世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●ヒラリーで決着だが バーニーの正義に向かわざるを得ない米国

2016年06月12日 | 日記
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●ヒラリーで決着だが バーニーの正義に向かわざるを得ない米国

米・共和党を瓦解させたドナルド・トランプ現象も、終息の方向にあるようだ。しかし、屋台骨を揺るがされ、柱の何本かが折れてしまっている保守アメリカの立て直しは容易ではないだろう。共和党の主軸となる“ふるき善きアメリカ”は遥か彼方にあり、そこに戻ることは、中間層を消滅させたことで、レゾンデートル自体が危うくなってきている。伝統的保守層と宗教保守への国民的支持が、相当に衰弱してきているので、アメリカが、直接戦争に海外派兵するような事態が起きない限り、再生のモチベーションは思いつかない。

まあ、軍産複合企業とネオコンが、CIAなど公的機関と連携する形で、突発的に、“偽装被攻撃劇”でも起こさない限り、論理的には、レゾンデートルが怪しくなってきている。NATO軍を引き摺り込んで、対ロ戦争を仕掛けるだけの器量が、マケイン議員がトップのような状況では、ほぼ無理だろう。となると、米共和党は何処へ行くのか?ふと不安になる。トランプ的人物が、今後も続々と出てくると云うのは考え難いので、長期的休暇を取ることになりそうだ。おそらく、移民国家に邁進した結果、“小さな政府と伝統的米国社会コミュニティと宗教保守”と云う価値が、少数派になってしまった事が大きな要因なのだろう。現在の共和党支持者が中高年の白人と、学歴に低い白人と云う事実は、将来的展望を見出し難い。

方や民主党は、特別代議員制度(エスタブリッシュメント特権)に救われ、経歴に申し分のなかったヒラリー・クリントンが選ばれたわけだが、実情は薄氷を踏んでいる。ヒラリーを、民主党の大統領候補に推薦した民主党の幹部やそのグローバル企業やウォール街と云う現アメリカのエスタブリッシュメント層が望むようなヒラリーでいられる保証は殆どない。アメリカ社会に、少しづつ芽生えていた、ヨーロッパ的社会民主主義が、遂にサンダース候補でさく裂したわけだから、その勢いを無視した政策は到底選択不可能になってきている。

ところが、グローバル経済世界が拡大は、アメリカにマネーの集中だけは起こしたが、肝心の再分配の富がない状況を生みだした。ゆえに、50歳代以下の高学歴のな人々のイデオロギーには、社会主義=アカと云った、安倍や日本会議的プロパガンダが、全く通用しない社会構造を作ってしまっていた。60代以上の有権者とヒスパニックに支持されるヒラリーは、今現在のリーダーであるが、4年後のリーダーではないと烙印を押された面もある。つまり、ヒラリー・クリントンは、グローバル主義と金融経済と社会民主主義を融合した政治をしなければならないと云うことだ。相反関係にあるイデオロギーを調和させるなど、おそらく成功しないだろう。成功させたければ、グローバル経済と金融経済で潤っているエスタブリッシュメント層から、富を収奪する選択しか残されていない。

しかし、本質的には、この問題は、何もアメリカに限定された問題ではない。既成のイデオロギーでも解釈不可能は、世界的構造変革が起きていると見るべきだろう。どうも、英国のEU離脱も、冗談ではない情勢になってきた。この流れと同時的に、ユーロ圏の負け組の反乱が起きても、何ら驚かない状況だ。こんな最中、我が国の首相は、一強他弱と言われる中で、選挙演説は、野党の悪口と法螺ッチのクソノミクスの更なる噴射とか法螺の上に法螺を乗せ、戦争する気のなくなっている、米軍に絶対服従とか、ついつい、笑ったりしてしまう。おそらく、日本は既に民主社会主義国家を実現しているから起きる、モラトリアムな数年と云う期間に入っているのだろう。朝日新聞とビデオニュースドットコムの記事を紹介して今夜はおやすみなさい。


 ≪ サンダース氏、共闘に言及 クリントン氏と会談へ
オバマ米大統領が9日、大統領選で民主党の候補者指名を確実にしたクリントン前国務長官(68)への正式な支持を表明し、指名を争ってきたサンダース上院議員(74)も、共和党で指名獲得が確実なトランプ氏(69)を打倒するため共闘する考えを打ち出した。民主党が「打倒トランプ」で足並みをそろえつつある。
 「トランプ氏を米大統領にしないよう、私はあらん限りの力を注ぐ」。9日にホワイトハウスでオバマ大統領との会談を終えたサンダース氏は、報道陣を前にこう強調した。
 さらに「近くクリントン氏と会談し、トランプ氏を打倒し、(特定の)1%の人々のためでなく、すべての市民のための政府をつくるためどのように共 闘するか話し合う」とも述べ、将来のクリントン氏との共闘にも初めて言及。同日夜に首都ワシントンで開いた集会でも、クリントン氏への直接批判を避けた。  指名獲得が事実上困難となったサンダース氏だが、14日の首都ワシントンでの全米最後の予備選までは選挙戦を継続する方針。事実上敗北を認めつつ、最後まで自身の政策を訴えることで、党の政策に反映させたい考えだ。
 サンダース氏は9日、バイデン副大統領や民主党幹部とも会談を重ね、今後の対応について議論。オバマ氏はクリントン氏支持を打ち出したビデオで、サンダース氏を「経済的格差などに光を当て、若者を政治プロセスに参画させた」と評価した。
 オバマ氏はさらに「クリントン氏とサンダース氏は予備選ではライバルだったが、2人とも米国を愛し、米国の将来の展望を共有している」と党内の団結の必要性を強調。15日にウィスコンシン州で開かれるクリントン氏の選挙集会に初めて参加し、民主党の指名候補となるクリントン氏への支持を呼びかける。
 ウォール街批判を繰り返し、クリントン氏と距離を置いてきたリベラル派のウォーレン上院議員も9日の演説でトランプ氏を「怒りっぽく、人種差別をして威張り散らす」と批判。「打倒トランプ」で足並みをそろえた形だ。(ワシントン=佐藤武嗣)  ≫(朝日新聞デジタル)


 ≪ 米大統領選で右も左も大混乱なわけ
 アメリカ大統領選はヒラリー・クリントンが民主党の候補者に指名されることが確実となり、11月の本戦で共和党候補のドナルド・トランプと大統領の座をかけて争うことが事実上決まった。
 それにしてもアメリカの政治は前代未聞の異常事態に陥っている。共和党では政治経験など皆無の不動産王が、暴言を繰り返しながら、名だたる党のエ スタブリッシュメント候補を完膚なきまでに打ち破ってしまった。もう一方の民主党も、知名度も経歴も非の打ち所の無いと思われた大本命が、民主社会主義者を自任し、昨日まで民主党員でもなかった老政治家に、ぎりぎりのところまで追い込まれた。これまでアメリカの政治を担ってきた二大政党が同時に、崩壊の縁に立たされているといっても過言ではない。

 ■アメリカに何が起きているのか。
 アメリカの思想史を長年ウォッチしてきたジャーナリストで青山学院大学教授の会田弘継氏は、トランプやサンダース躍進の背景にアメリカ社会に鬱積 した不満や不安の存在を指摘する。グローバル化が進む中でアメリカの豊かさの代名詞だった「分厚い中間層」が崩壊し、その多くは、低所得層へと没落した。 彼らの多くは既存の政治勢力に強い絶望感を抱いている。中でもプアホワイトと呼ばれる白人の低所得層は怒りの矛先を移民や少数民族に仕向けるトランプの支持に回り、多額の学費ローンを抱え、満足な仕事に就くことができない若者は、ウォールストリートや富裕層批判を強めるサンダースの下に参集した。そうした政治的変動が、今回の大統領選挙の予備選で既成政党に対する反発と反体制派候補への支持という形で顕著になったのだという。
 元々アメリカでは伝統的に共和党は保守陣営をまとめ上げ、民主党がリベラル層を束ねることで、長年にわたり二大政党制を維持してきた。しかし、ア メリカではもはや保守派が社会を保守できず、リベラル派は再分配を通じた公平の実現が困難になっている。そしてそれは、決してアメリカに限ったことではない。
 アメリカの大統領選挙の異常事態は、保守とリベラルという従来の政治的な棲み分けが、世界的に困難になっていることの反映と見ることができる。安 定的な経済成長が期待できることを前提に、分厚い中間層に支えられた政治環境の下で、保守とリベラルの間でチェック・アンド・バランスを繰り返してきた民主主義体制そのものが、成り立たなくなっているのだ。
 アメリカの大統領選で表面化した政治的な混乱は何を意味しているのか。保守とリベラルという伝統的な仕分けが成り立たなくなった世界で、何が新た な対立軸となり得るのか。大統領選におけるトランプ、サンダース躍進から見えてくる世界の新たな政治的潮流の正体を、ゲストの会田弘継氏とともに、ジャー ナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。
≫(ビデオニュースドットコム:マル激トーク・オン・ディマンド 第792回(2016年6月11日・ゲストー会田弘継氏(青山学院大学教授・ジャーナリスト)

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