5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

橋下劇場は幕間に

2015-05-18 22:12:42 |  経済・政治・国際
橋下劇場の幕が下りた。

日曜日の大阪は静かに盛り上がっていたはずだ。『大阪都構想』についてその賛否を問う住民投票が行われ、開票結果が夜遅くまで確定されなかったからだ。

結果は意外や『反対』が『賛成』を一万票余り上回り、維新の会代表の橋下大阪市長が提案して過去5年に渡って議論されてきた『大阪府と大阪市をドッキングさせる』行政プランは実現せず、ステータス・クオということになった。

大阪府と市の行政的力学の働き方がいったいどうなのかはよく判らないが、橋下氏の立案趣旨をシンプルに云えば『二重構造の無駄を削ぐ』というのがポイントなのだろう。東京都に与えられる行政特権も西部日本の代表地域としては与えられて当然だという考え方も入っていたのではなかったか。

岡目八目的に見ればなかなか面白い行政改革の機会を提供したなと思ったのだが、ツイッターなどで読む彼の論争手法(舌鋒鋭く執拗に攻め続けるスタイル)は時として嫌味さえ感じさせるものでもあった。

住民投票の前読みでは『賛成有利』と思われていたものが、最後に『反対』で終わったのは、『はっきりした物言いの好きなはず』の大阪の有権者たちであっても、こんな彼のスタイルには気持ちの引っかかりを感じて『このまま任せ続けていいものか』と考えた結果なのかもしれない。

「都構想をしっかり説明できていなかった自分自身」が原因だと橋下氏はコメントしたというが、説明不足が本当の敗因なのだろうか。

賛成は維新の会だけ、他党はすべて(いつもは行政の無駄を突く共産でさえ)反対に回ったというのだから、既得権益を必死に守った結果の1万票ということなのかもしれない。府と市との二重構造撤廃というのだから、このままだと自分の行き先が危ういと感じた市会議員や公務員たちもきっと反対に回ったはずだ。

大阪市の有権者およそ211万人は、70万5585人が「反対」に投票し、69万4844人が「賛成」に投票したという。

66.4%の投票率というのは最近の議員選挙には見られない高率だったが、面白く感じた。投票日当日に「我が方に投票せよ」というアピールが可能だというのも効果があったのだろう。もちろん、ツイッター会員は橋下氏の直前ツイートがタイムラインに機関銃のように現れるのを目視し続けていたはずだ。

橋下劇場と云われようと、様々なプラットフォームで派手な自己主張を繰り広げた、孤独な選挙運動。敗れはしたが、ほぼ同率の賛成票の重みを、これからの大阪市の行政的利害関係者たちは、無形のプレッシャーとして感じ続けることになる。

捲土重来。市長を辞めた後の橋下氏の動向が注目される。



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