世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●「国のために戦う」「弱者を助ける」どちらも世界最低の国は?

2015年03月19日 | 日記
成熟日本への進路 「成長論」から「分配論」へ (ちくま新書)
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●「国のために戦う」「弱者を助ける」どちらも世界最低の国は?

世界的リサーチで有名なギャラップの「国ために戦う」と云う意思が、国民にどの位あるのかと云う調査結果が発表された。安倍首相の「普通に戦争できる国」が如何にも国民から絶賛を浴びているのだろうかと思っていたが(笑)、酷く残念な調査結果が出てしまった。世界64カ国対象の調査のようだが、何と11%で「ビリ」なのだそうである。情けないとも言えるし、良かったと思う部分もあり、少々結果自体は複雑に受けとめている。 そのような国民に、最後にはオマエ達がお国のために戦うのだ、と力説しているのだから滑稽だ。

概ね日欧米など先進諸国が「自国のために戦う意思」が少ないようだが、ある程度までは、納得が出来る。現状維持+アルファくらいで、それ以上を、他と争って求めない傾向があると云うことだろう。まあ、調査結果を見る限り、日本人は、現状に、かなり満足している事が窺える。また、第二次大戦で敗れた、ドイツ、イタリアが日本に次いで低かった点をみると、いまだ、敗戦の教訓が少なからず残っている事も窺える。おそらく、世代間で、かなり認識が違うだろうが、国民全体としては「普通に戦争できる国」と云う観念は、国民世論から遊離した、ひとり相撲な思い込みと云うことを、示してもいるのだろう。

 まあ、良くも悪くも健全と云うか、自己中心的思考経路が行き渡り過ぎていると云うことかもしれない。そう言えば、だいぶ昔、ギャラップの両雄調査会社、ピュー・リサーチ・センターの調査で、「自力で生活できない人を政府が助ける必要はあるか」の調査を、47か国対象に行われたのだが、日本は38%もの人々が、「助ける必要はない」と答えたそうである。欧州や中国、韓国における「助ける必要はない」と答えた人々の割合は、ほぼ10%前後だった。自由主義の傾向が強いアメリカでさえ28%だったことを考えると、日本って国は、どういう国なのと考えざるを得なくなるのだ。

ピュー・リサーチ・センターの調査は2007年に行われたものだから、東日本大震災を経た後の、日本人の意識は多少変わったかもしれないが、基本的傾向は変わっていないだろう。この情報は、ビデオニュースドットコムの番組で、経営コンサルタントの波頭亮氏がこの調査結果を引き合いに出し、自著『成熟日本への進路「成長論」から「分配論」へ』の考えを論じていた。同氏の主張全体は判らないのだが、日本人が口々に「景気が好くなって欲しい」と云うお題目は、まさにお題目で「神話」である事は百も承知だ。しかし、念仏は「南無阿弥陀仏」と言うように、「景気は好くなって欲しい」は合言葉、乃至は本音を言わないぞと云うメッセージなのかもしれない。

それが証拠ではないが、経済は根本的に何年も僅かにしか成長していないし、実質所得は減少傾向に歯止めがかかっていない。最近は日本のメディアが、春闘・空前のベアなんて、最も利益の出ている輸出大企業の話を振り撒くことで、祭りの掛け声のようなプロパガンダ報道をしているが、多分、国民の大多数は、これから日本の経済状況は悪くなるのだろうと、秘かに思っているような気がする。ただ、筆者のように不景気な話はする、そういう考えは聞きたくもないわけなのだ。なぜか?確実に来ることが、肌でひしひし感じているのに。追い打ち掛けるように語るんじゃない!と言っているのだろう。

その肌で感じているものが、自分たちの生活のコアにあるとなると、これは当然のことだが、守りの意識が強くなる。使えません、いつ飢え死にするか判らないのだから。政府をどこまで、いつまで信じられるか、判ったものではない。となれば、他人のことなど考えている暇はなくなる。或る意味で、自然の成り行きだ。農村を中心とする村共同体が、明治維新、富国強兵、敗戦、高度経済成長、バブル崩壊の一連の流れの中で、中央集権的都市国家主義が日本を歪めてきたのだな、と宇沢弘文氏の考えに思い至るが、昨日のコラムでテーマとした、西郷隆盛の言葉からも、日本の歴史は、戻すことが不可能な程までに、大きく正常軌道を脱線して、リニアのように、地に足を着けずに突っ走ろうとしている。何ゆえに、どこに行こうとしているのか、走っている癖に、判ろうとしない。筆者も、その辺のことが、理解不能になりつつある。

≪「国のため戦う」日本最低 パキスタンや越が高率
【ジュネーブ共同】各国の世論調査機関が加盟する「WIN―ギャラップ・インターナショナル」(本部スイス・チューリヒ)は18日、「自国のために戦う意思」があるかどうかについて、64カ国・地域で実施した世論調査の結果を発表、日本が11%で最も低かった。  欧米諸国が下位に並び、上位にはパキスタンなど情勢が不安定な国が目立った。  日本に次いで低かったのはオランダの15%で、日本と同じ第2次大戦敗戦国であるドイツが18%、ベルギー(19%)、イタリア(20%)が続いた。  一方、最も高かったのはモロッコとフィジーの94%で、パキスタンとベトナムがともに89%で上位。 ≫(東京新聞)

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