帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕 | |
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●どうする?米国の異変 談話評価44%、梯子が外され彷徨う日本
共同による世論調査で、内閣支持率が上昇した!(笑)。まあ、こういう事も、今の日本ではありがちな現象だと思う。日本人にしてみれば、NHKの夜7時又は9時のニュースを見ることが、民主主義国家の国民として、最低限の知識教養の習得だと思い込んでいる人は、相当数いる。そして、その方法が最も手っ取り早い情報の入手方法だと考えている。今どきの若い連中は、ニュース番組さえ見なくなってケシカラン、と言っている高齢者が多いのも事実だろう。
≪ 世論調査、安倍談話44%評価 安保の今国会成立反対62%
共同通信社が14、15両日に実施した全国電話世論調査によると、戦後70年に当たって安倍晋三首相が発表した首相談話を「評価する」との回答は 44・2%、「評価しない」は37・0%だった。参院で審議している安全保障関連法案の今国会成立に反対は62・4%、賛成は29・2%。
内閣支持率は43・2%で、2012年12月の第2次安倍政権発足以降で最低だった前回7月の37・7%から5・5ポイント上昇した。不支持率は46・4%だった。
新国立競技場の建設計画で総工費が膨らんだ問題について、安倍政権に「責任があると思う」は「ある程度」を含めて78・5%。 ≫(東京新聞・共同)
NHKのニュースを視聴するだけでも教養人面出来る国と云うのが笑わせるのだが、結構真面目に、そのように思っている40代50代も多い。NHKのニュースを鵜呑みにする。その30分程度を過ぎれば、クイズ・バラエティ番組で薀蓄を身に着け、今夜も幾つか教養が身に着いたなどと思い、満足げに寝床の人となる。中には、晩酌を続けて家族迷惑なオジサンもいるのだろう。以下の新聞通信調査会の12年、14年のデータを見ても、国民のNHKに対する信頼度は7割を超えており、世論形成に、重大な役割を担っているのがよく判る。
≪ 各メディアの情報の信頼度は?
1位「NHKテレビ」71.1点、2位「新聞」69.2点、3位「民放テレビ」60.2点
各メディアの情報をどの程度信頼しているかを、全面的に信頼している場合は100点、全く信頼をしていない場合は0点、普通の場合は50点として点数をつけてもらったところ、平均点が最も高かったのは「NHKテレビ」で71.1点、次いで「新聞」が69.2点、「民放テレビ」が60.2点となっている。
性別、年代別に見ても、「NHKテレビ」、「新聞」が全てのカテゴリーで上位2位を占めており、幅広く厚い信頼を得ていることが分かる。
(*注:中間省略)
1位「NHKテレビ」(2008年度74.0点、2009年度73.5点、2010年度73.5点、2011年度74.3点、2012年度70.1点、2013年度72.5点)、2位「新聞」(同72.0点、同70.9点、同72.0点、同72.0点、同68.9点、同70.7点)で、順位に変化はなかった。 2012年度に過去最低となった信頼度は2013年度にかけて若干の回復がみられたが、今年度は再度低下に転じた。 ≫(2014年第7回公益財団法人 新聞通信調査会のデータより抜粋)
日本人のメディアリテラシーがどうだこうだと言っても、恣意的に政権好みの会長人事やNHK経営員会人事に手出ししている安倍政権においても、NHKの信頼度が、それ程下がっていないの事実を鑑みると、日本人の政治や外交等々に関する興味は、相当に低いものと考えても良さそうだ。つまり、自分の生活に直接的に関わりがなく、巡り巡って、己の首を絞める政治案件でも、三段論法程度の想像力も発揮されていないと思考すべきだ。やはり、日本人の大多数が、生活者目線以外の目線を持つことは稀、と云うことなのだろう。それでも、一種常識人の、それこそ生活上の常識として、NHKが耳に入れてくれる事くらい理解、記憶しておこう、と云う按配なのだ。そのNHKが以下ように、安倍70年談話の内容を報道すれば、そりゃ4割以上の人間が高評価しても不思議はない。
≪「お詫び」などキーワードすべて明記
政府は臨時閣議を開いて、戦後70年にあたっての総理大臣談話を決定し、安倍総理大臣が記者会見で発表しました。 ・安倍総理大臣は「わが国は先の大戦における行いについて 繰り返し痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきた。
こうした歴代内閣の立場は今後も揺るぎない」などと述べ、いわゆる「村山談話」のキーワードと位置づけられる「侵略」、「植民地支配」、「痛切な反省」、「お詫び」のすべてを使いながら、歴代内閣の立場を継承する姿勢を明確にしました。
そのうえで、積極的平和主義の下、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献していく考えを表明しました。
村山談話、小泉談話はおよそ1300字程度でしたが、今回の談話は3000字を越える分量となっています。 政府は、安倍総理大臣の真意を諸外国に正確に伝えるため、英訳を公表したほか、今後、中国語と韓国語訳も発表することにしています。 ≫(NHKニュースWEB)
これじゃ、矮小化した談話を、更に矮小化、抽象化して、7割の人間が信じて疑わないNHKニュースで流すのだから、4割しか評価していないと云うことは、実は、非常に駄目な談話だったと、流石に気づいた人々がいたと云うことにもなる(笑)。なんとも、心もとないが、心強くもある。日本が、こんなメディアリテラシーの中にあるが、本家本元では、意外な動きが表面化してきている。
この件に関しては、ビデオニュースドットコムが詳しので、そちらの動画を見られることをお薦めする。建国時のアメリカの精神に立ち返ろうではないか?「フェアネスとは何ぞや」。そう云う機運があるのは、口惜しいが一応政治への感度は失っていない。それにしても、アベの戦争法案で、自衛隊が無理やり戦場にかける橋で後方支援やPKOで矢玉で死傷者を続出させている頃には、アメリカ様は、グローバリズムやめた!世界の警察やめた!海外米軍基地もすべて撤退!そんな時代が来ても、戦場や紛争地域から自衛隊が抜け出せない。なんだか、最悪な話だね(笑)。
≪ 70年談話とレッシグ出馬、サンダース躍進の衝撃
安倍晋三首相が8月14日に発表した戦後70年談話では、「侵略」や「植民地支配」といった日本の戦争責任に関連するキーワードは含まれていたものの、いずれも間接的な表現が使われ、首相自身の歴史認識が示されたとは言い難い内容だった。
談話は注目されていたキーワードを含めることで、アメリカを始めとする国際社会や、安保法制をめぐる支持率の低下、連立を組む公明党に配慮しつつ も、自身の歴史認識を示すことは意図的に避け、あえて謝罪や反省の言質を与えないことで、安倍首相が掲げる「戦後レジームからの脱却」を期待する右派の感情にも配慮した、まさに玉虫色の談話だったと見るのが妥当だろう。
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一方、アメリカでは8月11日、憲法学者でインターネット上のオープンな著作物の利用を規定した「クリエイティブ・コモンズ」の設立者としても知られるハーバード大学のローレンス・レッシグ教授が、条件付きながら大統領選挙への出馬を表明し話題をさらった。
レッシグ教授は現在のアメリカが、建国の父たちが尊んだ「平等の精神」を失い、富裕層や特定の圧力団体が政治を支配する非民主的な寡頭政治の国に 成り下がっているとして、これを抜本的に是正するための「市民平等法」の制定に向けた運動を立ち上げると宣言。既存政党の候補者の中から、同法の制定を最 優先の選挙公約として受け入れる候補者が現れなかった場合、教授自身が大統領選挙に立候補するとしている。
レッシグ教授はまた、その第一段階として、9月7日のレイバー・デーまでに100万ドル(約1億2千万円)の資金をクラウドファンディングによっ て集められるかどうかを出馬の条件としているが、レッシグ氏のキャンペーンサイトLessig2016によると、キャンペーンの立ち上げから4日後の8月 15日段階で、既に2500人から20万9千ドルの寄付が寄せられているという。
また、レッシグ教授の出馬表明と相前後して、アメリカでは大統領選挙の候補者選びでも異変が起きている。10人の候補者が乱立した共和党の大統領 候補者選びで、ニューヨークの不動産王にして大富豪のドナルド・トランプ氏がブッシュ元大統領の弟のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事らの有力候補を押さ えて支持率でトップに躍り出たかと思えば、民主党の候補者争いでも、一貫して大本命と目されてきたヒラリー・クリントン元国務長官が2位に転落するという 予想外の展開となっている。
8月13日に行われた民主党の大統領候補者に関する世論調査で、クリントン候補への支持が37%にとどまり、44%の支持を集めた、日本ではまだ無名なバーニー・サンダース上院議員に大きく水をあけられる形となった。サンダース上院議員は社会主義者を自任する民主党左派のベテラン政治家だが、富裕 層や企業への課税を強化する一方で、大学の無償化を提唱するなど、自由を重んじるアメリカにあっては珍しく明確に社民主義的な主張を展開している。
そのサンダース候補は、ノーベル経済学賞の受賞者でコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授や同じく著名な経済学者でクリントン政権で労働 長官を務めたロバート・ライシュカリフォルニア大学バークレー校教授からも強い支持を受けるなど、大本命クリントン候補にとっては脅威の存在となり始めて いる。
安倍首相の70年談話の評価と、レッシグ教授の出馬や社会主義者候補サンダース上院議員の躍進に見られるアメリカ政治の地殻変動について、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が議論した。 ≫(ビデオニュースドットコム:ニュース・コメンタリー15.08.15 )
http://www.videonews.com/commentary/150815-01/
参考:
■ローレンス・レッシグ ≪ ローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig、1961年6月3日 - )は、アメリカ合衆国の法学者。専門は憲法学及びサイバー法学。ハーバード大学法学教授およびエドモン・J・サフラ財団倫理センター所長。 スタンフォード大学ロー・スクールの教授及び同大学のインターネット社会研究所を歴任。 ・エルドレッド・アシュクロフト裁判(Eldred v. Ashcroft)で原告のエリック・エルドレッド(Eric Eldred)の代理人を務め、フリー・カルチャー(Free Culture)のコンセプトを打ち出した。また、フリーソフトウェア運動も支持している。フリーソフトウェア財団と自らが設立したクリエイティブ・コモンズの理事を務めている。 ・2015年8月11日、クラウドファンディングによる選挙資金100万ドルの獲得を条件として次期米国大統領選挙への立候補を検討すると発表した。 著書・『CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー』、『コモンズ―ネット上の所有権強化は技術革新を殺す』、『Free Culture―いかに巨大メディアが法をつかって創造性や文化をコントロールするか』他多数≫(Wikipedia引用)
■バーニー・サンダース ≪ バーナード・"バーニー"・サンダース(英語: Bernard "Bernie" Sanders、1941年9月8日 - )はアメリカ合衆国の政治家。バーモント州選出の無所属の上院議員。信仰する宗教はユダヤ教である。 経歴エピソード: ・2006年の下院から上院への鞍替え立候補では、民主党はじめバーモント進歩党、アメリカ民主社会主義者などから支援を受ける無所属候補として選挙を戦い、議席を得た。サンダースは自ら民主社会主義者であると名乗っているため、合衆国上院初の社会主義者の議員となった(下院では過去にサンダース自身をはじめ、アメリカ社会党のヴィクター・L・バーガーなどの例がある)。 ・2010年12月13日、ブッシュ政権から続いていた減税措置の延長をめぐって8時間半に及ぶフィリバスターを行った。通常、フィリバスターはシェイクスピアや合衆国憲法を 意味もなく朗読するものであるが、サンダースのフィリバスターは減税措置をはじめとする行き過ぎた自由市場主義によってもたらされた貧富の格差の拡大や国 内産業の衰退について強い批判の態度を持って行われ、本人も「2時間あれば言い終わると思っていた」と話している。このフィリバスターはたちまちインターネット上で話題になり、その様子がTwitterで中継された。 左翼系無所属の議員であるが、アメリカ合衆国第112議会の上院では同じく無所属のアンガス・キング(英語版)とともに、民主党と院内会派を組んでいる。 2015年4月30日、2016年アメリカ合衆国大統領選挙に民主党から出馬することを表明した。 ≫(Wikipedia引用)
■ジョセフ・スティグリッツ ≪ ジョセフ・ユ-ジン・スティグリッツ(英: Joseph Eugene Stiglitz、1943年2月9日 - )は、アメリカの経済学者、コロンビア大学教授。1979年にジョン・ベーツ・クラーク賞、2001年にノーベル経済学賞を受賞。IMFの経済政策を厳しく批判している[1]。著書・ 『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』、『世界の99%を貧困にする経済』、『世界に分断と対立を撒き散らす経済の罠』等多数 ≫(Wikipedia引用)
■ロバート・ライシュ ≪ ロバート・バーナード・ライシュ(英語: Robert Bernard Reich, 1946年6月24日 - )は、アメリカ合衆国の経済学者、文筆家、カリフォルニア大学バークレー校公共政策大学院教授。これまで、ハーバード大学ケネディスクール教授、ブランダイス大学社会政策大学院教授、アメリカ合衆国労働長官を歴任している。 著書・『暴走する資本主義』、『アメリカは正気を取り戻せるか―リベラルとラドコンの戦い』他多数 ≫(Wikipedia引用)
ロバート・ライシュ 格差と民主主義 | |
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