アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

先に出馬表明した人に降りろと言うのは非常識

2007年02月28日 10時07分46秒 | 反石原・’07東京都知事選
 今年の春に行われる東京都知事選挙の候補者選びが混迷の度を深めています。現時点で立候補表明しているのは次の三人です。―(1) 現職都知事で三選を目指す石原慎太郎、(2) 元々石原シンパだった建築家の黒川紀章、(3) 「革新都政をつくる会」から出ている元足立区長の吉田万三。それ以外には、民主党が候補者選定を進めていますが、こちらは暗中模索で事実上頓挫している状態でした。そこに急遽浮上したのが元宮城県知事の浅野史郎。市民派が強く推し民主党も「渡りに船」と秋波を送り始めましたが、本人は一旦出馬を固辞した上で、現在様子見の状況です。

 この今年の東京都知事選挙ですが、分らない事や納得のいかない事が多すぎます。一つは黒川紀章の立候補。右翼団体「日本会議」の構成メンバーで石原慎太郎を今まで応援していたくせに、何故今頃になって「石原三選阻止」を掲げて立候補してきたのか。ここにきてやおら「側近政治・五輪招致反対」を掲げていますが、そのくせ「石原都政の継承すべき点は継承する」なんて事も言っています。当の黒川氏は盛んに否定していますが、これでは「反石原票分断の為に出てきた石原別働隊候補ではないか」と思われても当然でしょう。また、仮に幾許かの「反石原感情」が当人にあったとしても、それは大方「私怨絡み」か「出世欲」から出たものでしかないでしょう。

・〔メモ〕都知事選に出馬する黒川紀章氏は「日本会議」の代表委員(低気温のエクスタシーbyはなゆー)
 http://alcyone.seesaa.net/article/34392449.html
・都知事選に出馬表明 黒川紀章氏の真意は(東京新聞)
 http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20070224/mng_____tokuho__000.shtml

 もう一つは、急遽浮上した浅野史郎氏の擁立劇。AMLの下記投稿でその足跡を辿る事が出来ますが、この2月に入って急に、石原三選阻止で動いていた市民団体の一部から話が出てきて、民主党も巻き込んでの擁立劇に発展しました。

・[AML 11749] ■東京都知事選~革新統一候補は実現するのか?(東本高志)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011328.html
・[AML 11838] 『脱石原・統一候補を!』ml参加へのお誘い(murmurkiwi)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011416.html
・[AML 11889] 16 日に都知事に浅野史郎さんを!の相談会(宿六)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011467.html
・[AML 11900] 浅野史郎さんに出馬要請メールを送りましょう!(椎名裕)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011478.html
・[AML 11901] 16日の「浅野史郎さんを都知事に!」の主催団体は
「東京。をプロデュース2007」です(東本高志)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011479.html
・[AML 12041] 浅野氏擁立は疑問(新・矢野周三)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011615.html
・[AML 12050] Re: 浅野氏擁立は疑問(東本高志)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011624.html
・[AML 12045] Re: hagitaniさん、私はこう思います。(hagitani ryo)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011619.html
・[AML 12057] 都知事候補に関して(宿六)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011631.html
・[AML 12125] 薪をくべろ炎を燃やせ!25日浅野さん集会案内(宿六)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011698.html
・[AML 12073] 先に出馬表明した人に降りろと言うのは非常識(msq)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011647.html
・[AML 12117] 村岡到:都知事選で大胆な政治的妥協、共同の努力を!(村岡 到)
 http://list.jca.apc.org/public/aml/2007-February/011690.html

 「ボカサ石原」が「トンデモ」な人物である事は、今更言うまでもない事です。侵略戦争肯定の歴史観や日の丸・君が代強制、「ババア・三国人」発言に見られる弱者蔑視・弱肉強食肯定の歪んだ人間性、ワンマン・側近重用・行政私物化、五輪招致・湾岸開発やカジノ誘致などに見られる大型開発・イベント偏重の土建行政、等々。こんな人物の三選など、絶対に阻止しなければなりません。

・「東京の金正日」を倒せ!(拙ブログ)
 http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/c5f7c5bc47418ee1058fbbb9dff1df50
・サヨナラ!石原都知事(知事選告示前日に閉鎖の期間限定HP)
 http://www5.famille.ne.jp/~ishihara/index.html

 しかし、それが何故「浅野史郎」でなければならないのかが、私には全然理解できません。「石原に勝てるのは浅野しかいない」だって? 吉田万三候補がいるじゃないか!
 そもそも、今まで石原都政に最も対抗してきたのは誰だったのか。誰も遠慮して突かない石原タブーに挑み、「赤旗・石原戦争」と言われるほどに、石原の数々の疑惑を暴いて化けの皮をひん剥いてきたのは、一体誰だったのか。共産党や「革新都政をつくる会」であり、そこから立候補した吉田万三候補ではないですか。石原都政の下でも足立区長として住民の暮らしを守り、その施策故に石原や自公民の石原与党に睨まれ、謀略紛いのリコールで無理やり区政を追われた吉田万三氏こそ、石原三選阻止の対抗馬に最も相応しい候補者だと、私は思います。

 方や浅野氏はと言うと、「宮城県知事時代には福祉に力を入れた」「改革派知事だ」とか言われていますが、その割には、当人が今まで何をやってきたのか、これから何をしたいのかが、全然見えてきません。当人のHP「浅野史郎・夢らいん」を見ても、具体的な政策については何も書かれていない。世間では「改革派知事」だと言われている様ですが、改革派と言っても高知県の橋本知事から三重県の北川知事まで色々で(最近では宮崎県の東国原知事もそれに含まれるのでしょうが)、中には「看板だけの改革派」もいます。こんなキャッチフレーズなど何の判断材料にもなりません。

 その浅野氏に「渡りに船」と乗る民主党も、見苦しい事この上もない。そもそも、民主党が石原都政と対決した事など、今まで全然無かったではないですか。土屋たかゆきなどの反動右翼都議を筆頭にして、石原都政を露骨に擁護する事こそ在れ。それで今まで石原に散々尻尾をふっていたくせに、ここに来て愈々石原の化けの皮が剥がれ落ちてきても、自力で対抗馬一つ立てる事も出来ずに右往左往した挙句に、他人の褌で相撲を取り漁夫の利を掠め取る事にばかり汲々として。これでは、郷ひろみへの参院選出馬打診など、なりふり構わぬ醜態を演じている自民党とも何ら変わらないではないですか。こういう事をやっていると、反石原の大義すら「小泉劇場」と同列視されてしまい、石原はそれを尻目に余裕で当選してしまいます。

・都知事選:「最強の候補」菅氏巡りせめぎ合い激化 民主党(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/senkyo/news/20070215k0000m010125000c.html
・浅野氏は石原氏に勝てるのか!?…都知事選を占う(スポーツ報知)
 http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20070227-OHT1T00013.htm

 浅野氏擁立に動く市民派は、「確かに吉田氏も立派な人物だが、如何せん共産党では選挙には勝てない」と言います。しかし、選挙をやる前から一方的に「お前ではダメだ」と決め付けて、先に立候補表明していた人物を無理やり下ろして、未だ立候補の意志も固めていない人物を無理やり担ぐようなやり方こそ、傲慢で一方的ではないでしょうか。最初から寄って集って吉田氏の足を引っ張っておいておきながら、「吉田氏では勝てない」もクソもないでしょう。

 当の吉田氏はそれでも、「私よりもっと相応しい候補者が現われたら私は辞退する」という事を言っています。若しそういう事態になれば、私も吉田氏の選択を尊重します。そうなれば選挙の様相は一変します。野党統一・革新統一候補とボカサ石原との全面対決となり、"山が動く"でしょう。しかし、その為には、浅野擁立派や民主党は、次の疑問に答えなければなりません。そういう最低限のケジメもなしに、ただムードだけで、海のものとも山のものとも分らない候補者を、なし崩しに支持する事などは出来ません。

(1) 何故、浅野史郎でないといけない(勝てない)のか?
(2) 何故、吉田万三ではいけない(勝てない)のか?
(3) 民主党は、今まで石原都政を支持してきた事を、どう総括するのか?
コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 偽装請負NO! 「うそつき... | トップ | 釜ヶ崎労働者の住民票削除を... »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
浅野氏と吉田氏との間での「対話の場」が必要なのではないでしょうか (まこと)
2007-03-01 05:50:32
東京都民ではありませんが、私見を少しだけ書かせていただきます。

私自身は、政策的には吉田万三氏に近しいものを感じます。しかし、共産党色の強い吉田氏では、特に「二大政党幻想」が強い昨今では、支持層の拡がりが期待し難く、当選は難しいのではないでしょうか。

例えば、共産党の基礎票が20万強はあると思われる愛知県で先日行われた知事選でも、共産系の候補者は16万強しか獲得できず、供託金没収になっています。

「参加することに意義がある」では無く、「石原氏に勝つこと」を目指すためには、民主党・自民党支持層や保守系無所属層にウイングを拡げられる候補者で無ければならないでしょうし、野党・市民派が「共闘」せねばならないように思います。

ただ、社会主義者さんが指摘されるように吉田氏や「革新都政をつくる会」に対し、「もっと共闘候補して相応しい人物がいるのでアンタらは引き下がれ」と言わんがばかりの態度を取るのも、彼らに失礼というものでしょうね。

私が思うに、ここは浅野史郎氏を擁立しようとする市民派が「仲介役」となり、浅野氏と吉田氏が直接対話する「場」を創り、吉田氏や「革新都政をつくる会」と共闘を模索するべきなのではないかという気がします。吉田氏などには礼を尽くす必要もあると思います。

幸い(?)なことに、吉田氏は「『憲法9条擁護』などの条件を受け容れてくれる人であれば自分が降りても良い」と言われているようです。ならば、吉田氏と浅野氏との間で政策面で「すり合わせ」が可能かどうかを議論すべきでしょう。

その上で、両者の共闘が可能ならば共闘すべきでしょう。仮に不可能だったら・・・、その時は「分裂」も致し方無いことだとは思いますが。
返信する
「正しい」主張をする"だけ"では選挙には勝てないと思います (まこと)
2007-03-03 07:55:37
>誰も遠慮して突かない石原タブーに挑み、(略)石原や自公民の石原与党に睨まれ、謀略紛いのリコールで無理やり区政を追われた吉田万三氏こそ、石原三選阻止の対抗馬に最も相応しい候補者(社会主義者さん)

吉田万三氏が嘗て足立区長に当選した背景には、確かそれまで与党だった側(自民・公明・民主など)が「分裂」したという要因が大きく影響しているのでは無かったでしょうか。もちろん、それまでの区政への区民の不満という要因もあるでしょうけど。

あと、あの頃は今のように「二大政党化」が進んでおらず、嘗て社会党を支持していたような非自民系無党派層の一部を共産党が掴んでいて、共産党がマスコミから「上げ潮傾向にある」と評されていた時代です。(*私はあの「上げ潮」と称される現象は飽くまで過渡期的現象に過ぎなかったと見ていますが。)今のように自民党と民主党という「二大政党による政権交替"幻想"」が強い状況とは違いました。

今の状況下で共産党色の強い候補者が当選するためには、よほどの「追い風」が共産党に吹かない限り、難しいと思います。今の共産党に、90年代後半の「上げ潮」に勝る「風」が吹く可能性がどれだけあるのでしょうか。

また、東京都狛江市が典型だと思いますが、現在共産党員もしくは共産党系の人が首長選で勝っている自治体では、彼らが地域の<保守層>の支持をもガッチリと握っている所が多いのでは無いでしょうか。

東京都知事選候補者としての吉田万三氏が、狛江市長の矢野ゆたか氏ほど<保守層>のハートを掴み得るのか-その点を考慮するべきではないかという気がします。
返信する
論座の鶴見氏の言葉は (三浦小太郎)
2007-03-03 13:39:17
「論座」4月号のこの言葉は、やっぱり重みがあるんじゃないでしょうか

「国家権力を持っていない間は、共産党は当てになる仲間だと思ってきた。(中略)戦後日本の左翼思想の弱点は(マルクス主義を信じなかったし共産党にも入らなかった自分には)見えます。見えるけれども、私はその左翼思想を敵としたことはないんですよ。国家権力を取りそうもないし、取らない間は極めて信頼できる仲間だから。」(鶴見俊輔 101ページ)

私は反共の立場ですから、私の意見は論外としましょう。ただ、ここで、日本のリベラリストの最も優れた一人である鶴見氏が、左翼や共産党に対し、「国家権力を取らない限り信頼できる」と言っていることの深い意味は考える必要が左翼の方々にこそあると思います。勿論、知事は国家権力ではない。しかし、おそらく都民の多くは、共産党に腐敗した政権への批判や抵抗勢力としての意義は見出しても、それ以上の期待を賭けるには抵抗がある人がやはり多いと思います。
返信する
批判勢力 (まこと)
2007-03-04 07:17:49
私が言い難いことを、三浦さんがズバリ指摘されてしまいました(笑)。 

>おそらく都民の多くは、共産党に腐敗した政権への批判や抵抗勢力としての意義は見出しても、それ以上の期待を賭けるには抵抗がある人がやはり多いと思います。(三浦さん)

三浦さんが示唆されているような心情を、日本の庶民の多くが共有しているのが「現実」だとは私も思いますね。

それは何故か?私は共産党がしばしば挙げる「反共イデオロギーの強さ」だけが理由では決してないでしょうね。
返信する
私も一言 (sakochi)
2007-03-05 00:28:00
私も反共の方なのですが、共産党にはそれなりの存在価値はあると思います。最大のメリットは、身近な医療や福祉問題になると、共産党ほど役に立つ政党はない、ということです。実際、身内でそんな実例がありました。
そして、これはあくまでも右派の側から見た場合のメリットですが社民党と共産党が仲が悪いというのは有名な話です。つまり一つにまとまれないということです。この辺も庶民が見て政権政党として期待し得ない点の一つでしょう。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

反石原・’07東京都知事選」カテゴリの最新記事