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2019年 謹賀新年

2019年01月01日 04時13分42秒 | 身辺雑記・ちょいまじ鉄ネタ

 

新年明けましておめでとうございます。2019年の新年を迎えるに当たり、幸徳秋水の次の文章をご紹介します。

武装平和、資本家制度、少数政治、賄賂公行の旧年は去れり、而(しこう)して(=そして)武装平和、資本家制度、少数政治、賄賂公行の新年は来れり、新年の新は猶(なお)旧年の旧の如し、吾人は少しも其の芽出度きを見ざる也。
 然れども、旧観依然、徒らに斯くの如き者は国家組織の表面也、少しく深く社会の裏面に入れば、別に暗潮の熱を帯びて大いに動くあり、・・・利を掠め色を漁するの外に一能事(のうじ=為すべき事)なき富豪の下に、其の衣食欠乏の無道に泣ける労働者あるを見ずや・・・、斯くの如きの暗潮が新年と共に更に新潮を加え来るべきは当然也。
 此(この)意味よりすれば、吾人も亦(また)新年の芽出度きを見ざるに非ず、吾人は此意味に於て新年の前途を祝しつつ、更に読者諸君に向って左の語を為す。
 曰くお芽出度う、曰くお芽出度う!」

幸徳秋水(1871~1911)というのは明治時代の社会主義者で、明治天皇暗殺未遂事件の濡れ衣を着せられ(1910年、大逆事件)、死刑にされた人物です。その彼が1904年の「新年の感」として平民新聞に寄稿したのが上の文章です。過去にも何度かこのブログで紹介しましたが、非常に格調高い文章なので、今回もまた紹介する事にします。

「今年も去年と同様、軍拡や資本家の搾取や勝ち組の横暴やワイロ政治はますます酷くなる一方だ。年が明けたからといって何もめでたい事はないじゃないか。でも、それはあくまで社会の表面だけを見ているからであって、その底流では衣食にも事欠く労働者の怒りが益々強まっている。年を経ることに、その怒りは更に強まり、社会変革を求める潮流となって力を増してくるだろう。だから、やはり新年はめでたいのだ。」

これが、幸徳秋水「新年の感」の要旨です。

相変わらず安倍はデタラメ放題、安保法制も過労死促進法案(高プロ)も外国人奴隷労働法案も強行可決されてしまい、沖縄・辺野古では新基地建設の埋立工事も始まった。一寸先は闇じゃないか…。確かに政治の上辺だけを見ていると、そう思いたくもなります。しかし、その一方で「国民の貧困化・格差拡大→結婚も出来ない低賃金で、皆子どもを産まなくなり、少子化で人手不足に(安倍はこれを「アベノミクスによる景気回復」とデマ宣伝w)→とうとう外国人の手を借りなければ経済も回らなくなった→人手確保の為にも最低賃金を引上げざるを得なくなった」流れに乗り…。バイトの労働組合もない職場で、たった一人のバイトでも、その気になれば、闘い方によっては時給920円から千円へ、80円もの大幅賃上げを勝ち取る事も出来るのです。やはり幸徳秋水の言った通り「新年はめでたい」のです。

要は何事も捉え方次第だという事です。どんなピンチの中にもチャンスはあります。しかし、そのチャンスを見抜き、活かす力が無ければ、いつまで経ってもピンチのままです。どんなにお先真っ暗なように見えても、時代は刻一刻と変化しています。一見、後戻りしているように思える歴史も、実はらせん階段を上るように、一歩一歩着実に進歩しているのです。同じ所をただグルグル回っているだけではありません。それが証拠に、同じようにボヤいているように見えても、100年前の幸徳秋水の時代と現代とでは、自由も民主主義も平和も、格段に進歩しているではないですか!

今はもう、幸徳秋水が生きた明治時代のような、露骨な戦争賛美や人権侵害がまかり通る世の中ではなくなりました。しかし、それは決して自然にそうなった訳ではありません。天皇暗殺の濡れ衣を着せられても、労働者の権利擁護の為に闘った幸徳秋水のような人が大勢いたからこそ、今のような状態までたどり着く事が出来たのです。いつまでも安倍のデタラメが通用する訳ではありません。私たちもいつまでも不幸に甘んじているつもりもありません。一人の賃上げがやがて全員の賃上げに波及し、「国民の貧困化」を押しとどめる事が出来るようになります。それまで諦めない事です。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

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