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●“安倍不安”のすべてを覆う「きのこ雲」 人心惑わす株式市場
昨日の拙コラム “中露の世界秩序に挑戦する気概 経験ではなく歴史から” で、AIIB(アジアインフラ投資銀行)をテーマとしたが、英国に続いて豪州も参加を検討すると表明した。ウッカリすると、独仏も追随する可能性が高いので、置いてきぼりを食うのは、「日米の馬鹿ども」だけのようだ。虚栄心の為に、歴史認識を誤り、アメリカ一国主義教を信じているのが、コテンパに叩きのめされた日本唯一とは、腹を抱えて笑いたくなるほど、時代の潮流を感じない連中である。
アメリカ様様時代は終わっているのだ。英国は米国無視で動いたようだ。オバマは不快感を露わにしたようだが、もうアメリカの顔色見ているのは、日本だけになったようだ。市井のブロガーでも理解出来る歴史観における、時代の潮流なのに、ポジショントークを続ける官僚や識者のお陰で、日本中のどいつもこいつも、ミスジャッジに陥っている。鳩山由紀夫の動きも、そういう意味で、時代認識が正常なのである。付和雷同して、鳩山を悪しざまに言い放った人間は、全員、自分の発言を記憶にとどめておくべきだ。 ロシアへの経済制裁で、痛い目に合っていないのは、経済関係希薄なアメリカ一国だと云う事実を見逃している。中露同盟に楔を打ちたいアメリカの国益に不承不承つき合っている他国だが、日本人は国際社会の正義だと思っている(笑)。
ここから本題。東京証券取引所では、日経平均が狂乱的状態になっており、263円近く上げ、19000台に突入、今にも2万円台直前と云う見出しが飛び出しそうな勢いだ。市場は上値狙い、大台目標値がある場合など、勢いがつくものである。こういう場合、悪いニュースも穿った解釈で、良いニュースに変貌する。NY市場と東京市場は概ね連動するのが相場だが、今年に入ってからは、連動性は殆ど見られなくなった。アメリカ株式市場は、どうしてもFRBの利上げと云う圧力を受けながらの市場なので、これ以上の上値狙いにはリスクに敏感にならざるを得ない。
その点では、東京市場は、円安だから輸出企業の決算事情は否応なく良くなる。その企業業績の反映で、賃金上昇が見込まれる。NHKなど報道機関は、大仰なナレーション付で、「トヨタなどは、昨年の2700円を大きく上回る4000円ベアが実現しそうだ」と、囃し立てる。最大のメリットを享受している世界一の自動車メーカーの個別事情を引用報道することで、日本企業全体が良くなっているに違いないと、国民の思わせる抜群の印象操作になっている。
面白いことに、この単純な印象操作のような話でも、雰囲気は好くなる。不思議なのは、世界の名だたる投機筋の気持ちにも大きく影響する。その上、日本株は、日銀、年金、ゆうちょ‥等の参入が苛烈で、下値不安がゼロ状態なので、提灯相場が形成されても不思議ではない状況が生みだされている。おそらく、3月好決算も織り込んでいる。配当確保にも動いている状況なので、世界中で一番買っても良い株式市場になっていると思われる。
安倍首相の環境は、火の車になっていたわけだが、ここに来て、にわか景気のお陰で一服感が出てきた。非常に忌々しきことだが、相場だけは、買うんじゃねえ!と叫んでも、効果はゼロなのだ(笑)。最近までは、海外勢も個人投資家も売り越し側に回っていたが、この相場になると、彼らが参入してきている推量も可能だし、公的資金が集中的に投入されている事も窺わせる。この調子だと、統一地方選まで買い進む強い決意なんて事も想定する必要がありそうだ。無論、4月に入って一服感が出るのをきっかけに下げに転じることもあり得るのだろう。ここまで来ると、株式相場は企業業績を反映、或いは先取りする世の中のバロメータと云う観念は捨てなければならない。
しかし、一番困ることは、上気の株式市場の活況が、今後の世の中を予感させるバロメータだと思っている人が、大多数であることだ。そして、歴史上一度も起きたことのない、トリクルダウン現象があるに違いないと云う「神話」に縋りつくことである。安倍政権の行っている為政の殆どは、ポイントになるものは、民意無視を徹底している。しかし、その悪行のすべてを、株式上昇と云う虚飾の雲で覆い隠してしまうのだから、民意とは虚しいもののである。「アメリカ神話」が生きているのは、おそらく我が国だけだろう。どうにも救いがたいピンからキリまでの人々である。まあ、綺麗ごとを言いながら、守銭奴なのは、内部留保の企業群も一般生活者も同じ係累に括られるのかもしれない。
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