アフガン・イラク・北朝鮮と日本

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太田発言でも露呈した政府の本音

2008年08月12日 23時25分49秒 | 北朝鮮・中国人権問題
・<太田農相>消費者軽視?…「やかましいから」安全徹底(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080811k0000m010085000c.html
・太田農相問題?発言「日本の消費者やかましい」(スポーツ報知)
 http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080811-OHT1T00106.htm
・「消費者やかましい」発言で太田農相が釈明(産経新聞)
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/168600/

 太田誠一農相が10日、NHKの討論番組で食の安全に関連し、「消費者としての国民が、やかましくいろいろ言うと応えざるを得ない」などと発言した(上記「スポーツ報知」記事)―という、例のニュースについて。その前の麻生幹事長による「自公政権・翼賛大連立反対の世論をナチス呼ばわり」と言い、今回の発言と言い、「福田政権のマルコスぶりも、安倍政権に負けず劣らず」「これで臆面も無く国民目線なぞと、よくも言えたものだ」―というのが、まずは第一印象。
 ただ、上記の文章だけでは、この太田発言が、どういう文脈の中で出たものなのか、イマイチよく分かりませんでした。それで、前後の会話のやり取りまで含めて、もう少し調べてみよう―という事で、出てきたのが下記の文章。

・農水相「国民やかましい」/NHK番組/「食の安全」問われ(しんぶん赤旗)
 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-08-11/2008081102_02_0.html

>太田氏は、「国民がやかましくいろいろいうと、それにこたえざるをえない日本のような国の場合は、社会主義の国である中国のように消費者のことを考えないでもいいという国とは違って常にプレッシャーにさらされている」「とくに日本の場合は潔癖だから基本的には私は食の安全というのは日本国内では心配しなくてもいいと思っている」などと述べました。(同上記事より)

 これでやっと、その場の大体の雰囲気が掴めてきました。誰とのどんな対談のやり取りの中で出た発言なのか、もう少し詳しく調べないと確かな事は言えないのですが、おそらく太田農相は、食の安全についても、「中国なんかのやり方と比べたら、日本の方が遥かに民主的」という事を、言いたかったのでしょう。しかし私からすれば、こんな発言は、典型的な「下見て暮らせ傘の下」の発想にしか他ならないのですが。

 まず以って問題なのが、「国民のやかましい声にもいちいち誠実に応えてきた」と言わんばかりの、太田発言のこのスタンス。では、これまでの、雪印や日ハムやミートホープや船場吉兆やその他の、食品の日付・産地偽装や、マンションの耐震偽装は、一体何なのか。それを告発した西宮冷蔵を逆に容疑者扱いして、一旦は廃業にまで追いやったのは、一体どこの国のメーカーや役所なのか。
 太田農相は、トレーサビリティー(生産履歴)制度や、HACCP(重要管理点モニタリング)などの衛生管理手法まで引き合いに出して、日本の役所やメーカーが「国民のやかましい声にもいちいち誠実に応えてきた」と言いたい様ですが、何をか況やです。たとえどんな制度を導入しようと、それを運用する人間がデータの改竄をやっていたら、同じ事です。それを、西宮冷蔵関係者が「世論も捨てたものではない」と言うのならまだしも、それを抑えつけてきた側が言うとは、言語道断です。

 そして、今回の発言でもそうですが、中国や北朝鮮を引き合いに出しさえすれば、政府のやる事は全て免罪されると言わんばかりの、「下見て暮らせ傘の下」的発想。今の中国や北朝鮮が、お世辞にも褒められたものではないのは、その通りですが、それを陰で支えているのは、他ならぬ自分たちでもあるのにも関わらず。
 例えば中国産冷凍餃子毒物混入事件一つとっても、中国側メーカーの天洋食品だけが悪者にされている感がありますが、それを日本側輸入元のJTフーズや生協も、見て見ぬふりをしていたのではないですか。国際競争に勝ち抜く為に、現場にダンピングを強いておきながら、それをいざ問題が発覚した途端に、全ての責任を製造現場だけに押し付けて、自分たちは何食わぬ顔で被害者づらして。

 太田発言一つとっても、単に「食の安全を蔑ろにした」という側面だけでなく(勿論それ自体も重大な問題なのだが)、そういう「下見て暮らせ傘の下」的発想が、透けて見えるのです。
 拉致問題や反日暴動からダンボール肉まんやディズニーランド模造遊園地の話題まで、昨今は「特定アジア」叩きには事欠かない有様ですが。しかし、その「特定アジア」の遅れた側面、例えば中国の環境問題一つとっても、中国の政府や共産党が人民の抗議行動を押さえつけているのは周知の事実ですが、それを陰で支えているのは一体誰なのか。G8諸国の政府・財界であり、グローバル資本やその手先のIMF・世銀・WTOではないのか。
 それらが、自分たちの金儲けの為に、中国政府と結託して、彼の国の農民を農薬漬けにし、同じく労働者をスウェットショップ(搾取工場)に縛りつけ、「安かろう悪かろう」のダンピング輸出を強行して、日本の国内農業を破壊し、日本国民をジャンクフード漬けにしてきたのでしょうが。何の事は無い、G8やWTOが、今まで他の第三世界の国々に対して散々してきた事を、中国に対しても行っている。それだけの事なのです。しかも昨今は、その様な「ODAに名を借りた経済的搾取」を、「国益追求」と居直る議論まで出てくる始末で。

 この様に、中国・北朝鮮の今の体制を支えているのが、実はG8やグローバル資本主義なのです。これは「親中・媚中」とか「ハト派」と言われる人たちだけに限った事ではなく、「タカ派」と呼ばれる人たちにも当てはまる事です。それが証拠に、普段は中国をシナだ何だのと散々貶める発言を繰り返している石原慎太郎が、経済的利害が絡むと途端に「親中・媚中」に豹変する、下記の事例一つとっても、自ずと明らかです。

・北京市との連携よびかけ 石原知事帰国(産経新聞)
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/sports/other/168393/

 何故、タカ派・極右で鳴らす前首相の安倍晋三が、就任早々に中国との手打ちに踏み切ったのか。何故、北京オリンピック前はチベット問題や東シナ海ガス田開発問題などで「中国叩き」一色だったマスコミが、オリンピックが始まった途端に「五輪報道」一色に豹変するのか。
 G8諸国の政府・財界やグローバル資本主義にとっては、今の中国との経済的関係は切っても切り離せないからです。日本の貿易相手国第一位の国が米国だったのも、数年前まで。今や、中国が日本の第一のお得意様なのですから。そんな国と断交や、況してや戦争なんて、今や在り得ない。それは右・左、タカ・ハト関係無し。

 ただ、「目糞鼻糞」の輩が「下見て暮らせ傘の下」の風潮を煽りたい時だけ、ご都合主義的に中国や北朝鮮を持ち出してくるのです。よく「困った時の北朝鮮頼み」という事が言われますが、その通り、時として、自民党が選挙で危なくなると、途端にうまいタイミングで北朝鮮からミサイルが飛んでくる。
 日本の右傾化としての改憲や海外派兵にしても、あれはあくまでイラクやアフガニスタンなどにおける米軍との戦争協力体制構築を想定したものであって、中国や北朝鮮を直接視野に入れたものではありません。本気で中国と事を構えるような事は、日本も米国も決してしない。そんな事をすれば、資本主義にとっても自殺行為となります。
 しかし、「人権侵害が横行しダンボール肉まんが店頭で売られる気持ち悪い国」としての中国の存在は、政府・自民党にとっては真に都合が良い。B層やネットウヨク相手に「下見て暮らせ傘の下」を煽る格好のネタになるから。しかし、中国・北朝鮮人権問題の真の解決には、おそらく結びつかないでしょう。寧ろ「百害あって一利無し」という方が近いのではないか。
コメント (1)
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