5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

明見の赤みそ文化

2018-12-09 21:03:35 | たべもの

ああ草臥れたと寝床に入ったと思ったらもう朝だ。師走に入ってすでに三分の一が経過した。冬の日照は短いから余計に時の流れが速く感じる。名駅前のデパートは買い物客で盛れていたという。ボーナスがたっぷりもらえたサラリーマンたちが一斉に買い物に出たのだろう。

こちらも負けじとスーパーで買い物。力み過ぎたせいか支払いに使ったキャッシュカードを自動レジ機械の中に置き忘れてきたのに帰宅してから気付くというボンヤリ。気温が一桁台と寒かったことも脳活動を鈍くさせた所為だ。今日の山間部や日本海側では初雪を観察した地域も多かったようだ。

外が寒くなってくると美味く感じるのが湯気のたった温かな味噌汁一杯。我が家でもこの両日は少し濃いめの味噌汁で大根をゆっくりと煮たもの。近所の家庭菜園から頂いたものも、スーパーで買った茨城県のものも、柔らかくてとても美味である。歯を悪くした高齢者たちには、柔らかさが重要な調理の要素なのだ。だいこんの味噌汁煮はもちろん岡崎八丁の赤みそを使う。2ブランドあるが、この地方のスーパーなら何処でも赤みその定番として買える。

赤みそは見かけほど塩辛くはない。最近の醤油がいやに塩辛く感じるようになった年寄の舌には、その意味からも、赤みそを使った煮物が合うわけだ。

八丁といえば岡崎だが、三河中部のこの辺りには豆味噌文化がいまもしっかりと残っている。今日のNHK名古屋局は「黒く煮た大根食べる『お当』」という岡崎のニュースを流している。

明見地区は、広い市域をもつ岡崎のほぼ東端にある山間の小集落。人口は140人とウイキにあった。名鉄の本宿からバスで北に上っていくのだろう。たしか中学時代の友人のひとりがこの辺りに住んでいたはずだ。

この地区には、遠く戦国時代から伝わる「お当」(オトウと云う)という黒く煮た大根を食べる風習をいまも変わらずに伝えているという。戦国の戦に勝った領主が祝いとして農民に黒い大根を振る舞ったのが始まりとされ、土地の平安を祈る暮れの行事となっている。

今日は「お当」のふるまい日。昨日の朝から200本の大根を輪切りにして2つの釜で丸一日煮込んである。味付けはもちろん地場の赤みそである。未だ夜明け前の今朝午前6時に、神社で神事を行った後、煮込んで真っ黒になった大根が釜から取り出され、集会所に集まった40人の地元民たちにふるまわれた。

TVで見ると、煮上がった大根は本当に真っ黒、柔らかな炭のようだ。老いも若きも、みんなが大根にかぶりつき「徹夜で煮込んだ分、味がよく染みておいしい」など笑顔を見せている。見るからに昔ながらの部落行事だ。

こうした集いは田舎の都市化につれてどんどん変質し消えていってしまう。この「お当」も明見の「赤みそ」文化として大事に守っていってもらいたいものだ。


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