明日8日は「立秋」だから、暦上では今夜で夏が終わるはずだが、残暑と書いてもなにやら猛暑に見えてしまいそうな連日の暑さだとは、今夕の中日夕刊コラム「夕歩道」氏。
「秋来ぬと目にはさやかにみえねども風の音にぞおどろかれぬる」
古今和歌集の藤原敏行の有名なこの歌、秋立つ日に詠めると前書きがあるが、これに疑義を唱える
「そよりともせいで秋たつ事かいの」
という上島鬼貫の方に夕歩道氏は軍配を上げたいようだ。熱中症リスクの高い自分も同様である。
さて、鬼貫の忌日は8月2日だった。芭蕉と同時代のこの俳人、奔放な発想と自在な表現で人気が高い。〈季語集〉の坪内稔典先生も〈鬼貫忌〉を夏の季語としてあげている。
昨今の猛暑日続き「暑い夏よりも冬がいい」と愚痴のひとつもでそうだが、鬼貫に言わせればこうなる。
「冬はまた夏がましじゃといひにけり」
とは言いながら、暑いものは暑いのだ。鬼貫先生はこうも詠うのだ。
「なんとけふの暑さはと石の塵を吹く」
鬼貫は今の兵庫県伊丹に生まれた。伊丹は酒造りの町、地場の酒造業者が支援した俳諧学校「也雲軒」があり、鬼貫もそこの出身だった。時は流れて1993年、市は街おこしの一環としてこの「也雲軒」を再興した。その塾頭がなんと坪内先生。ちゃっかりPRまでされてしまった。
塾頭が引用したのは以下の二句。
「酒くらの窓の並びや鬼貫忌」岡田柿衛(1992)
「鬼貫に会ってみたいと思う夏」青枝立馬(2005)
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