プーチンはアジアをめざす―激変する国際政治 (NHK出版新書 448) | |
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●ユーラシア対アメリカ新冷戦構造 基軸通貨のゆらぎ(1)
本日は野暮用で時間がないので、有用な情報「ロシア貿易・軍事同盟のユーラシア基軸」(ブログ:マスコミに載らない海外記事さんの全文)を紹介しておく。マイケル・ハドソン氏の見解が正解でとまでは言わないが、欧米メディアにプロパガンダ洗脳されている人々には、寝耳に水で、なに嘘言っているんだとなるだろうが、世界の勢力図の変化とか、歴史の大きな動きとか、日本のマスメディアや学者、識者の話ばかり聞いていると、本当にバカになるので、多少は、あべちゃんの地球儀の見方ではない方法で、世界を俯瞰することは、日本人に一番必要な課題だと思う。筆者の考えは後日掲載予定。
≪ ロシア貿易・軍事同盟のユーラシア基軸
マイケル・ハドソン 2014年12月16日
The Real News
マイケル・ハドソン教授のビデオ・インタビュー書き起こし(ビデオをみるには、スクロールダウン)
TRNN製作責任者シャーミニ・ペリーズ: リアル・ニューズ・ネットワークにようこそ。
私、シャーミニ・ペリーズが、バルチモアからお送りします。 ウラジーミル・プーチン大統領は現在ガスと武器商談の為、インドに向かっています。先週、彼はトルコで、サウス・ストリーム・パイプラインとなるべ きだったものを南ヨーロッパから離し、トルコに向ける交渉をしました。APECサミットでは、中国との双方が満足する石油とガス契約をまとめました。ロシアがユーラシアに基軸を移しているのは明らかです。 これについてお話し頂く為、レギュラー・ゲストのマイケル・ハドソンさんにおいでいただいています。
マイケル・ハドソンは、カンザスシティー、ミズーリ大学の著名な経済学教授です。彼の新刊は、The Bubble and Beyond and Finance Capitalism and Its Discontents(『バブルとその先』と『金融資本主義とその不満』)です。
:ご出演有り難うございます。ハドソンさん。
カンザスシティー、ミズーリ大経済学教授マイケル・ハドソン:出演できて嬉しく思います。
おっしゃる通りです。ほぼ一カ月前でしたが、前回一緒にお話して以来、世界の地政学、貿易パターン、軍事同盟は、劇的にすっかり変わりました。そして、ご指摘の通り、その大半は、ロシアがヨーロッパをあきらめて、石油とガス貿易を、そして軍事技術も、軍事同盟も、ユーラシアに向けて方向転換した結果です。 先週、プーチン大統領は、ヨーロッパ指導者とは、もはやこれ以上話しても無駄だという演説をしました。
連中に金を支払っている連中、アメリカ合州国を相手にするつもりです。彼はこう言いました、アメリカ政権からの助言を受け続ける限り、彼らを支配している連中に向かって語るつりだと。そして、彼はまさにそれを実行しています。
ですからこれらの変化の結果は、ロシアと中国を対立させ、イランを孤立化させ、インド、近東や、他のアジア諸国が一致団結して、何らかのドル圏代替物を作り出すのを防ぐ為、ユーラシアを分割して統治するという考え方に基づいてきた過去半世紀のアメリカ戦略の真逆です。
実際、アメリカの経済制裁とネオコンの新冷戦政策が、これらアジア諸国を一致団結させ、NATOの代替組織としての上海協力機構と協力し、BRICSは、ドル圏と、アメリカの政策を実施するIMFと世界銀行と対処する為の代替手段を立ち上げようとしています。
そこで、ヨーロッパに関しては、ロシアに経済制裁を課し、特にロシア石油とガスの輸入を阻止して、この新冷戦政策に加われというアメリカの無理強いが、ユーロゾーンの緊縮経済を悪化させ、地域はデッド・ゾーンへと転換しつつあります。
また、数日前、多数のドイツ有力政治家、外交官、著名文化人が、 Excite紙上に、アンゲラ・メルケル宛ての公開書簡を載せ、彼女の親アメリカ政策に抗議し、アメリカのNATO政策と新冷戦は、ドイツ経済を破滅させる脅威のみならず、ヨーロッパを分裂させると主張しています。
つまり、ある種、アメリカの権力を統合し、アメリカ以外の世界、ヨーロッパとアジアを分裂させるかわりに、アメリカの政策は強く出過ぎて、実際、アメリカ以外の国々を、戦争の危険と見えるものに対する防衛同盟へと追いやっているのです。
そもそも NATO構想は、ヨーロッパをより確実に防衛するということだと考えられていました。ところが今や、軍事力によるあらゆる威嚇や、ウクライナへの重火器供与で、NATOは、ヨーロッパを軍事的な危機に追いやっています。
しかも、これは、半世紀のアメリカ外交政策丸ごとの真逆です。それなのに、アメリカ合州国で何が起きているのかについての議論は皆無です。
ええ、ご指摘の通り、トルコは既に、エネルギー供給を、ロシアに頼ることにして、アメリカ-ヨーロッパ勢力圏から離脱しつつあります。サウス・スト リーム・パイプラインは、南ヨーロッパから、トルコへと方向転換されました。イランも、石油とガスのみならず、原子力と兵器でも、ロシアとの同盟へと向かっていて、上海協力機構の加盟国になろうとしています。
そして今、あなたが指摘された通り、インドと貿易交渉をしています。 実際ロシアを傷つけるのではなく、経済制裁のおかげで、製造業での独立、ヨーロッパからの独立、フランスや他のヨーロッパ諸国から食糧輸入すること から独立をしなければならないとロシアが確信したのです。
これは、ヨーロッパ市場、ロシア市場を期待していた、リトアニアの農産物輸出業者や他の人々に災難をもたらす結果となった。実際、過去20年間丸々、ソ連終焉以来ずっと、西ヨーロッパとロシアをまとめた市場にするという発想があったのです。アメリカがそれをぶち壊しました。
ええ、これが行っているのは、政治学教科書の教えのあらゆることの裏返しです。教科書には、国々には敵国や友好国があってはならない。国で重要なの は国益だとあります。アメリカ、ヨーロッパにこう言ったのです。自国の経済権益など忘れろ。お前達にはアメリカのお友達がついている。つまり、お前達は 我々が言った通りにしろ。お前達にはロシアという敵がいる。だから、お前達は、ロシア石油とガスを輸入するという希望は捨てなければならない、それで石油支払いに充てようという食糧輸出業者の希望はすてねばならず、アメリカに頼るのだ。
単純にヨーロッパのエネルギー需要に見合った十分なアメリカ・ガスと石油を輸送する為の手段が無いのですから、技術的に不可能で、これは一種の夢想です。そこで、ロシアにはったりをかけようとするネオコン戦略丸ごとが、裏目に出る危険にさらされています。 基本的な考え方は実に狭隘なものです。オバマ政権は、ソチ・オリンピック以来ずっと、ロシアがヨーロッパと組みたがっていると見ていました。プーチ ン大統領は、ヨーロッパとのより緊密な絆について語っていました。
しかし、そこでプーチンは、オバマ政権のシリア攻撃計画に反対しました。そこで、ネオコンは、「わかった。ロシアを攻撃しなければならないが、最善の攻撃方法は、ウクライナをはぎ取ることだ」と言うようになったのです。
そして、それがロシア侵略を引き起こすことになれば、我々はこう言える。ほら、ヨーロッパにはNATOが必要だろう。お前達はアメリカに頼らなければならないが、条件として、 お前達はロシアに敵対しなければならない。ロシアを引きずり下ろし、通貨を崩壊させ、プーチンを不人気にし、最後に、政権を転覆させ、プーチンの代わり に、次のエリツィンを据えるのだ。
ペリーズ: しかしハドソンさん、石油価格下落が、確実に、ロシアが自ら望む形で拡大しようとする能力に対する制約となって、あなたがおっしゃる、アメリカの戦略、冷戦戦略は、部分的には効果を発揮しているのではありませんか? またルーブルが低下したのですから益々そうではありませんか? これはどう解釈すれば良いのでしょう。
ハドソン: ルーブルは確かに急落しました。しかし、ロシア経済は、ドルではなく、ルーブルで動いていますから、これはロシア経済にさほど影響しません。中国や他の国々が自国通貨を、ドルから独立させたのと同様に、プーチンは過去二年で、ルーブルをドルから独立させるよう動きました、ですから、その結果、確かにロシアの手持ちドルは少なくなっていますが、外国貿易をルーブル通貨建てに変え、中国元建てに変えたので、ロシアはドルを必要としないのです。
そこで、ロシア -中国貿易、ロシア-トルコ貿易、ドル以外の国々とのこうした全ての貿易は、ドル無しで行われます。ですから、ここでは実際、特にドルに対する需要は全くありません。 ルーブル下落の影響は、ロシアが輸入する商品の価格上昇です。そこで、ロシアの対応は、分かった。もし食料にもっと多く払う必要があるのなら、我々 は自分の食べ物を助成しよう。そして、ロシアの農産物は急速に増加し、リトアニアから、フランスから、そして他のヨーロッパの国々から行っていた輸入を置き換えるようにしよう。
プーチンはこうも言いました。これからわが国製造業の助成を始める予定だ。製造業で、ドイツ、フランスや、ヨーロッパに頼ることはできない。我々は、中国や、トルコや、そして何よりもまず、わが国の製造業に頼るようにするつもりだ。
また、対ロシア経済制裁は、基本的に、これまでやりたがっていたのに、国際法の下ではできなかったことが、ロシアはできるようになったのですから、実際渡りに船となりました。
自国産業を助成し、保護することです。プーチン大統領は先週行った演説でこう述べました。
我々は、ヨーロッパから離れなければならないことを自覚している。ヨーロッパは、基本的に、アメリカ合州国のロードアイランド州の一部だ。ルーブルがどうなろうと平気でいられるよう、ドルがどうなろうと平気でいられるよう、わが国が生活必需品自足自給できるようになるまで、自国産業を助成するつもりだ。アメリカ制度の代替となる、自前の銀行決済制度を立ち上げる予定だ。他の国々との通貨スワップ取 引を進めている。ですから、基本的に、ロシアと他のアジア諸国は、自国経済を、アメリカ合州国から隔離しているわけで、各国を益々アメリカ合州国に依存さようとしているアメリカ戦略の真逆です。
ペリーズ: ハドソンさん、ルーブルが下落し、経済制裁がもたらしている制約や、石油価格下落で、ロシア資本力のこの著しい低下、特に彼らが交渉しているこうした新規の貿易協定で、パイプライン建設や、現在交渉中の貿易協定を実施するにも、膨大な額の資本が必要なのではありませんか?
ハドソン: パイプライン建設の為の資本には二種類あります。一つは、国内通貨という形によるものです。ロシア中央銀行は、全ての国内コストを支払う為の十分なルーブルを生み出すことができます。ロシアは、国内ルーブル分のコストに、ドルを必要としません。そして、それ以外のコストは、中国が負担します。ヨーロッパや アメリカがこうした契約や、パイプライン用の他の原料を請け負うのではなく、中国がそうしたもの全てを生産します。そして中国は、これをクレジットで提供します。中国や他の国々が提供するクレジットに対し、ロシアは将来の石油やガスという形で支払いをするのです。ですから、基本的に、ロシアは、ドル・クレ ジットは不要で、金融クレジットは不要なのです。ロシアは、将来の石油とガス供給で支払う通貨スワップ取引をしています。ですから、アメリカがロシアへの脅威になると思い込んでいるものは、張り子の虎です。ロシアに対する効果がほぼゼロの、張り子の金融虎なのです。
ペリーズ: なるほど。ハドソンさん、ご出演有り難うございます。
ハドソン: 出演させて頂いて嬉しく思います。 ペリーズ: リアル・ニューズ・ネットワークへのご参加有り難うございます。 終わり
免責条項: リアル・ニューズ・ネットワークの書き起こしは、番組録音をタイプしたものであることにご留意ください。TRNNはその完全な正確さを保証する立場にありません。
マイケル・ハドソンは、 カンザス・シティー、 ミズーリ大学の著名な経済学教授。彼の最新刊は、The Bubble and BeyondとFinance Capitalism and Its Discontents(『バブルとその先』と『金融資本主義とその不満』)。彼の近刊書名は、Killing the Host: How Financial Parasites and Debt Bondage Destroy the Global Economy(『宿主殺し:金融寄生虫と借金による束縛が、いかにして世界経済を破壊するのか』)。 記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/russia-pivots-to-eurasia-for-trade-and-military-alliances/5420185 ----------
ココからブログ主:『プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治』下斗米伸夫著 NHK出版新書昨日購入。 良い本が、良いタイミングに刊行されたものだ。 この記事の表題「ユーラシア基軸」の英語はPivot to Eurasia。 『プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治』の中では、「脱欧入亜」 本記事の題名とそのままつながりそう。 参考文献も非常に興味深い。一部をご紹介させて頂こう。 『ロシアとソ連 歴史に消された者たち 古儀式派が変えた超大国の歴史』下斗米伸夫著も、目からうろこ。『プーチンはアジアをめざす 激変する国際政治』の中でも、この本で展開されている論理が読める。 古儀式派の終末論的世界観、現世否定のエートスをもたらし、それが、マックス・ヴェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で指摘されていたと同様の経済倫理として作用していたようだ。 プー チン大統領自身の信仰は不明なようだが、彼の祖父、晩年のレーニン家のコックをつとめた。共産党とは関係はなかったが、古儀式派信者のコネでなれたらし い。(12/19補記:日本語を解するロシア人の方から、「著名な古儀式派信者として、例えばサッバ・モロゾフ等々を思いつくが、現代ロシアでは、古儀式 派信者で著名な人物、思いつけない」とご指摘を受けた。) ジェームズ・ビリントン、藤野幸雄訳『聖像画と手斧 ロシア文化史試論』超大作だが、ロシア文化理解には避けて通れない本だろう。このエッセンス版にあたる本と、ビデオ三本もある。ロシア・ウクライナ文化入門用として最適な本、ビデオではと思うが翻訳はない。 そして、『オッパイとトラクター』ウクライナ・ロシア文化を小説の形で気軽に読める。 ≫(マスコミの載らない海外記事ブログより全文引用)
大モンゴルの世界 陸と海の巨大帝国 (角川ソフィア文庫) | |
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