アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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毒親とブラック企業こそが8050問題の主犯だ!

2018年09月28日 13時20分48秒 | 当ブログと私の生い立ち

 

先週の水曜日に旧知のブログ読者が久しぶりに会いに来てくれました。そのブログ読者というのは、約5年前に生活保護の不正受給がニュースで取り上げられ、兵庫県小野市の市長が「パチンコする人の生活保護を打ち切る」と言い出した時に、「そんな事をしても、生活保護の人を自暴自棄に追いやり、更にギャンブル依存症を酷くするだけだ」という論陣を地元で孤軍奮闘して張られた方です。当時、私のブログもその運動の拡散に少なからず協力させてもらいました。

そのブログ読者の方から、「用事で大阪に出てくるついでに私と久しぶりに会いたい」という連絡がありました。その方は、その後も私のブログをずっと読んでくれていて、私が親父と喧嘩して実家を飛び出した事を知り、「実は私もそうなんだ」という事で、わざわざ私の住んでいる月極め賃貸ホテルまで来て下さったのです。

それで水曜日の夕方、ホテルのロビーでお会いして、横の談話室で約2時間、よもやま話に花を咲かせました。その方も、両親が離婚後、家庭に居づらくなり実家を出て、派遣労働者として各地の現場を渡り歩いた後、今は自営の傍ら、HIKIPOS(ヒキポス)という雑誌を販売しておられます。

HIKIPOSは書店では売っていません。購入するには、ネット通販か、この方がやっておられるような委託販売を通さなければなりません。定価は1部500円(引きこもり当事者は1部200円)です。ホームレスの方が自分と仲間たちの自立支援の為に、ホームレスの声を集めたビッグイシューという雑誌を路上販売していますが、HIKIPOSもそれに習い、元・現引きこもりの方が、当事者の声を集めて雑誌にまとめ、当事者自身の手で販売しているのです。私はHIKIPOSの創刊号(左上写真)と第3号(右上写真)を買いました。

若者だった頃に発症した引きこもりが長期化し、やがて50代になる。親も高齢化し80代となり、引きこもった子どもの面倒を見れなくなる。子は無職のままで親の年金だけを充てに何とか食つなぐが、やがて共倒れとなり、親子心中や親子殺人、餓死に至る。この「8050(はちぜろごーぜろ)問題」が全国に広がっています。2016年5月には新潟県三条市で、70代の母が引きこもりの50代の息子を殺害し自殺。母の遺書には「亡くなった夫の元へ息子と共に行く」とあったそうです。2017年12月には札幌市で82歳の母親が寒さと飢えで死亡、その後に残された52歳の引きこもりの娘も餓死。そういうニュースが伝えられています…。

以上が8050問題についての一般的な解説です。私自身もこの様に、あくまでも「引きこもり親子の問題」として捉えていました。しかし、HIKIPOSを読むと、それは余りにも一面的な見方だった事が分かります。生まれ落ちた時から引きこもりだった人は誰もいません。引きこもりになるには、何らかの原因やきっかけが存在しています。それは多くの場合、家庭内の親のしつけであったり、職場内のパワハラであったりします。この雑誌にも、子どもを引きこもりにさせる「毒親」が一杯登場します。常に世間体を気にして、自分の子どもを他人と比較し、劣っている点ばかりをあげつらい、良い点があっても全然評価しない。時には暴力さえ振るう。そんな親によって、子どもは委縮させられ、やがて人間付き合いが出来なくなってしまうのです。

 

彼の場合もそうでした。ただ、余りにもプライベートな事ゆえに、ここでは詳しくは書けません。代わりに私の場合を例にとって書く事にします。幼児期の頃はそれなりに可愛がってもらったものの、小学校5年生ぐらいの時に父親と言い争いになってからは、常に父親の暴力や過干渉にさいなまされるようになりました。算数ドリルの問題が出来ないと物差しで叩かれたり、普通に話していても何かの拍子にいきなり怒鳴られたり。大学に進学するようになっても、どんな本を読んでいるのかいちいち調べに来たり。そのせいで、私は人一倍、他人の目を気にするようになり、高校3年の時には一週間、不登校になった時期もありました。親の教育に問題があった事は今でこそ分かりますが、当時は「引きこもり」や「毒親」という言葉も知らず、ただただ「変な親だなあ」と思うばかりでした。

引きこもりの場合は、それが未婚や少子高齢化につながっていきます。今や、生涯未婚率は25%、非正規労働者に限れば未婚率は6割になろうとしていますが、その原因は、「結婚も出来ない低賃金」や「同じ職場でも周囲は他社の派遣社員ばかりで出会いもない」だけではありません。一旦引きこもりになると、「他人の目を気にする余り、もう自分を守る事で精一杯で、相手を思いやるどころではなくなってしまう」のです。その結果、「他人との間に適切な人間関係が保てなくなり、人付き合いを避ける一方で、自分の事を分かってくれそうな相手にはトコトン依存し、相手の都合も考えず、自分の気持ちや価値観ばかり一方的に押し付けてしまう」のです。

ブラック企業のパワハラ、セクハラがそれに拍車をかけます。電通で過労自殺した高橋まつりさん、ワタミの長時間労働に殺された森美菜さんも、自殺する直前には半ば引きこもりのような精神状態にまで追い詰められていた事が、「体がつらい、体が痛い、思うように動けない」等、彼女らの残した遺書めいたメモやツイート(ツイッター投稿)から明らかになっています。

しかも、日本の場合は劣悪な住宅事情がそれに加わります。欧米に比べ、日本ではパラサイトシングルの比率が異常に高いのは何故なのか、ご存知でしょうか?それは安価な公営住宅が圧倒的に不足しているからです。周囲を見渡しても、あるのはバカ高い家賃の民間賃貸物件ばかりでしょう。非正規の月20万円にも満たない給料から、税金や社会保険料、電気・水道・ガス等の公共料金に加え、月5万円前後もする家賃を払ったら、日々の食費にも事欠くのが現状ではありませんか。しかも、入居の際には数ヶ月分の敷金や保証金に加え、連帯保証人も揃えなければならない。実際は「実家を出たくない」のではなく「出たくても出られない」のです。

劣悪なのは住宅事情だけではありません。福祉の貧困もです。日本の福祉制度で、まだ多少ともまともに機能しているのは、生活保護ぐらいじゃないですか。それに引き換え、ヨーロッパでは失業保険だけでも食べて行けます。だから、再チャレンジする意欲も湧き、次々と新しいベンチャービジネスも生まれているのです。ところが日本では、「バラマキ福祉」「自己責任」とか言って、何でも自分でしょいこませようとする。それに加えて「普通でないとダメ」みたいな同調圧力も強い。杉田水脈(すぎた・みお)のLGBT差別投稿なんて、その典型でしょう。それら全てが、個人のやる気や生きる意欲を逆に削いでしまっているのです。

―80代の親が50代になった引きこもりの息子に「もう面倒見切れない」と詰る8050問題の動画を観たが、これ親子だけの責任じゃないだろう。息子を引きこもりに追い込んだブラック企業の人権蹂躙や、公営住宅の建設をサボりバカ高い家賃の民間業者任せにして自立を妨げている行政の怠慢を何故追及しない?

但し、親にも問題はある。本当に子を思う親なら、子どもに寄り添いブラック企業や行政を告発する事も厭わないだろう。ところが、それを個人の問題に矮小化し、「世間体が悪い」と子どもを一方的に責める。その親のエゴが引きこもりを更に酷くする(以上、私のツイートから)

この雑誌を読んで改めてそう思いました。

【特集】引きこもりの実態

コメント
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