アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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日米も金正日もニンマリの北朝鮮ミサイル騒動

2009年04月05日 17時59分24秒 | 北朝鮮・中国人権問題
 今、世間では、新聞もテレビも、北朝鮮による「ミサイル」発射の話題で持ちきりだそうで。私は、このニュースには興味も関心も殆どないものの、マスコミが余りにも囃し立てるので、この件に関しても、一応意見表明だけはしておこうと思います。

 昨日のテレビ番組欄(4月4日・大阪版)の見出しを見ても、朝と晩のニュースでは、定番の様に取上げられていました。主なものだけでも、NHKでは朝の「おはよう日本」と夜の「ニュース7」、毎日は朝の「サタズバッ」と夕方の「報道ネクスト」、関西テレビ(フジ・産経系列)は午前中の「めざまし土曜日」と「ぶったま!」、読売に至っては朝から「ズームイン!!サタデー」「ウェーク」「あさパラ!」と三連発も、という取上げ方をされていました。
 しかし、その割には、職場の休憩時間でも、意外な程、雑談の話題には上りません。意外と、みんな冷めているのです。勿論、春に入って仕事が俄然忙しくなってきた所為もあるのでしょうが。ただ、それだけでなく、マスコミがこのニュースを、興味本位で取上げているのを、みんなも薄々感じ始めているからではないでしょうか。

 だって、毎日なんかにしても、早朝5時半の「サタズバッ」で「ミサイルか、北朝鮮きょうにも発射、列島が緊迫」と散々煽っておきながら、その後の7時半からの「知っとこ!」では桜満開・ランチ・ドライブなど、9時25分からの「せやねん!」では高速料金値下げ・プロ野球・グルメなどという様に、お気楽バラエティ番組を延々と垂れ流しているのですから。夜も夜で、「報道特集ネクスト」で煽った後に、夕方6時半から深夜12時前まで延々と、オールスターと銘打って、長沢まさみから東国原やオバマまで引っ張り出して、訳の分からない特番を組んだりしているのですから。
 関西テレビや読売テレビに至っては、北朝鮮「ミサイル」発射の話題を取上げたその同じ番組で、芸能ネタやら猫の話題やらプロ野球やら穴場ランチの話題を、一緒くたに取上げているのですから。これで、幾ら北朝鮮のコーナーで「情勢緊迫!」とか言われても、視聴者からすれば「お前ら、寄って集ってワシ等をバカにしているのか!」という事にしかならない訳で。

   

 大体、北朝鮮の打ち上げようとしているのが、ミサイルか人工衛星かの区別もつかないで、政府も公式には「飛翔体」などという造語でお茶を濁している様な、真偽も定かでないものに対して、やたら大騒ぎしすぎです。そんなに大事なニュースなら、こんな野次馬根性丸出しの茶番ではなく、もっとちゃんと正確に取上げて、避難勧告などの、それなりの然るべき措置を執っているいる筈です。それで、挙句の果てに、「発射は確認されませんでした」で、言われた方も「くたびれ損」の何とやらで終わりとは。これが東南海沖地震の速報やら津波警報なら、行政・マスコミ・国民のこんな対応は、まず在り得ない。
 だから、以前に国会で社民党の福島党首が、「北朝鮮のミサイルを下手に撃ち落して破片が落ちてきたらどうする」なんて下らない質問をして、産経新聞によるリベラル叩きの格好の標的にされていましたが、あれも「目くそ鼻くそを笑う」の典型でしかありません。まずミサイルには当たらないし、当たっても破片など落ちてきません。

 そりゃあ、どんな事にも100%や0%の確率は在り得ませんから、「絶対に」とは言えませんが、まずそういう事は在り得ない。若し、それを心配しなければいけないというのであれば、米国・インドが打ち上げる人工衛星やミサイルに対しても、同様に心配して然るべきですが、現実にはそんな事は全くないでしょう。結局それは、「米国の核は汚いがソ連の核は清い」という、かつての旧左翼のダブル・スタンダードの、全く「裏返し」でしか無い。
 そう言うと必ず出てくるのが、「日・米・印は民主国家であって、北朝鮮の様な独裁国家ではない」という反論ですが、果たして、そう簡単に割り切れるものでしょうか。確かに、前者と後者は全く同じではありません。しかし、ブッシュ前政権支持の米国深南部のネオコン有権者や、この21世紀にもなっても未だに天皇やら靖国やらに固執しているバカウヨの物言いを聞くと、左右が真逆しているだけで、金正日の精神構造と瓜二つだと、私は思うのですが。

 本当は、みんなも分かっているのでしょう。「あんなモン、迎撃出来る訳が無いし、迎撃する程のモンでも無い」という事が。
 当の北朝鮮が言うには、これはあくまで試験衛星で、国際機関にも通告し、弾道やら落下予定地点も公表しているものを、碌に調べもせずに、「大気圏再突入で燃え尽きなかった破片が落ちてきたら大変だから、迎撃ミサイルだか地対空誘導弾(パトリオット)だかで打ち落とすのダーッ!」と息巻いて。しかし、たかだか射程高度が数十キロ(後者)から数百キロ(前者)しかない、それらの兵器で、上空数千キロの成層圏から、どこに落ちてくるか分からない(多分、大気圏突入時に全部燃え尽きてしまうであろう)ものを、どうやって撃ち落す事が出来るのか。そんな事、冷静に考えれば直ぐに分かろうものを。

 言っておきますが、これは別に、北朝鮮を弁護するつもりで、私は書いているのではありません。北朝鮮の打ち上げるのが、人工衛星であろうとミサイルであろうと、碌な性能もないモノである事は、確かでしょう。それでもあの国は、米国がイラクに侵攻したのを見て、「通常戦争での圧倒的劣勢を跳ね返すには、もうこれしかない」と、ハマスがイスラエルに射ち込んでいるのに毛が生えた様な「ミサイル」を、せっせと量産しているのでしょう。自国の経済状況や国民生活をも度外視して。イラクでの米国の劣勢が、軍事力の差なんかではなく、イラク人民の抵抗や反戦世論に因るものである事にも、思い及ばないで。
 そんな、どこに飛んでくるかも分からず、多分大気圏再突入時に殆ど燃えてしまうような、チャチな代物を相手に、こちらも技術的に未完成な「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の兵器でしかない、迎撃ミサイルやパトリオットで、やれ撃ち落すの何だのと、大騒ぎする事自体が、バカらしいと言っているのです。スターウォーズのSF映画や、競馬の予想じゃあるまいしw。

 そんな事は、日米も当の北朝鮮も百も承知の上で、茶番を演じているのです。若しも仮に、北朝鮮が本気で戦争をおっ始めようとしたら、まず米国や中国が黙っていません。そんな事になる前に、何としてでも北朝鮮を黙らせます。たとえ金正日の首を挿げ替えてでも。北朝鮮も、それを充分分かっているからこそ、その米・中の許容範囲内で、国際社会の出方を伺いながら、経済援助や見返りを引き出そうと、「瀬戸際外交」で突っ張っているのです。そういう意味では、金正日も、かつてのブッシュや安倍も、只の「軍事バカ」という点では、全く「同じ穴のムジナ」に他なりません。田母神なんて、その最たるもので。
 そうして、北朝鮮が米・中の掌の中で抗っている限り、周辺諸国にとっては、北朝鮮というのは、逆に何かと便利な存在なのです。必要悪と言い換えても良い。
 まず米国にとっては、冷戦終結以降は何かとダブツキ気味の武器を、日本や韓国に法外な値段で売りつける為の、格好の口実に使えます。中国にとっても、北朝鮮が自国の許容範囲内でごねまくってくれる限り、逆に日米や国際社会に対して、北朝鮮の後見人として自国を高く売りつける為の取引材料に使えます。日本や韓国にとっては、もはや言わずもがなでしょう。麻生・自民党政権や韓国の李明博政権にとっては、表向きは政府に対する不平不満を逸らす事の出来る格好の「はけ口」として、裏に回れば経済利権の取引先として、今後も重宝していく事でしょう。

 単に、改憲・右傾化扇動や朝鮮人差別の口実として、北朝鮮・拉致問題を利用するのではなく、本当に人権・人道の観点から、今の北朝鮮の体制を何とか変革したいというのであれば、自ずから進むべき道は決まる筈です。日米の政府や軍産複合体のお先棒を担いで、こんな「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の軍事バクチにのめり込むのではなく、具体的な難民救済に踏み出す事です。
 中国に数十万人、韓国に数万人、この日本にも在日コリアン系を中心に千人以上の脱北者がいるのですから、その人たちの難民認定・生活支援・定住支援を図る事が、まず第一ではないでしょうか。東ドイツが崩壊した原因も、戦争ではなく難民の流出でした。
 その為にやるべき事は、山ほどあります。中国にジュネーブ難民条約の遵守を迫ったり、周辺国だけではなく、国連も動かしての国際的な取り組みにする事も重要でしょう。日本について言えば、脱北者も含めた政治亡命者や経済難民への支援を、広く在日外国人支援策の一環として、取り組むべき段階に既に来ているのではないでしょうか。それが現実には、まともな定住支援策はほぼ皆無に等しく、辛うじて生活保護制度だけが機能しているのが、実情ではないですか。

 本来、生活保護というのは、あくまでも、「セーフティネットの最後の砦」である筈です。そこに至るまでの段階として、失業給付や奨学金制度の拡充が、もっと図られて然るべきなのです。ところが政府は、この数十年間に渡り、逆にセーフティネットの削減に血道を上げてきました。日本国民や在日外国人の生存権を広く保障する立場には立たずに、19世紀的な救貧政策のレベルに、福祉施策を後退させてきました。今の派遣村の惨状が、その何よりの証です。
 最近ニュースで取り沙汰される偽装難民や、脱北者が心ならずも犯罪に手を染めてしまう事例も、単に個人のモラルの問題だけに解消されるものではなく、そういう経済的・社会的背景から取り上げられるべき問題です。
 本当に北朝鮮の問題を何とかしたいのであれば、そういう問題は避けて通れない筈です。それを抜きにして、こんな「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の軍事バクチにのめり込んだり、ネオナチ紛いの在日外国人虐めに精を出せば出すほど、国民の生活権保障も、在日外国人や難民に対する支援も、全て等閑にされ、自らの首を絞める事にしかならない事に、いい加減気付くべきです。
コメント (8)
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