世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

“反格差デモ”富裕VS貧困の戦い 日本の貧困マジックの存在について

2011年10月18日 | 日記
日本国民に告ぐ―誇りなき国家は、滅亡する
小室 直樹
ワック



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“反格差デモ”富裕VS貧困の戦い 日本の貧困マジックの存在について


「世界で起きる“反格差デモ”金持ちVS貧困の戦いなのだろうか」の続きを書く。その前に以下の記事が気になったのでひと言。皆さまの記憶に新しいIMF専務理事であったストロスカーン氏に対する、無謀とも思えるNY捜査当局による身柄拘束逮捕劇は、世界をアッと驚かせた。その事件の顛末が凄すぎる。同氏に性的暴行を受けたと云う女性従業員の証言だけで、空港でIMF専務理事を逮捕し、舌も乾かぬ間に「証言は信用できない」とあっさり釈放、あっけにとられるばかりである。ストロスカーン氏が仏の次期大統領選における、サルコジ大統領の有力対抗馬であった事実や、IMFのギリシャ問題関与への方向性がユーロ寄り過ぎだと云う米国の苛立ちが存在した事実などを考え併せると、政治的陰謀事件であったと断言してもいいのだろう。小沢一郎陸山会事件も同様の様相であり、いずこも同じと云うか、常に米国と云う国が関与している。

 ≪社会党候補にオランド氏…仏大統領選最大野党
【パリ=三井美奈】来年春のフランス大統領選で、最大野党・社会党の候補を決める予備選の決選投票が16日行われ、フランソワ・オランド前第1書記(57)がマルティヌ・オブリ現第1書記(61)を破って公認候補に決まった。
 サルコジ大統領はまだ立候補表明をしていないが、再選を狙うのは確実だ。各種世論調査では、大統領の支持率が20%台 に低迷しており、オランド氏は一貫してリードしている。オランド氏は16日夜(日本時間17日朝)、勝利宣言し、「党は真の戦い(大統領選)に向け、結束を必要としている」と訴えた。同夜の中間開票によると、オランド氏の得票率は約56%。社会党では5月、党内人気が最も高かったドミニク・ストロスカーン国際通貨基金(IMF)前専務理事が米国で強姦未遂容疑で逮捕され、公認争いから離脱した。その後、オランド氏はストロスカーン氏の側近グループの 支持を固め、労働組合に支持基盤を置く左派のオブリ氏と一線を画してきた。党内では中道派と位置づけられている。≫(読売新聞)

 野田総理はどんな神経か判らないが「戒名:日米不平等FTA協定」(俗名:TPP)を米国のマヤカシ言葉に飛び乗って「環太平洋」だと強弁、「日本は貿易立国であるべきだ。なるべく開かれた体制を取ること(が必要だ)。アジア太平洋地域は間違いなく成長のエンジンになるので、高いレベルでの経済の連携をしていくことは日本にとってプラスだ。」と「アジア太平洋地域」(APEC)と無関係に近い地域をアジアだと強弁、もう原発冷温停止同様の嘘八百をシャアシャアと語る。アジアだと強弁する米国、核燃料がない原子炉が冷えたと馬鹿言う政府、日本の沈没は必然的かもしれない。

  それはさておき、本題だが紙面の都合上簡略に語っておこう。日本においても、世代間格差は世界の各地同様にある。世代の次元ではない社会格差も当然存在する。「オキュパイ・トウキョウ」の行動を筆者が居酒屋の愚痴の延長線とした事に異論のコメントもあったが、フランス革命はラテン民族の革命であり、到底日本民族の同等の行動が伴うと考えるのは、風が吹けば桶屋が儲かる以上に非現実的だ。

 彼らの行動をまったく否定はしないが、影響力もない事は事実だ。原発反対デモとは、意味合いがまったく違う。世界における世代間格差を日本に当てはめる事には、筆者は反対だ。何故かといえば、日本の家族社会は、東京で一人暮らしでもしていない限り、実は営々と生き永らえている。大震災に見舞われ、糞政府のチンタラ復旧政策でも、彼らが自ら逞しく生きて行っている根底には、日本民族の家族制度が生きているからだ。

  団塊世代以前の人々が幸運だったと言い切る論調には、戦争で直接間接に死んだ人々の逸失利益が含まれていない。おそらく、彼らの逸失利益は残った者たちが何らかの形で受け継ぎ、次の世代にバトンを繋いでいる。当然、孫達にも、その資産は継続される。相続税など、国家が召し上げようと国民の資産を狙っているが、彼らとて、むざむざと腐った役人に召し上げられないように知恵を使うわけで、そう簡単に財務省の手に入るものでもない。

 つまり、ジジババの資産は、知恵を働かして息子娘に譲る渡せば、最終的に孫にまで行き着くし、曾孫にも行き着く。その資産は、土地家屋であり、田畑山林であり、時に金融資産、金銀財宝だ。今では、あまりの預貯金の低金利に業を煮やしたジジババは、タンス預金の世界に嵌り込んでいると云う。このタンス預金を補足できるほど、国税庁が優秀と云う事はない。マルサの女は例外中の例外だ。

 と云う事はどういうことか。いまワーキングプワーだと気の毒がられている彼らには、意地張って東京一人暮らしをする場合や例外を除けば、帰れる故郷があるか都内に既に親が土地家屋を所有している場合が多い。つまり、団塊世代以前の日本人が、自分の持家を所有する為に血の汗を流した歴史をモラトリアム?否、不必要なわけである。35年、40年等と云う気の遠くなる住宅ローンから、既に解放されている可能性が大いにある。少子高齢化のメリットもあるのだ。

 サラリーマンが、持家の為に稼ぐことから解放されたとしたら、60歳以上の人々は、どれ程楽な生活を送れたか、考えてみれば直ぐに判る事である。それほど、戦後の日本人は、自分の家を持つことに必死だった。これから解放された世代の年収が多少低くても、世界における格差社会と同一視するのには無理がある。崩壊しているようで、崩壊せず残っているのも、実はこのジジババのあらゆる資産のお陰であり、汗水の結晶が家族の絆。少々言いすぎかもしれないが、そのような側面を無視して、“一杯のかけそば風”の方向で議論するのは益がない。

  ワーキングプワーな問題に直面している人々には、それなりの人生哲学がある。その哲学・信条・好みが、現在の日本のシステムに合わないのなら、何度でもデモで、自己主張すべきだ。格差社会そのものが悪いのか、格差を作った何かが悪いのか、せめてその程度に方向を定めるべきだろう。だから「オキュパイ・トウキョウ」は駄目なのだ。なぜ米国が「オキュパイ・ウォール」なのに、日本はトウキョウなのだ?格差社会そのものが悪いのなら、国家である。筆者から言わせれば、小泉の横須賀の実家にでもデモをかけるべきだと思う。経団連でも良いし、霞が関でも良い。格差社会をつくったのが悪いなら、米国大使館にデモるのが適切だ。勿論赤坂警察がそのようなデモルートを認めないだろう(笑)ただ言える事は、団塊世代以前の人々が営々と築いたsあらゆる資産を、つつがなく受け取り、極力国家に召し上げられずに、子孫に受け継いでいけば、日本の世代間格差や格差社会の影響は必ずしも大きいとは言えない。勿論、財務省と厚労省が画策する、社会保障と税の一体改革、及び米国の恫喝TPPの成り行き如何では、筆者の上述、日本家族の家族内補助システムは崩壊するかもしれない。その時は、あらゆる格差によって、あらゆる運動が激化するかもしれない。まぁ、それも改革の道程と云う事はあるのだろうから、それはそれで悲惨なことだとも言えない。

  野田政権のTPPで貿易立国を目指すなどと小学生の全校演説会みたいな事を野田君は言っているが、TPPで貿易立国になりたいよ~、と言っているのはオバマ君だよ。他人様にモノを売って儲けようとする前に、自国の産業の空洞化を埋めるべき新たな産業の育成に力を入れるべきであろう。流石に、30年、40年前の経済成長は上述の如く、国民が土地建物を所持することで一段落している。工業製品も、一部の付加価値製品を除けば、労働賃金の問題であり、関税がどうだこうだ等瑣末な要因である。当面安価な労働市場と消費地での地産は当然の流れであり、わざわざ安価な労働力を輸入する必要はあるまい。

  結果的に、輸出産業依存から脱却せずに、失われた25年を30年、40年と延長するのは確実だ。貿易立国等と戯言を言うようでは、日本経済の緩やかな成長すら望めなくなるだろう。まったくビジョンも想像力もない財務省中心の役人らに丸投げした野田政権は、野田や仙谷の党ではなく、民主党と云う党なのだ。最終的には、米国隷属の潮流と増税をした政党と云う歴史的汚名を一身に浴びる政党になる事だろう。そのような政治的過程を辿り、次なるビジョンを持つ政党が誕生するのも悪い事ではない。


ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)
堤 未果
岩波書店


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