世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●窮鼠猫を噛む 調子に乗って追詰めるオバマは正気か?

2014年12月24日 | 日記
大モンゴルの世界 陸と海の巨大帝国 (角川ソフィア文庫)
クリエーター情報なし
KADOKAWA/角川学芸出版


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●窮鼠猫を噛む 調子に乗って追詰めるオバマは正気か?

 23日のNY市場でダウが1万8000ドルの大台を史上初めて突破したと報じている。GDPが3.9%から大幅に上方修正され年率換算5.0%になったのが、主な要因だそうだ。日本でも円が120円台をつけていることもあり、200円前後日経平均は上げている。筆者には意味がよくわからないが、グローバル経済下で経済の成長鈍化が明確になっていると云うのに、何故か日米の株価だけが上がっている。

 まあ、株式は投機市場なのだから、金融政策や為替動向、国際情勢などの変化により連想的投機の動きが出ても不思議ではない。NY市場の株価の場合、国のGDPが大幅に改善したのだから、株価が好感して動くのは判る。しかし、東京市場が動く理由が今一つ判らない。グローバル経済下では経済が連動すべきなのに、ユーロ圏、ロシア、中国、ブラジル、韓国等の経済状況は必ずしも好調ではない。本来であれば、グローバルな連動があって然るべきなのに、連動がない。

 このことは、グローバル経済と云うものが、中国やロシアの経済成長分を米国に移行したようにも見えてくる(笑)つまり、グローバル経済は、世界中で効率化を進める生産と消費の棲み分け等と云うものではなく、世界中を場とした、ババ抜きマネーゲームなのかもしれない。或いは、日本の場合官制相場なので、上げるも下げるも公的資金次第な部分があるが、米国の場合は、経済統計が変なのか、金もないのに浪費癖が直らないのかどちらかにさえ思えてくる(笑)。いずれにせよ、この狂乱的NY、東京市場の株価の上昇は、あだ花金融バブルの象徴に見えてくる。

 前置きが長くなったが、今日はロシアの勉強をしようと思ったのだった。日欧米のメディアから魔女の如く扱われるプーチン・ロシアだが、彼らがどのように、現在の欧米のロシア攻撃を受けとめ、現状を生きているのか、その辺を、ロシア側が発信する情報を基に感じておこうと思う。端からのロシア嫌いな人々は読まないことをお勧めする。当然、引用するのはロシアのプロパガンダなのだから。ただし、我々は日々日米欧のプロパガンダに接している事を忘れないでおこう。

≪ 空っぽの店、飢えるロシア人の噂は嘘だった
  ウクライナのマスコミだけではない。西側のマスコミにも、西側の対露制裁のおかげでロシアの店からは輸入品が姿を消し、国民は飢え寸前というニュースが踊っているが、嘘もいいところだ。 こうした報道はロシアに行くチャンスのない人、その様子をテレビで見ることも出来ない人をターゲットにしたものだ。
  対露制裁国からの一連の食料品の輸入規制によって、食料品の品数が減ったかというと、事実上そんなことは起きていない。禁輸品目は国内生産の、特に地方の生産物でさっさと挿げ替えられた。食料品店の棚は今までどおり、食料品の山であふれんばかりだ。
  空っぽの棚をどうしても見たかったら、ここ数日であれば家電店に行くといい。家電店には自動車販売店と同様、下落するルーブルを一刻も早く使いきろうとするロシア人、外国人観光客が殺到し、猛烈な勢いで買占め行動が起きているからだ。
  制裁の影響がもうひとつ出ているのは観光産業。今まで伝統的に長期のお正月休暇を外国で楽しんできたロシア人は国外に出るのを止めた。そのかわり、目は国内の観光地に向けられている。アルペンスキーの愛好家はソチへ行く。そのほかカフカスやクリミアの行楽地が大きく人気を伸ばしている。 ルーブル下落でロシア人が飢えたり悲しんだりしていると思ったら大間違いなのだ。 ≫(ロシアの声)


 ≪ ルーブル安でもおとなしい国民 
  2014年初めからルーブル通貨が半落し、その分貧しくなってしまったロシア社会。大きな社会不安や革命ムードが起こってもおかしくはない。だが落ち着いている。なぜなのか。

 為替戦場の最前線から「速報」ニュースが到着すると、あたかもロシア国民の誰もがルーブル騰落劇を注視しているように思えてしまう。1日で10%、20%の変動があるというのは、世界の多くの国にとって異常危機であろう。それに続くのは政府の退陣や社会不安だ。
 
 海外からは、ロシアでもそろそろこれが起こるように見えるかもしれない。貧しくなったロシア人(対ドルで半減)はデモを始め、政府の求心力は急落し、人事が変わると。だがロシアでは、「異常危機」が起こり、ニュースで実際にそのような言葉が使われたとしても、現実に応じて話半分ないしは1割程度に聞く必要がある。国は大きく、すべてのプロセスの惰性はもっと大きくなる。
 
 ソ連崩壊後の困難な経験を思い出すとよくわかる。1998年のルーブル急落はより規模の大きいものだった(現状は1998年よりもはるかに良好)。最近では6年前に起きた(リーマンショック)。だがいずれも、これといった社会的反乱、政治的反乱には発展しなかった。もっとも反政府派が今ほど強くなく、また組織だっていなかった時で、反対デモも実施しにくかったが。

 がまん強い理由は
 さて、国民の忍耐力には複数の理由がある。
 何よりも国民の大部分がルーブル領域で暮らしていて、外貨預金とさえ無関係であること。国民の国内銀行における預金総額は、現時点で16兆 8000億ルーブル(現在の為替レートで約33兆6000億円)ほど。劇的な2014年、預金額は減少したが、総減少率は今年前半を上回るものではない。 夏には資金が戻り、第1次ショックはほぼ補われている。2014年を通じて外貨両替への殺到も見られなかった。  

 大きな預金額を握っているのが比較的少数の国民であることを勘案するのも大切である。ロシア人の大部分、すなわち71%には、預金がない(「全ロシア世論研究センター」の今年初めの調査だが、景気後退の現状からこの割合は増えていないだろう)。銀行預金(給与振り込み口座は除く)は国民の10%が 握っているものだ。平均的なロシア人にとって「貯蓄」の定義は、25万ルーブル(約50万円)という少額から始まる。その多くがタンス預金である。外貨預金を行っているのは、さまざまな調査から、国民の4~7%ほど。

 国民はルーブルの対ドル・レートには関心を持っている(国民の半数以上がレートを見ている)。だが誰よりも影響を受けるのは「贅沢に慣れたモスク ワっ子」か、あまり国内では好かれていないお金持ちである。海外旅行の観点からしても、直接的な影響は限定的である。パスポートを持っているのは国民の 15%で、そのほとんどは年に1回トルコまたはエジプトに行く程度の人。欧米にひんぱんに旅行している国民は3~5%で、そのような人は大概、外貨リスクを最小限に抑えることができ、大騒ぎしない。

 レートの急激な変動は物価に影響をおよぼすし、今後数ヶ月はそれが顕著になるであろう。だが対ドルのルーブル10%安はインフレの1%増であり、 それ以上のインフレは、多様化不十分で独占化が著しくまた競争力の低いロシア経済そのものに依存する。20~30%の物価上昇が起こっても、ロシア人はや はり表で騒がない。危機に慣れっこなのだ。

プーチン人気
 今回のもうひとつの特徴と言えば、欧米との対立を背景とした、大統領と政府に対する国民の厚い信頼である。多くの国民はロシアが最初から正しいと考え、ロシアに対する非難は不公正だと信じている。あくまでも「クリミアは我々のもの」なのだ。ロシアの世論調査機関「レバダ・センター」が11月末に行った調査 によると、ロシア人の80%強が大統領を信頼している。この1年で1.5倍も増えている。信頼できないと答えた人は、1年で12%から4%に減った。以前とは異なり、大統領に対する信頼の高まりに、政府機関に対する信頼の高まりもともなっている。ウクライナ情勢という条件の下、ルーブルの劇的な急落さえ社会不安を引き起こさないほど、政府への信頼は強いのである。
≫(ロシアNOWオピニオン:2014年12月22日 ゲオルギー・ボヴト )


 つまりは、ロシアは経済的危機に慣れっこなので、チョッとやそっとの経済的打撃でキャ~キャ~言い出す西側諸国に人間よりも危機に強い国民性があるのだろう。ウクライナ内乱が米国の直接的関与が国務省のヌーランドの物的証拠付きで録音で、世界的に知られている事実も、今回のオバマ発の、ロシア経済制裁は、CIA的な陰謀だと云う言説が、国民に理解されている可能性を示唆している。この陰謀的ロシア封じ込めが、国内産業育成と云う方向に向かわせるとしたら、原油ガスの石油資源輸出だけで生きるロシアの脆弱性を改善させるきっかけになるのかもしれない。蛇足だが北朝鮮経済封鎖の効力にも似たような点があるのだろう。イラン経済封鎖も大したことはなかったしね。

 アメリカ及びオバマにとっては、中露の分断を計り、覇権がユーラシア大陸に移行していくのを、是が非でも阻止しないとならない宿命があるのだから、そのような陰謀に、魅力を感じるのは当然だろう。キューバも手なずけ、軍事的脅威を取り除く手配もしたのだから、後は、ロシア内で、ウクライナ同様のことが起きてくれれば、大成功なのだが、その気配は殆どない。EUはNATOを楯に、オバマにつき合わされているのだが、米国のパワーゲームに引き摺られることで、EU各国はじり貧な経済事情を抱えることになっている。中国も、この米国の動きは理解しており、香港で起きた火種も強制的に消火したようだ。そして、ロシアへの友好的経済協力が自国を欧米の覇権の支配から逃れる絶好の手段と位置付けているようだ。

≪ NATO加盟に向け法律廃止=ウクライナ議会
【モスクワ時事】ウクライナ最高会議(議会)は23日、ウクライナがいかなる軍事同盟にも属さないことを定めた法律を廃止した。北大西洋条約機構 (NATO)加盟への動きを加速させるのが狙い。ロシアによる軍事介入を受け、ウクライナではNATO加盟を求める声が強く、ポロシェンコ大統領が18日 に廃止を提案していた。
 ロシアは、「ウクライナがNATOに入らない100%の保証が必要だ」(ペスコフ大統領報道官)と警告しており、法律廃止を受けてラブロフ外相は「緊張をエスカレートさせる」と非難した。≫(時事通信)


 そんな中、ウクライナ政府の超親米ナチ集団はNATO加盟に向け、中立的国家体制を変えようとしている。もうそろそろ、アメリカCIA主導のウクライナ問題から遠ざかりたい独仏伊にとって、ウクライナはお荷物でしかない。IMFの拠出金も、ウクライナ国民には行き渡らず、政府の一部の懐に消えているようなので、IMFも金を出し渋りし始めた。地位が向上しそうだと歓んでいるのは、旧ソ連圏だったポーランド、バルト三国などのようだが、独仏伊にとっては自国経済の疲弊との取引になっており、経済危機で音を上げるのは、西側になる可能性もある。正直、筆者はユーラシア覇権(中露印)と米国覇権の移行期に立ち会えている世代である事に感謝している。現在は、まだアメリカ優勢だが、筆者がヨボヨボになるころには、歴史的大転換が起きているのかもしれない。壮大な歴史スペクタクルなのだと思う。

プーチンはアジアをめざす―激変する国際政治 (NHK出版新書 448)
クリエーター情報なし
NHK出版


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