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コードギアス 反逆のルルーシュR2 第25話『Re;』

2008-10-01 01:27:35 | コードギアスR2
コードギアスの物語も足掛け1年、ついに最終回。

最終回にきてようやく「反逆のルルーシュ」というタイトルの意味に納得。

これまでの物語の展開上、ルルーシュが成してきたことから考えると、単純にハッピーエンドで終わるとは思えなかったわけですが、この物語のラスト付近でのメッセージというのは、谷口監督が思ってきたことをそのままぶつけてきたんだな、と僕なりに解釈しました。

ラストに至るここ数話における僕の感想はあまり新しいことを言ってなくて、コードギアスの世界においては(現実世界もそうなんだけれども)、世界というのは基本的に厳しいものであって、ままならないものである、ということを早めに自覚しないといけなくって、キャラの思想としてもルルーシュをはじめ、一方通行の考え方(他者を理解しようとするというものではなく、こうであろう、こういう情報を与えればこう動くだろう、こうでなくてはならないという考え方)をするキャラを記号化して分かりやすく配置していたんですよね。

ギアスという万能の力をもってしてもままならない世界。

この厳しい現実の中で、独りでは生きていけないということを理解しないといけない。


また一方で、抑圧された中から生まれる本当のブレイクスルーを志向することについては作中是として捉えられていて、そういう意味ではブレイクスルーをなすにあたって、たとえ10万人から嫌われようとも、100万人から支持されるならそれはありだろう、万人から嫌われる勇気を持つことも必要だろう、というのは谷口監督の持論でもあるわけです。

世界というのは厳しくて、自分の世界だけで成り立っているわけではなく、たくさんの人が関わって成り立っていることを自覚しないといけない。

万人から嫌われようとも、それをなす勇気を持つことも必要。


ルルーシュはこの2つについて、世界を創るために、世界を壊すという形で実現させたんじゃないかと思うんですよね。

ルルーシュ自身が抑圧された中で、本当のブレイクスルーをなすために反逆を続けてきたように、今度はルルーシュ自身が抑圧という記号化することで、世界全体のブレイクスルーを促した。
これがゼロ・レクイエム。

ギアスという自由意志を奪う能力が、そしてそもそもルルーシュという他人の意思を理解しないところから始まった主人公がこの1年の物語を通じて辿り着いた先、ギアス=抑圧という記号化した存在になる、それが世界における他者の自由意志を生み出すためのきっかけになるという、関わった人たちがたくさんいたからこそ辿り着いた結末。

10万人から嫌われる覚悟をもって、後の100万人のためを考えた反逆。

抑圧された中から生まれる反逆のパワーの中にこそ、新しいものを生み出す力があるんじゃないか、万人に嫌われることを恐れちゃいけない、そういう意味での「反逆のルルーシュ」。

これはある意味、ものすごく納得してしまったんですよね。

谷口監督がインタビューなんかで語っていたこと、そういうのを全て凝縮していくと、こういうラストへつながっていくのか、こういうタイトルにつながっていくのか、と。


しかしながら、世界は厳しい、というだけで終わったのか?というと実はそうでもなかったとも思うのです。

それはラストでC.C.が呟いた言葉、



ギアスという名の王の力は人を孤独にする

少しだけ違っていたかな

なぁ ルルーシュ?




タイトルの「Re;」というのは、無題に対する返信。

この無題の中に入るのは、ルルーシュが成してきたこと全部じゃないかと思うんです。

であるならば、それに対して誰かから返信がなされている。

それだけで、実は孤独の中で死んでいったようなルルーシュではあるものの、本当の本当のところでは実は孤独ではなかったという証。

ギアスという自由意志剥奪の能力を、最後には他者の自由意志を促すために使った、その違いが最後の最後で孤独ではなく、誰かに届いて返信が宛てられるというタイトルにつながっているんじゃないか、と思うんですよね。

それはその言葉を呟いたC.Cであったり、ラストでナレーションをするカレンであったり、ルルーシュの死の淵でルルーシュの真意を悟ったナナリーからルルーシュへ宛てた「Re;」だったんじゃないかな。


そしてもうひとつ。

「Re;」が現す内容がこの物語のTRUE ENDならば、実はこちらがこの物語のGood ENDだったんじゃないかと思うところ。

ジェレミアとアーニャ。

ギアスに翻弄された運命を辿った二人が、最後にオレンジ畑で二人で暮らす。

これはルルーシュとC.C.のもうひとつの道、Good ENDだったのかもしれないな、と二人の姿にルルーシュとC.C.を重ねてしまいました。


まだまだ書きたいことはあるのだけれども、やっぱり感想というのは自分の中にある一番熱いところを取り出して書く、というのが良いのかなと思っているので、とりあえず、僕の中にあるところはここまで。

コードギアスという作品をそれこそ「全力で」作ってくれた谷口監督はじめスタッフの皆様には本当に感謝です。
この感想をもってスタッフの皆さんへの「Re;」とさせて頂ければと思います。

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12 コメント

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SEED Destiny (ズゴック大好き)
2008-10-01 01:52:50
先週から予測通りに感動が感動を呼ぶ展開でした。

先週の最後ナナリーが目を開けるシーンは、北斗神拳の秘孔を
破るシーンを思い出しちゃいましたよ(違)。


さて、制作の竹田氏の関与もあるのかもしれませんが、なぜか
SEED Destinyでできなかったことをここでようやくやり遂げた
感じがしてます。今回のR2は前半の続きなのでしょうが、
微妙に立ち位置が違ったパターンで似たようなストーリーが
展開されてました。

スザクとルルが手を組んで、未来を求める・・・ってそんな
展開をもしかしたらシンとキラでやりたかったのかも・・・。

BGMも素晴らしい。捕らわれさらし者になったナナリーが、
死にゆく(?)ルルの手に触れ真実に触れる。これって、
ギアスかい??ってつっこみはさておいて、どうもルル側
のメンバーは彼とスザクの決意を知っていたようですよね。

C2の乗る馬車の御者は誰?なんて変な妄想も、この物語が
管理人さんの言うようにある意味Happy Endだと思うのです。

本当に心地よい終わり方でした。

返信する
反逆 (楊枝)
2008-10-01 22:30:39
成功したら革命であり、失敗するから反逆と呼ばれる、なんて、昔コメントで書きましたね(笑)

反逆者として友に倒され、友が遺志を受け継ぎ、そしてオレンジがオレンジを作る。

何をどうするのが一番幸せなのか、それを得る為に他の全てを失う程
大切なものって、一体何だったんろうな? なぁ ルルーシュ?

そんな感じです(何がだ・・)。
返信する
Re; (大和)
2008-10-02 14:54:04
 お久し振りです。ROMは定期的にしていましたが、燕。さんの感想のまとめ方は流石ですね。私の場合は、どうしてもゴテゴテとした感じになってしまいます。

 大抵の人は、組織やシステム上置かれた境遇の中で育つ他はなく、そこで培う認識もまたその域から出ることは儘なりません。劇中では、登場人物それぞれがその域を脱していないところから始まり、その垣根を飛び越えようとする中での辛苦が描かれ、R2に至っては、世界をそのために創り替えるための具体策が次々と表現されます。そして終幕でのあの描写。

 ジェレミア卿とアーニャがオレンジ畑で働く描写も含め、ルルが望んだであろう世界の姿が築かれて行こうとする様を見ることで、優しい気持ちにさせられますね。

 ルルの望んだ優しい世界。最終回の題目が「Re;」というのは、本当に上手いですね。
返信する
兄弟そろって仲良くなっ! (りょく)
2008-10-02 21:41:44
呆然とした最終回でした。
燕。さんの感想は毎回追いかけてきましたが、コメントをつけることが中々出来ず、最終回なのでさせていただきます。

あの終わりしか無かったとしか言えないのが残念です。
やっぱり主人公に肩入れして見てしまいますので、「自己犠牲」で終わってしまうのは、何とも寂しいものですね。
「反逆のルルーシュ」というタイトルからして、最後は想像できたものなのですが……。

タイトルは「Re;」無題に対する返答ですか。
最後までメルマガでも教えて頂けなかったので、この解説に納得しました。
世界からの解答だといいですね。

バンダイ側は、この作品をガンダムの様にシリーズ化させたいようですが、如何でしょうかね。
とりあえず、二次創作の住民である私はせっせと3つもSS書きました。漸く落ち着いてきたところですw

「討っていいのは、討たれる覚悟のあるヤツだけだっ!」
一話の「撃って~」が「討って」に変わって最終回に出てきた時の鳥肌ものは、多分ずっと忘れないと思います。

一話冒頭の心臓の鼓動音と瞳を開いた描写。
あれは逆再生するとルルーシュの走馬灯になるっていう初期からの設定どおりのことだったんですね。

谷口監督に、またしてやられた感じがして、あの監督には一生付いて行きそうな予感がしますww
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リフレイン(良い意味で) (燕。(管理人))
2008-10-12 23:00:18
■ズゴック大好きさんへ
いやー、最終話、僕的にはかなり良かったですね(ハッピーエンドではないにしろ、それに近い達成感?みたいなのはありました)。
#秘孔(笑)。
ここでSEED Destinyとの意味合いとしては僕個人としては無いんじゃないかなと思うんですがね。
#プロデューサーさんは同じですが、そういう展開的な部分は谷口監督にお任せしてる、という印象がありますので。
続き物、というところで、そういう韻を踏んじゃう展開になったのかもしれませんね。
僕はコードギアスのファーストシーズンでは、万能の力を持ってしても世界はままならなかった・・・で終わり、R2ではままならない世界の中でルルーシュが同じことを繰り返しながら、それでも関わる人が増え、結果的に自分だけの世界じゃ駄目なんだと気がついていく、ということで同じ物語を繰り返させたのかな、と思います。
#そういう意味では「ひぐらしのなく頃に」のスタイルの方が若干近いのかも・・・。
コードギアスはBGMも素敵でしたよね。
ああいう終わり方含めて、谷口監督の言う、万人に嫌われる覚悟を持って(それ以上の人に)受け入れられる作品を作る勇気、を見た気がします。
#ルルの決意は残されたメンバー(プリン伯爵やジェレミアとか)は知っていたんでしょうね、やっぱり。
#そういう意味で、ルルーシュは孤独ではなかった、という終わり。これが良かったなと。
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オレンジ畑でつかまえて (燕。(管理人))
2008-10-12 23:04:25
■楊枝さんへ
>反逆者として友に倒され、友が遺志を受け継ぎ、そしてオレンジがオレンジを作る。
なんという名言(笑)。
ルルーシュ的な願いとしては、やっぱり「明日」が欲しかったんじゃないですかねぇ。
全てを犠牲にしても、自分だけじゃない、みんなの「明日」が欲しかった。
#もっと言うと、みんなと関わった結果、自分のじゃなくみんなの「明日」になったんだろうね。
返信する
メッセージ (燕。(管理人))
2008-10-12 23:15:40
■大和さんへ
どうもお久しぶりです。
谷口監督の日経ビジネスオンラインでのインタビューをかなり端折って要約すると、
・世界は基本的に厳しいものだということに早く気がついて欲しい(できれば中学とか高校生くらいで気がつき始めて欲しい)
・自分の世界だけじゃなく他人の世界もあり、それらがたくさんあるから世界は成り立ってることにも気づいて欲しい。
・学校は詰め込みとか厳しいくらいで丁度良い(そういう中からブレイクしようとする本物の意思が芽生えるから)。
・売れなければ悪(1円でも良いから黒字にしないとどんなに傑作(を自分が作ったと思っても)でも駄目)。
・それでも10人に嫌われても100人から支持される、そういう勇気が必要。
という感じになると(僕は)思うんですが、これがやっぱりコードギアスの中心にあったんじゃないかなと思うんですよ。
どういう世代へのメッセージかというと、やはり中学生から社会人でも比較的若い世代に贈る作品だったんじゃないかなと。
けれども、世界は厳しい、だから他人が必要なんです、と理解していくのは若い人だけじゃなく、会社でも中堅と呼ばれる世代の人にも必要なんだよね、とわが身を振り返って思うわけです(笑)。
そういう厳しいメッセージなんですが、ラストのオレンジ畑なんかは優しいラストなんですよね。
この優しさが、この作品を締めてくれたんじゃないかなぁと思います。
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計算通り (燕。(管理人))
2008-10-12 23:22:40
■りょくさんへ
そうですね、やっぱり主人公には肩入れしてみちゃいますよね。
しなしながら寂しさを感じつつも・・・、というラストには優しさがあったんじゃないかなぁ。
あと、自己犠牲というよりは、カレンも言っていたように「計算通りだ」と言って笑っている気がしますね。
最後の「Re;」がりょくさんの仰るとおり、世界からの回答だと良いな、というのは僕も同意見ですね。
シリーズ化したい、というのはR2の最初の頃に噂で聞いたことがありましたが、僕はこのまま終わらせても良し、続けても良しですね。
でも、もし続けるなら谷口監督の続投でお願いしたいな。
逆再生でルルーシュの走馬灯って、知らなかった(笑)。
谷口監督って、けっこうマーケットを意識した作りをされるところと、持論と客観論をちゃんと使い分けてる&織り交ぜられる方なんだな、と思いました。
その上での問題提起、なんで面白いだよな、きっと。
#そういう意味では冲方丁さんも同じなのかもね。
返信する
終わりましたねー (ひれん)
2008-10-18 06:39:13
某ロボット集合ゲームに大ハマりしているせいで、ラスボスがエウレカに聞こえてしょうがなく・・・そりゃ幻聴ですって。それよりカレンのがアネモネに聞こえるような。ホロではけしてないぞー。
最後の返答にはSEED同様いろんな意見が飛び交っているようですが、こっちの方がまだ納得意見が多いようですね。後発だし、当たり前と言えば当たり前なんですが。ただ、その当たり前に持ってくのは相当大変だったりするわけですが。
今回の作品は谷口監督が過去に監督として作られた作品(無限のリヴァイアス、スクライド、プラネテス、ガン×ソード)をすべて混ぜ込んで素地を作ってあるような気はしました。後はそこに遊び心とテーゼを突っ込むだけにして。やっぱりセンスと経験なんだよなー。
まぁ、ルルとスザク以外の脇キャラの扱いが気に入らない方は2時創作してRe;Re;…とするしかないですかね。あぁ、シャーリーたん、扱い酷いよ(出番的な意味で)・・・現実はキビシス。
続きは、C2がC2のまま終わったので、コードギアスとしても作れなくはないわけですよね。マルチ展開してるマンガ(反逆のルルーシュ、反逆のスザク、ナイトメア・オブ・ナナリー、幕末異聞録コードギアスの4作品)の方はまだ続いてますしね。面白いかどーかは別として。

そういや、関係ないですが、某ロボットアニメ集合ゲームだと、SEED Destinyのシンが思いっきり主人公化してるルートがあったり。これはこれで、というかこっちのがアリではって気が・・・(苦笑)

この最終回は、理想郷ではなく現実を選んだ時点で、誰とも恋愛フラグを立てていないルルが進むべきエンドだってことは薄々気づいていたんですが、いや、これはスザクエンドか!?デフォはやはりスザクなのか!?・・・ニヤリ
もう一人の裏主人公だったC2、「自分とまったく違う考え方」に触れて、Cの世界という幸福だけど独りよがりな「理想郷」で見失っていた「自分」を手に入れて、そしてあるがままでままならない「現実」で足掻くルルとスザクを通して、リアルの「幸福」が見えたのかな、と。
最後の笑顔が、ホンの少しはC2という魔女の殻を破った一人の少女として、世界に自分という「個」がいる幸せを感じられるようになったことを表してるのかな、と思いつつ。

スタッフ様お疲れ様でした。
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Unknown (ぶーちゃん)
2008-10-21 20:58:19
 はじめまして。
 といってもかなり前、今のHNを名乗っていなかった頃=SEED Dの視聴をしていた頃にだいぶお世話になっていました。侍改さんから、まだ書いていらっしゃる、と聞きまして、早速いそいそとお邪魔させていただいた次第です。

 「コードギアス」の記事を読ませていただき、燕。さんならではの考察がとても懐かしかったです。

 日経ビジネスオンライン、私も熟読しましたよ。
 最新号の「NewType」と「アニメージュ」はお読みになりましたか?
 「NewType」を読むと、谷口監督がこの作品にかけた熱い思いがよーくわかりますし(この作品は「反逆の谷口」でもあったんだと思わずにはいられませんでした)、「アニメージュ」はいかに大河内さん(だけじゃないですが)が頑張ったか伝わってくるので、改めてスタッフさんたちに頭を垂れたくなること請け合いですよ。

 どうも「ガンダム00」のセカンドシーズンが面白そうな予感が(ファーストシーズンはイマイチ乗れなくて・・・)するので、視聴をときどきしつつ、またこちらにもお邪魔したいと思います。

 それでは。
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