックリ勘定しても23兆円以上になるようだ。アメリカが全面撤退しないとしても、穴埋めの日本は10兆円以上の軍事出費が必要になる。安倍が、いくら「日米同盟命」と背中に彫り物をしても、アメリカは自己都合で軍事同盟に割く、軍事力を削減することは、今のアメリカの変化を見ていれば、想定内の出来事である。社会保障費の総額が110兆円なのだから、最低でも、社会保障の給付額を1割削減せざるを得ない。その国家予算の出費は、いつ必要になるかも判らないものを準備するために費やすわけで、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」の対応に社会保障1割全面カット?国民が納得すのかな?一円でも生活が豊かになれば良いと言っている国民が7割方の国家で、この想定は相当に難がある。

永遠にアメリカが世界のなんたらをすると保証でもあるなら別だが、そんなものは、現状の流れから考え難い。では、いつ起きるかどうかも判らない仮想敵国に為に、国民を納得させられるのか。絶対に出来なので、憲法改正、先ずは緊急事態条項からとなるのだろうが、これじゃ北朝鮮を笑っていられない国になると云うことだ。日本会議の人々、それを望んでいるようだが、一般ピープルは御免蒙ると拒否するに違いない。こう云う時に、国民を黙らせるのが恐怖政治であり、ファシズムと云うことだ。それしか手段が残されないのだから。

そんな時になって、急に、中国と平和外交しろよ、と言っても、もう遅い。中国にとって、日本など、実際問題はどうでも良いのだろう。見ているのは、アメリカやインド、ロシアだろう。ただ、あまり赤裸々に良い気になって、アメリカ軍の片棒を担ぐのであれば、茶々を入れてやれ。まあ、残念だが、そういう国力の違いは歴然だ。核兵器を保有していたとしても、13億人強の中国の十分の一の1億何千人で、勝負あっただ。人口密度においても、日本336人/km2に対して、中国は140人 /km2。国土は日本が377,915 km2に対して、中国は9,596,961 km2。考えるだけ無駄と云うものだ。

このような理屈を言うと、「敗北主義だ~~!」となるのが、ネトウヨや日本会議だろう。まったく敗北などしていない、計量できる比較論と軍事力は相関があるが、価値観と云うものに規模は関係がないのだ。日清日露戦争に勝利した美酒の酔いが抜けていない奴らがいる。その上に、敗北でアメリカの金魚の糞になりたがる奴らがいる。こんな民度で、国家主義とか、中国と張り合うなど、屁理屈にすらなっていない。日米同盟が消滅しないことを祈りつつ、中国との外交に力点を置くのが論理的に正解だ。「アンタの邪魔はしないから、俺たちにも構わないで」そういう勝敗のつかない落としどころを模索するのが、政治である。

正直、日本と云う国に、特別魅力があるわけではない。卑下するつもりはない毛頭ないが、日本の価値と云うものは、経済や軍事で表すべきものではない。ここが肝心なのだ。経済や軍事で勝とう、一等国でいたい、それが誤った目標なのだ。この目標を掲げる限り、日本の勝利は訪れない。現存する日本人が、このことに気づくのは無理なのだろう。軍事か経済での価値しか知らないのが、維新後の日本と云う国だ。「文化」なのだよ。日本文化を研ぎ澄ました時、それこそ、正真正銘の「国際社会」が日本を再認識する時なのだ。その推移まで書くには時間がなさ過ぎる。昨日、目についた記事を参考引用しておく。


≪ 日本 紛争に最も関与していない国トップ10入り
 2016年の世界平和度指数によると、世界の安全保障レベルは低下しており、紛争に全く関与していないと考えられる国はわずか10カ国しかない。
 中東情勢の悪化、移民・難民問題の未解決、テロによる死者数の増加などが、世界平和度指数悪化の原因となった。英インディペンデント紙が報じた。
 10年前から世界平和度指数を発表している経済平和研究所によると、内部紛争にも外部紛争にも全く関与していない国は、ボツワナ、チリ、コスタリカ、日本、モーリシャス、パナマ、カタール、スイス、ウルグアイ、ベトナム。
なお世界で最も平和な国は今回もアイスランドで、最も平和でない国はシリアだった。 約80カ国が以前よりも安全となり、79カ国の情勢が悪化した。  ≫(ロシア:SPUTNIK)

 ≪ 中国軍艦、初めて尖閣沖の接続水域に ロシア駆逐艦も
政府は9日、同日午前0時50分ごろ、尖閣諸島北東の接続水域に中国海軍の艦艇が入ったと発表した。防衛省によると、中国海軍が、尖閣周辺の接続水域に入ったのを確認したのは初めて。政府は首相官邸の危機管理センターに「中国海軍艦艇の動向に関する情報連絡室」を置いた。 防衛省によると、中国海軍のジャンカイⅠ級フリゲート艦(3963トン)1隻が尖閣諸島久場島北東に位置する、領海外側の接続水域内に入ったのを、海上自衛隊の護衛艦「せとぎり」が確認。せとぎりが警戒監視する中、フリゲート艦は午前3時10分ごろ、大正島北北西から接続水域を離れ、北に向かった。領海侵入はなかった。
 外務省は午前2時ごろ、斎木昭隆外務事務次官が程永華(チョンヨンホワ)駐日中国大使を外務省に呼び、約20分間、重大な懸念を表明して抗議するとともに、接続水域から直ちに出るよう求めた。午前1時15分ごろには、石兼公博アジア大洋州局長も劉少賓在日中国大使館次席公使に対し、電話で同様の抗議を行った。また在北京日本大使館も、中国外務省に対して電話で抗議した。
 安倍晋三首相は①不測の事態に備え関係省庁が緊密に連携して対処②米国をはじめ関係諸国と緊密に連携を図る③警戒監視に全力を尽くす――を指示した。
 菅義偉官房長官は9日午前の会見で、「尖閣諸島は歴史的にも国際法的にも我が国固有の領土だ。中国に対し、米国をはじめとする国際社会と連携して、このような緊張を一方的に高める行為は行わないよう強く求めていきたい」と述べた。
 防衛省によると、中谷元・防衛相は9日、滞在先のシンガポールで「深刻に懸念すべきことと受け止める。中国海軍の動向に一層注視したい」と語った。中国は南シナ海での軍事拠点化を進めているが、今回の行動の意図について「(中国は)領有権に関する独自の主張に基づき、一切妥協をすることがない姿勢を内外に誇示する狙いがあった可能性が考えられる」と指摘した。
 さらに、同省によると、8日午後9時50分ごろ、ロシア海軍の駆逐艦や補給艦など3隻が、尖閣諸島の久場島と大正島の間の接続水域に入り、北に向かい航行しているのを、海上自衛隊の護衛艦「はたかぜ」が確認した。9日午前3時5分ごろに接続水域を離れた。
 菅長官は会見で、ロシアに対して「外交ルートを通じ必要な注意喚起を行った」。ただ、斎木外務次官は同日朝、記者団に「ロシア軍艦がなぜあの時間にあの海域にいたのか、推測を述べることは控えたい。ロシアは(尖閣諸島の領有権を主張)していない。中国とは区別して対応していく」と述べ、抗議ではないとの認識を示した。自衛隊幹部は「中国海軍がロシア海軍に対応した可能性がある」との見立てを語った。
 尖閣諸島周辺では、2012年に当時の民主党政権が尖閣諸島を国有化した直後から、中国公船が断続的に領海侵入を繰り返し、接続水域での航行が常態化している。中国軍については、昨年11月に情報収集艦が尖閣諸島に近い公海上で活動しているのが初めて確認されたが、接続水域に入ることはなかった。  ≫(朝日新聞デジタル)


≪ 中国軍艦の尖閣航行、軍事衝突の危険性は? 識者に聞く
 中国海軍の軍艦が、尖閣諸島周辺の接続水域に初めて入った。その背景や今後の対応について、識者に聞いた。
■領海侵入で軍事衝突の危険性も
《香田洋二・元自衛艦隊司令官の話》
 中国海軍の軍艦は、日本の接続水域には入ったものの領海には侵入しなかった。領海に入った場合は、偶発的に日中の軍事衝突が発生する危険性もあった。中国はぎりぎりのラインで踏みとどまったともいえるが、今後、中国軍への警戒を一層強める必要がある。7日には東シナ海上空を飛行中の米軍偵察機に中国軍の戦闘機が接近したばかりだ。
 南シナ海で領有権を争うフィリピンが提訴した仲裁裁判所の判決も近く出される。南シナ海をめぐる海洋進出への批判が高まる中、中国はあえて東シナ海で軍艦を使って新しい動きを作り出し、国際社会の関心をそらそうとしたのではないか。今回の接続水域への航行は、中国の孤立感が深まっているがゆえの一連の動きとして考えるべきだ。(聞き手・安倍龍太郎)   
   ◇
■国際社会の批判を牽制か  《諏訪一幸・静岡県立大教授(現代中国論)の話》 
中国共産党機関紙の人民日報を見ても、最近の中国は海洋問題をめぐる国際社会の批判に神経質になっていることがうかがえる。特に主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)で日米が中心となり、海洋進出を批判したことが大きい。
 包囲網が築かれていると感じた中国が牽制(けんせい)に出たのだろう。特に尖閣諸島については自国の領土と主張しており、批判される筋合いはないと考えているはずだ。海警局所属の公船「海警」ではなく、軍艦を使ったのもそのためとみられる。今後も同様の行動で挑発し、日本の出方を探る可能性がある。日本は毅然(きぜん)とした対応をすべきだ。
 ただ、程永華(チョンヨンホワ)・駐日中国大使は午前2時の呼び出しにもかかわらず、外務省の抗議に応じた。中国内部にも事を荒立てたくないという気持ちがあるのだろう。  ≫(朝日新聞デジタル)


 ≪ ロシア、北方領土交渉のハードル高める  中国との「反日」連携示唆で恫喝  
【モスクワ=遠藤良介】ロシアが海軍艦艇を中国艦と同時間帯に尖閣接続水域で航行させた背景には、中国との対日連携の構えを見せ、北方領土交渉の ハードルを高めておく狙いがあったと考えられる。ロシアは従来、尖閣諸島に絡む問題は「日中両国で解決するべきだ」と距離を置く見解を示してきた。日本の 安倍政権がロシアとの平和条約締結に意欲を見せる中、ロシアは恫喝(どうかつ)的行動で北方領土問題をめぐる日本の「譲歩」を迫っている構図だ。
  安倍晋三首相は5月、プーチン露大統領と会談し、北方領土交渉を「新たなアプローチ」で進めるとしたほか、8項目の経済協力案を示した。今回の問題は、経 団連の日本ロシア経済委員会代表団が6月8日から訪露して経済案件を協議し、月内に日露外務次官級協議が予定されている状況で発生した。露政府からの公式 反応は出ていない。
 プーチン政権はウクライナ介入で欧米から制裁を科されており、中国などアジア諸国に経済関係の重心を移す「東方重視戦 略」も成果に乏しい。日本の提案した「経済協力」は政権にとって願ったりかなったりだ。その半面、国内情勢からも、プーチン政権が領土問題で日本に「弱 腰」を見せられる状況にはない。 中露両国は2010年以降の首脳会談で、第2次大戦に関する対日史観を共有し、主権や領土保全など「核心的利益」にかかわる問題で協力することを確 認してきた。ロシアは、領土絡みで中韓露の3国が“対日共闘”するのを日本が警戒していることを見越し、尖閣をめぐる中国との連携姿勢をちらつかせてい る。
 プーチン政権は北方領土の国後、択捉両島で大規模な軍事インフラ整備を進めており、千島列島のマトゥア島(松輪島)でも海軍基地の建設を準備している。 ≫(産経新聞)


 ≪ ロシア人専門家、尖閣で露中の船が同時出現は偶然の産物
【 日本は、日中間の係争水域である尖閣諸島付近の水域にロシアと中国の艦艇が通過している状況について、ロシア側に「注意を喚起する」よう要請。防衛省の調べでは中国のフリゲート艦は尖閣諸島付近に2時間にわたって留まったものの、日本が自国水域だと主張しているゾーンには立ち入らなかった。この他、中国のフリゲート艦隊とともにロシアの艦艇数隻も尖閣諸島に接する中立水域にいたことがわかっている。これについてロシア人軍事専門家のヴァシーリー・カーシン氏は次のような考察をあらわしている。】
 「尖閣諸島という係争水域に同時に中国のフリゲート艦とロシア太平洋艦隊の3隻の船隊が航行した事実は日本国内に政治的な反応を呼び、この2国はそろって日本に反対することを示したという論議を呼んでしまった。ロシアと中国は今に至るまで、日本との係争水域でのそれぞれのポジションを通報しあってきてはいない。もう数十年も変わらないこうした基本的アプローチはどう変化しても、 地域の政治により大きな影響を与えるはずだ。
 事件を正しく理解するためにはまず、ロシアのどういった船が諸島付近に入ったかに注意を払う必要がある。西側のマスコミは「軍艦3隻」と書きたてたが、これは事実に反している。ロシアの船団のうち軍艦は対潜艦「アドミラル・ヴィノグラードフ」プロジェクト1155、1隻だけで、他はそれに随伴するタンカー 「イルクート」とタグボート「フォーチイ・クルィロフ」だった。
 なぜロシアの船団がこの海域にいたのか?
 現時点までに出された発表を見ると、船団は国際演習に参加し、東南アジア諸国に立ち寄る遠洋航海から太平 洋艦隊基地に戻る途中だった。ロシアは外国のように補給や修理のための発達した軍事基地網がないことから、これだけの遠洋航海ともなると貨物補給と救難用にタグボートを引き連れている。
 この船団が軍事ミッションで太平洋へと漕ぎ出したのは3月28日にさかのぼる。4月にはインドネシアを訪れ、国際演習「コモド2016」に参加し、 5月にもさらにアジア太平洋地域の30カ国が参加する多方面的な対テロ演習『ADMMプラス-2016』に参加したほか、シンガポール、ブルネイで表敬訪問を行っている。
 この船団はミッションを終えて帰路についているところなのだが、全行程で船は軍事外交ミッション、演習課題を遂行しており、その中で唯一の軍艦は老 朽化している。ロシアの船団は係争諸島の水域を一切侵犯していないにもかかわらず、もう少しでこの地域の軍事外交情勢に影響を及ぼすところだった。
 露日関係は最近改善しており、最高レベルでの会談も成立して経済分野の巨大なプロジェクトも討議され、平和条約締結問題でも解決への進展に希望の光 がさしてきている。この地域に同時に露中の船団が現れたのはおそらく偶然の一致だろう。ただしこのことは、露中日の軍部間でもより効果的な通報メカニズムを作らねばならないのではないかということを再度、思い起こさせた一件だった。」
≫(ロシア:SPUTNIK)


日本で老いて死ぬということ―2025年、老人「医療・介護」崩壊で何が起こるか
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●岡田、一度くらい世間を“アッ!”と言わせてみたくないのか!

2016年06月09日 | 日記
自民党ひとり良識派 (講談社現代新書)
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●岡田、一度くらい世間を“アッ!”と言わせてみたくないのか!

野党連合の参議院選の“一人区対策”は、方向が明確になり、安倍自公与党の独走状態に歯止めが効いたことは点は、この際、一定の評価をしておこう。この話にも乗らないようでは、民進党なんて政党があったよなと、過去形で語られる寸前、崖っぷちで止まったと云えるだろう。しかし、これだけで、国家主義的政治家や政党。霞が関官僚組織、経済界、マスメディアを敵に回している事を忘れてはいけない。つまり、こんな程度では、まだまだ、有権者に本気度を見せたとは断言できない。

次にすべき岡田の仕事と、つまり決断は、「野党統一名簿」にまで選挙協力が及ぶかどうかと云う問題に煮詰まってきている。「連合」は自前候補の当選が危うくなっているので、本音と建て前を切り離す戦略に出てきている。折角だから、利用すりゃ良いじゃないか。連合は共産党なんて、と言いながら、共産党票をあてにしているのだから、厚顔無恥な連中だが、汚い政治勢力闘争なら、敵の敵は味方も可なりである。岡田くらい、清濁併せ呑めない政治人生を送っている男も稀だ。個人的には、その不器用さをリスペクトしてやるが、今回の「野党統一名簿」に足を伸ばせないようだと、不器用の能無しに認定したくなるぞ。

世間の空気を感じないのか。選択肢がないゆえに、消去法で自民党を選んでしまう、愚鈍で無気力な有権者の目を覚まさせることが可能な状況が目の前にあるではないか。決断の時だ。一生後悔することにならないためにも、「毒を食らわば皿まで」の蛮勇を発揮すべき時なのだ。考えてみよ、ある行為を決断して実行した場合、結果が敗北であっても、達成感は残る。しかし、中途半端な決断(半分決断)をして、敗北した場合、残るのは「後悔」だけじゃないか。政治信条等々色々あるだろうが、ウッカリすると、自公与党を逆上させるくらいの結果を産むかもしれないのだ。

日本政治の中興の祖になれる大チャンスじゃないか。小沢一郎が、矢玉に射抜かれ、瀕死の重傷を負いながら、君に功績を上げさせようとしているではないか。共産党の志位も、党内の軋轢を必死で抑え、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」と云う姿勢を見せているのだ。政治に、精神論を持ち込む気はないが、人間として「意気に感ずる」行為をすべき、いや、決断すべき時である。その決断は、単に今夏の参議院選に限定する話ではないのだ。最長でも来年、再来年の衆議院選で、「政権政党」の復活できる可能性すらある。日本経済は、これからも悪くなる。米大統領選の結果いかんでは、日米関係も安倍ドクトリン(外務省アメリカンスクール)の好都合が吹っ飛ぶこともありの時代だ。

ただ、筆者は、前原、細野は飼い殺しで構わないが、民主党政権を「消費増税」で、束にして安倍晋三に売り渡した、野田佳彦と云うとこは許せない。世が世であれば、天誅に値する「日本の元凶」だ。先ほど民進党のHPを覗いたら、最高顧問に「野田佳彦 横路孝弘 江田五月」と書かれていた。野田佳彦が最高顧問」なのか!いや待てよ、横路と江田は政界引退を表明したはずだよな。物事には順番があるが、野田佳彦引退は、順番だろう!御引退と云う引導を渡すのも、岡田君、君の仕事だよ。それが実行出来たら、内閣総理大臣の目まで見えてくる。あの豚ヤロウを放逐せよ!

野党4党と市民連合による「政策合意」を大きく報じているメディアは、ギリギリの朝日新聞と本気の東京新聞だった。毎日新聞、読売新聞はベタ記事。産経新聞、日経新聞に至っては、何処に書いてあるかも判らない始末(笑)。 それとも、野党連合と市民の会は、安倍壁新聞の記者連中を呼ばなかったのかもしれない。まあ、それはそれで、見事な見識である(笑)。そのくらい、腹を決めて、野党連合を進めることが肝心だ。NHKには、市民を動員して、電話FAX戦術で、夜7時のニュースとニュースウォッチ9に呼び掛けても良いのではなかろうか?


≪ 野党4党と市民連合、政策合意 参院選で「安保法廃止」
 民進、共産、社民、生活の党と山本太郎となかまたちの野党4党の党首らは7日午前、学生団体のSEALDsメンバーや学者らでつくる団体「市民連合」と国会内で面会し、参院選に向けて安全保障関連法の廃止を掲げるよう要望を受け、合意した。
 野党4党が参院選1人区の32選挙区すべてで統一候補を擁立したことを受け、市民連合の呼びかけ人の山口二郎・法政大教授らが「政策要望書」を渡した。合意された要望書では、立憲主義の回復と憲法改正阻止を掲げ、参院選での改憲勢力による3分の2議席の獲得阻止を求めた。加えて「TPP合意に反対」や、「沖縄の民意を無視した辺野古新基地建設の中止」などを盛り込んだ。
 山口氏は「政策課題でも、市民と野党がともに戦う態勢を作ることが必要だ」と指摘。民進の岡田克也代表は「しっかり力を合わせ、頑張っていかなくてはならない」と応じた。
 市民連合は安保関連法に反対し、国会前で抗議してきた学生団体「SEALDs」や「学者の会」「ママの会」など5団体有志が中心となって昨年12月に結成され、参院選1人区での野党共闘を呼びかけてきた。  ≫(朝日新聞デジタル)


 ≪ 4野党と市民連合 参院選へ政策協定 安保法廃止など柱
民進、共産、社民、生活の野党四党は七日、参院選での野党共闘を呼び掛ける市民団体「安保法制の廃止と立憲主 義の回復を求める市民連合」との間で、七月の参院選に向けた政策協定を結んだ。安全保障関連法廃止や立憲主義の回復、改憲阻止などが柱。参院選での四野党 の共通政策の土台となる。市民との連携を進めることで、幅広く政権批判票を取り込む狙いもある。
 「市民連合」が政策要望を提出し、四党代表が署名。米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設に伴う名護市辺野古(への こ)への新基地建設反対、環太平洋連携協定(TPP)合意への反対、原発に依存しない社会の実現に向けた地域分散型エネルギーの推進なども盛り込まれた。  参院議員会館での調印式には、民進党の岡田克也代表や共産党の志位和夫委員長、社民党の又市征治幹事長、生活の党の小沢一郎代表が出席した。市民連合側からは山口二郎法政大教授らが出席した。
 署名後、民進党の岡田氏は「いよいよ参院選。しっかり力を合わせたい。国民の生活をどうやって守るか。昨年の安保法制、その前の(集団的自衛権の行使容認の)閣議決定を白紙に戻す闘いだ。憲法改悪を絶対阻止すると、正面から掲げていきたい」と述べた。
 共産党の志位氏は「三十二の一人区全てで、野党統一候補が実現した。勝つために今後、四野党と市民が本気で取り組みたい」と語った。
 市民連合は昨年十二月、五つの市民団体が母体となって結成された。五団体は、「立憲デモクラシーの会」「安全保障関連法に反対する学者の会」「安 保関連法に反対するママの会」「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員 会」。

◆市民連合と野党 4党の政策協定
・安全保障関連法の廃止と立憲主義の回復
・改憲の阻止
・公正で持続可能な社会と経済をつくるための機会の保障
・保育士の待遇の大幅改善
・最低賃金を(時給)1000円以上に引き上げ
・辺野古新基地建設の中止
・原発に依存しない社会の実現に向けた地域分散型エネルギーの推進
 ≫(東京新聞)

シルバー民主主義 - 高齢者優遇をどう克服するか (中公新書)
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●“あきらめ”に救われる安倍政権 「凡庸の悪」に加担するな!

2016年06月08日 | 日記
ハンナ・アーレント - 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書)
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●“あきらめ”に救われている安倍 「凡庸の悪」に加担するな!

日刊ゲンダイが「右翼なのか、保守なのか…今も50%「安倍支持派」の正体」と云う記事を書いている。たしかに、考えてみれば、日本人の半数以上が、「日本会議」の会員であるわけはないし、民主党の鳩山内閣の発足時の内閣支持率は“72%”達していたのだから、国民の半数以上が保守であるとか、右翼的思想に絡めとられていると云うこともないだろう。7年間で、世代がある程度は変っただろうが、劇的に変る要素とは思えない。先ずは、半分ヤケクソな気分で書いている日刊ゲンダイの記事を読んでいただこう。

≪ 右翼なのか、保守なのか…今も50%「安倍支持派」の正体
参院選を目前に、安倍内閣の支持率が軒並み上昇している。メディアによっては、50%台に乗せている世論調査結果もある。

 「では、極右政権に支持率を与えている50%の人が右翼なのか、保守なのかといえば、決してそういうわけではないでしょう。支持率アップの理由は伊勢志摩サミットと米オバマ大統領の広島訪問とされています。サミットでは世界経済危機をデッチ上げて天下に恥をさらしただけだし、オバマ大統領の広島訪問も内容は空虚なものでした。なのに、大メディアは大きな外交成果を挙げたように報じる。それで多くの人は、なんとなく仕事をしてそうなイメージに誘導されて、内閣支持率がハネ上がるという仕組みです。いわば大メディアの自作自演みたいなもので、多くの国民は、内心では安倍政権の戦前回帰路線に疑問や不安を感じているはずです。しかし、参院選の野党共闘に対して“民共”だの野合だのといった批判をメディアが垂れ流すから、野党の支持率は伸び悩み、ますます内閣に支持が集まる。たとえ消極的な支持であっても、この内閣に高い支持率を与えれば、国民の多くが反対する右翼政策をゴリ押しする力を与えることになる。原発再稼働や安保法がいい例です」(政治評論家・本澤二郎氏)

ここで登場するキーワードが「日本会議」だ。
 安倍の政策には、ことごとく日本会議の存在がついて回る。「美しい国」も、「日本人の誇りを取り戻す」も、 もともとは日本会議の理念である。集団的自衛権の行使解禁、憲法改正、愛国心教育、“自虐的”な歴史教育の是正、戦後レジームからの脱却――これらの政策 もすべて日本会議が提言してきたものだ。高支持率を維持する安倍政権の“黒幕”とされる右派組織への関心が高まっている。

 ■事実より「物語」を重要視
4月末に発売された「日本会議の研究」(扶桑社新書)は、発売前から重版が決定。たちまちベストセラーだが、著者の菅野完氏が3日付の本紙インタビューで語った真相は驚くべきものだ。日本会議は決して巨大な組織ではない。「中身は空っぽ」だというのである。
〈彼らは平気で資料を無視する。事実より「物語」を重要視する。「国家の誇り」が事実より大事だという〉
〈日本会議周辺の人々の意識には、“国家”しかない。その意味では彼らのよって立つところは、本来の右翼でも保守でも何でもない〉
〈日本会議が唱えている「改憲」「靖国参拝」「愛国教育」などは、非近代的で、思想的にも政治的にも目新しさがまったくありません。組織の中核を担っているのは70年安保の学生運動のときに左翼学生と戦った「右翼学生運動」のメンバーたちで、運動のモチベーションは突き詰めると「反左翼」「反戦後民主主義」に過ぎません。単に「壮大なる反対運動」に過ぎない。だから中身が空っぽなんです〉

  事実を直視せず、物語に酔いしれる情念の世界。そこに論理性はなく、彼らのよりどころは反左翼のみ。要するに新興宗教とネトウヨを掛け合わせたような集団なのだが、こういう人々に支えられ、戦前回帰路線を突き進んできたのが安倍政権だ。

「なんとなく保守」をなんとなく支持する思考停止
 菅野氏の著書によれば、日本会議の会員数は約3万8000人。改憲などをテーマにたびたび「1万人大会」を開催し、その都度きっちり事前予告通りの数字を出すという。この能力が選挙でも発揮されるため、政治家が群がり、全有権者の0.1%にも満たない人数の組織が政権の政策決定に大きく関与することになる。そこが空恐ろしい。
 ジャーナリストの青木理氏による「AERA」誌上の連載「安倍家三代世襲の果てに」は、安倍の大学時代の恩師で政治学者の宇野重昭氏の〈彼(安倍晋三)の保守主義は、本当の保守主義ではない〉という言葉を紹介していた。
 宇野氏は東大卒業後、外交官を経て成蹊大学法学部の教授に就任。法学部長から学長、成蹊学園専務理事まで務めた学園を代表する最高碩学である。母校の元トップが、教え子の安倍に対し、時おり涙を浮かべながら、こう訴えたというのだ。
〈彼は首相として、ここ2、3年に大変なことをしてしまったと思います。平和国家としての日本のありようを変え、危険な道に引っ張り込んでしまった〉
〈彼らの保守は『なんとなく保守』で、ナショナリズムばかりを押し出します〉
〈もっとまともな保守、健全な意味での保守になってほしい〉

 ■1億人の有権者が諦めたらオシマイ
 「野党が無力だし、大メディアが政権を批判しないから、国民が問題意識を持たず、漫然と支持を与えてしまっている。本来、参院選の争点は『憲法無視の安倍政治を放置していいのか』『民主主義と立憲主義が破壊されていいのか』ということに尽きるはずなのに、争点を経済にすり替えようという政権の思惑にメディアが加担している状況です。そういう報道に騙されて、安倍政権を“なんとなく”支持していれば、被害を被るのは当の国民なのです。冷静に考えれば、アベノ ミクスはデタラメで、負担ばかりが増え、生活は貧しくなる一方じゃないですか。沖縄県議選の結果を見れば分かるように、有権者がマジメに考えれば、こんな政権を支持できるはずがないのです。安倍首相は支持率さえあれば何をしても許されると考えている。参院選に勝てば、ますます独裁色を強めるでしょう。改憲勢力に3分の2の議席を与えれば、いよいよ日本会議の悲願である憲法改正です。戦争をする国になるのです」(本澤二郎氏=前出)

 日本の有権者数は1億人もいるのに、わずか3万8000人の日本会議が望む世の中になっていいのか。主権者である国民が政治への関心を失い、“誰が総理になっても変わらない”と斜に構えていたら、連中の思うツボだ。
 「誰がやっても同じと諦めるのは間違っています。そんなことは断じてない。政権トップの意向で経済政策は大きく変わるし、だからこそアベノミクスなどというインチキ政策がまかり通っているのです。安倍政権の経済政策を一言で表すと、日本の破壊活動です。このままでは、日本経済はメチャクチャに破壊されてし まう。国民生活を守るためには、こんな悪辣政権には一刻も早く退陣してもらうことが最大の経済対策なのです。それには選挙で引きずり降ろすしかありません」(経済アナリスト・菊池英博氏)

 1億人が投票に行けば、自公政権を支える組織票に勝ち目はない。過半数割れなら退陣だ。
 大企業優遇で新自由主義の安倍政権では一向に生活が良くならないのに、大メディアが垂れ流すムードに流されて安倍政権に支持を与える有権者は、思考停止に陥っているのではないか。日本人はお人好しというが、虐げられてなお、お上に従順な愚鈍さは罪作りなほどだ。そういう人々が安倍の暴挙を許し、政権を支え続けている。たとえ安倍政権を不支持でも、選挙に行かなければ悪政を容認していると同じこと。政権がおかしな方向に向かっていると思えば、参院選で意思表示するしかないのだ。AKB総選挙なんぞに気を取られている場合ではない。  ≫(日刊ゲンダイ6月7日付)


ゲンダイさんが、自分のことのように大変怒っています。有権者の愚鈍さは罪作りだとまで断罪している。筆者も内心、そのような考えにも至るのだが、“憲法改正など出来るわけがない”、“戦争が出来る国になるって言っても、何処と戦争するんだ”、“今さら、経済重視で、アメリカでさえ中国と戦う気がないのに、日本が中国と戦う?非現実的だよ”、“生活重視で経済政策して欲しいが、誰がやっても、糞詰まり日本、政権変えるだけ面倒だろう”、“野党にも、これといった目からウロコのような経済政策も見当たらない”、“行きつくところまで行けば、世の中変るさ”、“骨折り損のくたびれ儲けなんかしたくない”、“選挙に行くのも億劫だ”‥等、多くの有権者は、諦めの境地と云うのが正解だろう。

民主党への政権交代以降、有権者の多くは、政治に騙され続けた。鳩山内閣、菅内閣、野田内閣、安倍内閣。どれもこれも、大枠において、日本の中枢を変革する器量は見せられなかった。そして、愚鈍になりたくなるほど、実生活に疲れてきている。こうなると、成り行き任せ、思考停止、凡庸な国民になると云うのは、一定の法則通りなのだろう。この凡庸さが「凡庸の悪」になるかならないかは、おそらく時代が持つ“運命”なのだろう。以下は、お馴染みハンナ・アーレントの「凡庸の悪」に関する論考。致し方なしと考えるか、いや、だから考えなければならない、となるのか。筆者は有権者に、考え、単純に行動してほしい(投票に行くだけ)と思うのだが、現時点では、その風を感じない。円高と株下落が“国民に幸運を運ぶ”。なんとも切ない世の中になったものだ。

 以下の文中の言葉を引用してみると、
アーレントは、「悪の陳腐さ」という言葉で何を言おうとしていたのでしょうか。批判への応答のなかで、彼女は、「悪の表層性」を強調しています。悪は 「根源的」ではなく、深いものでも悪魔的なものでもなく、菌のように表面にはびこりわたるからこそ、全世界を廃墟にしうるのだ、と述べています。アーレントは、20世紀に起こった現代的な悪が、表層の現象であることの恐ろしさを、述べようとしたといえるでしょう。……「底知れない程度の低さ、ドブからうまれでた何か、およそ深さなどまったくない何か」が、ほとんどすべての人びとを支配する力を獲得する。それこそが、全体主義のおそるべき性質……≫
上記のアーレントのナチスが出来上がる過程の指摘なのだが、国家主義者の安倍首相や日本会議の人々の事を評論しているのではないかと、一瞬の錯覚に陥るのは、筆者だけだろうか?


≪ 視点・論点 「ハンナ・アーレントと"悪の凡庸さ"」
 今から50年ほど前の1960年代前半、ナチスの犯罪をめぐる裁判レポートが、大きな論争を引き起しました。これからお話しするのは、その裁判レポートの著者が何を語ろうとしたのか、ということについてです。 著者の名前はハンナ・アーレント。昨年、映画でも話題になったその人です。 1906年にドイツに生まれたユダヤ人女性で、政治哲学者です。彼女は、ヒトラーの反ユダヤ主義政策によって、ドイツから脱出せざるをえなくなり、 1933年にパリに亡命しました。しかし、第二次世界大戦によってフランスで生きることも危うくなり、アメリカ合衆国へと避難し、そこで1945年の終戦 を迎えます。
 ナチスの全体主義政権下では、ユダヤ人をはじめとする大量の人間が、強制収容所やガス室をともなう絶滅収容所で、生きる価値を奪われ意味なく殺戮される という事態が起こりました。人間を無用のものとするような言語道断の国家犯罪がなぜ起こったのか、どのようにして起こったのか。こうした問いが戦後のアーレントの思想の出発点でした。 彼女はこの「絶対の悪」と向き合い、1951年には『全体主義の起原』という大著を公刊しました。 
 アーレントは、戦後ドイツには戻らず、アメリカの大学で教えながらニューヨークで暮らしていました。1960年、あるニュースが彼女の心を揺さぶります。ナチスの官僚で、アルゼンチンに逃亡していたアドルフ・アイヒマンが、イスラエルの諜報機関によって逮捕されたというニュースでした。 アイヒマンは、ヨーロッパの各国から、ドイツ東部やポーランドにある収容所へと、ユダヤ人を移送する業務を統括していた、重要人物でした。前代未聞の犯罪を担った人間を、この目で見なければならないと強く感じたアーレントは、雑誌『ニューヨーカー』の特派員として、アイヒマン裁判を傍聴します。そして、裁判レポートを発表するのです。
 裁判レポートは、一九六三年二月から三月にかけて『ニューヨーカー』に連載され、五月には本として出版されました。タイトルは、「イェルサレムのアイヒマン―悪の陳腐さについての報告」というものでした。アーレントは、一人の報告者として、裁判が自分の目にはどう見えたかを語りました。しかし、彼女の見解は許されざるものとして、イスラエルやニューヨークのユダヤ人社会から、激しい非難と攻撃をうけることになりました。彼女は本を書いただけでしたが、猛烈な批判をうけ、それまで親しかったユダヤ人の友人をほとんど失いました。
 なぜそれほどの非難の嵐が起こったのか、主な論点をあげてみましょう。 問題の一つは、アーレントがユダヤ人組織のナチスへの協力にふれたことでした。アイヒマンが統括したユダヤ人移送業務において、効率的な移送のために必要な、一覧表の作成などを、ユダヤ人リーダーたちが行っていたということがありました。これはすでに他の歴史家によって指摘されていたことではありましたが、アーレントは総攻撃を浴びました。この問題は彼女の裁判レポートのテーマではまったくなく、ほんの数行しか言及されていない事柄でした。ところが、彼女の言葉は、ナチスの犯罪の共同責任をユダヤ人に負わせるものとして受け止められました。イスラエル国家では、そのユダヤ人リーダーたちが、主要なポストについていたということもありました。
 そして最大の、今でも論争が続いている論点は、「悪の陳腐さ」「悪の凡庸さ」という言葉にありました。裁判でアーレントが見たアイヒマンは、怪物的な悪の権化ではけっしてなく、思考の欠如した官僚でした。アイヒマンは、その答弁において、紋切り型の決まり文句や官僚用語をくりかえしていました。アイヒマンの話す能力の不足は、考える能力、「誰か他の人の立場に立って考える能力」の不足、と結びついている、とアーレントは指摘しました。無思考の紋切り型の文句は、現実から身を守ることに役立った、と彼女は述べています。ナチスによって行われた巨悪な犯罪が、悪魔のような人物ではなく、思考の欠如した人間に よって担われた、と彼女は考えました。しかしユダヤ人社会では、大量殺戮が凡庸なものだったというのか、ナチの犯罪を軽視し、アイヒマンを擁護するのか、 といった憤激と非難の嵐が起こりました。
 アーレントにとって、人間の無用化をはかったナチスの犯罪は、ユダヤ人に対する犯罪というよりも、「人類に対する犯罪」でした。政治によって生きる価値のない人種が定められ、官僚によって行政的に大量の人々が殺戮されるという現代の悪は、アーレントにとって許されざるものであり、なぜそのようなことが起こったのか、徹底的に向き合い、考えなければならない問題でした。しかし、それは被害者たちにとっては普遍的すぎる視点であり、アーレントはユダヤ人同胞から、ユダヤ人への愛はないのか、と批判されます。論争のなかでアーレントを擁護した社会学者のダニエル・ベルさえ、「彼女が要求する普遍的な正義は、世界を判断する物差としては厳しすぎる」と述べました。
 アーレントは、「悪の陳腐さ」という言葉で何を言おうとしていたのでしょうか。批判への応答のなかで、彼女は、「悪の表層性」を強調しています。悪は 「根源的」ではなく、深いものでも悪魔的なものでもなく、菌のように表面にはびこりわたるからこそ、全世界を廃墟にしうるのだ、と述べています。アーレントは、20世紀に起こった現代的な悪が、表層の現象であることの恐ろしさを、述べようとしたといえるでしょう。「悪の凡庸さ」という言葉で「今世紀最大の災いを矮小化することほど、自分の気持ちからかけ離れたものはない」と、アーレントは語りました。「底知れない程度の低さ、どぶからうまれでた何か、およそ深さなどまったくない何か」が、ほとんどすべての人びとを支配する力を獲得する。それこそが、全体主義のおそるべき性質である、とアーレントは考えました。
 アーレントにとって「思考の欠如」とは、表層性しかないということでもありました。 怪物的なものでも悪魔的なものでもない、表層の悪が、人類にたいする犯罪、人間をほろぼしうるような犯罪をもたらすという、前代未聞の現代の悪のありよう。それが、彼女の導き出した結論でした。
 アーレントはそうした悪に抵抗しうる可能性として、思考すること、考えることを追究します。「ものごとの表面に心を奪われないで、立ち止まり、考え始める」ことを彼女は重視しました。アイヒマン論争においては、アーレント自身が、そうした、自立的な思考をつらぬきましたが、彼女の事例は、表層的になった 社会のなかで自立した思考が孤立するとき、生きることはどれほど過酷で、思考はどれほど勇気を必要とするか、を表しています。こうした思考が孤立したり、 攻撃されたりしないような世界のあり方を、アーレントに学びつつ、考えたいものです。
 ≫(2014年06月25日 (水)NHK「視点・論点」フェリス女学院大学教授 矢野久美子)

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●舛添はチンケな出歯ハゲ 安倍政権と法務官僚の闇取引

2016年06月07日 | 日記
21世紀の戦争と平和: きみが知るべき日米関係の真実
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●舛添はチンケな出歯ハゲ 安倍政権と法務官僚の闇取引

舛添都知事については、先日も書いたが、異様な吝嗇で、殆ど精神障害に近いシロモノ、あまり叩いても意味がない。NHKも舛添叩きは、官邸から命令でも押し頂いたように、声高に報道している。つまり、庶民が、舛添叩きに付和雷同することは、安倍官邸の思う壺と云うことだ。いまや、何故かなどと、官邸の腹の底を読みたければ、NHKが政治外交、事件事故、裁判経過などを、どのような扱いをしているかを見極めるだけで、政権与党に有利なモノと悪いモノの区別が可能になっている。あまりにも、報道統制が行きわたると、サルでもわかる政府の本音と云うことだ。くれぐれも、舛添出歯叩きは程々に。

それにしても、甘利の扱いは、余りにもあまりだろう。東京地検特捜部の矜持こそ、余りと言えば甘利だ。ただ、ひとつ大きな疑問は、告発した人々が「あっせん利得処罰法違反罪」で告発したのだろうかと云う点だ。「政治資金規正法違反」など、もう少し検察が立件しやすい罪状で告発できなかったのか、幾分、個人的には引っかかっている。まあ、自民党幹部や安倍官邸幹部たちを司法の場に引き出すことは、法務省、検察庁、最高裁の人事権をあからさまに振り回すわけだから、民主党の甘ちゃんとは違い、検察の奴らも、御身大切なら、自分の懐が痛んだ話ではないので、組織ぐるみで「悪い奴ほどよく眠る」の世の中に加担するのだろう。

金を貰って、係争中の相手方に口をきいてやるのは、日常的政治活動の一環であり、政治活動とも認識できる。つまり、甘利側が「権限」があったか、乃至は現実に権限の行使に当たる議会質問とかがあったかどうかが、「あっせん利得処罰法違反罪」成立の要件なので、甘利の場合、酷く言動が曖昧で、権限自体も、存在が充分に証明できない。尚且つ、この口利き事件の顛末には、甘利に罠を掛けたような面も見られるので、検察も二の足を踏んだ嫌いがあるようだ。産経新聞が告発当初から、あっせん利得の成立は危ういと報じていた。

≪ 「影響力行使」難しい証明 あっせん利得処罰法
 現役閣僚が辞任に追い込まれた疑惑。道路工事をめぐる土地トラブルで「口利き」の関与が取りざたされ、あっせん利得処罰法違反罪などで刑事告発された甘利明前経済再生担当相に対し、東京地検特捜部は同法での立件を見送り、不起訴とする方針を固めた。
  「結局、口利きなんて常時、永田町界隈(かいわい)でやっている話。権限に基づく影響力の行使というのがすごくネックになっている」。ある検察幹部が打ち明ける。国会議員や秘書が公務員などへの口利きの見返りに報酬を得ることを禁じた「あっせん利得処罰法」での立件は、当初から極めて難しいとの観測が出て いた。
 都市再生機構(UR)から巨額の補償金を受けた建設会社「薩摩興業」。同法は口利きの対象を行政との契約や処分に限定しているが、検察幹部の一人は「今回は補償契約に関わっており、その要件は満たしていた」との見方を示した。 では何が立件のハードルとなるのか。それが「権限に基づく影響力の行使」だ。議員や秘書が「何とかしてほしい」と言った程度では「影響力の行使」とはいえず、「何とかしてくれなければ議会で取り上げる」といった強い言動が伴わなければ困難とされる。
  口利きで公務員に不正な行為をさせた場合に成立するあっせん収賄罪に対し、あっせん利得処罰法違反罪は不正行為の有無にかかわらず、口利きで報酬を受ける行為を処罰できるのが特徴だったが、この要件が壁となり、平成13年の施行以来、立件されたのは地方議員の8件のみ。国会議員や秘書への適用例はない。
 当初UR側から薩摩興業側に約1億8千万円の補償金額が提示され、その後、補償額は2千万円ずつ2段階で増額。最終的には約2億2千万円で合意に達した。提示額の上積みや補償額そのものが適正だったのかどうか、疑問は残る。
 難航していた補償交渉が甘利氏側の接触後に進展していることから、特捜部も不透明な交渉経緯や口利きの有無などについて慎重に捜査を進めてきた。 用地取得に伴う補償額は用地対策連絡協議会(用対連)で損失補償基準が定められ、それに基づき、事業者が独自の補償基準を設けている。ただ、「補償 交渉の内容と金額は当事者と会計検査院以外、分からない」(用対連関係者)のが現状だ。「補償対象の調査漏れが2度重ならなければ、公共事業で補償額が2段階で増額されるケースは考えられない」(業界団体関係者)との指摘もある。
 だが、薩摩興業との補償交渉に関わったURの幹部は産経新聞の取材に、口利きの影響は「あり得ない」と断言。別の関係者も基準から大幅に逸脱した補償額ではないとしていた。  ≫(産経新聞)


適用罪状にも無理があったようだ。この記事を読んでいて、係争中の「美濃加茂市長事件」を思い出した。一審無罪で、そのままケリがつくとばかり思っていたが、検察は恥も外聞もなく控訴した。「美濃加茂市長事件」では、犯罪者が、刑期その他で検察と司法取引(当時認められていなかった)をしたらしく、市議時代の市長に現金を渡した、受け取らないの「押し問答」(受け取ってはいないと云う目撃証言まであるのに)無理やり起訴、控訴しているのだから、検察が二の足を踏むほど難しい「事件」だと云う検察ブリーフィングが書かれている産経記事も怪しい。

参議院選も近いことから、国政に影響しない配慮もあり、嫌疑不十分で不起訴処分と云うことになったのだが、小沢一郎は、同じような衆議院選直前に、疑わしいから、突然逮捕をしたのは、北朝鮮検察だったか?FBIだったか?忘れもしない、東京地検特捜部ではないか。公正公平に見て、与党自民党と日本の司法に関わる、検察庁、最高裁の三権の一つは、法務省と云う行政権の出先機関になっている。今回の甘利事件では法務省の官房長に黒川弘務が深く関与されていると聞く。小沢事件の時の大鶴検事と佐久間特捜部長の顔が浮かぶ。こんなことなら、江戸時代の封建幕府支配や室町時代の群雄割拠の方が、時代としては、人間らしかったとさえ、思ってしまう。野蛮であっても、権謀術策と姑息よりは、気分が紛れる。最後に、専門家として郷原信郎氏のコラムを参考掲載しておく。


 ≪ 特捜検察にとって"屈辱的敗北"に終わった甘利事件
東京地検特捜部が、甘利元経済再生TPP担当大臣とその秘書のあっせん利得処罰法違反事件について、すべて「嫌疑不十分で不起訴」という処分を行った。
・特捜検察にとって、"屈辱的敗北"であり、まさに「検察の落日」である。
・週刊文春で報道された今回の事実関係は、ほとんどが録音記録等に基づくもので疑いの余地がない。秘書が、URに対して、再三にわたって、補償金の支払・増額を迫り、多額の政治資金を受け取ったり、個人で現金をもらったり接待を受けたり、甘利氏自身も、そのような業者から大臣室で現金を受け取る。そのようなことを平然と行えるのは、まさに、権力の一極集中の下での政権与党の有力閣僚の「驕り高ぶり」そのものである。
・そのような事案に対して、捜査の着手も大幅に遅れ、ようやくURへの強制捜査着手で、若干の期待をもたせたかと思えば、あっさり全員不起訴で決着。このような捜査の経過と結果は、過去には「日本最強の捜査機関」と言われた東京地検特捜部にとって"屈辱的敗北"以外の何物でもない。
・時の政治権力に屈することなく、「厳正公平、不偏不党を貫く」というのが、検察の矜持だった。その検察を象徴する存在であった「東京地検特捜部」の看板は、地に堕ちたと言わざるを得ない。
・検察が世の中の期待に応えられない場合の常套手段として、処分に先立って「前打ち報道」が行われ、そこで検察の内部情報に基づく「不起訴の理由」が説明される。
・今回の場合、その典型が、不起訴の当日の毎日新聞朝刊の記事【「影響力行使」難しい証明 あっせん利得処罰法】だ。
・そして、不起訴処分の公表の際には、検察当局は不起訴理由について何も説明しないという方法を採る。今回も、「構成要件に該当することの証拠は得られなかった」という決まり文句だけだった。
・不起訴の「地ならし」に使われた毎日新聞の記事には、
・UR は甘利氏側と初めて面会した同6月以前に薩摩側に移転先の建物の設計図を示すなど交渉を本格化させていた。事業は国から2分の1、県から3分の1の補助金が支給される「特定公共施設工事」として1978年に始まったが、制度の見直しで14年度以降は負担額が変わる可能性があった。UR関係者は「13年度中 に契約を結ぶために交渉を急いでいた」と話し、甘利氏や元秘書が交渉に与えた影響を否定した。 などと書かれている。
・「検察の裏スポークスマン」が、検察が最も強調したい「不起訴の正当化理由」をマスコミに説明したのであろう。
・しかし、どう見ても、余りに「見え透いた言い訳」に過ぎず、一般的には、検察内部でも通用するはずのない理由だ。 ・少なくとも、「薩摩興業側」にとっては、なかなか交渉が進展せず補償が払われないから、甘利事務所に「口利き」を頼んだことは明らかだ。それが2013年6 月、そして、「当初UR側から薩摩興業側に約1億8千万円の補償金額が提示され、その後、補償額は2千万円ずつ2段階で増額。最終的には約2億2千万円で合意に達した。(産経)」という経過で、2回の増額の末、約2億2千万円の補償が支払われたのが、同年8月20日。そして、その日に、謝礼として秘書に 500万円が渡された。
・「14年度以降負担額が変わる可能性があった」としても、7か月以上も先のことであり、この補償額の決定とほとんど無関係であることは明らかであろう。 【甘利問題、検察捜査のポイントと見通し①(あっせん利得処罰法違反)】でも述べたように、甘利氏の政治家としての経歴に照らせば、「権限に基づく影響力」を認定する余地は十分にあるが、その「行使」があったか否かは微妙ではある。
・しかし、その点について証拠収集を徹底するために、敢えて、URへの捜索という強制捜査に踏み切ったのではなかったのか。少なくとも、秘書については、「権限に基づく影響力」についても徹底した捜査で最大限の証拠を収集して起訴し、後は裁判所の判断に委ねるというのが、検察がとるべき姿勢ではないのか。
・それまで、収賄罪であれば、国会議員の職務権限、つまり、議会での質問や国政調査権の行使等に関連して対価を受け取る事案に限られ、事実上、野党議員が主たる摘発対象となっていた。それを、同僚議員等にも影響力を持つ「与党の有力議員」で「口利き」で対価を受け取る悪質な行為も処罰できるようにするために制定されたのが、あっせん利得処罰法である。
・今回のような「絵に描いたようなあっせん利得事件」が不起訴で決着すれば、もはや、この法律は、有力な国会議員による悪質な口利きと対価受領の事案に対して全く使えないことになってしまう。要するに、与党議員ならやりたい放題だということだ。
・今回の不起訴の直前の 5月24日に、法務省にとって最大の懸案だった「日本版司法取引」「盗聴の拡大」等を内容とする刑訴法改正案が成立したことと、今回の甘利事件の不起訴処分との関係にも疑いの目を向けざるを得ない。 私が得ていた情報では、昨年夏の通常国会で成立せず、継続審議となっていた刑訴法改正案は、少なくとも、甘利問題が表面化した1月末の時点では、夏の参院選を控え、審議で揉めそうな法案は審議に入りたくないという与党側の意向があり、今国会での成立は極めて難しいと見られていた。
・ところが、予算審議の間、私が【甘利問題、検察が捜査着手を躊躇する理由はない】と述べていたのに、検察は甘利氏問題について捜査の動きを全くみせず、無事予算が成立するや、「刑訴法改正案の審議入り、今国会での成立の見込み」が報じられ、そして、その直後に、遅ればせながら、特捜部がURに強制捜査に入り、刑訴法改正案が成立した直後に、甘利氏のみならず秘書までも不起訴になったのである。
・大阪地検の証拠改ざん問題や、陸山会事件での虚偽捜査報告書作成事件等で、社会の信頼を失った検察は、今回の不起訴で、微かな「社会の期待」も失った。
・ロッキード事件で活躍した堀田力弁護士が、1月30日放映のTBS報道特集で、 難しいような話が流されている感じもしないでもないですが、これって典型的な斡旋であり、絶対にお金をもらってはいけない行為でお金をもらっているわけだから、これがやれないならば、何の為にあっせん利得罪を作ったのだろう。
・やっぱり、あれで失った国民の信頼をこんなに取り戻せないのか。じゃあ、それまで果たしてきた役割をどこかが果たしてくれるのかと言うと、それはまだない。やっぱり検察はここで頑張らなきゃいけないと私は思います。 と述べている(【1月30日放映TBS「報道特集」東京地検特捜部元検事、堀田力弁護士インタビュー】)
・「特捜検察」に格別の思い入れを持ってきたOB諸兄にとって、このような特捜部の「みじめな姿」は耐え難いものであろう。 しかし、検察の捜査は"屈辱的敗北"で決着しても、この事件は、決して、これで終わりではない。
・この事件については、弁護士らが告発を行っており、不起訴処分に対して、当然、検察審査会の申立てが行われるだろう。少なくとも、秘書について、「権限に基づく影響力の行使の要件を充たさない」という検察側の説明が、裁判所の判断に委ねることなく事件を決着させることの理由として、一般市民に納得できるものではないことは自明である。
・また、【甘利問題、「あっせん利得罪」より、むしろ「あっせん収賄罪」に注目 ~検察捜査のポイントと見通し②】でも述べたように、実は、今回のような事件については、1990年代前半のゼネコン汚職事件での「検察の暴走」の副産物として出された中村喜四郎議員のあっせん収賄事件の最高裁判決からすれば、甘利氏本人についてもあっせん収賄罪が適用できる可能性は十分にある。
・しかも、甘利氏への現金供与の目的とその際のやり取りなどは、既に週刊文春で報じられている薩摩興業側の総務担当者の話からも相当程度明らかであり、検察の手に寄らなければ犯罪の成否が判断できないというわけではない。 検察の屈辱的敗北が、「検察の落日」だけではなく、公正さを亡くした「日本社会の落日」とならないよう、今後の展開を期待したい。
 ≫(ハフィントンポスト:ブログ・【2016年6月1日「郷原信郎が斬る」より転載】)

世界「最終」戦争論 近代の終焉を超えて (集英社新書)
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●沖縄県民の意志はかたい 沖縄に引かれて安倍官邸打倒!

2016年06月06日 | 日記
偽りの保守・安倍晋三の正体 (講談社+α新書)
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●沖縄県民の意志はかたい 沖縄に引かれて安倍官邸打倒!

理に適った投票結果が出ることに安堵している。沖縄県知事選では「ムサシ」が使われているのかどうかは寡聞にして知らない。いずれにせよ、正当な論理や、正当な怒りが投票結果として具現化することは、選挙と云うものへの信頼を構築していく上で大切なことだ。おそらく、こういう過程を通じて、デモクラシーは少しずつ、有権者に信頼されて行くのだろう。沖縄県の場合、日本本土では消えかけている「共同体」や「家族」の形が残っている点も、デモクラシーには、有利に働くのだろう。

それに引きかえ、本土においては、新幹線と高速道路の利便とバター取引するように、「共同体」と「家族」が、ズタボロにされる傾向を見せている。どんな田舎の駅に降りても、没個性のJR新幹線の駅が迎えてくれる。町を車で走れば、全国共通のスーパーがデカイ顔で、他を睥睨している。便利快適であるかもしれない。安全安心かもしれない。しかし、そのようなものが、人間の営みに、どれ程の価値を持つものか、日本人はとくと吟味した形跡がない。ただひたすら、平準化が正論だと思っていたのだ。おそらく、経済至上主義の結論は、必ず、そう云う解を出すのだろう。

「官僚制民主主義」所謂、中央集権国家の、怖ろしいほどの平等精神が、地域の個性を奪い、平等の悪しき事例を導き出したと云えるだろう。今や、九州も北海道も新幹線が走る。リニアなどと、馬鹿げた技術にまで血道を上げている。少子高齢化と、これはどのように整合しているのか?「秘密のケンミンSHOW」(日テレ)と云う番組があるが、日テレ嫌いの筆者は不承不承だが視聴している(笑)。みのもんた、久本雅美は不快だが、廃藩置県されていない地域地域の構成が力強く息づいている事実を知ることは、酷く知的だ。この番組とイコールではないにしても、地域性はまだ息づいている。出来るだけ早期の、地域文化の維持再生が重要と考えさせられる。

本題に戻るが、この流れで行くと、沖縄に「海兵隊はいらない」から「沖縄に米軍基地はいらない」に運動が拡大していく道筋も見えてきた。世界の識者が、沖縄の窮状にかなり注目してきている。特に、米国では、この問題には自然環境破壊と云う命題も重なることで、米国内でも情報が広がりつつある。時を同じくして、米国内では弱者の怒りが左右の陣営で、エスタブリッシュメント陣営を戸惑わせるまでに至っている。このような流れは、緒に就いたばかりだが、拡大することはあるが、縮小する可能性は殆どない。何と言っても、根本的に「アメリカン・デモクラシー」と「グローバリズム経済」、「金融経済」への挑戦状なのだから、米国エスタブリッシュメント既得権益層が、余程の譲歩を見せないと、国家主義か社会主義の国になる手助けをすることになりそうだなのだから。

その意味で、沖縄県の翁長知事の米国に情報を拡散し続ける戦略は正しい。参議院沖縄選挙区で島尻安伊子(自民)が出るが、「歯舞色丹」が読めない北方担当大臣だ。絶対に落とさなければならない。この島尻なる人物、当初は基地ゲート前でエイエイオーと革新面していたのだが、ある日突然、コロリと自民党に寝返った。そして、辺野古基地だ~と叫んだのだが、民主党に政権を奪われると、「普天間代替は県外」と」叫び、民主党が下野すると、「普天間代替は辺野古のみ」と力説する漢字の読めない大臣だ。本土からの移住者のようで、真正沖縄県民から見ると、あの女沖縄を売るよと言われているらしい。

参議院選間近を控え、大変心強い沖縄県議会選の結果だった。週明けの東京株式市場の動きも重大だ。海外勢の日本株離れが加速していく中で、官製側が買いまくっても、金をどぶに捨てるリスクが高すぎる。いや、それでも、安倍と黒田は、買い出動の方向を示唆するだろう。捨て鉢の年金基金喰い、貧乏人を更なる貧乏に導くありがたい安倍首相様だことよ(笑)。まだまだ、49%の支持率のようだから、日本人はマゾ体質なのかもしれない。シオニストとに似ていると云う都市伝説も嘘とばかりは言えない。まあ、筆者は「沖縄県民に引かれて、安倍打倒のコラムに精を出すことにしよう。


≪ 翁長知事与党が過半数 「反基地」高まり 沖縄県議選
 沖縄県議選(定数48)が5日投開票され、翁長雄志(おながたけし)知事を支える与党勢力が半数を超え、議席を伸ばした。翁長氏は、安倍政権が進める米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設阻止を訴えており、県議選に勝利したことで、引き続き安倍政権との対決姿勢を強めていく方針。
 告示前にうるま市の女性の遺体を遺棄した容疑で、元米海兵隊員で軍属の男が逮捕される事件が発生。反基地感情の高まりが、翁長氏や与党への支持につながったと言える。
 告示前は47議席(欠員1)のうち、与党24、中立9(議長を含む)、野党14。6日午前1時までに判明した当選者のうち、朝日新聞の事前アンケートに県政への立場を「与党」と答えた人は26人と半数を超えた。「野党」は14人、「中立」は6人。
 県選挙管理委員会によると、投票率は53・31%(前回52・49%)、当日有権者数は105万5878人だった。
 選挙戦で与党の陣営は、翁長氏との連携を前面に出して辺野古移設への反対を訴え、「海兵隊の全面撤退」を公約に加える候補者もいた。1月の宜野湾市長選で翁長氏が支援した新顔が政権に近い現職に敗れるなど求心力低下を指摘する声もあったが、選挙戦では翁長氏も各陣営を回ってテコ入れした。
 宜野湾市区(定数3)では2人を擁立した自民が現職1人の当選にとどまった一方、社民が議席を回復するなど与党が2議席を獲得した。
 野党の自民はこれまでの13議席を上回る19人を公認。中立を掲げる公明との連携を視野に与党を過半数割れに追い込むことを目指した。7月の参院選で改選を迎える島尻安伊子沖縄北方担当相もたびたび沖縄入りして「国と県とのパイプ」をアピールしたが、大きく支持を広げることはできなかった。
 翁長氏は、与党勢力が再び過半数を得たことで、より強い姿勢で辺野古移設計画の見直しを安倍政権や米側に突きつけるとみられる。今夏には、普天間飛行場の県内移設反対などを訴えるため、再び訪米する計画を検討している。参院選では、元宜野湾市長で無所属の伊波洋一氏を応援し、島尻氏との対決姿勢を鮮明にする。  ≫(朝日新聞デジタル)


最後に、同じく朝日新聞の世論調査―<連続調査第1回>を参考掲載しておく。まだまだ、日本の有権者は、NHK等々のテレビに洗脳された状況が続いているようだ。日ごと替わって行けば良いものだが、楽観視は禁物なようだ。まあ、沖縄県民に元気づけられ、当面は、気づきを待つことにしよう。


 ≪ 世論調査―質問と回答〈連続調査第1回〉
(数字は%。小数点以下は四捨五入。質問文と回答は一部省略。丸カッコ内の数字は、5月21、22日の20歳以上を対象にした調査結果)

◆安倍内閣を支持しますか。支持しませんか。
 支持する  45(43)
 支持しない 34(33)

◆今、どの政党を支持していますか。政党名でお答えください。
 自民38(37)▽民進8(7)▽公明4(3)▽共産3(3)▽おおさか維新1(1)▽社民1(0)▽生活0(0)▽日本のこころ0(0)▽元気0(0)▽新党改革0(0)▽その他の政党2(0)▽支持政党なし33(38)▽答えない・分からない10(11)

◆今年の夏に、参議院選挙があります。仮にいま投票するとしたら、比例区ではどの政党、またはどの政党の候補者に投票したいと思いますか。(択一)
 自民39(41)▽民進12(13)▽公明7(5)▽共産7(5)▽おおさか維新6(4)▽社民1(2)▽生活1(0)▽日本のこころ0(0)▽元気0(0)▽新党改革0(0)▽その他の政党2(1)▽答えない・分からない25(29)

◆今度の参議院選挙にどの程度関心がありますか。(択一)
 大いに関心がある 19
 ある程度関心がある 47
 あまり関心はない 26
 まったく関心はない 8

◆この夏の参議院選挙で選ばれる121議席のうち、与党が過半数を占めた方がよいと思いますか。占めない方がよいと思いますか。
 占めた方がよい 45
 占めない方がよい 37

◆この夏の参議院選挙の結果、安倍政権のもとで憲法を変えることをめざす政党の議席が、参院全体で、3分の2以上を占めた方がよいと思いますか。占めない方がよいと思いますか。
 占めた方がよい 30
 占めない方がよい 47

◆こんどの参議院選挙で投票先を決めるとき、重視する政策は何ですか。(選択肢から2つまで選ぶ)
 景気・雇用対策 45
 消費税の引き上げ延期 23
 医療・年金などの社会保障 53
 子育て支援 33
 外交 9
 安全保障関連法 17
 憲法 10

◆安倍内閣の経済政策をどの程度評価しますか。(択一)
 大いに評価する 5
 ある程度評価する 50
 あまり評価しない 33
 まったく評価しない 8

◆安倍首相は、来年4月に消費税を10%に引き上げるのを、2年半延期すると表明しました。安倍首相のこの判断を評価しますか。評価しませんか。
 評価する  56
 評価しない 34

◆消費税の引き上げを延期する理由について、安倍首相は「世界経済が大きなリスクに直面している」と説明しました。安倍首相のこの説明に納得しますか。納得しませんか。
 納得する  28
 納得しない 58

◆安倍首相は、1年半前に消費税の引き上げ延期を決めたとき、「再び延期することはない。断言いたします」と言っていました。安倍首相がこの約束を守らなかったことは大きな問題だと思いますか。大きな問題ではないと思いますか。
 大きな問題だ  37
 大きな問題ではない 53    

  ◇ 〈調査方法〉 4、5の両日、コンピューターで無作為に作成した番号に調査員が電話をかける「朝日RDD」方式で、全国の18歳以上を対象に調査した(福島県の一部を除く)。世帯用と判明した番号は2422件、有効回答は1144人。回答率47%。  ≫(朝日新聞デジタル)

日本人のための憲法原論
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●沖縄独立運動に一票! 税収は、富裕累進課税で乗り切れ!

2016年06月05日 | 日記
日本会議の全貌 知られざる巨大組織の実態
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●沖縄独立運動に一票! 税収は、富裕累進課税で乗り切れ!

日本と云う国が、第二次大戦による敗北移行、右翼思想を持つ日本会議のような勢力に後押しされている安倍さんのような強権政治家が出てきても、一向に純粋な国家主義的方向に向かって行かない。嘆いているわけではないが、それが日本と云う国の構造的問題だと云う点が問題なのだ。つまり、敗戦後、米軍が占領軍として日本を占領していた時でも、「進駐軍」と云う曖昧な言葉で、占領されている事実を矮小化し、国民に安堵を与えた。このような、一敗地に塗れ、ぼろ糞になったのに、ぼろ糞に見えないものにした知恵は、当時の問題をクリアしたが、戦後71年が過ぎても、米国占領の歴史を、逆に永続化させるぬるま湯にした部分がある。

このことは、或る意味で、安倍さんや日本会議やネトウヨが一方的に考える右傾化を阻止している面もある。ただし、永続敗戦状態が定常化していると云う問題を永遠に引き摺っている。日中問題、日韓問題、日露問題等々の解決に、日本独自に外交が出来ないジレンマを抱えた状態から抜け切れない。表層的な外交しかできないので、ODA開発援助のひも付き円借款を、大盤振る舞いした話をするのが、精々になっている。

逆に言えば、やはり、これだけ平穏で、穏健で、他国と争わない日本と云う国が定着したかと思いきや、まだまだ、過去の歴史を修正したがったり、それを理由に中韓といがみ合うことが、行動美学な勢力が、それ相当存在したのかと気づかされた点は重要だ。その意味では、ジレンマ的だが米軍が占領的にプレゼンスを日本国内で持っている方が、国民にとって安全と云う状況があるもの、事実だ。そのように考えると、地位協定などで、米国に口を出す、何らの能力も有していないのは、当然かもしれない。どうも流れは、沖縄を犠牲にして、生き残りたいと云うのが、日本政府の本音のようだ。日本政府自身が、沖縄は占領地なのだと云う心理的作用から抜け出していないと云う事実を知ることにもなる。三つの記事が目についた。

沖縄県は、個人的な感想だが、独立運動に切り替えないと、日米の精神構造を変えることは難しいような気がする。そして、その独立闘争が起きたとしても、個人的には容認する。国民投票でも出来るのであれば、沖縄独立に一票を投じたい。理由は極右でも、極左でもない。人道的見地と武士の情けだ。そして、本土の棲む人間として、恥ずかしいからである。恥を忘れた連中が、日本には増えすぎた。日常、非日常、そのすべてで、日本人は中国人を蔑んでいるが、似たレベルで恥ずかしい国民になりつつある。


 ≪ 「軍属」の範囲を明確化へ 防衛相、地位協定改定明言せず
【シンガポール共同】中谷元・防衛相は4日午後(日本時間同)、カーター米国防長官とシンガポールで会談した。日米地位協定が定めた米軍属の範囲を 明確化するため、近く協議に入る方針で合意した。沖縄の女性遺棄事件を踏まえた再発防止策の一環。地位協定の見直しに踏み込む可能性に関し、中谷氏は明言 を避けた。協定改定を求める沖縄の理解を得られるかが今後の焦点になる。
 協議については、日米の外務、防衛当局によるハイレベル会合で実施することとした。
 会談で中谷氏は、米軍属の扱いを見直す前提で対米調整を進める意向を伝達。再発防止に向け、監視態勢の強化にも取り組む考えで一致した。  ≫(東京新聞)


 ≪普天間県外移設「本土で反対起こる」 98年梶山官房長官が書簡
 米軍普天間飛行場の返還合意時の官房長官だった故梶山静六氏が1998年、普天間飛行場の移設先が沖縄以外だと「必ず本土の反対勢力が組織的に住民投票運動を起こす」と本土側の反発を恐れ、名護市辺野古を移設先とする理由を記していたことが3日分かった。現在の安倍政権 は「辺野古が唯一」として移設計画を強行する姿勢を崩していないが、普天間飛行場の県内移設が政府説明による米軍の抑止力などではなく、政治的都合によって沖縄に押し込められていった構図が改めて浮き彫りになった。
 政府と沖縄を仲介した元国土事務次官の下河辺淳(しもこうべ・あつし)氏に宛てた書簡で記した。書簡は下河辺氏所蔵の資料を保存する「下河辺淳アーカイヴス」(東京)の中から、沖縄国際大の前泊博盛教授が確認した。近く書簡は県公文書館へ寄贈、公開される。
 梶山氏は、本土での反対運動に懸念を示した上で「岸本(建男)現(名護)市長が『受け入れ』のまま市の態度を凍結するとしている名護市に基地を求め続けるよりほかは無い」と記した。
 政府はこれまで、普天間飛行場の県内移設について、沖縄の「地理的優位性」や米海兵隊の「抑止力」の必要性を挙げて説明してきた。
 だが県は、もともと米海兵隊が本土にあったことなどから、沖縄への米軍基地集中は地理的必然性によるものではなく、合理的な説明は一切なされていないと反論している。  ≫(琉球新報)


≪ /98 「沖縄」「消費税」から見えた「非自立国」日本の徒花
1995年、沖縄の女子小学生が複数の米兵に暴行され、21年後、今度は20歳の女性が米軍属によって乱暴、殺害された。
 96年、日米両国は沖縄の負担軽減策として普天間基地の返還で合意するが、20年後の今、返還は一歩だに動かず、代替施設としてより高機能の辺野古新基地建設が唯一の解決策として進展中である。
 沖縄でこの間、何がどう変わったのか。過去の犠牲が現在の改善に生かされているのか。むしろ、事は逆に進んでいるのではないか。そんな疑念が芽生えてくる。
 犯罪を生む温床はどうか。日米地位協定の米兵・軍属に対する強力な保護権能と、その運用をめぐる日本政府の弱腰がますます米側の駐留軍的特権意識をのさばらせている、ということはないのか。
 負担軽減をめぐる政治力学はどうか。中国怖し、と新安保法制で一層の対米依存強化に舵(かじ)を切った以上、軽減色は薄めざるを得ない。何よりも、普天間問題の決着のされ方に大きな構造問題が潜んでいる。基地返還が基地新設にすり替わる手品のような交渉だった。
 この経過を検証し手品の種に迫った近刊本が『普天間・辺野古 歪められた二〇年』(宮城大蔵、渡辺豪著、集英社新書)である。
 96年合意は、普天間の全面返還であった。代替施設については、「既存の沖縄米軍施設内にヘリポートを新設」「嘉手納基地に機能の一部を移設」とする程度で、普天間機能を沖縄県内の既存米基地に分散する案で、新設はヘリポートのみ、という低姿勢な合意だった。当時の反基地運動の盛り上がりからすると当然の流れだった。
 ところが、現在進行中の代替施設案は、長さ1800メートルの滑走路2本を持ち港湾施設まで付帯する本格的新基地である。総工費は1兆円、すべて日本側負担である。

■構想はなぜ、どう歪んだのか。
 96年合意時点で、県内移設という大前提が政治的にぼかされていた。橋本龍太郎元首相が勲功を急ぎ、米側条件であった代替施設の詳細を詰めないまま大田昌秀元沖縄県知事に受け入れをせかした。大田氏は、不審、不安を感じつつも、側近の進言に従いそれに応じた。

■米主導の沖縄問題、次世代に先送りする消費税 
自助自立の政治を取り戻せ
 米側から見ると、「返還」はむしろ米側が日本側を誘導した。米側はその代償として橋本氏から「在日米軍の機能は低下させない」「移転費用は日本が負担する」「日本周辺有事の際、米軍が日本国内の民間空港を使用できるよう整備する」との言質を取った。日米防衛指針を18年ぶりに改定させ、冷戦崩壊で漂流していた同盟関係に朝鮮半島、台湾海峡有事対応という新たな使命を吹き込んだ(自衛隊の対米後方地域支援を盛り込んだ周辺事態法として立法化)。
 代替施設も、「嘉手納統合案」「洋上浮体案」と二転三転、現行案に膨れ上がっていく。小泉純一郎政権では、埋め立て工事の増量を求める沖縄利権が蠢(うごめ)き、鳩山由紀夫政権では、「県外移設案」を米と外務官僚が一体となり、いかにつぶしたかが点描されている。
 驚くべきは、現行案なるものは、実は60年代から米側にあった構想に酷似している、ということだ。交渉を担当した当時の防衛官僚によると、米側はこの案を96年合意直後から持ち出してきていた、という。「びっくりして冗談じゃないと思ったが、最終的にはそこに行った」と彼は述懐している。「返還」を機に 強烈な政治力を行使して、20年越しで日本側負担による夢の新基地を勝ち取った米海兵隊物語でもあるのだ。

■消費増税問題にも言及したい。
 民進党が消費増税を2年先送りすべきだとの方針を打ち出した。安倍晋三政権の機先を制し、アベノミクスの失敗を問わんとする狙いはわかる。だが賢策ではない。
 私はあくまでも予定通り消費税率を来年4月から10%に引き上げるべきだと思っている。理由は簡単だ。国家予算は、96兆円の支出に対し税収は57兆円 しかない。34兆円は依然として国債発行による借金である。収入とは不釣り合いな過大なサービスを受給し、子々孫々に借金を負わせている。しかも、現役世代の特権としての投票権を行使して、それを持たない次世代に平気でつけ回しをする。それが1000兆円を超えた。GDP(国内総生産)の2倍強である。
 これほど不道徳なことがあろうか。1年でも早く是正するのが、今を生きる我々国家国民の責任ではないか。支出(福祉サービスや軍事費)を減らすか、収入 を増やす(増税)しかない。成長による税収増で是正するのも一手だが、アベノミクスという異次元緩和実験の3年間は、税収増より出口政策不全という負の方が大であることを証明しつつある。増税すれば成長が阻害され元も子もなくなる、という議論以前の問題である。
 支出を削れないとすれば、オーソドックスに増税するしかない。しかも、その国民に不人気なことを4年前の民主党政権が税と社会保障の一体改革という形の 法制度として作り上げてくれたではないか(結果、民主議員が大量落選)。安倍政権は、その犠牲に手を合わせ予定通り増税すべきである。民進党は民主党時代の過去の政治遺産を簡単に手放すべきではない。
 さて、沖縄と消費税。共通するのは何か。それは国家としての過度な他力依存、非自立性である。
 基地返還を基地新設に変えた手品の仕掛けは、戦後日本保守政治の従米路線という構造問題にある。日米安保体制におんぶに抱っこであり続けた非自立体質が普天間や犯罪問題に顕在化している。
 増税先送りは財政に対する度を過ぎた次世代依存を示すものに見える。米国は怒らすと怖い。次世代は物言わぬ。そこには益もリスクも自分たちで引き受ける、という自助自立精神の衰亡がある。

________________________________________
 ■人物略歴 くらしげ・あつろう  1953年、東京生まれ。78年東京大教育学部卒、毎日新聞入社、水戸、青森支局、整理、政治、経済部。2004年政治部長、11年論説委員長、13年専門編集委員
 ≫(毎日新聞:倉重篤郎のサンデー時評・サンデー毎日から)


倉重氏の沖縄問題における解説はほぼ正しい。しかし、民進党の自己矛盾だらけの指摘は容認するが、消費税が子々孫々につけ回しをしないと云う理屈は、実は財務省的言説に洗脳されているに過ぎない。なぜ、税収が足りないのか?個人消費は冷え込むばかりだ、実質賃金も構造的に上げにくい。国内の需要喚起が喫緊の課題だ。であるなら、サンダースと同じ発想で、富裕層への累進課税強化しかない。美田を残さず思想で、相続税を大幅アップも良いだろう。実質法人税の納税額が低い企業には「罰則課税」と云う税の方法もある。ある程度の知識人でも、この問題に嵌ると、ステレオ言説が繰り返される。財務省の網が堅固に拡充していると云うことなのだろうか。

最後になるが、ロイターが「消費税延期」だからと言って、消費が拡大するは変だろうと書いている。おそらく、日本人は消費マインドを落とせば落とすほど、自分が美しく思えるのかもしれない(笑)。それに、世間は、政府も、地域も、親戚も、近所も、子供も、誰も助けない時代が来るぞと脅かす本ばかり売れている。社会保障は、累進課税を70%レベルまで引き上げれば、いっぺんに解決するのに、誰もヤラナイ。

しかし、21世紀中盤以降は、そういう世界的トレンドが必ず生まれる。金持ちが海外に逃げると主張するアホ達が多いが、こんな住みやすい日本から、たかが税金だけで逃げるわけはない。消費増税で社会保障の拡充と云うステレオ言説はいい加減にやめろ。消費税は、消費が増えれば増収する。社会保障の充実には、富裕層への累進税率の引き上げが絶対に正論。筆者も、富裕層に含まれるだろうが、累進課税されても、それはそれで、構わないと思う。天皇陛下から、「多額納税栄誉ステッカー」でもバラ撒いて貰えば、仏壇の奥に貼っておこう(笑)。政府が出すのはいらないよ!無論、他国に移住などする気など、さらさらない(笑)。


≪ 増税延期でも消費拡大は疑問、将来不安増大
[東京 3日 ロイター] - 消費の落ち込みを防ぎ、デフレ脱却を確実にする狙いで、安倍晋三首相が「新しい判断」として決めた消費増税の延期について、国内消費の増加には小売業界からも疑問の声が上がっている。  増税見送りでも、消費の弱さのベースとなっている課題は解決されないうえ、増税を見送れば、社会保障の負担拡大など消費者が抱える将来不安の解消も遠のき、購買意欲がさらに委縮する悪循環に陥る可能性すらある。
■ベースが弱い消費
 消費税率引き上げの再延期を受けて、第一生命経済研究所では、16年度の成長率見通しを引き下げ、17年度を引き上げた。17年度については、駆け込み需要の反動減と増税による実質所得減がなくなる分、17年4月の増税を前提とした前回の見通しに比べ、1.0%ポイントの大幅な上方修正となった。
 しかし、増税延期で消費が力強さを取り戻すわけではない、との指摘は多い。消費者の購買意欲を高めるには、少子高齢化や非正規雇用の拡大、社会保 障負担の増加、財政悪化によるインフレ懸念など、構造的な要因の解決が急務。しかし、増税延期がそれらを解決する術にはなりえない。
 アベノミクスによって恩恵を受けたのは、資産や株式を保有する一部の富裕層に限られており、消費の中核である中間層の動きは弱い――。これが、多くの消費関連企業の実感だ。
 三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は、14年秋から中間層の消費の弱さが続いていると指摘する。「所得が増え、使える金が増えている感覚はない。本当に必要なもの以外は買う理由がない」と解説する。
 その中間層を代表する勤労者世帯をみると、2014年に比べ、15年は実収入がわずかながら増加したにもかかわらず、可処分所得は実質0.1%減少している。実収入に占める税金や社会保険料の比率が上昇したためだ。特に15年10―12月期の可処分所得は2.2%減となり、16年1―3月期も 1.1%減と減少傾向は続いている。
 加えて物価上昇が消費者の負担となった。家計の消費支出に占める飲食費割合(エンゲル係数)は、ここのところ23%台で徐々に上昇してきたが、 14年には24%、15年には25%へと高まった。特に賃上げなどの恩恵がない年金受給の高齢者にとっては、物価上昇は節約志向へと気持ちを向かわせる要因となった。
 安倍政権による円安政策は、輸入物価上昇を招き、食品を中心に幅広い商品の値上げにつながった。一方で賃金への波及は限られ、徐々に消費は勢いを失っていった。 「あの時点では世の中の流れだった。世の中の流れに従った。しかし、実際は、景気は良くなっていなくて、悪くなっていた」。柳井正ファーストリテイリング 社長兼会長は、14年、15年と2年連続の値上げに踏み切った状況をこう振り返る。

■社会保障充実を先送りするツケ
 今回の増税延期によって、社会保障の充実策の行方が不透明になって来た。安倍首相は1日の会見で「給付と負担のバランスを考えれば、10%への引き上げを延期する以上、その間、引き上げた場合と同じことを全て行うことはできないということは理解いただきたい」と述べている。
 みずほ証券・シニアアナリスト、高橋俊雄氏は2015年度の消費支出は、年金生活となる60代と将来不安の大きい20代の減少が大きいとし「年金、介護、健康保険といった国の財政が抱える問題への将来不安が背景にある」とみる。そのため、消費増税延期でも「将来への不安が残る限り、消費回復は期 待し難いと考えられる」と指摘する。
 消費増税延期について、産業界は歓迎一色ではなく、「予定通りに実施すべきだった」とする声が多く出ている。目先の回復ではなく、長期的な改革の必要性が差し迫っているためだ。
 日本商工会議所の三村明夫会頭は、再延期を「残念」としたうえで「わが国が人口減少と超高齢化の加速という構造的課題に直面する中で、少子化対策の実行のためにも、消費税の引き上げは必要」と指摘する。
 花王の沢田道隆社長も、実施時期はともかくとして、「増税は社会保障の充実の意味からもやるべきと言ってきた。もう一段増税して、しっかりと社会保障にあてて欲しい」と話している。
 ≫(ロイター:清水律子)

消費税が社会保障を破壊する (角川新書)
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KADOKAWA/角川書店


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●イベントに反応する世論 次の安倍内閣の祭りは超円高?

2016年06月04日 | 日記

 

資本主義以後の世界―日本は「文明の転換」を主導できるか
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不識塾が選んだ「資本主義以後」を生きるための教養書
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●イベントに反応する世論 次の安倍内閣の祭りは超円高?

本日は、馬鹿々々しいとも思うが、7月10投開票の参議院のお話もしておこう。日本の国民の希望は、ステレオタイプ的に見れば、経済政策が順調に推移して、幻想の経済成長が実現し、企業の輸出が拡大し、好況感が世の中を埋め尽くせば好いのにね、と云うことだろう。新聞各社、NHK含み民放各局も、「潜在成長力はある。構造改革だ」と、如何にも正しいことのように報じているので、メディア・リテラシーの偏差値が、世界の中の下にランキングされている国民が、こう云う言説基準で、選挙と関わりあっていることが多いだろう。

まあ、自ら勝ち得た「デモクラシー」ではないので、永遠に、自分達の力で、政治を左右しようと云う考えに至ることはなさそうだ。たま、官僚制社会主義体制であることを、ロジックでは知らないが、政治と云うもの、その程度に、国民の為になることはするに違いない、と思い込んでいるフシがある。本気で、国民が怒るような事は、きっとしないに違いない、そう思おうとしているフシがある。良く言えば、人間性善説を固く信じている、何とも扱いやすい国民なのだ。デモを実行しても、“暴力はイカン、ゴミは自分で持ち帰ろう”と公共心一杯なのだ。これじゃ、悪魔の政治家がいれば、このマインドは、利用してしまいたい誘惑にかられるのも理解出来る。

なにか、イベント的に、政府がらみで良いことがあれば、支持率は急激に上がる。そのイベントの価値観などまで深く追求しない。原因と結果、そして副作用に関して、興味を持つの国民は、ごく僅かだ。輸出が実質増えていなくても、突きつけられた金額が最高益なんて聞かされたら、“安倍さん、黒田さんお見事!円安バンザイ、株高バンザイ”持ち株が数千株にも満たない連中も、まったくもっていない連中も、何だか好景気だね、金持ちになった気分となる。浮かれやすい国民性が如実なのだ。

熊本地震が起きれば、被災者を「必死で私はサポートする」と安倍さんがテレビ画面で雄叫びを上げればそうだ、安倍は良くやっているとなる。真面目で真摯な態度となる。災害が起きて困るのは、被災地だけで、政権も国民もイベントだから、浮かれる。酷い悲惨だと言いながら、ドラマを眺めるようにテレビ画面を眺めている。G7なんて、立派な国の代表が集まる会議で、安倍さんは議長なのだから、安倍さんは頑張っているじゃないか。わざわざ、きめ細かく、出席国と根回しまで忘れない。その上、オバマ米大統領を、初めて被爆地広島に導いた功績は大きい。

翌日から。円安株高も追い打ちをかけたので、祭り好きの、浮足立った国民が、祭りだ祭りだ、踊らにゃ損損とばかりに、内閣支持率に反応した。それが、共同通信の28,29日の世論調査で、あっと驚く、安倍内閣支持率55%なんて数値を叩きだす。ところが、翌月1,2日から、同じ共同通信で「参議院選第一回トレンド調査」が始まったが、内閣支持率は49%台に落ち込んだ。7%上昇して、数日後には6%落ち込んだ。この原因は、主に2つある。一つは、安倍首相が、どうも世界中の笑い者になっているようだ、と云う情報がある程度拡散した。2番目が、円高株安の波が来た。午前零時、NYでは106円台に突入している。相当に、為替はパニクッている。

*この調子で円高が続けば、105円台も覗くだろうから、週明けの東京市場は狼狽売りが出る可能性はかなりある。対ドル105円、104円となれば、株価も1万5千円台死守の、政府日銀の官製相場がさらにヒートアップと云うことになりそうだ。企業の対ドル想定値は110円だから、えらい話だ。すでに、年金基金の投資損は10兆円に近い段階のようだが、発表は参議院選後とわざわざ決めるのだから、余程酷い惨状なのだろう。参議院選勝利後は、原資不足は国民が痛みを分かち合うなんちゃって、「年金支給一律3~5%カット法案」なんてのが出てきたら驚きだが、事実は小説より奇なりだからね、ないとは言えない。

以上述べたように、安倍さんの内閣の支持率は、目玉イベントに、有権者が浮かれておつき合いする傾向がある。筆者の記憶では、今後、これといった目につくイベントはないので、内閣支持率55%は最高地点だろう。6月半ばには、40%ギリギリが精々ではないのだろろうか。7月10日1週間前には、38%維持がやっとのような気がする。

まあ、有権者が、その雰囲気に浮かれて貰うためにも、「参議院比例区・統一名簿」の採用は有効だが、動きが鈍く。岡田は、連合からの薦めもあり「参議院比例区・統一名簿」を検討してしているようだが、おそらく時間切れで駄目だろう。こうなると、野党の頼りは、政権のアクシデントになる。悪い奴ほど運転上手、円が100円切るとか、株価が1万2千を切るような僥倖に頼ることになりそうだ。筆者が主張する官僚機構の弱体化と地域主権(藩区分復活)は、到底無理になる。筆者も、もう少し若ければ、「辻説法」でもしたいのだが、体力がね(笑)。



 


≪ アベノミクス「見直し必要」58% 比例投票先は自民28%、民進10%

共同通信社は一、二両日、来月の参院選での有権者動向を探るため全国電話世論調査(第一回トレンド調査)を実施した。比例代表の投票先は自民党が28・9%と最多で、民進党の10・9%が続いた。安倍政権の経済政策「アベノミクス」について「見直すべきだ」「完全に方向転換すべきだ」を合わせた否定的な回答が58・0%に上り、拡充や現状維持は計34・6%にとどまった。安倍晋三首相の下での憲法改正には、半数を超える53・6%が反対と答えた。賛成は30・9%。 
 内閣支持率は49・4%で不支持率は41・3%。
 比例投票先では自民党が他党をリードしたものの、37・3%は「まだ決めていない」としており、情勢は変化する可能性がある。投票先は、民進党に 続き公明党6・3%、共産党5・3%、おおさか維新2・4%、社民党1・6%、生活の党0・7%、日本のこころ0・1%。新党改革は回答がなかった。
 参院選の選挙区の投票先では「与党系候補」が32・1%に対して「野党系候補」は19・4%。
 投票先を判断する政策課題では、景気や雇用など経済政策を挙げた人が33・9%でトップ。次いで年金・医療・介護保険制度への取り組み(30・5%)が多かった。
 アベノミクスに関する否定的な回答は「見直すべきだ」が46・5%、「完全に方向転換すべきだ」は11・5%。
 来年四月に予定していた消費税増税を巡り、首相が再延期を表明したことについて「政権の経済政策の失敗ではないと思う」が47・5%、「失敗だと思う」は43・1%で、意見が分かれた。
 支持政党が「ある」との回答は38・2%。内訳は自民党58・9%、民進党15・2%、公明党10・8%、共産党7・3%、おおさか維新3・ 1%、社民党3・0%、生活の党0・6%。日本のこころと新党改革は回答がなかった。「ない」とした無党派層は59・0%で、「あえて支持すればどこか」 と聞いた結果、自民党が30・5%に上った。
 参院選への関心では、69・1%が「ある」とし、「ない」は30・8%。  調査は選挙権年齢が「十八歳以上」に引き下げられることを踏まえ、十八、十九歳も対象に加えた。  ≫(東京新聞:共同)

貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち (講談社現代新書)
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●野党に対論なし 直近の“まき餌”がある分「与党」有利か?

2016年06月03日 | 日記
検証! 古代史「十大遺跡」の謎 (PHP文庫)
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PHP研究所


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●野党に対論なし 直近の“まき餌”がある分「与党」有利か?

天下?の朝日新聞の安倍首相への不満は、こんなレベルかよ!まあ、目が腐らない程度に、社説を読んでもらおう。


≪ 首相の会見 納得できぬ責任転嫁
とても納得できる説明ではない。安倍首相のきのうの記者会見はそう評価せざるを得ない。
 アベノミクスは順調だ。しかし新興国の経済が陰っている。だから来年春の10%への消費増税は延期し、この秋に大胆な経済対策をまとめる。財政再建の旗は降ろさない――。発言を要約すればこうなる。  納得どころか、「アベノミクスのエンジンを最大にふかす」と強調されては、その危うさがさらに膨らみかねないと不安が募る。
 リーマン・ショックや東日本大震災のような経済混乱が生じない限り、10%への消費増税は必ず実施する。前回、消費増税の延期を表明した14年11月の記者会見以来、首相はこう繰り返してきた。
 きのう首相は「リーマン・ショック級の事態は発生していない」と認め、熊本地震を理由にするつもりもないと述べた。一方で、雇用の増加や所得の上昇を挙げ、アベノミクスの成果に自信を見せた。
 ならば、財政再建と社会保障財源充実のために、消費増税を予定通り実施するのが筋だ。  首相が引き合いに出したのが、中国をはじめとする新興国経済の不安である。
 先の伊勢志摩サミットでは何度もリーマン・ショックに触れ、英独両国の首脳らから異議が出た。今回はリーマン・ショックとは異なることを認めたものの、海外経済の不透明感を増税延期の理由にするのは、新興国への責任転嫁に等しい。
 首相は2年半の先送りについて「20年度の財政健全化目標を堅持するギリギリのタイミングにした」と言う。
 健全化目標は、消費増税を実施し、毎年度3%を超える経済成長を達成してもなお及ばない遠い目標だ。不断に予算を見直し、地道な努力を積み重ねることが不可欠なのに、経済対策というカンフル剤による税収増を当て込むばかりでよいのか。
 首相はこの新たな判断について「参院選を通して国民の信を問う」という。
 増税の必要性は理解してもそれを歓迎する国民は少ない。朝日新聞の世論調査でも、10%への引き上げを「延期すべきだ」とした人は59%で「すべきではない」の29%を上回っている。
 不人気な政策の先送りを問うことで自らの公約違反にお墨付きを得ようとする。これは、国民感情を逆手にとった有権者への責任転嫁でもある。
 参院選で問われるべきは、むしろこうした首相の身勝手さではないか。
 ≫(朝日新聞デジタル:6月2日付社説)


まあ、朝日の社説もお座なりで、ステレオトークで飯を食う、売文屋、こんなもんである。安倍が「雇用の増加や所得の上昇を挙げ、アベノミクスの成果」と嘯くのは、「法螺っチョ」なのだから、先刻承知。今さら、安倍の嘘を糾弾してもコラムに独走性は生まれない。安倍の嘘つきは、日本だけではなく、中韓露、G7等々すべてに知れ渡っている。今さら、嘘つき体質男に「オマエは嘘つきだ」などと云うひぼう中傷、乃至は世論も、カエルの面に小便に過ぎない。朝日も、政治家であれば、誰も出来もしないような「正論」を平気で書きなぐる。産経新聞の雑誌やコラムが「正論」とカタリ、政治タカリのような事をしている、それ程、朝日の正論も、臭い。

その他にも、世界金融勢力からお題目のように与えられた、ロジックを繰り返すばかりで、本当に日本財政が、GDPの2倍、1000兆円は、本当の意味で、誰の借金なのか、徹底議論が欠かせない。実質、「日銀ファイナンス」状態に陥ったので、国の財政自体は、早晩、半減する予測も出ている。もうひとつ、看過できないのは、1000兆円の借金は、政治家と官僚が「良い人ぶる」ゆえの借金であり、国民個人の借金などでは一切ない。

この点は、猛烈に重要なのだ。国民が、半ば心配しているのに、政治家も官僚も、「口で心配している」だけで、誰一人、本気で解決しようなんて奴はいない。特別会計や独立行政法人‥等、「パナマ文書」風味のタックスヘーブン地帯。掴み蛾ねの宝庫なんだね。このような問題を含め、朝日や民進党のロジックの延長線には、日本独自の自主独自の論理に一切至らない。無論、安倍自民公明路線は、ロジックにもなっていない。以下のように、活字を読むと、成る程だが、経済論自体が誤謬ではないかと疑問すら持っていない。ステレオタイプな文章ばかり書いて、恥ずかしい感覚にならないのだろうか?新興宗教の信者ソックリだ。

≪ 
『財政再建と社会保障財源充実のために、消費増税を予定通り実施するのが筋だ。』
『健全化目標は、消費増税を実施し、毎年度3%を超える経済成長を達成してもなお及ばない遠い目標』
『不断に予算を見直し、地道な努力を積み重ねることが不可欠なのに、経済対策というカンフル剤による税収増を当て込むばかりでよいのか。』
『参院選で問われるべきは、むしろこうした首相の身勝手さではないか。』≫(朝日社説より)


安倍自民党に対峙する野党民進党は、朝日新聞以上に酷い。これじゃ、悪徳安倍自民公明と大差ないな。アベノミクス三本の矢が不十分、この徹底が肝心だと、安倍晋三クリソツ発言をしているのだから、開いた口が塞がらない。

≪ 参院選に向け連合と政策協定 総決起集会で岡田代表が調印
岡田克也代表は2日午後、東京都内で開かれた「第24回参院選挙・連合総決起集会」に出席。参院選挙に向けた重点政策を共有するため、岡田代表と神津里季生連合会長が政策協定に調印した。集会には山尾志桜里政務調査会長も出席した。
 協定は、「景気回復を実感できず、雇用・労働の劣化や貧困・格差の拡大が顕在化するなか、立憲主義・民主主義をないがしろにする自公政権に対し、多くの 国民が疑問を持ち、危機感を募らせている。このような状況を打開するためには、来たる参院選挙で民進党が一強政治からの脱却を求める国民の思いの受け皿と なることが極めて重要である。連合はすべての生活者・働く者の立場に立った政策の実現をめざし、推薦候補者の全員勝利に向けて総力を結集する」としている。
調印後、主催者としてあいさつに立った神津里季生連合会長は、「これをもって連合として全面的に民進党を支援していく。これを一つの大きな起点として、新 しいうねりを巻き起こしていかなければいけない」と表明。
今、(1)安倍政権の数の横暴に対する危機感(2)選挙前の取ってつけたようなこじつけの解釈へ の危機(3)民主主義の危機――と3つの危機感を抱いているとして、「岡田代表を先頭に、いまの自民党安倍政治に不安や不満を抱いている人の受け皿になっ てほしい。民進党を精一杯、最大限、全面的に支援をしていく証としてお互いの決意を固めていきたい」などと述べた。
 岡田代表は、「この重点政策をしっかり軸に据えて参院選挙を戦っていきたい」と強調。今度の参院選挙では、アベノミクスが行き詰まっているのが明ら かであるなか、格差の是正、所得の再分配を軸にした成長と分配の両立を図る経済政策への転換、そして憲法の平和主義が問われていると述べ、「安倍政権の暴 走を絶対許さない、日本の国のあり方を歪めようとしている政治を阻止しなければいけない。国民の立場に立った、一人ひとりが幸せになる政治を実現していか なければいけない。そのためにしっかりと頑張っていく。皆さんのご支援、後押しをお願いしたい」と呼びかけた。
 集会の最後に、参院選の必勝を誓う特別決議を採択し、川本淳連合会長代行の発声のもと「必勝ガンバロウ」コールで締めくくった。  ≫(民進党HPより)


民進党の岡田代表は、参院選でアベノミクスの失政に対して民進党としてどのような経済政策を訴えていくかを問われると、
『 一言で言えば成長と分配の両立。アベノミクスは成長戦略と構造改革という3本目の矢が極めて不十分であり、これをしっかりやっていく。そのことで成長を遂げることが第一。第二に、成長してもそれがうまく再分 配されていないということでは国民の生活は豊かにならず、GDPの6割を占める消費が元気にはならない、持続的な成長につながらない。従って、再配分を成長とともに行っていく』
と主張している。
枝野幹事長からも、目新しい「日本社会」のビジョンは聞かれないまま。

つまりは、成長と分配の両輪の舵取りを、安倍自民党よりは上手にやりますよ、と主張している。岡田が言ってしまっているように、「アベノミクスは成長戦略と構造改革という3本目の矢が極めて不十分」なだけと云うことで、イデオロギーが同じなのだ。上手か下手かなど、官僚をどの程度ハンドリングできるかに掛かっているわけだから、公平に見れば見るほど、ファシズム人事政権、安倍官邸の方に軍配が上がる。連合などと云う、似非労働組合と協定を結ばないと選挙が出来ない政党の限界は、ほぼ見えている。それなら、「法螺っチョ」で、日本の恥さらしであっても、低所得高齢者やワーキングプワーなどに、バラマキを約束している与党が有利なのは、子供が考えても判ると云うこと。

安倍たちの、憲法改悪戦略も、相当頓挫気味で、安倍の任期中に、憲法改正の発議が出来るかできないか、ギリギリのところ。小狡い、日本国民にしてみれば、先ずは、目先の分配は貰えるだけ貰おうじゃないか。野党勝利で、歪であっても分配金がパーになるのは御免蒙る。憲法改正の発議なんて、国民投票で「嫌だ~~」と言えば良いだけで、何も「発議で命取られない」そう云う意識が有権者には根強くある。
「安倍自民支持です!でも、憲法改正はNO出します(笑)。まあ、精一杯バラマキに精出してよ。不公平の是正なんて、ロジックじゃないよ、じわじわ掠め取ってやることだ。政治家や官僚が棄民なら、俺たちも汚く生きてやる」
こう云う声が聞こえてくる、我が国、日本の現状だ。南無阿弥陀仏だよね。

トマ・ピケティ氏の公演ビデオでも見ている方が、精神的に救われるね。
オマケだが、ピケティ氏が、昨日のバーニー・サンダースの躍進について、彼なりのコラムを書いているので、こちらも参考掲載していく。民進党が、「連合」離れできないのなら、官公労政党と云う永遠のレッテルがついて回る。気の長い話だが、民主社会主義にまで足を踏み入れる「日本共産党」が、最も世直し党に見えてくるのだから、日本の病巣は相当致命的だ。

以下のURLで、トマ・ピケティ氏の公演ビデオが視聴できる。比較的正確な日本語訳のナレーション付きだから、視聴の価値は大いにある。
サンダースの「Morality and Justice(道徳と正義)」演説と連続的に見ると、世界が見えてくるね(笑)。

http://www.asahi.com/topics/word/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%83%94%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3.html


 ≪ (ピケティコラム@ルモンド) 米大統領選 サンダース氏は新時代を開くか
米国大統領選の候補者指名争いで、「社会主義者」バーニー・サンダース氏が信じられないほどの成功を収めている。私たちはどう解釈するべきなのだろうか。

 バーモント州選出の上院議員サンダース氏は、いまや50歳以下の民主党支持層ではヒラリー・クリントン氏をリードしている。それでも、彼女が全体で優勢を保てるのは、ひとえに50歳以上の支持層のおかげだ。「クリントン・マシン」と呼ばれる支持者や保守的な主要メディアに、サンダース氏の勝利は阻まれてしまうかもしれない。だが近い将来、彼のような、でももっと若く、白人でもない候補者が大統領選で勝ち、国の「顔」をすっかり変えてしまう可能性があることが証明された。

 1980年の大統領選でのロナルド・レーガン氏(元大統領)の勝利で始まった政治イデオロギーが、様々な局面で終わりを迎えている。私たちはその終焉(しゅうえん)に立ち会っているのだ。

     *  

時間をさかのぼろう。30~70年代、米国は不平等の是正のため、野心的な政策を進めた。当時、旧大陸(欧州)は「超」のつく不平等がはびこり、米国の民主的精神とは相反するものとみなされていた。米国は二の舞いにならないため、両世界大戦間に高い累進性を兼ね備えた所得税と相続税とを生みだし、欧州では適用されたことがない水準の税率を課した。

 実際、30~80年までの半世紀に、米国で年収100万ドルを超える層に課された最高税率は平均82%だった。40~60年代、ルーズベルトからケネディ大統領までの時代は91%に達し、レーガン氏の大統領選があった80年時点でも70%を維持していた。

 米国で、この政策が戦後の経済成長の勢いをそぐことは一切なかった。相続税にも高い累進税率が課され、その税率は何十年もの間、巨額の財産に対しては約70~80%だった。

 一方、ドイツやフランスで最高税率が30~40%を超えたことはほとんどない。米国は欧州と異なり、戦争や破壊を経ずに相続税で財産の集中を軽減したのだ。

 また米国は、欧州各国よりずっと早く、30年代にはすでに最低賃金を定めている。2016年現在のドルに換算すると、その額は60年代末に時給10ドルを超え、当時、群を抜いた水準だった。しかも、高い生産性と教育体制の おかげで、失業はほとんど生まれなかった。民主的とは言い難かった南部でまだ合法的に続いていた人種差別に終止符を打ち、新しい社会政策を打ち出したのもこの時期だ。

 一方で、この一連の政策は大きな反発を生んだ。白人有権者のうち少数の反動的な人たちと、金融エリートの間では特にそうだった。ベトナム戦争で面目を失った70年代の米国にとって、ドイツと日本を筆頭に敗戦国が急速に追いついてきたことも懸念材料となった。石油危機とインフレーションにも悩まされた。レーガン氏はこうしたあらゆる不満の波に乗り、当時すでに神話と化していた原初の資本主義を復活させる綱領をかかげて当選した。

 クライマックスは86年の税制改革だ。高い累進税率を課してきた半世紀に幕を下ろし、最高税率を28%まで引き下げた。その後、クリントン時代やオバマ時代でも、民主党政権は本当の意味でこの決定を見直さず、最高税率は40%あたりにとどめた。ちなみにこの数字は、30~80年の平均税率の半分だ。当然、格差は爆発的に拡大し、超高額給与が生まれることになった。しかも経済成長は低調で、大多数の人たちの所得は停滞した。

 レーガン氏はまた、最低賃金の水準を上げないことも決めた。80年代以降、最低賃金はゆっくりと、しかし確実に、インフレによって目減りした。69年は時給11ドル近かったが、2016年は7ドル程度だ。この点においても、民主党への政権交代は、レーガン氏が導入した新しい政治イデオロギーを根本的に変えることはなかった。

     *  

現在のサンダース氏の成功から分かるのは、米国のかなりの数の人たちが、不平等の増大と見せかけの政権交代とにうんざりし、革新的な政策で平等を目指す米国の伝統と和解しようとしているということだ。クリントン氏は、08年の大統領選の候補者争いでは、特に健康保険制度についてオバマ大統領よりも左翼的な政策を掲げて戦ったが、今日ではレーガン=クリントン=オバマの政治体制を継承する、現状維持派に見えるのだ。

 サンダース氏は、高い累進性を持つ税と時給15ドルという高い最低賃金を復活させると提案している。さらに、国民皆保険と公立大学の無償化も唱えている。現在、教育を受ける権利には極端な不平等が生じているからだ。この現実と、「能力主義」という現体制の勝ち組が使う論法との間には、明らかに大きな亀裂が走っている。

 一方の共和党は、極端なナショナリズム、反移民、反イスラム教の論調に傾斜し、際限なく白人富裕層を賛美している。

 レーガン氏とブッシュ氏に任命された判事たちが、政治献金の影響力を制限する法的規制をすべて取り払ってしまったため、特にサンダース氏のような候補が大統領選で戦うのは難しい。だが、新しい動員のスタイルと参加型の資金調達によって勝利することで、政治を新しい時代へと向かわせるかもしれない。

 私たちはいま、歴史の終わりにまつわる陰鬱(いんうつ)な予言とは、かけ離れたところにいるのだ。

(〈C〉Le Monde,2016)  (仏ルモンド紙、2016年2月14日付、抄訳)
  ◇  Thomas Piketty 1971年生まれ。パリ経済学校教授。「21世紀の資本」が世界的ベストセラーに その他のオピニオン面掲載記事
 
≫(朝日新聞デジタル:企画連載・ピケティ)

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●日本は7割「社会主義」だよ 右翼さん社会保障放棄してね!

2016年06月02日 | 日記
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●日本は7割「社会主義」だよ 右翼さん社会保障放棄してね!

以下は、世田谷区長・保坂氏のブログの抜粋だ。同氏もリベラルな考えの持ち主だから民主社会主義者のバーニー・サンダースに共感するのだろう、と云うのは、かなりのレッテル貼りに過ぎない。筆者、“あいば達也”を「腐れ左翼」と決めつけているドアホ共がいるが、“あいば達也”はリベラル右翼と云うイデオロギーに立脚して、コラムを書いている。見出しを見ただけで、グタグタと能無しコメント入れてくるのは自重せよと言いたい(笑)。

まあ、ネトウヨじゃないので、鬱憤を晴らす必要もないので、誹謗中傷やイヤガラセには興味がないが、保守だとか、右派だとか、靖国愛だとか、日本会議所属だとか、安倍愛だとか、どれでも構わんのだが、日本ちゅう国は、7割方「社会主義制度」で成り立っていることを知っているのだろうか。そこからして、教えてやらないと判らないレベルなのだから、手に負えない。まあ、右翼に限らず、日本においてはリベラルとか、社会主義とか言っているのも、相当に似非なので、ドッコイの勝負だとも言える。

日本の場合は、正式な言葉ではないだろうが「官僚制社会主義国家」に近似している。自由と民主主義は、官僚の裁量権の及ぶ範囲で自由であり、民主的だ。ベースは「官僚制社会主義」なのである。ゆえに、日本では、すべての決め事に「似非」と云う冠が乗っかっている。釈迦様の掌で踊るのならまだしも、偏差値お化けの、ぶよぶよの掌で踊るのだから、相当に気味が悪い。倒錯的な性癖でもないと、日々吐き続けるのが普通である。最近の国家神道さんは、日本中の本来の神社が本尊にしていた神々をかすめ取って、出雲の神にしちゃったわけだが(捏造、古事記、日本書紀)、考古学上、完璧に作りものと看破されている。

この話が、もっと凄くなるのは、安倍さんたちの憲法改正になると、理想の国づくりは、ダダダッと崖から転げ落ちた明治憲法に至ると云うのだから、腰が抜けるのは当たり前だ。心ある宮司さんの中には、出雲の神は盗賊の巣窟。お伊勢さんなどは、農民の豊年満作を願うお伊勢参り、民百姓の神社に過ぎんと語る人がいるくらいだ。本題がずれてしまったが、日本は、アメリカなどから見りゃ、社会主義国家なんだよね。社会主義の難点は、行政裁量と云う病巣がつきまとうことだ。つまり、ゴルバチョフさんが最も手を焼いた「テクノクラート」が存在感を強くする。ここなのですね。

日本の「官僚制社会主義」壊すのは厄介だが、“官僚制”を弱体化させ、その空いた部分に“地方制”とか、“天皇制”とか、“直接民主”たかを嵌め込むと、それなりに人の血の通った制度に近づくだろうと考える。ネトウヨさんたちの間では、サンダースは極左だなんて言っているらしいが、彼は人道主義者なだけ。「徳」を重んじると云うことだね。安倍さんの「徳」は「得」に近似しているけど、そうじゃなく「神の手に近い徳」ってことです。

いずれにせよ、クリントンがトランプに勝ちたければ、サンダースか、その推薦者を副大統領候補として連座した上で、両輪的にハンドリングします、と宣言した時だろう。安倍自民党の支持率が高いと嘆くのも自由だが、上述のような考え方をしてしまうと、オカルト自民党も、フランケン民進党も、目糞鼻糞で、「官僚制社会主義」と云う、ぶよぶよの掌から抜け出せない。政治をやればセコクなる。舛添の場合は、あれはもう病気。松沢病院に強制入院させるべきだよ。清原君だって頑張るんだからね、舛添君にもマインドコントロールからの解脱が必要なのだろうね。

やはり、世捨て人のような哲学者とか、そう云う人を党首にした政党が誕生しないと駄目だろうね。案外、世間の人は言わず語らず、肌感覚で、景気は絶対に良くならない。しかし、手直に貰えるものは貰っておこう。20年、30年持てば良いだけなんだから。考えてはいないが、感じているのだろう。だから、どっちでも構わないのだ。正直、自民と民進党の違いって、ハッキリしてないもの。根本的なところで、同じ線路を、いつの間にか走っているだけなのだから(笑)。

サンダースの僅か4分の演説に、彼のエスプリが籠められている。そして、アメリカの可能性が、他国を侵略などせずにも出来るアビリティーを語っている。日本でも、富裕層への累進課税や税金を僅かしか納めず、分配もしない法人税を見直せば、経済成長などしなくても、再分配のパイは作れる。成長の糊代がない市場活性化に、財政出動など糞の役にも立たない。資材高騰で、庶民の家が奪われる。対資本効果から見ても、金持ち優遇は労多くして益なしだ。市場が縮小するのだから、先ずは官僚の掌から抜け出そうではないか。サンダースの演説の中で、耳が痛い部分がある。「人々は労働組合を結成し、抗議し、命を失い、暴行され、投獄された。 大勢の人々が立ち上がり、闘うとき、彼らは勝つのだ。」。日本の歴史では、民衆が勝ち取った歴史がないと云う事実は、筆者も強気なことが言い切れない難題だ。


≪ バーニー・サンダースの
「Morality and Justice(道徳と正義)」と題する演説全文


 道徳的に生きるとはどういうことでしょうか。

 「道徳」について語るとき、そして「正義」について語るとき、私たちは理解しないといけません。

 ごく少数の人間があまりに多くのものを手に入れる状況に、正義はありません。

 そして、あまりに多くの人間が、ごくわずかのものしか手に入れられない状況に、正義はありません。

 (富裕層の)上位1%の10分の1というごく一握りの人間が、90%の人々たちとほぼおなじ富を手にしているということに正義はありません。 大勢の人たちが長時間労働を強いられ、誰が見ても低い賃金で一生懸命働いています。

 それでも、家で待っている子どもたちがまともな食事にありつけるだけの収入は得られない。そんな状況に正義はありません。

 アメリカ合衆国が、世界の主要国の中でもっとも子供の貧困率が高いという状況に正義はありません。 そんな私たちが、道徳、そして正義を語ることなどできるでしょうか。

 自分たちの国の子供たちに背を向けているのに。

 私たちの国は、世界で最も多くの人間を投獄するために多額の金をつぎ込んでいます。それなのに、自分の国の若者たちに仕事や教育の機会を与えるための金を惜しむのです。 私たちの国は主要国の中で唯一、権利として全国民に医療の保障をしていません。

 全員、神の子なのです。貧しい人も、病気になったら医者に診てもらう権利があるのです。 考えてみてください。この偉大なる国が持つ可能性を。

 他の主要国と同様、すべての人に権利としての医療を保障できる国になれるのです。

 あらゆる働く親が、安くて質の高い保育を受けられる国になれるのです。

 あらゆる子どもたちが、親の収入に関わらず大学教育を受けられる国になれるのです。

 あらゆるお年寄りが、尊厳をもって、安全に暮らせる国になれるのです。

 あらゆる人が、どんな人種や宗教、障害、性的指向であろうとも、生まれながらに十分保証されている、アメリカ国民としての平等の権利を享受できる国になれるのです。

 みなさん、私たちはそのような国を作ることができるのです。

 ともに立ち上がましょう。人々を分断させてはなりません。 アメリカの歴史は、人間の尊厳のために闘ってきた人たちの歴史であり、もがき苦しんできた人たちの歴史である。

 彼らは「私は人類の一員だ。私には権利がある。あなたには私を不当に扱うことはできない」と闘ってきた。

 人々は労働組合を結成し、抗議し、命を失い、暴行され、投獄された。

 大勢の人々が立ち上がり、闘うとき、彼らは勝つのだ。
 
≫(ハフィントンポスト:ブログ・保坂展人より抜粋)

http://www.huffingtonpost.jp/nobuto-hosaka/bernie-sanders_b_9880880.html

バーニー・サンダース自伝
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●成長神話に別れを告げよ! 成長は争いの元、定常価値を磨け!

2016年06月01日 | 日記
もう親を捨てるしかない 介護・葬式・遺産は、要らない (幻冬舎新書)
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●成長神話に別れを告げよ! 成長は争いの元、定常価値を磨け! 

以下は、相当真面目に社会経済問題を論評するジャーナリスト・町田徹氏のコラムだが、昨日のコラム同様に、肝心かなめの部分で、経済成長神話に拘っているのは残念だ。筆者が、執念深く「成長神話」を否定するのは、「成長」が嫌いだとか、信条的に忌避しているからではない。日本を構成している国民、営みをしている商店、内需中心に営みをする企業‥等、日本と云う国を動かしている原動力が、成長する市場があると思っていないことである。つまり、成長の原動力となるマインドが欠落していると云うことだ。

一部、限定的にグローバルな市場と会話をしている企業群は、外需という、他の誰かから奪える市場がある分、多少前向きなマインドがある。しかし、この分野においても、市場フロンティアは飽和状態に到達しているので、グローバル的にも、市場は枯渇傾向にある。何処かの市場を奪っている間に、他の市場を奪われると云うのがグローバル市場の競争なのだから、常に変動的で、国家の経済を、外需に頼るなど、愚の骨頂である。言うは易く行うは難しが、世界の協調だという事実は、歴史が百万遍証明している。

随分長きに亘って、日本では「構造改革」という言葉が叫ばれ続けている。この言葉自体にも「神話性」が潜んでいる。小さな政府を目指し、英米など欧米先進国は「構造改革」なるものを相当に進めているわけだが、それでも、精一杯頑張って1.5~2.5%程度なのである。「構造改革」の進んでいない我が国でも「0%前後」というのは、違いがあるとも言えるが、どっちもどっちの成長力である。ここのところが、今後の経済的な世界を考える時に重要になる。1%、2%の差を求めて、牛を殺したのでは元も子もない。つまり、労多くして益少なし、という徒労に終わる確率の方が高いと判断するのが正しい。

経済学的に、資本主義における資本の利益率と云うものは、歴史的に10%の利益率があることが前提で生きていく「魔物」なのである。資本主義の歴史を振り返っても、実物経済で、利潤率が10%を切ると金融経済的になり、その後、資本は覇権の立ち位置を別途調達すると云う経歴を持っている。この歴史的事実に沿って資本が動くと想定した場合、資本の利益率が2~3%程度になっている現状は耐えがたい状況という事実だ。この件には深入りはしないが、資本の覇権地が米英のウォール街、シティーから、限りなく離れようとしていると云うことだ。今現状は、行き先が定まらないので、IMF、FRBがひねり出すセメダインで、どうにか、くっ付いているに過ぎない。

我が国は、EUのように“ユーロ圏”を作りたくても、中国、ロシア、北朝鮮、韓国が隣人の我が国で、“元円圏”のようなものを作ることは想定しがたい。TPPという“TPP圏”という想定もあるが、日米で市場パイの収奪戦をするだけで、双方に大収穫があるとは、到底思えない。まあ、米国の場合は人工的に作られた国家と云うか集合体なので、日常的に移民という無産化階級を流入させているので、常に「成長の原動力」が調達できる。勿論、その弊害は、今や大統領選で明確に現れ、既得権勢力の度肝を抜いている。トランプ氏の発言では、白人を虐げ、移民を大切にするアメリカだと断言するに至り、ヤンヤノ喝采を浴びている。

それでは、自然国家の我が国において、アメリカのように、グローバルな精神力で、「移民」を受け入れる素地があるかといったら、もう皆無に近い。まあ、多少の移民は、自己都合で制限的に受け入れようか程度のマインドはあっても、「致し方なく」なのは、移民してくる人々にも以心伝心なのだから、上手く行くとは到底思えない。村や町に、他の町から、同じ日本が移住してくるだけで、鵜の目鷹の目の我が国で、これこそ、労多くして益少なく、百害に悩むことになるだろう。宗教的に自由ではあるが、信仰深き人々への配慮にも欠けているので、やはり、選択できる道とは思えない。

今後、日本が経済成長すると本気で思っている人は本当にいるのか、筆者は懐疑的に見ている。それぞれ、自分の立ち位置があり、「成長神話」を口にしなくなったら、職を失う、そう云う事情主義で、日本の「成長神話」は生き続けているものと推察する。国民が、本当は成長なんかしないよなと、或る意味醒めてみている以上、バブル的成長すら望めないだろう。多少いびつにはなっているが、自然国家で、主たる宗教もなく、民族的対立も少ないとなると、世俗的コンセンサスという意外に矮小化された世間で、日本人は生きている。そうなると、日本人には、世界標準のデモクラシーも、グローバルな資本主義にも、移植で云う「拒絶反応」が無意識下において、あるのかもしれない。

さてそれでは、我が国どうすべきなのか?この解を持っているのであれば、blogなど書かずに、もっと生産的活動に携わっている(笑)。日本で出来る「構造改革」霞が関解体くらいのものだが、それも、一時の臨時成長に過ぎない。つまりは、縄文の昔からある、自然との共生の中で、編み出される知恵の集積的な、自然発生的価値観が誕生することだ。その価値観さえ確立できれば、充分に豊かで、子供が少なかろうと、働き方が古臭く、非効率であっても、共生に寄与する生き方であれば、充分に満足いく国家は成立しうる。

歴史修正主義とは意を異にするが、明治維新の誤謬を革命的に変革するところから、すべてが始まるような気がしている。もっと大袈裟に言えば、古事記や日本書紀“出雲起源説―国家神道”に、日本の原点を求めること自体、破棄する勇気が必要かもしれない。このように21世紀のカオスな世界が展開していくにつけ、我々日本人は、日本の特性をあらためて検証し、あるべきものを、より価値あるものにブラッシュアップする発想に立ち返った方が、何らかの選択肢に行きつくのではないかと、日夜ふらふらと考えている。まあ、この辺はイデオロギーなので、あまり多くは語らないでおこう。


 ≪ サミットで浮上した「日本の弱点」~こんなに低い潜在成長率で先進国と言えるのか
アベノミクスに募る不信感

■肝心の経済連携はお粗末
先週金曜日(5月27日)、サミット・ウィークがオバマ米大統領の歴史的な被爆地・広島訪問で幕を閉じた。
・『G7伊勢志摩首脳宣言』は、中国やロシアの力による現状変更を認めないことを再確認したほか、テロや難民、租税回避問題に協調して対処すると明言、政治イベントとしてのG7サミット(主要7ヵ国首脳会議)は概して成功したと評価できるのだろう。
・だが、肝心の経済連携はお粗末だ。『首脳宣言』に明記されたのは、世界経済の低成長リスクに7ヵ国が共同で対処するという総論だけである。議長を務 めた安倍晋三首相が目指した財政の協調出動は盛り込まれず、財政政策、金融政策、構造改革という選択肢の中で具体的に何をするかは各国の裁量に任された。 これでは実効性に疑問符が付く協調と言わざるを得ない。
・集まった先進7ヵ国の顔触れを見て、改めて想起したのが、群を抜く日本の潜在成長率の低さだ。財政出動に慎重なドイツが高い優先順位を付けていた構 造改革を、どの国よりも必要としているのは、他ならぬ日本なのである。消費増税の再延期はある種の痛み止めに過ぎない。生温い「1億総活躍プラン」や骨抜きの「骨太計画」など、経済政策の練り直しが急務となっている。
・「リーマン・ショック直前の洞爺湖サミットは危機を防ぐことができなかった。その轍(てつ)を踏みたくない」――。 こう述べて、安倍首相が世界経済の下振れリスクを指摘したのは、サミット初日(5月26日)のセッションだった。

 ■国内政治のためのスタンドプレー
・確かに、8年前の洞爺湖サミットは、土砂降りの経済状況で開かれた。初日は月曜日で、その前週末まで東京株式市場が12日間連続安と54年ぶりの長期的な下げに翻弄されていた。
・筆者は当時、ある連載コラムに、『「G8(主要8ヵ国)サミットは「第3次オイルショック」「食糧危機」「米プライム・ローン危機」「新興国の成長神話の崩壊」と、連鎖的に増幅する世界的な経済危機に対してまったく無力であることを露呈した』と書いている。
・今回、安倍首相は、当時の経験を踏まえて、消費増税の再延期のお墨付きにもなる、G7諸国による財政の協調出動に同意を得ようと試みた。下落が目立つ国際商品市況のグラフなど4種類の資料を示して、首脳たちに理解を促したとの報道もあった。
・しかし、結果は空振りだ。『G7伊勢志摩首脳宣言』は、安倍首相が拘ったフレーズ「3本の矢のアプローチ」の英語版である「the three pronged approach」という文言を盛り込み議長国・日本に花を持たせたものの、肝心の細部では「すべての政策手段―金融、財政及び構造政策―を個別的(individually)にまた総合的(collectively)に用いるとの我々のコミットメントを再確認する」と記すにとどまった。
・つまり、実際に、どの政策をどの程度実施するかは、各国が独自の裁量で行うとしたのである。
・安倍政権は数ヵ月前から、日本の消費増税再延期を含む各国の財政出動という経済協調路線をサミットで演出し、G7諸国のお墨付きを錦の御旗に、ダブル選挙に打って出て、憲法改正の道筋を付けるという壮大なシナリオを描いていたといわれる。そのため、サミット直前に欧州を歴訪するなど、根回しに奔走した。だが、そうした議長工作は不発に終わった。
・ドイツや英国を取材する日本人記者に聞くと、非公式の取材の場では「各国にはそれぞれの事情がある。安倍政権の国内政治のためのスタンドプレーに巻き込まないでほしい」と不満をあらわにする政府当局者が少なくなかったという。

 ■サミット空振りの遠因
・一方で、『G7伊勢志摩首脳宣言』には盛り込まれなかったものの、日銀のマイナス金利や量的・質的金融緩和策を円安誘導と警戒する見方がG7諸国内に根強いことも改めて浮き彫りになった。
・オバマ米大統領が26日の記者会見で、「すべての国・地域に悪影響を与える保護主義や競争的な通貨の切り下げ、近隣窮乏化政策を避けることが重要 だ」と語り、サミットの討議の中であえてこの問題に言及したことを明らかにしたのだ。この問題では、首脳会議に先立つG7財務大臣・中央銀行総裁会議で も、日本はフランスから釘を刺されている。
・「3本の矢」と言いながら、政権発足以来、肝心の構造改革で抜本策を先送りし続け、その場しのぎの財政政策や金融政策を繰り返してきたアベノミクスへの不信感が、今回、サミットで空振りする遠因になったことを、政府は自覚する必要がありそうだ。
・ちなみに、サミットメンバーである先進7ヵ国の中で、日本の潜在成長率の低さはネガティブな意味で特筆に値する。
・例えば、国際機関のIMF(国際通貨基金)の最新の経済見通しをみると、日本の2016年の実質経済成長率は0.5%で、米国の2.4%、英国の1.9%、ドイツ、カナダ各1.5%、フランス1.1%、イタリア1.0%と比べて圧倒的に低い。 しかも、この予測は消費増税が予定通り行われて、ある程度駆け込み需要が喚起されることを前提にしている。それでも日本は潜在成長率が0%前後と極端に低いため、先進7ヵ国の中で6強1弱の構図になってしまうのである。
・このIMFの予測では、消費増税で個人消費が落ち込むと見られる2017年の日本の実質経済成長率はマイナス0.1%に下落する。これに対して、他の先進国は米国が2.5%、英国が2.2%、カナダが1.9%、ドイツが1.6%、フランスが1.3%、イタリアが1.1%と安定成長が見込まれる。つまり、潜在成長率の低い日本だけがマイナス成長に転落するとみられているのだ。 
・こうした状況では、他の先進国から見れば、日本の消費増税の再延期は、「世界経済の下振れリスクに対する予防策」ではなく、「日本のマイナス成長への転落防止策」としか映らない。

 ■第2次補正予算に注目
以前から繰り返して述べているように、財政健全化は必要だ。
・しかし、経済がマイナス成長に転落し、税収が落ち込んでは財政再建も覚束ない。IMFの予測を見れば、財政健全化が遅れても、消費増税を再延期せざるを得ないのは明らかだろう。
・報道によると、首相はサミット閉幕の翌日にあたる5月28日夜、麻生太郎財務大臣、菅義偉官房長官、谷垣禎一自民党幹事長と会談し、税率を10%に 引き上げる消費増税を2年半先送りする意向を伝えたという。本稿が掲載される頃には、その調整が完了しているかもしれない。消費増税の再延期は、もはや避けて通れない状況だ。
・そこで注目すべきは、サミットが終了した途端、安倍政権が検討を始めた今年度の第2次補正予算の中身である。消費増税の再延期によって来年度の税収不足が確実になる中で、相変わらずのバラマキ予算を組むのはもってのほかである。
・どうしても補正予算を編成するなら、熊本地震対応で緊急を要するものと、経済の構造改革に直結する投資効果の高いものに使途を絞り込んだ超小型の予算にしていただきたい。  ≫(現代ビジネス:町田徹の「ニュースの深層」)

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