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野党の本気度が問われている

2021年03月31日 13時45分00秒 | 戦争・改憲よりも平和・人権

「遺産食いつぶした」 照屋氏が福島氏を面罵 社民

先日、古くからのブログ読者でもある友人が、大阪出張の帰りに私を訪ねて来ました。その友人とは新世界で酒を飲み、久しぶりに旧交を温め合いました。

その友人は、地元の名古屋で、社民党に入り活動をしながら、同時に立憲パートナーズとしても活躍されている方です。立憲パートナーズというのは、立憲民主党の協力党員の事です。社民党のような正式な党員ではないが、ある程度の党費を払い、後援会員的な役割を果たしている。そういう党員の事です。正式な党員ではないので、他党の党員でも協力党員にはなれます。

その方から野党共闘の舞台裏についても色々聞く事が出来ました。しかし、その話の内容は、共闘の行く末に暗雲を投げかけるものでした。

その方は、まず社民党が昨年11月14日の全国大会で、分党を決議した時の経緯について話されました。社民党はこの大会で、立憲民主党に合流するメンバーと、党に残留するメンバーで、党を分かつ事を正式に決めました。事実上の党分裂ですが、あくまでも「円満離婚」の形にする為に、このような手続きを踏んだのです。

ところが実際は「円満離婚」とは程遠いものでした。それは沖縄2区選出の照屋寛徳衆院議員が、福島瑞穂・党首に対して「この20年で党の遺産を食いつぶした」と、大会で痛烈に批判した事からもしのばれます。(上記動画参照)

しかし、そうして福島党首を痛烈に批判したはずの照屋議員は、なぜか引き続き社民党に残留する道を選びました。普通に考えれば、党大会で面と向かって党首を罵倒したのですから、てっきり立憲に合流するものと思われていたのに。

でも、その友人が言うには、照屋氏の残留は沖縄の選挙区事情によるものだそうです。沖縄ではまだまだ社民党の力が強く、照屋氏の後援会長も照屋氏の残留を強く望んだので、照屋氏は立憲に合流したくても出来なかったのだそうです。

友人に言わせれば、照屋氏の例なぞ、まだ可愛いものだそうです。友人が活動する社民党の愛知県連では、もっと驚くべき事が起こっていました。

その話によると、社民党愛知県連の代表を務めていた山 登志浩(やまとしひろ)という方が、県連の了承も得ず、勝手に県連代表の職を辞任し、同時に愛知県江南市の市議会議員も辞めて、それまで縁もゆかりもなかった富山1区の衆院選挙区予定候補に鞍替えしてしまったのです。

社民党は、中央組織も各都道府県連合の連合体にしか過ぎず、実際に候補者を選ぶのは地方の県連組織なので、このような事がまかり通ってしまうのです。これにはさすがに愛知県連も頭に来て、山代表を除名してしまったそうです。

なぜ、山代表が勝手に愛知県連の職を辞し、それまで縁もゆかりも無かった富山の衆院選挙区候補に鞍替えしたのか?その理由は今もはっきり分かりません。

富山は愛知に比べ、まだ社民党の力が強いからか?それとも、富山1区は県都の富山市が票田で、同市では政務活動費の不正流用疑惑で市議が大量辞職した事件もあったので、その政治的混乱の隙を突いて立候補に及んだのかも知れません。いずれにしても、憶測の域を出ません。

思えば、社民党が分党に至る経過も、よく分からないものでした。①社民党のままでは当選はおぼつかないので、立憲に合流する事は認める。②その一方で、党に残留して引き続き活動したい党員も少なくないのて、党自体は解散しない。③その上、立憲合流組と党残留組を繋ぐ社民フォーラム(社会民主主義フォーラム)という組織を立ち上げ、立憲合流組もその組織に属しながら立憲民主党の党員として行動する。こんな事まで昨年11月の党全国大会で決議してしまったのです。

そんな社民フォーラムなぞという分派組織を作るぐらいなら、社民党の中で頑張って活動すれば良いのに。また、社民党から立憲に移る以上は、分派組織を立ち上げたりせずに、あくまで立憲民主党の党員として活動すべきでしょう。分派なんて党内の派閥争いにしか過ぎず、有権者や支持者にとっては「はた迷惑」以外の何物でもないのですから。

外野の私なぞは、そう思うのですが。第一、そんな分派組織の存在を立憲民主党が認めるはずがない。「立憲に宗旨替えする以上は、立憲に忠誠を仕え。それが嫌なら社民党に留まれ」と。それが常識的な考え方だと思うのですが。

ところが、立憲はそんな分派活動すら黙認するようなのです。なぜなら、立憲民主党は、議員数こそ野党第一党ですが、まだ出来て間もない党なので、地方組織は無いに等しいからです。それなら、まだ小さいとは言え地方に党組織もある社民党の党員が加入してくれた方が、地方組織をそのまま引き継げるから良いのだそうです。

この立憲の裏事情は、社民党との関係だけに止まりません。右派の国民民主党や希望の党との関係でも、似たような事が起こっています。その典型的な例が松原仁・衆院議員の合流劇です。

松原仁議員と言えば、民主党・民進党時代から、憲法改正に積極的で、保守色の強い政治主張を掲げて来た人でした。今でこそ格差是正にも言及するようになりましたが、昔は拉致問題だけしか言わないような人でした。そんな、立憲よりもむしろ自民党や維新の会にいた方がお似合いの政治家が、なぜ希望の党から立憲民主党に移籍したのか?おそらく、他の国民民主党や希望の党の議員とは違い、労働組合に強い基盤を持たない為に、寄らば大樹の陰と、立憲にすり寄って来たのでしょう。

国民民主党を支持する労働組合も、実際は大企業正社員が中心の御用組合が大半です。原発推進の東京電力の組合を筆頭に。私の勤める大手スーパー物流センターにも、スーパー従業員の組合がありますが、春闘も会社言いなりの一発回答で終わりでした。その組合が加盟する上部団体(UIゼンセン)も、パートが低賃金に怒って労働組合を立ち上げたら、労働者よりも先回りして、会社に御用組合結成をけしかけるような所です。

そんな御用組合が大半なので、とても労働者の代表とは思えない国民民主党ですが、組合費はしこたま貯め込んでいます。だから立憲は国民にも頭が上がらないのです。

そう考えると、これらの議員達は、社民主義だの立憲主義だの、右だの左だの言った所で、思想信条や主義主張は二の次、三の次で、所詮は自分達の保身しか考えていないじゃないかと、思わざるを得ません。

これでは自民党、公明党や維新の会とも何ら変わらない。こんな体たらくで、自民・公明や維新の不祥事を追及できる訳がない。だから、幾ら自民党がデタラメな政治をしても、「野党も似たり寄ったりじゃないか」という事で、最後には数に勝る与党が選挙に勝ってしまうのです。

私は、それで良いとは絶対に思いません。たとえ不甲斐ない野党であっても、こんなデタラメし放題の与党や維新と比べたら、まだ数倍もマシです。野党共闘にも是非頑張ってもらいたいと思っています。でも、こんな体たらくでは、野党はいつまで経ってもアベ政治やスガ政治に終止符を打つ事は出来ないでしょう。

野党に今求められているのは、政権担当能力でもなければ、組織力でもありません。本当に親身になって庶民に寄り添い、庶民の命と暮らしを守ってくれるのか?その気構えを示せるかどうか?今年中に予定されている総選挙で、与党を過半数割れに追い込む事が出来るかどうかも、ひとえにその一点にかかっています。

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