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おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

「パイパー」2009/01/18 

2009年01月18日 18時49分50秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)
松たか子/宮沢りえ/橋爪功/大倉孝二/北村有起哉/小松和重/田中哲司/佐藤江梨子/野田秀樹/

近年私が注目している女優さんといえば、松たか子さん、宮沢りえさん、ソニンちゃん。
…とくれば、これは見ないわけにはいかないでしょう!

パイパーとは、火星に移民した人間を幸福するためにプログラミングされた存在。
しかし、人を傷つけないはずのパイパーが不気味な脅威となり、幸福を数値で認識する人間たちは、その数値を低め、希望の地を絶望の地へ変えてしまった…その後に……。という話。
宮沢りえさんは、こんな骨太な演技も出来る女優さんだったのね。
惚れ直したわ
声も、一昨年や去年に観た舞台と出し方が違う。
でも、喉はさすがに松さんのほうが強いかな、りえさんの声はちょっとつぶれていたかも。

二人の役どころは、りえさんがお姉さんで松さんが妹。
二人で掛け合いのようにしてセリフを次々と言う場面は圧巻でした。
後半で、場面が変わって、松さんが母親に、りえさんが小さな娘にと、スイッチが変わるところも無理のないどころか、ハマっていて、この二人の女優さんの力や、息のぴったりとした合い具合も感じられましたよ
設定も演出も面白くって、野田さんは面白い人だなぁ~!
八歳で天才巨大児役の大倉さんも面白かったです

幸福の度合いを数値で測る愚かしさ。
数値が上がるとテンションが上がるのは良いとしてもよ?
数値が下がるとより不幸な気がしてしまうっていうのは愚かしいことね。
なんとなく、ニュースに踊らされているような今の世界の状況にも通じるかも。
…なんて、難しいことはわからないけれど、目に見える明確なもので幸福は測れないものね。
たとえ不幸な事があったとしても、その中に幸福を見出す人もいれば、その不幸な事態に囚われてどんどん不幸に陥ろうとする人もいるわけだし。
だいいち、民衆の最大公約数的な幸福値を知らされることにどんな意味があるのかしら?
幸福値がだんだん下がる、そのカウントダウンにより絶望を見る場面は、野田さん特有の皮肉がこめられているようでした。

この絶望の話は火星という地ではあるけれど、地球に置き換えてもいいかもしれない。未来への警告とも見られますね。
「希望は絶望と同じくらい絵空事」であり、それはその逆「絶望は希望と同じくらい絵空事」でもある。でも、その絵空事というのは人が作るもの。
絶望も希望も人が作り出すものよね。
何もない火星にもたらした、人の作る絶望の、その最後に咲いた希望もやはり人の作るものだったということに、救いが残っていました。

で、ますますこの二人の女優さんが好きになりました!


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