29日、愛知県のコロナ感染確認は164人(延23800人)死者は6人(累394人)と発表された。全国では感染確認が3534人(延394670人)死者は79人(累5593人)である。神奈川で18人、兵庫で10人、千葉で10人、大阪で10人など大都市圏での死者数がいつのまにか二桁に乘った。緊張感がどこかで麻痺しだしているようで気持ちがわるい。
緊急事態宣言から2週間、首都圏以外に宣言の出ている7府県の中心都市のターミナルの人出についてNHKが調べている。名古屋駅周辺の28日の人出は2週間前と比較して「2%の微減」、第一次の宣言時と比較して「96%プラスと倍増」していることがわかったという。残る6府県についても同様のことがいえるらしい。国民の緊張感はやはり弛緩していそうな様相である。ダイジョーブではない。
今日の名古屋は昼すぎから雪の舞う寒い天気だった。日本海上空にはマイナス12度以下の強い寒気が流れ込んで冬型の気圧配置が強まったと天気予報は伝えている。風も強く凍える体感。カイロを握って揉みながら首をすくめて歩いた。
北海道から北陸にかけて日本海側各地はふたたびの大雪に警戒態勢だが「雪女郎」という冬の季語を坪内稔典先生の「季語集」でみつけた。雪女郎とは「雪女」のこと。雪国に現れる想像上の妖怪で「雪鬼」「雪坊主」という呼び方もされるのだとか。
今夜は満月だ。北東の夜空には速い流れの雪雲の間からまるい月が顔を見せた。柳田国男の「遠野物語」には「冬の満月の夜になると雪女はたくさんの童子を引き連れて遊ぶのだ」とあるそうだ。
「三日月の櫛やわすれし雪女」
この佐藤紅緑の句を坪内先生は引用し「月が照る雪の夜、この世のものとも思えない美しさが、雪女と童子の遊びを思わせたのだろうか」と問う。
だが、四国愛媛県生まれの先生には「雪女郎」のイメージが湧かないのだという。自分の場合も同様だ。正直、雪国の暮らしのことなどまったく思いもよらない。
今夜の日本海側のどこかには、雪が途絶えて満月が雪面を照らしているところもあるだろうか。童子といっしょならファンタジーだが、豪雪をつれてきたというなら迷惑至極だ。
「みちのくの雪深ければ雪女郎」
山口青邨の句はさてどちらの雪女郎なのだろう。