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府市の対立を煽って来たのは一体誰か?

2020年09月27日 02時43分44秒 | 都構想・IRカジノ反対!
 
9月26日(土)14時からクレオ大阪中央で行われた都構想の住民説明会に参加して来ました。説明会場は天王寺の文教地区にあり、周辺には四天王寺や愛染堂、口縄坂などの史跡が点在しています。私はお昼前に会場に着き、周辺の史跡巡りを楽しんだ後、13時半に会場ホールに入りました。
 
会場のホールにはコロナ対策で定員の約半分しか入れません。それでも、開演前には、もう既にホールは多くの人で一杯になっていました。私の席の隣には大勢の報道陣の方が詰めかけ、参加者にインタビューを始めたりしていました。そうこうしているうちに、ほどなく14時の開始時間となり、市役所の進行係の方が、配布された都構想説明パンフレットに沿って、都構想の解説をやり始めました。
 
その後、大阪市の松井市長が、都構想が生まれた経緯について、説明パンフレットに載っていない事も含めて、更に詳しく説明されました。しかし、幾らパンフに載っていない事を、パネルに映し出された資料だけで説明されても、後方の私の席からでは、よく見えません。よく分からないまま、時間だけが過ぎてしまいました。気が付くともう15時40分ぐらいになっていました。
 
この後、ようやく質疑応答の時間が来ました。私も含め、多くの方が質問する為に挙手していましたが、5~6人の方しか指名されませんでした。以下がその時の主な質疑応答です。
 
問①:学生の時に教師からパワハラ・セクハラを受けた。それらを都構想で防止する事は出来るのか?
答①:「都構想で、より身近な特別区に教育委員会が設置されるようになればパワハラもなくなる」(松井市長)
問②:新・天王寺区は他の特別区よりも明らかに見劣りする。この区割りで本当に良いのか?
答②:大阪の成長は一特別区だけでなく大阪全体で実現するもの。「大阪府は大阪市の敵ではない」。
問③:IR(カジノ)・リニア等、まだ実現できるかどうか分からないものに何故予算を付けるのか?
答③:IRは予算に入っていない。
問④:大地震が起こったら湾岸部は全て津波で水没。この特別区の区割りでは対応できない。
答④:災害対応の職員はむしろ従来よりも増やすつもりなのでご安心を。
 
大阪市の松井市長と大阪府の吉村知事の二人とも登壇されていましたが、主に回答されるのは松井市長の方でした。その松井市長の発言の中で、「大阪府は大阪市の敵ではない」という言葉に、私は逆に違和感を感じました。だってそうでしょう。「大阪府は大阪市の敵」だなんて、昔は誰もそんな事考えたこともありませんでした。
 
何故そんな発想が出て来たのか?「大阪府と大阪市がいがみ合っている」と、橋下・前市長や松井・現市長が盛んに府・市の対立を煽ってきたからではないですか。「りんくうタワーとWTCビルの高さ競争などの無駄な投資が行われて来た。まさに府市合わせ(不幸せ)だ。こんな二重行政の弊害をなくす為には、大阪市をなくして大阪府に司令塔を一本化しなくてはならない」と言って、府市の対立を煽って来たからではないですか。
 
それを今頃になって「府は市の敵ではない」と、まるで「そう思う有権者が悪い」みたいに言うのは如何なものか。非常に違和感を感じました。結局、私はずっと手を上げ続けたにも関わらず、全然指名されませんでした。仕方ないので、配布された質問票に、前回ブログで書いた質問事項を、また一から書き写して出さなければなりませんでした。会場内はスマホも圏外で通じなくなっていたので、インターネットでコピペする事も出来なかったからです。
 
 
しかし、そんな長文の質問項目を、時間内で書き上げて提出する事は無理です。一度書いては書き損じ、また新しい質問票をもらって、家に帰ってからようやく質問票を書き上げました。下記がその質問票の全文です。ほとんど前回のブログ記事と同じ内容ですが、新たに書き加えたり書き直したりした部分もあります(下線部)。
 
①二重行政が悪だと言うなら他の政令指定都市はどうなる?他も全て府県との二重行政になってしまう筈だ。しかし、他の政令指定都市でこんなに大騒ぎになっている所はどこにもない。何故、大阪だけずっとこんな騒ぎになるのか?
 
②そもそも二重行政の一体何が悪いのか?知事と政令市長の意見が異なる案件については、両者とも簡単に賛同出来ないのは当然の事。そこから議論を戦わせ、論点をすり合わせて、一致点を探るのが民主主義ではないのか。それを、維新みたいに「全て選挙で決着を付ける。たとえ51%の得票でも勝ちは勝ち。敗者は無条件に従え」と言っていたのでは、対立が深まるばかりだ。しかも、最初の住民投票で都構想否決の民意が示されたにもかかわらず、「僅差だったからもう一度やる」と言うのは、単なるワガママ、ゴネ得でしかない。
 
③歴史も学部構成も異なる市立大学と府立大学を何故無理やり統合するのか?学問探究を単なるコストとしか考えていないからではないか?学生の声も聞かずに、市長と知事だけで、そんな勝手な事して良いと思っているのか?数ある施設統合策の中でも、これが一番納得出来ません。
 
④近くに府立病院があるからと言って住吉市民病院を廃止しながら、府立病院(現・急性期総合医療センター)を紹介状患者しか見ない金持ち専門病院に変えてしまい、一般患者を放り出してしまった事に対して、責任をどう取るのか?
 
大阪市があるからこそ、西成あいりん地区の特別清掃事業も実施出来た。しかし、都構想で大阪市が廃止され、西成の事に疎い新・中央区の役人によって同事業も廃止されてしまうだろう。ホームレスを見殺しにするのか?
 
 
私が提出した質問票の全体図と質問拡大図。
 
⑤の特別清掃事業(略して特掃)とは、大阪府と大阪市が西成のあいりん地区で実施している失業対策事業です。あいりん地区内外の道路や河川敷の清掃、公園遊具の補修・ペンキ塗り、あいりんセンターのガードマンなどが主な業務です。土木工事の受注が無くなる年度末の毎年2月から4月にかけて、あいりんセンターに登録した55歳以上の高齢者の中から、輪番制で100人ほどを日雇いで雇い入れています。労働者は10時から15時まで働いた後、センターで日給5700円の賃金を受け取ります。あいりん地区の日雇い労働者にとって貴重な収入源となっていますが、雇用出来る労働者の数が限られる為、常に仕事の奪い合いとなってしまっています。
 
この様な事業も、財政基盤の安定している大阪市が、地元の事情に通じている地域のNPO法人に委託するからこそ出来るのです。しかし、もし大阪市が廃止されてしまったら、誰がこれをやるのでしょうか?当初は地域自治区の事務所として残す事になっている西成区役所も、いつまでもあるとは限りません。中央区(大阪市廃止に伴い新たに設置される特別区の一つで、今の行政区の中央区とはまた別物)の役人や有権者の中で、西成の事を知っている方はどれだけいるでしょうか?恐らく余りいないのではないかと思います。この清掃事業も、コストの無駄として早晩廃止されてしまう可能性が高いです。
 
大阪府の吉村知事も、大阪市の松井市長も、二言目には「二重行政を無くして大阪を成長軌道に乗せる」と言います。しかし、その成長の中身が問題です。ギャンブル依存症患者を増やすだけのカジノや、静岡県知事が南アルプスの自然破壊に懸念を表明しているリニア事業、外国人観光客とホテル業界だけが潤う観光事業で、たとえ「バブル景気」を演出できたとしても、その陰で、学費支払いや奨学金返済に困る学生が増えたり、カジノでギャンブル依存症患者が増えたりしたのでは何もなりません。実際にそこに住んでいる人々が安心して暮らせてこそ、初めて「大阪が成長した」と言えるのではないでしょうか。
 
大阪市を廃止して4つの特別区に分割してしまう「大阪都構想」で、それが実現できるとは到底思われません。「大阪市が4つの特別区になる事で、行政が身近になる」と言いますが、今までの住之江区や西成区は逆に中央区(今の中央区とは別の特別区)に統合されてしまうのですよ。区役所に用事があるたびに、遠い中央区の本庁舎まで出向かなければならなくなるのですよ。
 
それを誤魔化す為に、「今までの住之江区役所なども地域自治区の事務所として残す」そうですが、区長や区議会議員を選ぶのは、あくまでも特別区単位です。難波や大国町のタワマン住民出身の区議や区長が、西成あいりん地区の日雇い労働者や、住之江区で働く非正規労働者の実情を、どれだけ理解しているでしょうか?自治区と言っても形だけ。中国の新疆ウイグル自治区のように、形だけの自治に成り下がるのが目に見えています。
 
しかも、幾ら「大阪の成長」がどうこう言われても、所詮はカネ勘定の話ばかり。幾らそれでカジノ資本やホテル業界だけが潤っても、肝心の住民が奨学金の返済に追われたり、コロナで病院をたらい回しにされていたのでは何もなりません。一部の金持ちだけが潤う世の中ではなく、皆が幸せを実感できるような世の中を望みます。
 
ようやく質問票を書き上げ、いざ窓口の副首都推進局にコンビニからファックスしようとしましたが、何度やっても話し中で送信できません。インターネットで送信しようにも、IDやパスワードを要求されて送信できず。結局、郵送で送る事にしました。

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