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●これだけの記事が書ける新聞社 晋三と寿司など食うなよな
本日は多忙につき、以下の朝日新聞の記事を紹介しておく。なかなか良く書けた調査報道である。官邸から睨まれることを怖れ、おそらく食いたくもない寿司を食べているのだろうが、やはり国際的な常識としても、日本の記者クラブ制度は異様な実態であり、ジャーナリズムなど欠片もないと言いたくなる有様だ。まあ、この朝日の記事は突っ込みは足りないのだが、まあ良く書けているだろう。「外国人技能実習制度」に関する記事だが、この制度の文言からして実態と合致していない。まさに、霞が関文学の最たるものである。アメリカなどの言い分では、この制度による人身売買が公然と行われていると非難さえ浴びている。つまり、綺麗ごとを書き連ねて、国際研修協力機構(JITCO)などと云う天下り団体を設立したに過ぎないようだ。
しかし、この記事を通じて、実態は単純労働も受け入れているわけで、汚いものは汚い、しかし収入が良い。そういう明確な基準を国際標準で設けていかないことには、外国人労働者受け入れシステムの長けた、韓国や台湾に敵わないだろう。ただ、この問題は移民を受け入れるかどうかという問題にも玉突き的に起きるわけだから、単に経済合理性やフェアネスだけの見地で考えるのも危険である。移民と云う根本的腹を決めてから本格的に取り掛かる問題でもあるのだろう。少なくとも、この記事が外国人労働者受け入れ、治安の維持、日本人の国際性、移民制度の容認等々、国のあり方について、様々な問題の起点にはなるだろう。
≪ 来日実習生「時給25円」…人手不足、制度拡充の方針
目の前に置かれた現金約10万円から、社長が約4万円を住居費などの名目でとっていった。日本での就職を仲介してくれたバングラデシュ人が、後日5万円を抜くと、手元に残るのは月1万円だけだった。
「月16万円ほどは稼げる」と聞き、バングラデシュ人の元外国人技能実習生のベガム・ラベアさん(26)が来日したのは2011年秋。長崎県内の縫製工場で、中国人の実習生ら20人ほどと一緒に働いた。
ラベアさんによると、彼女たちは、時には未明までミシンがけなどに追われた。休みは月2~3日。月400時間以上働き、残業は月200時間を超え た。1万円の手取りを時給に換算すると「25円」以下だった。工場と同じ敷地内の寮の1部屋に実習生10人と寝泊まりし、外出にも許可が必要だった。近所の農家にもらった野菜を食べた。
12年8月、職場への不満を訴えると、帰国させられそうになった。ラベアさんは福岡空港の搭乗口で泣きじゃくり、飛行機に乗るのを拒んだ。そのまま縫製工場には帰らず、知人のツテを頼り、いまは別の食品工場で働く。縫製工場の当時を「奴隷のような扱いだった」と振り返る。
人口減を背景にした人手不足は深刻だ。安倍政権は、現在15万人いる外国人実習生の拡充を打ち出す。
ラベアさんは13年春、社長らを相手に賃金支払いを求め提訴した。弁護士によると、月給約10万円でも長崎県の当時の最低賃金(646円)を下回るという。社長に取材を申し込むと、「訴訟中で話せない」。
厚生労働省が13年に監督や指導した実習生を受け入れる事業所のうち8割の1844事業所で、残業代未払いや長時間労働など労働関連法違反があった。このまま実習生の受け入れを増やして問題はないのか。
■必要だけど…揺れ動く制度、現場混乱
メロンの産地として知られ、約7千人が農業で働く茨城県鉾田(ほこた)市。外国人技能実習生約1600人の多くが、農業で働く。騒ぎは、この夏に起きた。
「JAほこた」の組合員農家が中国人実習生に対し、残業代を支払っていなかったことが発覚。東京入国管理局は7月、27戸に実習生の受け入れを5年間停止する処分を出した。実習生は「割増賃金の不払いがあった」と訴え、組合長は辞任に追い込まれた。
JAほこたは、監理団体として、実習生を受け入れ、労働環境をチェックする役割を担う。農家の怒りの矛先は、JAほこたに向かった。「監理団体なのに、農家を適切に指導しなかった」との理由だ。
だが、JAにも言い分がある。労働基準法は残業に対し割増賃金を払うよう義務づけるが、天候次第で作業時間が変わる農業は適用されてこなかった。JAによると、同じ姿勢だった東京入管は、一転して割増賃金の支払いを求めるようになった。昨年3月、農林水産省が農業分野でも割増賃金を支払うよう改めて周知したことがきっかけとみられる。制度の運用がころころ変わり、現場には説明が行き届かず混乱した。
そもそも監理団体は同じ地域や業種で設立されることが多く、雇い主と監理団体トップが同じであることも珍しくない。実習生問題に詳しい指宿(いぶすき)昭一弁護士は「監理団体が受け入れ役と監視役の両方を担っていることが、劣悪な待遇を放置する一因だ」と指摘する。
監理団体とともに農家に指導する立場の国際研修協力機構(JITCO)に対し、JAは年500万円の賛助金を支払ったが、巡回するだけだったという。
処分を受けた農家は、実習生に代わる担い手が見つからない。農家の中には「もうやめる」という人もいる。JAの調べでは、イチゴの作付面積は前年 の85%に落ち込んだ。JAほこたの日向寺和男・代表理事専務はいう。「農業をしてくれるなら実習生はもちろん、外国人労働者でもいい。選択肢を増やして ほしい」(末崎毅、堀口元)
■シンガポールでは…国民に不満、抑制へ転換
1990年代から積極的に外国人を受け入れてきたシンガポール。海外の労働力に頼る「先進国」ゆえの悩みを抱えている。
中心部のインド人街の路地に、夜になると多くの人が集まる。外国人労働者支援団体「TWC2」による給食プログラムだ。建設現場などでけがをしたり、賃金が未払いだったりして収入のない労働者が、手続きをすませ、近くのレストランで食事を受け取る。
バングラデシュ人のアクラム・フセインさん(32)は昨年5月、ホテルで工事中に大けがをし、2カ月間で12回も手術をした。だが、手続きが煩雑で、十分な保険金も受け取れない。「シンガポールに来なければよかった」と嘆く。
日本をしのぐペースで少子化が進むシンガポールでは、外国人労働者は今年6月で約134万人と、人口の4分の1を占める。同国政府はいま、外国人の抑制策に乗り出す。11年の総選挙で与党が議席を減らした背景に、外国人の増加に雇用が脅かされる国民の不満があるとされる。今夏には一部の管理職などについて、外国人を雇う前に国民向けに2週間の求人を出すことを企業に義務づけた。
外国人労働者のトラブルも増える。労働者を支援するNGO「HOME」のジョロバン・ワム常任理事は「自国民と等しい条件で、外国人を雇えば問題は起きない」と話す。(編集委員・林美子)
■政府が前面、ブローカー排除
日曜日の午後。ソウル市内にある「韓国外国人力支援センター」で韓国語の授業が始まった。東南アジアなどから来た労働者が韓国人講師から言葉を学ぶ。センターは政府が設立し、社団法人に運営を委託する。
「ただで教えてもらえて本当にありがたい」。最前列のフィリピン人男性(36)は笑顔で語った。 韓国で働くのは2度目。最初は2005年から3年間、南東部の工場で働いた。就労期限が来たので台湾に移り昨年、再び韓国に戻った。今は仁川市内のカーアクセサリーの工場で働く。
「韓国人との間に賃金の差別はないし、部屋も食事も会社が提供してくれる。とても満足している」 男性は、韓国が04年に導入した外国人労働者の「雇用許可制」に基づいてやってきた。韓国政府と外国人労働者を送り出す国が覚書を結び、両国の公共部門が労働者の選定にかかわる。覚書の締結先は当初の6カ国から15カ国に増えた。
受け入れ期間は基本的に3年だが、一定の条件を満たせば最長で通算9年8カ月働ける。少子高齢化が進む韓国では現在、他の制度の適用者も含め、約85万人が製造業や農畜産業などで働いているとみられる。
韓国ではきつい肉体労働などを避けるムードが広がり始めるなかで93年、日本の技能実習制度に似た「産業研修生制度」を始めた。だが、労働者としての権利が保障されず、低賃金で働かされる例が続出。不法滞在者も急増したため、現在の制度に移行した。
政府が前面に出て悪質なブローカーなどは排除され、在留外国人に占める不法滞在の割合も04年の27・9%から、今年9月には11・8%に減った。
生産可能人口100人あたりの高齢者は40年には韓国が約57人、日本は約63人になるとの予測がある。外国人労働者の人権問題に取り組む団体からは「少子高齢化が進めば、外国人はより必要になる。定住させる方向に進むべきだ」との意見も出ている。
日本政府も、技能実習制度の 見直し策として、送り出す国との「取り決め」の締結を検討する。中島隆信・慶大商学部教授(応用経済学)は「企業や団体が自らの利益のために制度を利用するのは当然で、日本は制度を抜本的に見直す必要がある。韓国の例は参考になる。労働力として受け入れれば、トラブルにも両国で責任をもって対応するようになる」と指摘している。(ソウル=貝瀬秋彦)
◇
〈外国人技能実習制度〉 日本の技術を学んでもらうため、外国人を受け入れる制度。上限は3年。簡単な作業をする単純労働者として受け入れてはいないが、農漁業、繊維など68職種で約15万人が働く。安倍政権は、働ける期間を最長5年にしたり、新たに介護や林業も加えたりすることなどを検討している。建設については、2020年の東京五輪までの時限措置として実習後、さらに2~3年働くことを認める。低賃金など劣悪な労働環境にあるとして、米国務省は「人身売買報告書」の14年版で、「強制労働の事例がある」と批判している。 ≫(朝日新聞デジタル)
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