Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

こまつ座の「兄おとうと」~吉野作造の生涯

2009-09-19 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 「高岡演劇鑑賞会」に入っているので年6回は観劇のチャンスが
あるが、8、9月には4回観ることになった。三越劇場とSCOT公演
が臨時に入ったからだ。9/16(水)の「兄おとうと」が4回目だった。
 演劇と言ってもいろいろである。役者の好みもあれば、テーマも
異なる。私はそれぞれを楽しむタイプ。

 とは言うものの、「兄おとうと」は素晴らしかった。こまつ座と言え
ば、井上ひさしが主催する一座だ。脚本は勿論すべて井上ひさしが
執筆する。
 吉野作造の名前を知っていても彼が何をし、何を説いた人かと言う
と知らない人がほとんどだろう。井上氏もその1人だったが、同じ仙台
一高出身だからもあってか、突然芝居にしたくなり彼の論文や日記を
片っ端から読み、更に10歳下の弟信次の自伝や随筆も読んだそうだ。
兄弟の奥さんが姉妹だと言うのは事実だが、他は井上氏の楽しい創作
であろう。

 幕開け、まず次の歌で始まる。題して「ふしぎな兄弟」、歌うのは
姉(剣幸)と妹(高橋礼恵)。(この歌は「ティティナ」のメロディで)

 ときは明治と大正、昭和
 三つの御代の長いおはなし
 寒さきびしい小さな町に
 生まれ合わせた兄とおとうと

 兄とおとうと どちらも秀才
 兄とおとうと どちらも秀才

 兄作造は東大教授
 デモクラシーを唱えた学者
 おとうと信次 えらい役人
 二度も大臣を つとめあげた

 デモクラシー えらい役人 
 デモクラシー えらい役人  (まだまだ続く…)

 この歌の通り、会えば議論になり衝突する兄弟。国家とは国民あって
のものと唱え実践する兄、国家あっての国民だと信じる弟。右翼から脅
される兄。それを奥さんたちが愛と機転で見事に支え解決していく。
笑っているうちに、下のパンフの剣幸さん(富山県出身)の言葉のように、
憲法について考えさせられていた。
 「3度のごはん きちんと食べて 火の用心 元気で 行きよう きっと
ね」の歌は、まさに社会権ではないか。

 <大正末期40代の吉野作造氏  <玉乃夫人を演ずる剣幸さん>
    演ずるは辻萬長さん>
             

 この2夫婦の役者の他に、男女二人の脇役さんがそれぞれ5役を演じ
分けるのが見事。お手伝さん、右翼の青年、説教強盗夫婦などなど。
6人とも歌って踊って、役者さんってこんなに歌が上手いのかと驚い
た。そしてその歌の伴奏や音楽は、舞台脇で演奏するピアニストの
生演奏と来ればたまらない。

 終演後、運営サークルの特権で初日だけ「バックステージツアー」
に参加できる。舞台裏探検だ。写真は撮れなかったのでパンフから。
下は回り舞台(この正方形の床の下は円形の回り舞台でモーターで
動かす)と舞台装置。翌日約20名のスタッフの方がこの大舞台を解体
されるのを手伝った。大仕事だった。
 右は、舞台の袖に置いてある小道具。その下は、説教強盗の納豆。 

                                                
                      
 長くなったが、最後に「へそくりソング」の歌詞を載せるので
ドボルザークの「ユモレスク」のメロディで歌ってみてください。
調子が良いですよ。

 へそくり始めて あれこれやりくり かれこれ十何年
 一日十銭 ときには一円 地道にためる
 おかずをへらして おやつを抜かして かれこれ十何年
 一日十銭 ときには一円 せっせとためる
 
 へそくりは身だしなみ 女の才覚
 へそくりは強い助っ人 まさかのときの助太刀(まだまだ続く) 

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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (風子)
2009-09-19 21:17:40
清姫さん
小気味よい楽しさが伝わってきます。
最小限の人数で最大限の効果を出すって
すごいですね。
返信する
Unknown ()
2009-09-19 23:40:22
やはり期待したでけの事はありました。
好きな人は違いますね。
いろんな資料を持っているのですね。
感心してしまいます。
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Unknown (清姫)
2009-09-20 08:06:59
風子さん
脚本、演出、音楽、舞台装置…すべてオリジナルと言うのは、苦労が多いだろうけど楽しみでもあるのでしょうね。
大賞をもらい、3度目の再演とのことで
役者さんの意気込みも仕上がりも最高だったのでは?と思いました。
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Unknown (清姫)
2009-09-20 08:09:32
姫ちゃん
今回は年に1度の運営サークルで、パンフや稽古風景などで事前にいろいろ資料を見る機会があるのです。
自然と意識も高まりますから。
演劇、楽しんでもらえてよかった。
Saさんからもメールで感想が届きました。
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Unknown (つも)
2009-09-20 09:22:39
回転舞台や小道具がどうなっているかくわしくわかって、素晴しい報告ですね。
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Unknown (森のくまさん)
2009-09-20 09:28:16
清姫さま
おもしろい写真の紹介ありがとう。
「ユーモレスク」に合わせて歌って見ました。
替え歌もおもしろいですね。
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Unknown (清姫)
2009-09-20 18:50:31
つもさん
剣さんの着物姿お似合いでしたね。
5場とも着替えられるので舞台の袖に
簡単な着替え部屋も作ってありました。
柿○さんによればすべて紬だったとか。
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Unknown (清姫)
2009-09-20 18:53:16
くまさん
オリジナル曲もあるのですよ。宇野誠一郎さんの作曲です。
でもこれが一番覚えやすくて…。
一日十銭とはオドロキですが。
井上ひさしはいつ見ても面白いです。
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