考えてみればもう50年位も前、なんですね。
新宿にある花園神社で、とてつもなく面白い芝居がはじまったと知ったのは。
実際私が行くようになったのは、上野の不忍池での公演です。
紅テント。
その頃、いわゆる「アングラ芝居」が元気よく、演劇部で芝居の端くれに関係していた私は、
友達と、佐藤信さんの黒テントや唐十郎さんの紅テントを、半日並んで観にいっておりました。
私の通った短大の演劇部って、指導してくれる人がいたんですが、またその人がどういう訳か面白い人で「中村座」というところにいる役者さん、通称「ショーさん」でした。
寺山修二や深沢七郎などの芝居やオリジナルの物をまあ楽しく演りました!
なので、紅テントの芝居はもうワクワクもので、佃島の海に浮かんだ舟の底にぎゅうぎゅう座って、今はテレビでおなじみの小林かおるさんが船の上部にしがみついて歌ったりしてましたね。
不忍の池から、机を背負った大久保鷹さんがジュボジュボ登場したり、芝居の終わりにテントが落ちて現実の景色が現われてオオっ!となったり・・。
あ、すみません、つい夢中になっちゃって。
私たちの指導者「ショーさん」が二年前に亡くなり、そして唐さんも雲の遥か上にいってしまった。
寂しい。
でも、一つの時代が終わった的な思いはありません。
私のからだの中に、根っこの場所に、確かにあの時代に感じた事や悩んだことが浸み込んでいる実感があります。
人に流されないように、無理に同じ速度で行こうとしないように、一つの方角から物事を見て判断しないように、いろんな価値があるのだと思うように、そして何だか疲れてしまったら、自分の身体を自分で抱きしめてその存在を確認して改めて一歩行くという。
そんな姿勢を学んだ気がします。
それにしても昔、喫茶店で見かけた唐さんの、瞳のあの何とも言えない輝きっぷりは、未だに強烈に覚えております。