5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

行基恃み

2021-05-22 21:16:32 |  旅行・地域

5月22日のコロナ状況は、全国で5040人(延716222人)の感染と78人(累12268人)の死亡が確認され、そのうち愛知県では616人(延44148人)の感染と1人(累705人)の死亡の発表があった。

「ほろほろと鳴く山鳥の声聞けば父かとぞ思ひ母かとぞ思ふ」

山中で親鳥を呼ぶ仔鳥の鳴き声が、遠く離れた父母への思慕の感情を刺激する。玉葉和歌集に収められた、奈良時代の高僧行基(668~749)の歌に成田為造が曲を付けた学校唱歌だが、中学生の大脳にこの歌が刷り込まれて今でもすぐに思い出せる。

そんな行基の名前を久しぶりにニュースに見つけた。NHK奈良局の
「東大寺大仏の造立携わった行基供養か 類例ない建物跡」というニュースだ。

奈良市の菅原遺跡で、柱の穴が円形に並ぶ奈良時代の建物の跡が見つかった。調査に当たった元興寺文化財研究所は、東大寺の大仏造立などに携わった高僧、行基を供養する建物の可能性が強いという。

円形の建物は奈良時代には類例がなく、後の時代には亡くなった人の供養などに使われた。遺跡の場所には行基ゆかりの「長岡院」という寺があったと推定される為、行基を供養する建物の可能性が高いというわけだ。

行基は数々の社会事業を行い、聖武天皇の信任を得て東大寺の大仏造立に携わっている。行基は『菩薩』と言われていたから、この円形建物には、行基の遺徳を長く偲ぼうという意図があったのではないかという。

円形建物といっても上部構造はまるでわからないわけだが、法隆寺の夢殿のような「八角円堂」か、平安時代の「多宝塔」の格好をしているのだろうという専門家による復元案があるらしい。

緑あふれる初夏の山中、ほろほろと鳴く山鳥の歌をゆっくりと聴きたいと思うが、移動自粛の世情からして奈良の遺跡を訪れることさえままならない。現代の疫病退散を行基菩薩に恃みたかったけれど。

 


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